ニュース

タカラトミーがベイブレードの国際大会「アジアチャンピオンシップ2024」を開催!

パーツ選択の読み合い、力を込めてシュート! 大人も本気な世界大会

【アジアチャンピオンシップ2024】

開催日:12月1日

会場:池袋・サンシャインシティ噴水広場

 タカラトミーは12月1日、同社の展開する現代版べーゴマ「ベイブレード」の25周年企画の1つとして、最新シリーズである「BEYBLADE X」を使用した国際大会「アジアチャンピオンシップ2024」を池袋・サンシャインシティ噴水広場にて開催した。

 カテゴリーは6歳以上12歳以下の年齢制限のある「レギュラークラス」と年齢制限のない「オープンクラス」の2つが用意され、レギュラークラスには予選も含めて総勢3,299名の選手(以下ブレーダー)が参加、オープンクラスには総勢4,449名のブレーダーが参加した。それぞれアジア10カ所の地域で実施した予選大会の優勝ブレーダー各10名が会場に集結し、アジアの頂点を決める本戦が行なわれた。

 「アジアチャンピオンシップ2024」を国際交流の場として大人が参加できる"初"の大会ということを大きくアピールしていた。これまでも大人も参加できる年齢制限のないオープンな大会は、「エクストリームカップ GP 2024」など行われている。また、6歳以上12歳以下の年齢制限のあるレギュラークラスの大会については、これまでにも国際大会も行なわれている。年齢制限のないオープンクラスの大会に海外の大人のブレーダーたちが参加できるというところが、今回の注目ポイントなのだ。

ベイブレード25周年を記念した国際大会「アジアチャンピオンシップ2024」メイン会場
文化会館展示ホールD-4では来場者も楽しめるブースも展開。多くの子供連れの家族が参加していた
「Tokyo meets KOMA」入口の様子。こちらの会場内にも多くの来場者が訪れた

 加えて今回のイベントは「アジアチャンピオンシップ2024」だけでなく、隣接する文化会館の展示ホールD-4にて、来場者が参加してベイブレードの対戦を行ない、最大3連勝した参加者には特別「バトルパスシート」がプレゼントされる「勝ち抜き連勝バトル」、参加者同士で自由に対戦ができる「フリーバトルコーナー」、関連商品を販売する「グッズ販売コーナー」や新商品などを展示する「展示コーナー」なども行なわれており、会場には非常に多くの親子に加えて、海外からの観戦客も多く見られた。

 さらに同文化会館5階の特設ホール501号では、同社が東京都や東京観光財団、朝日新聞社、ADKエモーションズと共同実施する「東京の魅力発信プロジェクト」のイベントとして「Tokyo meets KOMA」も開催され、オリジナルのベーゴマの体験イベントやアニメ「BEYBLADE X」の原画展示などが行なわれていた。

 本稿では、会場の雰囲気や大会の試合の模様、結果などについてレポートしていく。なお、本大会の模様や最新情報については、「BEYBLADE X」公式YouTubeチャンネル「ベイチューブ」にてライブ配信が行なわれた。アーカイブについて現在は削除されているが、後日公開予定とのことなので、各試合の詳しい模様などは動画が公開された際に確認してみてほしい。

【10月27日 「エクストリームカップ GP 2024」決勝トーナメントLIVE配信】

奥が深いベイブレードの大会、見た目がド派手な「エクストリームフィニッシュ」が見所

 最初に大会のレギュレーションを説明したい。「BEYBLADE X」を用いた大会レギュレーションは3個のベイブレードを使用した2人バトル「3on3バトル」で行なわれる。ベイブレードを回すスタジアムには「エクストリームスタジアム」を使用し、4ポイント先取制のトーナメント方式で進行し、最終的に決勝戦で勝利したブレーダーが優勝となる。

 3個のベイブレードについては、全て「BEYBLADE X」シリーズの物が使用され、パーツ組み換えなどのカスタマイズは可能だが、同一パーツは利用不可。これらは事前に運営によるベイチェックが行なわれ、使用不可と判断されたベイブレードやパーツがある場合には、交換をお願いする場合があり、交換可能なベイブレードやパーツがない場合には、運営より貸し出されたベイブレードのみで試合を実施する必要がある。

##YouTube

【タカラトミー「BEYBLADE X」(ベイブレードエックス)、Xダッシュによる激しいぶつかり合い!】
こちらは発表会時の動画。Xダッシュにより戦いが加速する

 ポイントについては、相手より長く回り続ける、いわゆる持久勝ちの「スピンフィニッシュ」が1ポイント、相手に激突させてパーツが分解する「破壊(バースト)」が発生した場合には「バーストフィニッシュ」となり、2ポイント、スタジアム下部両端にある「オーバーゾーン」に相手を叩きこむと「オーバーフィニッシュ」で、こちらも2ポイント、スタジアム下部中央の「エクストリームゾーン」に相手を弾き飛ばせば「エクストリームフィニッシュ」として3ポイントが獲得できる。

筆者もこの機会に、「BEYBLADE X」の製品を2つほど買ってみた。一つはベーシックな製品ライン「BX」から「BX-15 レオンクロー5-60P」で、もう1つは固有の性能に特化したユニークな製品ライン「UX」から「UX-06 レオンクレスト7-60GN」
実際の試合前には審判がベイブレードを提示して、どんな構成の製品か提示がある。並び順はブレード名、ラチェット、ビットの順番となっており、前述の製品ならブレードが「レオンクロー」でラチェットは「5-60」、ビットは「P(ポイント)」となる。さらに細かい話だと「5-60」はラチェット部に仕込まれた突起(刃)の数と高さとなっており、「5-60」なら5枚刃装備の高さ60といった具合で、こうした情報がパッケージ背面などにも書かれている
それぞれ分解して自由にカスタマイズできる。筆者の手元には2種類しかないため、その組み合わせは限られるが、より多くのベイブレードを買う事で手に入るブレードやラチェット、ビットなどを考えるとかなり豊富なカスタマイズが実現できそうだ

 3個のベイブレードを使用して3回対戦を行ない、両者とも4ポイントに到達しない場合には、3個のベイブレードを出す順番を変更して試合を続行する。なお、イレギュラーな事象が発生した際には同じベイブレードでやり直しとなるため、1回の対戦でどちらかに最低1ポイントが入る仕組みとなっていて、最長でも7回の対戦で決着がつくようになっている。

 ベイブレード対戦の見所は、もちろんド派手な「エクストリームフィニッシュ」だろう。実際に本大会でも多く見られたが、ポイントで劣勢の状態であっても「エクストリームフィニッシュ」1発で大量3ポイントが獲得できるため、大逆転で一気に試合を決めることができる。

 ブレーダーたちが選出したベイブレードや組み合わせのカスタムパーツなどに注目するのも面白い。ベイブレードには製品ごとにタイプがあり、攻撃特化のアタックタイプ、相手の攻撃を受け流したり耐えられる仕組みのディフェンスタイプ、長く回る事に特化したスタミナタイプ、これら複数の特性を併せ持つバランスタイプと4種類のタイプが設定されている。

 加えて「BEYBLADE X」では主要パーツの「ブレード」以外にベースとなる「ラチェット」と軸先パーツ「ビット」の3パーツで構成されており、これらをカスタマイズすることで性能を変えることができる。また、こうした情報は試合開始前に審判が情報を提示するため、後から製品情報をチェックする事で、どのような構成のベイブレードか分かるようになっている。

 これらベイブレードを出す並び順も重要だ。前述の通りの相性があるため、相手の並び順を予測して、相手が苦手なベイブレードを出すような構成にしたりといった人読みも発生する場合もあるし、どんな相手にも対応できる万能タイプの編成を考えるなど、この辺りはブレーダーごとに様々なため、上位に勝ち残るためには豊富なベイブレードに関する知識が重要になる。

 そしてどんなにガッツリとベイブレードをカスタムしても、最後に放つシュートの技術も重要だ。ベイブレードのシュートは従来のベーゴマと異なり、ノコギリのようなギザギザのあるワインダーや紐(ストリング)を引っ張って回転させるランチャーを使う事で、素人でも数秒で回転させられるなど、幅広い層が楽しめるようになっているのが魅力だが、よりパワフルに、より安定したシュートを大舞台での緊張の中で続けるのにはかなりのメンタルが要求される。

 実際に本大会でも何度かシュートミスは発生している。同じバトル内でシュートミスや後出しなどのミスを2度連続するとポイントを失ってしまうというルールがあるのだが、本大会に勝ち残ったブレーダーたちはこうした連続ミスは1度も発生させておらず、この辺りは流石のトップブレーダーと感じた。こういうシュートのアクションも選手ごとに異なるので、この辺りも見所の1つと言える。

ベイブレードではパーツの組み合わせ、シュートの方向やタイミングで様々な有利不利の相性が発生。相手の戦略を予測して、どうシュートするかも駆け引きとなる

大応援に支えられ、東京代表のSOUSUKEが見事チャンピオンに輝く!

 本大会の開催に際して、タカラトミー 代表取締役社長(COO)の富山彰夫氏から「アジア大会でブレーダーのお互いを支え合い、競い合う姿を見られるのは大変嬉しいです。一人一人を応援したい」と開会宣言が行なわれた。背面ディスプレイなどには英訳されたメッセージも提示されており、多くの海外からの観戦客向けの対応も充実している。

タカラトミー 代表取締役社長(COO)の富山彰夫氏より開会宣言が行なわれた。ディスプレイにはメッセージが英訳されて表示されており、他国からの観戦客たちへの配慮も見られた

 最初に行われたのは6歳以上12歳以下の年齢制限のあるレギュラークラスだ。出場ブレーダーはクアラルンプール代表ALVIS、バンコク代表ZENSHI、ソウル代表MIN SEO JO、シンガポール代表JAVIER、マニラ代表EMMANUEL MARCELINO、香港代表JARVIS LAW、台北代表ERIC、東京代表SOUSUKE、ジャカルタ代表KHALEED、広州代表SHAO WEI YANGの10名(トーナメント順)。いずれもブレーダーネームのため、本名などとは異なる。

 大会は1~2回戦までを行なってから、合間に観戦している会場の人たちが今回選出されたファイナリストブレーダーたちに挑戦できる「ファイナリストに挑戦コーナー」を挟んで、準決勝、3位決定戦、決勝戦を行なう流れ。

 1回戦はバンコク代表ZENSHIとソウル代表MIN SEO JOのバトルを4-0の完封でMIN SEO JOが制して2回戦進出、東京代表SOUSUKEとジャカルタ代表KHALEEDのバトルは4-3の接戦をSOUSUKEが勝利して2回戦にコマを進めた。

 続く2回戦はシンガポール代表JAVIERとマニラ代表EMMANUEL MARCELINOの一戦で、ここは4-0でEMMANUEL MARCELINOが勝利して準決勝進出となった。次の試合は香港代表JARVIS LAWと台北代表ERICの一戦だが、こちらは4-1で香港代表JARVIS LAWが決めて準決勝進出、

 その次はクアラルンプール代表ALVISと先ほど勝利したソウル代表MIN SEO JOの一戦が行なわれたが、ここもギリギリの接戦を4-3でMIN SEO JOが制してベスト4進出を決めた。また、東京代表SOUSUKEと広州代表SHAO WEI YANGの一戦はエクストリームフィニッシュが決まってSOUSKEが4-0で勝利し、見事に準決勝進出を果たした。

 どのブレーダーも多くの応援の声が飛び交っていたが、東京代表SOUSUKEの応援は圧倒的に多くの歓声が飛び交っており、ホームの理を感じた。

レギュラークラスのトーナメント表。10人の変則トーナメントとなるため、いきなり2回戦から参加するブレーダーが両端3人ずつという配置となっている
レギュラークラスに参加するブレーダーたち。左端はMCを務めるブレーダーバン氏
2回戦の香港代表JARVIS LAWと台北代表ERICの一戦より。試合前には握手して互いの健闘を誓う
2回戦のクアラルンプール代表ALVISとソウル代表MIN SEO JOの一戦より。MIN SEO JOはポイントを取ったり、勝利した時のパフォーマンスがすばらしく、会場を盛り上げていた
東京代表のSOUSUKEも1回戦、2回戦と危ない場面もありながら、見事なシュートさばきで順調に勝ち上がってきた
会場最前列に来ていたSOUSUKE応援団のみなさん。他にも多くのファンたちがSOUSUKEの活躍に一喜一憂の大歓声を展開していた
2回戦が終了したところで、観戦している会場の人たちがファイナリストのブレーダーたちに挑戦できる「ファイナリストに挑戦コーナー」が開催され盛り上がりを見せていた。ここではファイナリストも挑戦者も運営が用意したベイブレードの中からランダムで選出された物を使って対決するため、挑戦者が勝利する場面も多々見られた

 準決勝1戦目はソウル代表MIN SEO JOとマニラ代表EMMANUEL MARCELINOとの一戦。バトル1は粘りのスピンフィニッシュでMIN SEO JOが先制。バトル2はEMMANUEL MARCELINOが取り返す一進一退の攻防を展開。続くバトル3、4とEMMANUEL MARCELINOがスピンフィニッシュを決めて、3-1と点差が開いていく展開に。ところが次のバトル5ではMIN SEO JOがオーバーフィニッシュを決めて一気に2ポイントを獲得してスコアは3-3のフルセット!次のバトルで勝利したブレーダーが勝利するという緊迫した展開に持ち込むも、最後は耐えきったEMMANUEL MARCELINOがスピンフィニッシュを決めて4-3で勝利!決勝進出を決める形となった。

 ソウル代表のMIN SEO JOは試合前やポイントを取った時などのパフォーマンスが賑やかなので、見ていてとても微笑ましい気分にさせてくれるのだが、負けた時にも相手を讃える拍手を送っており、かなり好感の持てるブレーダーだった。

準決勝1戦目、ソウル代表MIN SEO JOとマニラ代表EMMANUEL MARCELINOとの一戦はEMMANUEL MARCELINOが勝利して決勝進出を決めた。負けたはずのMIN SEO JOが拍手して相手を祝福している様子がグッとくる

 続く準決勝2戦目は香港代表JARVIS LAWと東京代表SOUSUKEの一戦。バトル1、2はスピンフィニッシュで堅実にSOUSUKEが先制。続くバトル3ではオーバーフィニッシュで一気に2ポイント、危なげなく4-0で勝利を決めたSOUSUKEが決勝進出を果たした。SOUSUKEはステージ上ではパフォーマンスを見せるが、試合前後は比較的おとなしめで落ち着いた印象を見せるブレーダーだ。

 ここで先ほどの準決勝で惜しくも敗れたソウル代表MIN SEO JOと香港代表JARVIS LAWによる3位決定戦が行われた。バトル1、2とスピンフィニッシュで決めたMIN SEO JOだが次のバトル3ではJARVIS LAWが1ポイントを取り返す展開に。ところが次のバトル4でMIN SEO JOがオーバーフィニッシュを決めることで一気に2ポイント獲得して勝利!3位入賞を果たした。

準決勝2戦目、香港代表JARVIS LAWと東京代表SOUSUKEの一戦はSOUSUKEが4-0ストレートで勝利
3位決定戦、ソウル代表MIN SEO JOと香港代表JARVIS LAWの一戦で見事に勝利したMIN SEO JOは思わず飛び回って大はしゃぎ

 いよいよやってきたレギュラークラスの決勝戦、マニラ代表EMMANUEL MARCELINOと東京代表SOSUKEの一戦だ。ここは全てのバトルで堅実なスピンフィニッシュを継続し続けたSOUSUKEが相手のポイントを一切許さず、完封の4-0で勝利!アジアチャンピオンシップ2024、レギュラークラスの王座に東京代表のSOUSUKEが輝いた。

いよいよ決勝戦はマニラ代表EMMANUEL MARCELINOと東京代表SOSUKEの一戦。シュートに気合いが入るSOSUKE
勝利を決めてガッツポーズを見せるSOSUKE、お前がナンバー1だ!
最後はベイブレードお馴染みの「3・2・1・GO SHOOT!」の掛け声で締めくくった

 試合終了後のインタビューでは、上位3名の話を聞くことができた。先ずは東京代表のSOUSUKE(12歳)だが、率直な感想を求められると「2日くらい前からずっと緊張ていましたが、たくさんの応援の声が力になって優勝することができて、すごく嬉しいです」としており、会場に来てくれたファンたちに感謝の言葉を綴った。

 筆者は今回、3on3のカスタムについて意識している事について聞いてみると、SOUSUKEは「どんな相手が来ても対応できるような万能タイプのカスタムを多く用意して挑みました」とコメントしてくれた。

 惜しくも2位となったマニラ代表EMMANUEL MARCELINO(12歳)は感想として「GOODでHAPPYな大会でした。SOUSUKEとの決勝戦がいちばん印象に残った試合でした」とコメント。3on3のカスタムについて意識している事について聞いてみると、EMMANUEL MARCELINOは「あまり細かい事は考えずフィーリングでカスタムしています」とコメント。かなり自由にベイブレードを遊んでいる印象を受けた。

 準決勝で敗れながらも3位決定戦で勝利して3位入賞を果たしたソウル代表MIN SEO JO(9歳)は感想として「すごく緊張しましたが、いろいろな地域のブレーダーたちと仲良くなれたことがうれしかった」とコメント。3on3のカスタムについては「とにかく相手を(ゾーンに弾き飛ばして)落とし込むのが一番無敵なので、それを意識して組んでいます」と攻撃的なカスタムを行なっている事を教えてくれた。

 またステージでのパフォーマンスが魅力的だったため、その点について触れると「あのアピールには意味があって、国の代表になった時に、応援してくれた人たちにアピールして一緒に喜んでほしいと思って、ステージ上では派手にぱフォーマスしています」と語っており、かなり真面目な理由で気持ちのいいパフォーマンスを行なっている事を教えてくれた。

優勝トロフィーを掲げるSOUSUKE
上位3位に入賞した3人で記念撮影

東京代表TATSUKI、まさかの初戦敗退!優勝は逆転のエクストリームフィニッシュを決めたシンガポールのZANE!

 休憩を挟んでいよいよオープンクラスの開幕だ。出場ブレーダーはバンコク代表POR、シンガポール代表ZANE、広州代表SHUN DA GU、マニラ代表MARK JULES BARRANTES、香港代表JIMMY LAM、東京代表TATSUKI、台北代表JERRY、ソウル代表MI HEE YOUN、ジャカルタ代表ABE、クアラルンプール代表CRIMSONの10名(トーナメント順)。

オープンクラスのトーナメント表も配置はレギュラークラスと同じ。東京代表TATSUKIはシードのため、2回戦からの参戦となる
オープンクラスに出場するファイナリストたち。中央にいるのはタカラトミーの富山彰夫社長で、奥の左端にいるのも先ほどと同じでMCを務めるブレーダーバン氏

 1回戦はシンガポール代表ZANEと広州代表SHUN DA GUの一戦だが、ここはZANEが4-2で勝利し、2回戦進出を決める。次はソウル代表MI HEE YOUNとジャカルタ代表ABEの一戦、序盤1-1で慎重な展開かと思いきや、MI HEE YOUNがバトル3でエクストリームフィニッシュ決めて一気に勝負をつけ、4-1で勝利し、2回戦進出を決める。

 続く2回戦はマニラ代表MARK JULES BARRANTESと香港代表JIMMY LAMの対決で、ここは4-2でMARK JULES BARRANTESが制して準決勝進出を果たした。

 2回戦の次の試合は東京代表TATSUKIと台北代表JERRYの一戦。TATSUKIもSOUSUKE同様、国内大会ではファイナリスト常連の凄腕ブレーダーなので上位入賞が期待される。

 バトル1はJERRYがスピンフィニッシュで先制するもバトル2ではTATSUKIがエクストリームフィニッシュで一気に3ポイントゲット!一気に試合を決めるかと思われたところで今度はJERRYがまさかのエクストリームフィニッシュ返しで一気に試合を決する!結果はJERRYが4-3でTATSUKIを下して準決勝進出を決めた。TATSUKIはまさかの初戦(厳密には2回戦だが、シードのためこれが初戦)敗退となってしまった。

台北代表JERRYと東京代表TATSUKIの一戦。エクストリームフィニッシュを決めて会場に拳を突き出してアピールするTATSUKI
まさかの初戦敗退に呆然としながら終了後の挨拶をするTATSUKI
1回戦ソウル代表MI HEE YOUNとジャカルタ代表ABEの一戦より。大人であってもシュート時のアクションはかなり激しく、パワーもかなり乗るようだ

 続いては先ほど1回戦を勝利したシンガポール代表ZANEとバンコク代表PORによる2回戦だが、ここはZANEが4-0ストレートで一気に試合を決めて準決勝進出を果たす流れとなった。次の試合はクアラルンプール代表CRIMSONと先ほど1回戦で勝利したソウル代表MI HEE YOUNの対決で、ここは4-1でMI HEE YOUNが勝利して準決勝にコマを進めた。

2回戦シンガポール代表ZANEとバンコク代表PORの一戦より。開始前の握手は大人も子供も関係なく行なわれる
2回戦終了後は、オープンクラスのファイナリストたちに会場の挑戦者たちが挑む「ファイナリストに挑戦コーナー」が行なわれ、海外の観客たちも参加して盛り上がりを見せていた

 インターバルを挟み、いよいよ準決勝のスタート。第1試合はマニラ代表MARK JULES BARRANTESとシンガポール代表ZANEの一戦。バトル1、2と連勝で3ポイントを稼いだZANEだが、バトル3でMARK JULES BARRANTESがエクストリームフィニッシュを決めて一気に追いつく大接戦の展開を見せる。お互い後がない状態で迎えたバトル4、ベイブレードの再選択を経て迎えたバトル4はZANEがオーバーフィニッシュで決めてオーバーキルの4-3で勝利!決勝にコマを進める展開となった。

 準決勝第2試合は台北代表JERRYとソウル代表MI HEE YOUNの一戦。バトル1~3までスピンフィニッシュで手堅くポイントを稼ぐMI HEE YOUN。バトル4ではJERRYが1ポイントを取り返すが、次のバトル5でオーバーフィニッシュで勝負を決めたMI HEE YOUNが決勝進出を決めた。

 3位決定戦はマニラ代表MARK JULES BARRANTESと台北代表JERRYの一戦。バトル1でいきなりバーストフィニッシュを決めてポイントを稼ぐMARK JULES BARRANTESだったが、バトル2は猛攻を耐えきったJERRYがスピンフィニッシュで1ポイントを取り返す。バトル3はここでMARK JULES BARRANTESがスピンフィニッシュを決めて3ポイントとするが、次のバトル4は接戦の中でエクストリームフィニッシュを見事に決めたJERRYが逆転勝利!3位決定戦を勝利して入賞を決めた。この大逆転こそが「BEYBLADE X」の醍醐味だ。

 いよいよ迎えたアジアの頂点を決める決勝戦は、シンガポール代表ZANEとソウル代表MI HEE YOUNによる一戦となった。バトル1はZANEがオーバーフィニッシュで先制の2ポイント。バトル2はMI HEE YOUNも負けじとオーバーフィニッシュで同点に持ち込む。続くバトル3はMI HEE YOUNがスピンフィニッシュで1ポイント加算し、優勝に王手を掛ける。

 ここで3つのベイブレードが使われたので、次のバトル4に向けてのベイブレード選択。続くバトル4ではZANEが大逆転のバーストフィニッシュを決めて一気に2ポイント加算!そのまま4-3となりゲーム終了。アジアチャンピオンシップ初代王者はシンガポール代表のZANEとなった。

準決勝第1試合、マニラ代表MARK JULES BARRANTESとシンガポール代表ZANEの一戦より。ZANEはポイントゲット時や勝利時などもあまり派手なパフォーマンスを行なわず終始クールなブレーダー
準決勝第2試合、台北代表JERRYとソウル代表MI HEE YOUNの一戦は勝利したMI HEE YOUNとJERRYが同じポーズで会場に挨拶を決めていたのが面白かった
3位決定戦、台北代表JERRYとマニラ代表MARK JULES BARRANTESの一戦にて、劣勢に追い込まれていたJERRYがエクストリームフィニッシュを決めて逆転勝利した瞬間!確かにこれは上がる展開!
決勝戦で見事にバーストフィニッシュで優勝を決めた直後のZANEは、何かに祈りを捧げるように胸に手を当てて喜びを表現していた

 試合終了後に行われたインタビューも3人のコメントが貰えた。優勝したシンガポール代表のZANE(30歳)は率直な感想として決勝戦で途中追い込まれてしまいましたが、自分の経験と知識からこれで終わるはずはないと思った。日本に来られたこと、優勝できたことについては、助けてくれたすべての関係者に感謝したい」と語った。

 また、ZANEには個別に3on3のカスタムについてどのような意図で構築しているのか、人読みなどの意識はあったかについて尋ねると「新しいベイブレードを買ってきたら色々なカスタムをチャレンジした様子をYouTubeで配信しています。配信コメントから色々とフィードバックを貰う事で、よりいいカスタム構築を考えています」と普段から配信なども行なっているとコメント。また人読みについても「それぞれの対戦相手に合わせて、違ったカスタムを考えて対応しています」としており、かなり戦略的にベイブレードのカスタムを構築したり、順番の戦略を練っている点について語ってくれた。

優勝トロフィーを片手にガッツポーズを決めるZANE
アジアチャンピオンシップ入賞者3人で記念撮影

 惜しくも決勝で敗れて2位となったソウル代表のMI HEE YOUN(42歳)は、「対戦相手のZANEに対して悔しい! 今度こそ! といった気持ちがあるか」と聞かれると「十分に満足した試合だったので悔しさはありません。優勝したZANEにおめでとうと言いたい」と非常に紳士的なコメントを返した。

 3位決定戦で勝利した台北代表のJERRY(14歳)は「あまりに興奮して何と言っていいかわからない!サポートしてくれた友人やブレーダーたちに感謝したい!」と感謝の意を示した。

 配信ではベイブレード最新情報などが流れ、イベント自体も終了となった。

大人もハマる面白さ

 以上、「アジアチャンピオンシップ2024」の模様を試合中心で簡単にレポートした。全体の印象としては、子供連れの両親だけでなく、大人だけで来場している人や、海外からの来場者などが多く見受けられ、会場は人で埋め尽くされるなど大盛況だった印象だ。

 今回自分でも「トイザらス」にてベイブレードを購入して分解したり組み立てたりしてみたが、組み立てて手元で転がしているだけでも楽しくなってくる。特に分解して別のパーツを組み込んだり、ビットを差し替えるだけでも十分にテンションが上がるし、パーツ交換を行なったら、それをスタジアムなり、自由に回せる場所に持ち出して人と戦いたくなる衝動に駆られるギミックとなっている。

 今回ファイナリストたちのベイブレードのカスタム構成を調べたり、トップの人たちと話をする機会が得られたが、いずれもベイブレードをそれぞれの想いで楽しんでいる様子が感じられ、好きが昂じて実力が上がり、こうして大会トップの戦いに身を投じているといった印象だ。

 今年で25周年を迎えたベイブレードだが、今後も様々なイベントや大会などのスケジュールが目白押しのようだ。機会があれば是非子供たちと一緒にベイブレードに触れたり、大人同士で集まってベイブレードを回してみるのも面白い体験になりそうだ。