特別企画

食玩「ガンダムアーティファクト 第3弾 ダブルオーライザー」を全塗装。全高約55mmの細かいパーツに最適なオススメツールも大紹介!

【ガンダムアーティファクト 第3弾 ダブルオーライザー】

発売元:バンダイ

発売日:2022年12月19日

価格:550円(税込)

 今回は食玩キットの中でも絶大な人気を誇るキット、「ガンダムアーティファクト」より、第3弾 ダブルオーライザーの作例を紹介します。キットは全高55mmと小型なので塗装は筆塗りで、細かなパーツに最適なツール類もあわせて紹介していきます。

設定に独自のディテールを施した大人気食玩シリーズ

 今回作成する「ガンダムアーティファクト」はガンダムシリーズに登場するMSに対し、工業製品的解釈を加えたコレクションシリーズです。これまでのガンプラでは見られない形状のアレンジがされており、その緻密なディテールによってキャッチコピーである「工藝」へとMSを昇華させています。また、成型色はペールオレンジにて成型されており、その佇まいはまるでB-CLUBのガレージキットを彷彿とします。

小型キット制作の強い味方

 今回制作するキットは全高約55mmと小さいため、これまでのガンプラで使用してきたツールでは少し作業しにくい箇所があります。そこで今回の作例用に細かい作業に対応したツールを用意しました。

キットの全高は約55mmで、ちょうど10mlの塗料瓶と同等のサイズ感です。
パーツの加工に使用したツール類。ニッパーやナイフだけでなく小型の彫刻刀であるゴッドハンドの「スピンブレード」を使用していきます。

 今回のパーツ加工にはナイフだけではパーツの成型が困難な箇所が多いため、スピンブレードを使用して加工を行ないます。

塗装の際に使用したゴッドハンドの「神ふで ショート」。柄が短いので様々な持ち方で筆を持つことができ、塗装効率が上がります。

 塗装の工程では、パーツが細かいためゴッドハンドの「神ふで ショート」を使用して塗装の効率化を図ります。今回の作例では広範囲を塗装するための「泡だたん筆」と細かい箇所を塗装するための「硬面細筆」の2種類を使用して塗装を行ないました。

「ガンダムアーティファクト 第3弾 ダブルオーライザー」を全塗装で制作

 それではキットを制作していきましょう。まずはこれまでのキットと同様に仮組を行ないます。

仮組を行なったダブルオーライザー。このまま飾っても十分にかっこいい仕上がりです。

PS樹脂製パーツとは異なる方法で合わせ目消し

 本キットはその小ささから、パーツ分割が制限されているようで、合わせ目がそのまま見えてしまっています。そのためパーツ合わせ目消しを行なっていきます。なお、ガンダムアーティファクトはガンプラ等で多く使用されているPS樹脂製キットではなく、ABS樹脂を使用したキットとなっています。そのため、私がこれまでの作例で使用してきたPS樹脂用の接着剤では接着を行なうことができません。そこで今回は瞬間接着剤を使用して合わせ目消しを行なっていきます。

オーライザーの機首パーツ。中央に合わせ目が発生します。

 今回使用する瞬間接着剤はガイアノーツの「瞬間クリアパテZ」を使用して合わせ目消しを行なっていきます。この瞬間クリアパテは高粘度の遅硬化タイプの瞬間接着剤となっており合わせ目消しに適した接着剤となっています。また、この瞬間クリアパテは他の瞬間接着剤と比較し、硬化後の接着剤が柔らかく、プラスチックと同じ作業感覚で加工が可能です。

合わせ目に適量の瞬間クリアパテを盛り付けます。
瞬間クリアパテを盛り付け後、パーツを圧着して瞬間クリアパテをはみ出させます。瞬間クリアパテは高粘度の瞬間接着剤なので瞬着効果スプレーにて瞬時に硬化させることが可能です。
硬化した瞬間クリアパテをナイフで整形していきます。瞬間クリアパテは硬化しても他の瞬間接着剤と比較して柔らかいため加工が苦になりません。

 このままナイフで加工できる個所は問題ありませんが今回のキットでは凹部など、ナイフでは加工が困難な箇所が複数存在します。そういった箇所にゴッドハンドの「スピンブレード」を使用して加工を行ないます。

スピンブレードは様々な幅が用意されているため凹部のサイズに合わせて選択し、加工を行ないます。

 合わせ目消しが完了したら、パーツを洗浄して塗装に入りましょう。

細かいパーツ故にマスキングは不可能、筆塗にて仕上げる

 それでは塗装を行なっていきましょう。今回のキットはそのサイズ故にパーツ分割がほとんどされていません。そのため、今回の塗装ではある程度組み立てを行なった状態にて筆塗を行なっていきます。

塗装前の各パーツ。私の作例では珍しくパーツのばらしは最小限としています。

下地色を工夫することで塗装に保険をかける

 今回は筆塗がメインとなるため、作業性を考慮して全て水性塗料のファレホを使用して塗装を行なっていきます。

今回使用した塗料。全てファレホを使用しています。また、仕上げ色にはファレホのメカカラーを使用しています。

 まずはサーフェイサーで下地を整えていきます。サーフェイサーにはファレホの「ホビーペイントスプレー ブラックプライマー」を使用しました。下地色をブラックとした理由としては、今回のように細かいパーツが密集している個所への塗装はどうしても筆が入らない箇所もあります。そういった場合、下地をブラックにしておくことで筆が入らなかった個所を影で暗くなっているように表現することができるため、保険をかけることが可能です。

サーフェイサーを塗装した脚部パーツ。缶スプレーなので隙間なくパーツを塗装できました。

調色不要で様々な色調を再現可能な万能塗料

 下地色を塗装したら、仕上げ色を筆塗していきます。今回使用するファレホは色数が1000種類以上と充実しており、調色することなく好みの色に塗装することが可能です。今回はメカカラーシリーズを使用して塗装を行なっていきます。

仕上げ色の塗装はマスキングによる塗分けが不可能なので筆縫いによって塗装していきます。広い範囲はゴッドハンドの「神ふで ショート 泡だたん筆」、細かい箇所は「神ふで ショート 硬面細筆」で塗装していきます。
ホワイト部分を塗装した脚部パーツ。ホワイト部分には「メカカラー ホワイトグレイ」を使用して塗装しました。
レッド部分を塗装した脚部パーツ。レッド部分には「メカカラー SZレッド」を使用して塗装しています。
メタリックグリーン部を塗装した脚部パーツ。メタリックグリーン部には「メカカラー メタリックグリーン」を使用しています。
ブルー部分を塗装した腕部パーツ。ブルー部分には「メカカラー ブルー」を使用しています。
イエロー部分を塗装した胴体パーツ。イエロー部分には「メカカラー イエロー」を使用しています。
関節色を塗装した肩部バインダー。関節色には「メカカラー ミディアムグレイ」を塗装しました。
オーライザーコクピットハッチを塗装した機首パーツ。コクピットハッチには「メカカラー カッパー」を使用しています。

 ここまで塗装が完了したら最後につや消しトップコートを塗布して塗装完了です。

ガンプラとは一味違った仕上がりのガンダムアーティファクト

それでは早速、完成したダブルオーライザーを見てみましょう。

【正面】
左:塗装前、右:塗装後
【側面】
左:塗装前、右:塗装後
【背面】
左:塗装前、右:塗装後
左斜め上から撮影してみました。塗装することでディテールのアレンジがより分かりやすくなっています。
背面のアップ。本キットはパーツ成型時から先端が鋭利になっているので塗装するだけで十分です。
下からあおりで撮影してみました。全高55mmながらあおりで撮影することで迫力が出ます。

 いかがでしょうか。本キットはガンプラと比較すると難易度は高いキットといえます。しかしながら、使用するツールを工夫していけば十分に製作を楽しむことが出来るのではないでしょうか。模型という趣味においてキットの購入を優先し、ツール類の購入を躊躇してしまうことは大いにあると思います。しかし、新しいツールを使用することでできることも広がっていきます。これをきっかけに新しいツールを使用して新しい挑戦をしてみてはいかがでしょうか。

今回使用した工具一覧
使用工具品名
ニッパーGSIクレオス Mr.シャープネスニッパー両刃タイプ
ニッパーゴッドハンド アルティメットニッパー5.0
ナイフタミヤ モデラーズナイフ
彫刻刀ゴッドハンド スピンブレード
接着剤ガイアノーツ 瞬間クリアパテZ
ゴッドハンド 神ふで ショート 泡だたん筆
ゴッドハンド 神ふで ショート 硬面細筆
今回使用した塗料一覧
工程使用塗料
下地色ファレホ ホビーペイントスプレー ブラックプライマー
上塗り(ホワイト)ファレホ メカカラー ホワイトグレイ
上塗り(レッド)ファレホ メカカラー SZレッド
上塗り(ブルー)ファレホ メカカラー ブルー
上塗り(イエロー)ファレホ メカカラー イエロー
上塗り(関節色)ファレホ メカカラー ミディアムグレイ
上塗り(メタリックグリーン)ファレホ メカカラー メタリックグリーン
上塗り(コクピット)ファレホ メカカラー カッパー
トップコートファレホ ホビーペイントスプレー マットバーニッシュ