特別企画

ガンプラ「HGUC 1/144 グフ」エコプラ版を黒立ち上げで全塗装

エコプラの黒い成型色を生かした重量感ある仕上がり

【バンダイホビーセンター専用エコプラ HGUC 1/144 グフ】

発売元:BANDAI SPIRITS

発売日:2008年5月17日

価格:838円(税込)

 今回は「機動戦士ガンダム」よりガンプラ「バンダイホビーセンター専用エコプラ HGUC 1/144 グフ」の作例を紹介します。「エコプラ」は黒一色のキットなので、この成形色を生かしてジオン公国が開発した陸戦用MSを黒立ち上げ塗装にて全塗装していきます。

ジオン公国が開発した陸戦、白兵戦用MS

 今回作成するグフはTVアニメ「機動戦士ガンダム」にてジオン公国が一年戦争中に開発した陸戦、白兵戦用MSです。先行量産されたザクII J型を全面改修した陸戦用MSとして開発されました。

 主要なパイロットは劇中にてアムロ・レイに大きな影響を与えたランバ・ラル大尉。“青い巨星”の異名を持つエースパイロットです。彼が劇中で放った「ザクとは違うのだよ、ザクとは!」や「ランバ・ラル、戦いの中で戦いを忘れた……。」はガンダムファンの中でも有名なセリフではないでしょうか。

【グフ|昼MS【ガンチャン】】

エコプラ仕様で単一カラーのシンプルなキット

 今回作成するグフはバンダイホビーセンター専用とあるようにガンダムベース等の施設にて限定販売されているキットとなります。エコという名前があるように商品の一部、もしくは全体にリサイクル素材を使用しており、その影響でキットの成型色は黒単色の成型色となっているのが特徴です。

 「バンダイホビーセンター専用エコプラ HGUC 1/144 グフ」は、2016年発売のリバイブ版ではなくHGUCシリーズ初期のキットとして2000年に発売されたグフです。リバイブ版とはザク・マシンガンの付属やヒート・サーベルのシールドへの収納といった点で異なります。HGUCシリーズ初期版グフは、リバイブ版発売以降では入手困難なキットとなっており、エコプラが最も容易な入手手段となります。

素組状態では真っ黒なキットです。
ヒート・サーベルが一体成形でシールド下部から柄が突き出すように収納するため、リバイブ版とはシルエットが異なります。

「バンダイホビーセンター専用エコプラ HGUC 1/144 グフ」を黒立ち上げで全塗装

 それではグフを制作していきましょう。今回はエコプラキットが黒一色であることを活用して黒立ち上げにて塗装していきます。黒立ち上げ塗装は黒下地に仕上げ色を少しずつ塗布していく手法で、立体感や重厚感の強調に役立ちます。

今回使用したツール類。今回はサフを使用せずに塗装を行なうため、ゲート処理用に高番手のやすりを使用しました。また、ピンバイスははめ込みパーツを後ほど分化しやすくするために使用しています。
今回使用した塗料類。成型色を活かすためにサーフェイサーは使用していません。

ゲート跡を極力目立たないように処理を行なう

 まずはキットの仮組を行ないます。今回の作例ではサーフェイサーを使用しないため、ゲート跡が目立たないように事前に処理を行ないます。パーツカットの際にしっかりとゲート跡を処理しておけば無塗装でも十分に目立たなくなります。

ランナーからパーツをカットする際はランナーを多めに残してカットします。
ランナーから切り離したパーツを再度ニッパーで二度切りします。この際にあえてギリギリではカットしないように注意します。
残ったゲート跡をやすりで削り落とします。
やすり跡を600番、800番、1000番の順で表面を磨いていきます。これで可能な限りゲート跡の白化を防ぐことが可能です。
ニッパー切断後のパーツ(右)とやすり後のパーツ(左)ゲート跡がほぼわからなくなりました。

 この工程を全パーツに行ない仮組を行ないます。

仮組を行なったグフ。HGUCシリーズ初期のキットということもあり、合わせ目が多く可動域も控えめです。

安全フラッグ除去でお手軽にディテールアップ

 今回作成するグフもこれまでのキットと同様にアンテナに安全フラッグを持っています。ガンダム等のV字アンテナの安全フラッグと比較すると目立ちにくい形状ではありますが、安全フラッグの有無で印象が変わります。

安全フラッグの付いたアンテナパーツ。V字アンテナよりは目立ちませんが除去しておきましょう。
安全フラッグをニッパーでカットしていきます。
ゲート跡と同様にやすりで処理します。
安全フラッグ除去が完了したパーツ。シャープにかっこよくなりました。

合わせ目消しも成型色を配慮して行なう

 次に合わせ目消しを行なっていきます。本キットはHGUC初期のキットということもあり胴体手足などいたるところに合わせ目が発生します。このままではかっこ悪いので、流し込み接着剤を使用して合わせ目消しを行ないます。

合わせ目の発生する胴体パーツ。最近のキットではあまり見ない腰までの一体成型で前後分割になっています。
流し込み接着剤を合わせ目に流し込んでいきます。この際に接着剤を多めにしっかりと流し込むと失敗しにくいです。
パーツをしっかり押さえつけて接着剤をはみ出させます。
接着剤が乾燥したらはみ出た部分をやすりで削り落とします。
ゲート跡と同様にやすり跡を600番、800番、1000番の順で表面を磨いていきます。
合わせ目消しの完了した胴体パーツ。この上から塗装すれば合わせ目がわかりません。

 以上で、加工は完了です。パーツを洗浄したら塗装に入っていきましょう。

成型色を活かした黒立ち上げで全塗装

 今回の塗装は成型色を下地色として黒立ち上げ塗装を行なっていきます。黒立ち上げ塗装は黒下地に仕上げ色を少しずつ塗布していき目的の色に仕上げる塗装方法です。パーツのエッジ部分をあえて塗り残すことで立体感や重厚感を引き立てることができます。

 黒立ち上げ塗装を行なう際は少しずつ塗料を塗布していくことがポイントとなるため、エアーコンプレッサーの圧力を普段より低めに設定し塗料も薄めに希釈して塗装を行ないます。また、ハンドピースのニードルストッパーを極細吹きに調整しておくと塗装しやすいです。

 それでは塗装に入ります。まずは本体のメインカラーであるブルーを塗装していきます。ブルー部分にはクレオスの「Mr.カラー ブルー」と「Mr.カラー ミディアムブルー」と調色したカラーで塗装していきます。

塗装時はパーツの中央から塗装を行ない、好みの色味に仕上げていきます。
ブルー部分を塗装した大腿部パーツ。撮影時のライトにより明るく発色することを考慮して暗めに仕上げました。

 メインカラーのブルー部分を塗装したら次に胴体部分のネイビーを塗装していきます。ネイビー部分はクレオスの「Mr.カラー ブルー」と「Mr.カラー ミッドナイトブルー」と調色したカラーで塗装していきます。

ネイビー部分を塗装した胴体パーツ。深いブルーに仕上がりました。

 ブルー部分が塗装完了したら、胸部等のブラック部分を塗装していきます。ブラック部分にはクレオスの「Mr.カラー ミッドナイトブルー」を塗装していきます。

ブラック部分を塗装した胸部パーツ。成型色との差異があまり感じられなかったので塗装の必要はなかったかもしれません。

 ブラック部の塗装が完了したら今回の塗装にて最も明るい配色となるグレー部分を塗装していきます。今回はガイアノーツの「ニュートラルグレーⅣ」を使用して塗装を行ないます。

グレー部分の塗装を行なったランドセルパーツ。明るくなりすぎないように薄吹きしています。

 最後にグフの特徴的な武装の一つであるヒート・サーベル等に使用されるオレンジ部分を塗装していきます。塗料はガイアノーツの「ナスカカラー マンダリンオレンジ」を使用していきます。

塗装を行なったヒート・サーベル。鮮やかなオレンジに仕上がりました。

 これにて仕上げ色の塗装は完了したのでつや消しコーティングをして塗装完了です。

重量感の増した配色となったグフ

 早速完成したグフを見てみましょう。

【正面】
左:塗装前、右:塗装後
【側面】
左:塗装前、右:塗装後
【背面】
左:塗装前、右:塗装後

 黒立ち上げを行なうことで装甲の重厚感や立体感が増し、グフの持つ威圧感を上手く表現できたと思います。

グフの代名詞といえるヒート・ロッドを構えてみました。可動域が小さいためダイナミックなポーズはできませんが黒立ち上げ塗装により重量感を出すことでかっこよく見えます。
大腿部のアップ。パーツのエッジを塗り残すことで立体感を強めています。
ヒート・サーベルを構えてみました。ザクの斧とは違い、剣を装備するという点がかっこいいです。
ヒート・サーベルのアップ。サーベルの縁が黒いことでイラストのようにも表現できたと思います。
ザク・マシンガンを構えてみました。本キットにはマシンガンも付属しているので様々な遊び方ができそうです。
ザク・マシンガンのアップ。ブラック部分は成型色との差異があまり感じられなかったので塗装の必要はなかったかもしれません。もしくはオリジナル配色で明るい色を採用しても良かったかもしれません。

 いかがでしょうか。黒立ち上げ塗装はベタ塗り塗装と比較して完成時の印象を大きく変えることができます。また、極細吹きを使用して塗装を行なうため、マスキングをほぼ行わないで塗装できるお手軽さも兼ね備えています。また、一年戦争時の機体のキットは黒立ち上げ塗装が似合うデザインが多いです。この記事をきっかけに、黒立ち上げ塗装を楽しんでみてはいかがでしょうか。

今回使用した工具一覧
使用工具品名
ニッパーGSIクレオス Mr.シャープネスニッパー両刃タイプ
ニッパーゴッドハンド アルティメットニッパー5.0
ナイフタミヤ モデラーズナイフ
やすりピットロード PY07「フィルムスティックやすり 400番」
やすりゴッドハンド 神ヤス #400
やすりゴッドハンド 神ヤス #600
やすりゴッドハンド 神ヤス #800
やすりゴッドハンド 神ヤス #1000
ピンバイスゴッドハンド ドリルビット
接着剤クレオス Mr.セメントSPB(ブラック)
接着剤ウェーブ ×3G高強度
今回使用した塗料一覧
工程使用塗料
上塗り(ブルー)クレオス Mr.カラー ブルー+Mr.カラー ミディアムブルー
上塗り(ネイビー)クレオス Mr.カラー ブルー+Mr.カラー ミッドナイトブルー
上塗り(ブラック)クレオス Mr.カラー ミッドナイトブルー
上塗り(グレー)ガイアノーツ ニュートラルグレーⅣ
上塗り(オレンジ)ガイアノーツ ナスカカラー マンダリンオレンジ
上塗り(モノアイ)クレオス ガンダムカラー MSシャアピンク
トップコート(つや消し)クレオス Mr.スーパークリアーUVカットつや消し