特別企画
うなれ俺のインパクトドレイク! 「BEYBLADE X」、「G3大会」参戦レポート
戦うことで見えてきた、強くなるための道筋
2025年2月19日 12:00
- 【バルサカップG3大会】
- 2月15日開催
- 主催:おぢいさんの店
- 会場:桶川市商工会館
「BEYBLADE X」の国際大会「アジアチャンピオンシップ2024」での選手達の姿、ぶつかり合うベイのカッコ良さは衝撃的だった。取材後そのまま「BEYBLADE X」を買ってしまったほどだ。あれから筆者はどっぷりはまり、日々「こうした方が強いのではないか?」とカスタマイズの研究を続けている。
しかしいくら机上の空論でカスタマイズしたところで、実際に試してみないことには自分のカスタマイズの正解が分からない。「試合に出たい!」という気持ちが日々大きくなっていたのだ。今回、2月15日、埼玉県桶川市のおもちゃ屋「おぢいさんの店」主催の「BEYBLADE X」公式大会「バルサカップG3大会(オープン)」を取材するという声がかかり、選手として参加してみた。
初めての実戦である。本稿では筆者がどんな戦略で挑み、結果がどうだったかをレポートしていきたい。この日はさらにユーザー主催の「S1イベント」も2つ開催された。こちらにももちろん参加した。ぜひ記事を読んで、皆さんもこの世界に足を踏み入れてほしい。
自分のイメージを追求し、作戦を練る
「BEYBLADE X」のカスタマイズは奥が深い。ブレード、ラチェット、ビットの3種類の組み合わせのみだが、種類が豊富にある上に、購入時のアイテムにはブレード1つ、ラチェット1つ、ビット1つのセットしか含まれない。そのため、ほしいブレードやビットがある場合は、それらが含まれるパックを購入してパーツを用意していく必要がある。
今回の筆者のコンセプトはズバリ「重量」だ。通常のコマの場合においても、重量は非常に重要な要素の1つとなっている。そこで全てのパーツの重量をざっくりと測定し、最も重いブレード、ラチェット、ビットの組み合わせを用いたベイを構築してみることにした。
「BEYBLADE X」を取り扱っているYouTuberや、Webサイトなどをチェックしておおよその重量を調査した上で、今でも購入可能な「BEYBLADE X」の製品を買い集めていく。重量については2024年12月に発売したばかりの「インパクトドレイク9-60LR」が重そう、とのことで購入。
続いてラチェットだ。ここは最も重いラチェットということで、先日購入したランダムブースターVol.5に収録されていた「ワイバーンゲイル 0-80C」に備える最新ラチェットの0-80を使用することにした。
ビットについてはラバーを採用した「ラバーアクセル(RA)」か、「ディスクボール(DB)」が重そうだったので、これらを入手してみたものの、どちらも安定性に欠けるという情報があったため、最終的には「シルバーウルフ 3-80FB」に備える「フリーボール(FB)」を採用する事にした。
と、ここまであれこれとベイを構築していて、ふと気になったのが、先日殿堂入りが発表された「ウィザードロッド」の存在だ。「ウィザードロッド」がワンベイルールにおいて使えなくなるという事はそれだけ利用者が多く、強いベイ、いわば「環境」ということ。何が強さの秘密かを調べるべく、DBビットの調達も兼ねて、1個購入してみることにした。
実際に調べてみてわかったのは、強さの秘密はほどよい重量と直径サイズの大きさ、安定して回る重量バランスというところが見えてきた。特に数値で分かりやすいのは直径で、筆者手持ちの中で比較するとトップレベルの直径サイズであることが分かった。
こうなってくると重量一辺倒で突き進んでいいのかが悩ましくなってくる。また、折角入手した「ウィザードロッド」をあえて使う選択肢も出てきた。一方で重量と直径に関して言えば、依然として前述の「インパクトドレイク」が最強なのは間違いない。ブレードに備えるラバーについてはメリットもデメリットもあるとのことで迷った結果、ここは初志貫徹、今回の大会は「インパクトドレイク」と心中することを決意し、「インパクトドレイク 0-80FB」というカスタマイズで大会に挑むことにした。
学ぶことも多かった初参戦
そして、いよいよ迎えた「バルサカップG3大会」。「おぢいさんの店」での大会参加ルールでは事前にお店に行き、申し込みを行なう必要がある。この方法をとったのは電話やネット予約にしてしまうと当日キャンセルが出やすくなるのと、事前に場所を知ってもらいたいからだという。大会参加券は商品割引券も兼ねている。来て登録してくれた人にメリットがあるようにしているのだ。この大会ではキャンセルが出た場合などを考え少数の当日枠もあるが、事前登録が確実だ。
ちなみに「G3大会」はレギュレーションによって参加資格の条件が異なってくる。「レギュラー」は6~12歳限定の大会なので、大人は参加できない。「オープン」大会なら6歳以上なら誰でも参加できる。他にも「チーム戦」などが行なわれる場合もあるようだ。G3大会の参加費は無料だが、後述するユーザー主催の「S1大会」については開催者によって費用が変化するので確認が必要だ。今回の場合は2つのS1大会どちらも50円の参加費だった。
筆者は前述の練りに練った「インパクトドレイク」で挑んだが、1回戦のお相手は「エアロペガサス」。攻撃的なベイのため、こちらをしとめるつもりでやる気マンマンなのが伝わってくる。一方でこちらのインパクトドレイクの戦略はとにかく安定性重視だ。コマの基本はとにかく長く回り続けること。そして重量が重い方がコマはより安定して回り続ける。たとえベイブレードであってもその点は同じはず。それに重量が重ければ多少のアタックなら耐えて生き残ってくれるはず。
そんな戦略で挑んだ第1セットだが、スタジアム内を縦横無尽に駆け回るエアロペガサスがその勢いでアタックを仕掛けてきて、いきなりエクストリームフィニッシュを決める!いきなり想定外!筆者のインパクトドレイクはあえなく撃沈し、いきなり3ポイントビハインドの大苦戦。
続く第2セットは空中接触で筆者のインパクトドレイクが分解してしまったので仕切り直し。再度のトライでは、スタジアム内を激しく動き回るエアロペガサスに削られ、弾き飛ばされ、最終的に回転が持続せずに、スピンフィニッシュ!結果、0-4で試合は終了。筆者は1回戦敗退となってしまった。
敗北を喫した筆者だが、そこから得た学びも大きい。まず、「インパクトドレイク」のように巨大な刃を備えるブレードはやはり攻撃向けなので、攻撃に特化しないと中途半端な挙動になってしまうということだ。動画で確認すると、接触しても全然相手が吹き飛ばずカチンカチンと軽く弾き合うのみで、決定的な攻撃には至っていなかった。
当初のコンセプトは重量重視だったため、重いブレードに重いラチェット、重いビットで構築すれば、どっしりと安定して動くと考えていたが、やはり重量だけでは成立しないのが「BEYBLADE X」ということが理解できた。特にスタジアムに備えるガイドを使ったエクストリームダッシュはちょっとの重量差などは物ともせずに弾き飛ばす勢いがある。重量も重要だが、安定性を考えたカスタマイズや攻撃に特化する勢いのカスタムも重要だと感じられた。
そして、これは感動したポイントだが、改めてボランティアの方々のジャッジの正確さには驚かされた。第2セットの空中接触は、動画を見ると地面に到達する前に接触しているのが分かるが、着地後にバーストした可能性も考えられるため、適当なジャッジでは遺恨が残る可能性もある。実際にあの時筆者は、バーストしたと思っていたが、仕切り直しになって助かったくらいに思っていたが、冷静に空中接触を見極める辺りは見事な判断だ。加えて、相手の方もそのジャッジに対して、特に何か意見することもなく、納得の表情を見せており、こうした信頼関係も「BEYBLADE X」の試合においては重要な要素の1つだと感じた。
ともあれ、こうして多くの学びは得たものの、筆者は1ポイントも獲得できずにあっさりと1回戦で敗退を喫してしまったのであった。
G3大会ということもあって会場はかなりの人数で埋め尽くされており、ホール外のロビーでは、フリーバトル用の対戦台には長蛇の列ができており、ここで勝ち抜きのバトルを繰り返し楽しめた。筆者はシュート練度の不足や、カスタムの効果を確認したかった事もあり、自分の試合以外では、フリーバトルに並んで色々なカスタムの効果を確認しつつ、自身のシュート練習も行なう形で練習できた。実際にフリーバトルでは勝利する場面もたまに見られたので、本番でもうまく噛み合えば1勝くらいはできるかもしれないと考えた。
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ユーザー主催の「S1イベント」にも参戦!
2月15日には「バルサカップG3大会(オープン)」以外にも2つのS1イベントが開催された。S1イベントとは、BEYBLADE Xのユーザーが開催できる公認イベントで、S1イベント受付可能なストアに申請することで開催できる。大会景品として、「BEYBLADE X」公式アプリで使えるペイポイントも貰えるなど、公認イベントとして扱われるのはユニークな仕掛けだ。今回はこれら2つのS1イベントにも参加してきたので、その時の模様も簡単に紹介したい。
最初のS1イベントは「S1 Cheese杯」で、こちらは事前にブレードの指定があり、軽量級のブレードしか利用できないというライト級限定のユニークなイベントだ。例外として「ライトニングエルドラゴ」のみ利用が可能となっている。こちらのイベントでは、重量制限の中でブレードをチョイスする必要があるので、軽量級の中で安定性の高いブレードを選ぶ必要がある。
ただ、「BEYBLADE X」初心者の筆者にはあまり選択肢はなく、今回は「ワイバーンゲイル 3-60UN」、「シノビシャドウ 5-60FB」、そして本日発売したばかりの「シェルタードレイク 1-60LR」というデッキを構築しての3on3に挑んできた。
ここは第1セット、「ワイバーンゲイル」は回転が持続せずスピンフィニッシュで1ポイント取られ、続く第2セットも「シノビシャドウ」が粘りきれずにポイントを連取され、第3セットは「シェルタードレイク」がまさかのオーバーフィニッシュを決められてしまい、0-4でまたしても初戦敗退。
今回はシュート時の回転力が明らかに不足しているような感触だった。また、動画で見直すとやたらと斜めに射出するようなシュートばかりしており、この辺りは普段シュートしていない事に起因する練習不足が感じられた。
もう1つのユーザーイベント「S1 Jip's杯」にも参加
大会の運営は全体的に非常にスムーズに行なわれていたが、流石に1日で3大会も開催するとなると、時間はかなり遅くなる。本日最後のS1イベントは「S1 Jip's杯」で、こちらは製品名に「UX」を冠するユニークラインのブレード限定の大会だ。ただし、ユニークラインのブレードは「インパクトドレイク」や「ウィザードロッド」、「シルバーウルフ」など、大会常連のブレードが多く含まれるため、カスタムは組みやすい。
今回の筆者は再び「インパクトドレイク」を最重量カスタムした「インパクトドレイク 0-80DB」、定番ブレード「ウィザードロッド 5-60FB」、そしてこちらも安定型ブレードでは定番の1つ「シルバーウルフ 3-60UN」という構成で挑んだが、結果はやはりスコアレスで連敗してしまい、筆者の初陣は全試合全敗、ノースコアという悲しい結果となった。
「インパクトドレイク」については、これまで最重量を意識してきたこともあり、区切りの意味も含めて、あえて最重量カスタムをチョイスした。そのため、安定性の面から避けてきた最重量ビットの「ディスクボール(DB)」をチョイスしたが、やはり「BEYBLADE X」は重量だけではない事が分かる結果となった。
「ウィザードロッド」や「シルバーウルフ」については、明らかに筆者のシュート練度の不足が感じられる。どちらも安定したシュートさえできたら、スコアに変化があった可能性もありそうだが、何はなくとも先ずはシュート練度の向上が最重要課題だと考えられる。
3大会が全て終了するころには、会場の人数もかなり少なくなり、ボランティアのメンバーと少数の参加者でのんびりした時間を過ごしてから会場を後にした。
以上、大会に参加した様子を簡単に紹介してきたが、先ずは3大会に参加させてくれたおもちゃ屋「おぢいさんの店」と、大会運営を盛り上げたボランティアのメンバーの皆さんに心から「ありがとう」を送らせてほしい。会場にいる人たちはボランティアのメンバーだけでなく、参加者の人たちもみんな笑顔で、楽しい空間となっており、とても居心地のよい空間が構築できていた印象だ。
個人的に驚いたのは、母親の参加も多く見られた点だ。勝手なイメージとして、子供が最初に盛り上がり、それを見ていた父親がハマるところまでは想像していたが、加えて母親も一緒に参加して対戦に挑んでいる姿を多く見ていると、家族共通の趣味として「BEYBLADE X」が浸透している事が分かり、非常に健全だと感じた。「BEYBLADE」のシリーズは最初の製品が発売してから25年以上が経過しているため、両親がちょうど「BEYBLADE」を遊んでいた世代と合致するため、子供への理解も深いし、自分たちも入り込みやすい土壌になっているのだろう。
「BEYBLADE X」は電池を使わずに遊べる対戦型ホビーだ。加えてシューターの取り回しは、力がなくても高速にベイを回すことができる仕組みになっている。この辺りが子供も大人も同じように楽しめる要因の1つと感じた。
最新の「BEYBLADE X」を使ってはいるが、この大会の会場に生まれた空間はどこか昭和のご近所付き合いのような雰囲気が感じられたのも印象的だ。まだ「BEYBLADE X」をあまり楽しめない子供がいても、みんな顔見知りなので、「BEYBLADE X」以外の遊びで一緒に会場を駆けまわって楽しんだり、子供が1人でぽつんとしていても、他の大人が声を掛けて面倒を見てあげる、といった場面も多く見られ、こうした空間なら、両親も子供たちも安心して楽しめるだろう。
そして何より本日は全敗を喫した筆者だが、このまま終わるつもりはない。先ずはシュート時の速度を測定できる「ベイバトルパス」とスタジアムの購入を決めたので、今後は日々のシュート練習を忘れずにこなしていき、更なる高みを目指していきたい。