特別企画
大砲をぶっ放す"動"の一瞬を立体化! メディコス、TVアニメ「ベルセルク」のフィギュア「ガッツ 黒い剣士Ver.」、撮り下ろしレポート
2024年2月24日 00:00
- 【ガッツ 黒い剣士Ver.】
- 開発・発売元:メディコス・エンタテインメント
- 11月発売予定
- 価格:29,700円
- 全高:265mm、1/7スケール
- 素材:PVC&ABS
- セット内容:本体、台座、オプションパーツ
- 原型制作・彩色:大西孝治(ヘビーゲイジ)
メディコス・エンタテインメントはフィギュア「ガッツ 黒い剣士Ver.」を11月に発売する。価格は29,700円。2月9日より予約を開始しており、MEDICOS ONLINE SHOPで購入することで特典「発射起動フェイスパーツ」が付属する。
本商品はワンダーフェスティバル2023夏で試作品が初出展された。ワンダーフェスティバル2024年冬でもメディコスブースの目玉として彩色原型が展示され注目を集めた。今回、ワンダーフェスティバルに先がけてメディコス本社で撮影をすることができた。
「ガッツ 黒い剣士Ver.」のディテールを紹介していきたい。
ドラゴンころしに甲冑の表現、そして爆炎! フィギュアの魅力を細かくチェック!
フィギュア「ガッツ 黒い剣士Ver.」はTVアニメ「ベルセルク」の第一話に収録されている森での戦いをイメージしたものとなっている。
主人公ガッツは、大きな体躯で、片目、片腕、そしてその身長を超えるほどに巨大な剣「ドラゴンころし」を持っている。全身に武器が仕込まれた特殊な甲冑を着込み、そして左腕の義手には大砲を仕込んでいる。
序盤の時点では彼がどんな素性を持つ戦士なのか、何故彼は魔物を呼び寄せてしまうのか、そしてその身をなげうつような凄惨な戦いをするのかわからない。読者にはベルセルク(狂戦士)そのままのガッツが強く印象に残る。フィギュアはその謎めいた雰囲気と圧倒的な戦闘力をしっかり感じさせる迫力のあるものとなっている。まずは全身を見ていこう。
フィギュアの全高は265mm、1/7スケール。ガッツの大柄な体、巨大なドラゴンころし、そして広がるマントでかなりのボリュームを感じさせる。ガッツが立っている台座も、戦場跡で埋まっていた死体に悪霊が乗り移り襲いかかってくるという物語の舞台を再現しており、甲冑を着けた骸骨や錆びた武器が並んでいる。造型、構図共にかなり凝ったものとなっている。
ディテールを追っていこう。本商品の大きな魅力の1つが「義手大砲エフェクト」である。ガッツの左手は義手であり、内部に大砲が仕込まれているのだ。フィギュアでは左腕を可動させ、エフェクトパーツを付けることで大迫力の大砲発射シーンを再現できる。この大砲の爆炎にはヒロミ産業が発売する小型LED「ミライト」を入れることができ、今回の彩色見本にもミライトを内部に入れて撮影している。
エフェクトパーツはクリアパーツに塗装が施されており、激しさと重さを感じさせる爆炎が表現されている。またこの時の顔パーツはMEDICOS ONLINE SHOPで購入特典の「発射起動フェイスパーツ」を使用している。通常パーツ以上に歯を食いしばった鬼気迫る表情になっている。通常の表情は少し余裕を感じさせる、不敵な雰囲気があり、どちらも魅力的だ。
ここかえらはさらに細かい所を見ていく。注目したいのは"黒い剣士"と呼ばれるガッツの甲冑だ。胸、肩、腰回り、膝などは金属の板を重ねた甲冑になっている。特に間接部は可動を重視した設計で肩や腰回りなどは板を何枚も重ね蛇腹状になっていて、体の動きに合わせて動くようになっている。股間や腿などは厚い皮が使われている。甲冑の下には薄い皮を着込んでいるようで、防御力を追求しながらも、動きやすさも考えた甲冑なのがわかる。ブーツにも足の甲部分を鉄板が覆っている。
そして装備品だ。胸の所には何本ものナイフが鞘に収められ、右手で瞬時に抜き、投げることができるようになっている。腰には短いが刃が大きい短剣が収められている。絵の部分に布が巻き付けられ滑り止めになっているのがわかる。また胸のプレートは背中のプレートとで体を覆い、脇の革のベルトでつなぎ止められているのが確認できる。腰にはバッグがくくりつけられており、他にも武器や道具が収められているのが想像できる。
左側には大きな皮を鎖でぶら下げている装備も確認できる。これはドラゴンころしを背中に背負う時のベルトだ。原作者である三浦建太郎氏が、防御力と可動の自由度に注力した甲冑のデザインと素材の使い方、武器を使うための装備の仕方とアクション、さらに"黒い剣士"としての威圧感など様々なことを考えデザインを決めていったであろう事がフィギュアを見ることで確認できる。
マントも大いに注目したい。フィギュアのシルエットを決める大事な要素であり、縁がボロボロになっているところがガッツが進んでいる凄惨な戦いを想像できる。このマントでは縦に流れる様な処理で塗装を行っており、アニメでの描画を思わせ、雰囲気作りに大きく貢献している。
このマントの襟に隠されているようにチラリと見えるのが「烙印」だ。「ベルセルク」のファンにとっては重要なエピソードを持つこの"印"はフィギュアでももちろん再現されている。ガッツには全身に傷を負っているのだが、烙印はより鮮やかな赤が使われていて、今でも血を流し続けている様な印象的な彩色が行われている。
そしてファンならずとも目を吸い寄せられるのが「ドラゴンころし」だ。以降の様々な作品にも影響を与えた、それまでの"大剣"の常識を覆したガッツの剣はやはり立体物でこそその迫力を実感できる。そして時にはこの剣を片手で振るうガッツの筋力、それは「人ではない存在ではないか?」と疑問を抱かせるほどで、まさに「この剣ならばドラゴンをも殺せる」と納得させるデザインだ。実用一辺倒の"鉄塊"なところがいい。
この巨大なドラゴンころしに、フィギュアではべったりと血がついている。それもわざと血だまりのように塗膜を厚くした、粘性を感じさせる表現になっており、原型師の強いこだわりを感じさせる。塗装という意味では、使い込まれた甲冑の塗装がはげた感じや、厚い皮の質感、ガッツの全身に刻まれた傷跡など、それぞれの塗装のこだわりにも注目したい。
さらに「台座」だ。ガッツの今回の戦いは昔戦場となった深い森で繰り広げられている。そこには戦いで倒れた多くの死体が転がっており、それらに悪霊が取り憑き、烙印を持つガッツを求め襲いかかってくる。ガッツはドラゴンころしのみならず、全身を武器としておびただしい動く死体を粉砕していく。その世界観と物語を台座は描いている。
バラバラにされた骨、悪霊が宿ることで不気味に光る骸骨の目、兵士であったことを示す兜などの装備品、そして長い年月放置されたことがわかるボロボロの剣や槍……。台座だけで様々なエピソードが詰め込まれている。
今回撮影をしながら開発者の話を聞いたのだが、フィギュア「ガッツ 黒い剣士Ver.」で求めたのは"動"の表現。これまで「ベルセルク」のガッツをモチーフとしたフィギュアはいくつか発売されているが、本製品では激しい戦いを表現する"動"のイメージのフィギュアにしたかったとのこと。また価格やサイズ感のバランスも注目して欲しいという。コレクター商品として、飾って眺めて、色々なところをチェックして楽しい商品を目指したとのこと。
実際、ドラゴンころしを背中に回し、腕の大砲をぶっ放すガッツの姿。特典での歯を食いしばる鬼気迫る表情も、通常版の余裕を感じさせる表情も良いし、全身の甲冑のディテールや、パワーを感じさせる造型、マントが生むシルエットなど、「これこそがガッツだ」という迫力があって、見ていてとても楽しいフィギュアだと感じた。改めてガッツの、そして「ベルセルク」という作品の面白さを実感させてくれるアイテムだと思う。発売に期待したい。
(C)三浦建太郎(スタジオ我画)・白泉社/ベルセルク製作委員会