特別企画

40年の時を経てキンケシがフル可動に進化!バンダイ「ガシャポン」新作説明会レポート

初代ガシャポンのペーパークラフトやキャッシュレス対応自販機も登場

【キンケシフルアクションスペシャル 01】

11月第2週から順次発売予定

1回500円(税込)/全8種

【『小学8年生』(12・1月号)】

10月末 発売予定

価格:1,300円(税込)

【ガシャポンステーションW(ダブル)】

11月2日より稼動

 バンダイ ベンダー事業部は、この秋に登場する「ガシャポン」関連の新作についてのメディア向け説明・体験会を10月26日に実施した。市場規模は400億円を突破しているといわれる、カプセルトイ市場。その中の、メーカー別売上げで、約55パーセントものシェアを占めているのが、同社の「ガシャポン」だ。

 現在ガシャポン45周年プロジェクト「答えはガシャポンだ」を展開中だが、今回は新たに3つの新作が登場し、その勢いがさらに加速していきそうである。先行してみることができた新商品をレポートしていこう。

全身14ヵ所が可動して自由なポーズができる「キンケシフルアクションスペシャル 01」が登場

 最初に紹介するのは、キンケシシリーズの最新である「キンケシフルアクションスペシャル 01」(以下「フルアクション」シリーズ)だ。こちらは、11月第2週から順次販売される予定である。

第1弾として登場するキャラクターは、キン肉マン、テリーマン、ロビンマスク、悪魔将軍の4体。それぞれカラーバリエーションを含めて、全8種類が展開される

 キンケシといえば、おなじみの手を広げたポージングをイメージする人も多いが、こちらは登場から40年の時を経て可動バージョンとして生まれ変わっている。バンダイならではの可動ギミックをふんだんに盛り込み、全身14ヵ所可動することが可能だ。その分といってはなんだが、通常のキンケシのサイズで可動を再現するのは難しかったため、サイズ自体は少し大きめとなっている。

左が現行版で中央が昔発売されたキンケシ。右が今回の「フルアクション」シリーズだ

 可動が可能になったことにより、劇中シーンや技の掛け合いなども再現できるようになっているのも、この「フルアクション」シリーズの特徴である。たとえばキン肉マンの技といえば筋肉バスターが思い浮かぶが、付属のエクストラパーツを使用して様々な技を再現することができるのだ。これらはメーカー側がこうした技が再現できるというものをアピールしているというよりも、購入したユーザーが自分の思い描く遊び方が見つけられるようにしたものである。

付属のエクストラパーツなどの組みあわせにより、キンケシとは思えない技の再現なども可能になった

 キンケシといえば、毎回カラーバリエーションが2~3色で展開されているが、今回の「フルアクション」シリーズでも、ペルーオレンジとシルバーの2色が用意されている。ガシャポンは、その販売形式もありすべてが気持ちよく1種類ずつ揃うかというと難しい側面がある。だが、そのだぶりをあえて応用して遊びに転換することもできるのだ。

 たとえば、色違いだが同じロビンマスクでダブってしまった場合、パーツを取り替えることで遊びが広がるようになっている。「フルアクション」シリーズを担当している、バンダイ ベンダー事業部 企画・開発第一チーム マネージャーの松原大典氏は、このパーツを入れ替えることで原作に近いカラーリングのロビンマスクが再現できることに気が付いた時に、興奮して夜も眠れなくなってしまったという。

バンダイ ベンダー事業部 企画・開発第一チーム マネージャーの松原大典氏
今回の2色のパーツを組み替えることで、ロビンマスクが原作風のカラーリングに!

 また、「フルアクション」シリーズの腰パーツ(エクストラパーツ)を利用して、悪魔将軍の顔部分だけ別パーツにして正体であるゴールドマンの状態を再現するといったことも可能だ。さらには、ロビンマスクの「アノアロの杖」を装着したバージョンを再現するという遊びも加えられている。

 いずれの商品にも、グーとパーの両方の手パーツが付属している。販売価格は1回500円と、通常のキンケシより高めにはなっているが、プレイバリューはガシャポン商品の中でも高い。

悪魔将軍の顔を取り替えてゴールドマンにすることも可能だ。
どのキャラクターにも2種類の手パーツが付属している

 「01」と付いていることからもわかるように、シリーズでの展開も企画されている。しかし、ここ最近の円安がカプセルトイ業界にも少なからず影響が及ぼしているようだ。明確に次回はどのキャラクターが登場するのかについてや、時期については明らかになっていないが、こちらは続報を楽しみに待とう。

 今回のキンケシの最大の特徴は動かせるところだが、ユーザーの心の中の欲求としてキンケシを動かしてみたいというようなものは、おそらくなかったのではないかと語る松原氏。それは、ユーザーの頭の中にある「これだよね」という、頭の中で美化されたキンケシのイメージが強いからだ。実際に動くぞといわれたときに、「これもできる」、「あれもできる」とユーザーが思い浮かべるような、隠されたニーズを喚起したいというのがおもちゃ屋としての発想なのだという。

オリジナルのキンケシといえば、両手を広げているイメージだが、実際はいろいろなポーズをしている

 「フルアクション」シリーズでは、PVC素材とABS素材という、軟質と硬質の素材を組み合わせたものが採用されている。頭などのパーツは軟質素材で、関節などの硬いパーツが必要なところは硬質素材が使われているといった感じだ。ちなみに、ガシャポンから出てくるものは、完成品ではなく、自分で組み立てていく必要がある。これはコストを圧縮するためだ。キンケシというと、完成したものがそのまま出てくるイメージもあるかもしれないが、プラモデルやフィギュアを組み立てるよな気分も味わうことができるのである。

 今後のキンケシ全般の展開としては、具体的なものはないもののゆでたまご先生が描く原作漫画のスピードに、商品化が追いついていない状態なのだという。現行シリーズでも、まだ10人ぐらいキンケシになっていないキャラクターがいるため、まずはそちらの商品化を実現していきたいと抱負を語っていた。

初代ガシャポン自販機のペーパークラフトが小学館「小学8年生」の付録で登場

 10月末から順次発売される小学館の「小学8年生」(12・1月号)の特別付録として、バンダイが1977年に投入した初代ガシャポン自販機「BVM100」のペーパークラフトが付属する。紙パーツとクリアパーツを組み合わせて作ることができるようになっており、慣れている人なら30分ほどで完成させられるそうだ。

ペーパークラフトとは思えないレベルの完成度の高さだ
こちらの「小学8年生」(12・1月号)の特別付録として、ペーパークラフトが付属している
組み立てる前のペーパークラフト。箱に入っているのは、ガシャポンのカプセルだ

 ガシャポン自販機のペーパークラフト本体に加えて、縦横3cmほどのカプセルも6つ付属している。カプセルの中身は入っていないため、自分の好きなものを入れて遊ぶといった感じになるそうだ。ガシャポンは、ただ見た目を再現しただけではなく、ハンドルを回すことで実際にカプセルが出るギミックも再現されている。ペーパークラフトにしては作りもしっかりとしており、コレクションアイテムとしても集めたくなる完成度の高さだ。

カプセル自体も、いろいろな組みあわせができる
もちろん、ハンドルを回せばカプセルが出てくる

 余談だが、実機の「BVM100」は、販売店が所有しているものを除けば、バンダイが管理しているマシンは1台しか現存していないそうだ。現在はガシャポン45周年プロジェクトの一環として、池袋のガシャポンのデパートに来年3月まで展示されている。

 ペーパークラフトのサイズ感だが、ノンスケールで作られているため、完全に縮尺が決まっているわけではない。サイズとしては、全高約260mm、全幅約90mmとなっている。今年の5月に「1/12ガシャポンステーション」として発売されたものと比較して、だいたい3倍ぐらいの大きさとなっている。

左側に並べられているのが、1/12サイズのもの。大きさとしては約3倍といった感じだ。
雑誌には、遊びながら歴史が学べる「ガシャポン 45周年の歩みすごろく」も付いてくる

 このペーパークラフトとは別に、「小学8年生」(12・1月号)には、巻末ポスターとして「ガシャポン 45周年の歩みすごろく」も付属している。1977年に初めて登場してから現在までに起きた、ガシャポンにまつわる歴史が遊びを通して学べるようになっており、こちらも合わせて注目して欲しいポイントである。

現金とキャッシュレスのハイブリッド仕様になった新型自販機「ガシャポンステーションW(ダブル)」

 現金とキャッシュレス決済のハイブリッド仕様で、ガシャポンが購入できる新型自販機「ガシャポンステーションW(ダブル)」が、11月2日にオープンする「ガシャポンのデパート」イオンモールKYOTO店に設置される予定だ。

現金とキャッシュレスの両方に対応した、新型自販機「ガシャポンステーションW(ダブル)」

 同社では、2019年からガシャポンのキャッシュレス販売にも力を入れている。駅を中心に展開しているのが、「スマートガシャポン」だ。こちらは現金では購入できず、SuicaやPASMOといった交通系ICカードとQR決済のみに対応していた。そうしたこともあってか、利用者から現金でも購入できるようにしてほしいという要望があり、今回の「ガシャポンステーションW(ダブル)」が誕生している。

 通常のガシャポン同様、硬貨を必要な枚数投入することで、ハンドルが回せるようになっている。キャッシュレスを利用する場合は、本体に記載されているQRコードを自身のスマートフォンのカメラで読み取るようになっている。このときに専用のアプリなどは不要で、QRコードを読み取ることでバンダイが運営するウェブサイトに飛ぶ仕組みだ。

通常のガシャポン同様、硬貨を入れて購入することも可能だ
キャッシュレスを利用する場合は、スマートフォンで本体のQRコードを読み取る
商品確認後、支払方法を選択して購入する
購入後は、ハンドルを回すことができる

 QRコードは個別に設定されており、スマートフォンで購入する商品の確認を行なう。その後、決済方法を選ぶと自動で決済アプリが立ち上がる。そこで支払が終わるとガシャポンが回せるようになるといった流れになっている。対応している決済方法は、PayPay、d払い、メルペイ、au PAYに加えて、コロナ渦が落ち着いてきてインバンド需要が見込めることからWeChat Payや支付宝(ALIPAY)にも対応している。新しいキャッシュレスサービスが出てきたときには、ニーズに合わせて追加することもできるそうだ。

主要なキャッシュレスサービスに対応している

 以前の「スマートガシャポン」との違いという点では、こちらには自販機自体にカメラが搭載されており、そこで自分のスマートフォンに表示されたQRコードを読み取るというスタイルが採用されていた。だが、この「ガシャポンステーションW(ダブル)」ではカメラを省くことで筐体の値段を下げ、同様のサービスを提供しているというのが特徴である。

 また、自分のスマートフォンでQRコードを読み取り、決済サーバーとの通信も自身のアプリで行なうため、スピード感やセキュアな環境を保つことができるのである。

キャッシュレスなら、お札を両替するといった手間も不要になり便利そうだ

 今回発表された新作は、いずれも興味深いものばかりであった。キンケシ自体の商品の進化も素晴らしいが、初代のガシャポンを再現したペーパークラフトや、現代の最新技術を投入した新型自販機など45年の歴史を重ねることで実現したものばかりだ。ガシャポンの商品もそうだが、こうしたコラボレーションや機械自体の進化など、今後も注目していきたいところである。