特別企画
「MODEROID ブラックサレナ」を全塗装!「機動戦艦ナデシコ」より数多の戦場を駆けた機体ダメージを表現
塩マスクでウェザリングも兼ねた半光沢仕上げに
2025年3月25日 00:00
- 【MODEROID ブラックサレナ】
- 発売元:グッドスマイルカンパニー
- 価格:9,800円
- 発売日:2025年1月
- ジャンル:プラモデル
- サイズ:全高約190mm
グッドスマイルカンパニーのプラモデル「MODEROID」シリーズはユーザーのマニアック心を揺さぶるラインナップが展開されています。今回の記事では2025年1月に発売されたプラモデル「MODEROID ブラックサレナ」を塩マスクで仕上げた全塗装作例を紹介します。
グッドスマイルカンパニーが展開するプラモデルシリーズ「MODEROID」
グッドスマイルカンパニーの展開するプラモデルシリーズ、「MODEROID」はこれまでに様々なアニメに登場するロボットやSF映画のキャラクターを再現したプラモデルを発売しています。そのラインナップはこれまでにキット化に恵まれていなかったアイテムを数多く発売しており、筆者も注目しているアイテムが数多く発売されています。本記事にて紹介する「ブラックサレナ」の関連アイテムとしては2023年5月に発売された「MODEROID エステバリス陸戦フレーム」、「MODEROID エステバリス空戦フレーム」の他、2025年4月には「MODEROID エステバリス0G戦フレーム」の発売が予定されています。
テンカワ・アキトが操縦するエステバリスのカスタム機
「ブラックサレナ」は1998年に公開された映画「機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-」にて主人公テンカワ・アキトが操縦する機動兵器です。劇中では謎の機体として登場しますが、その正体はテンカワ・アキト用エステバリスに追加装甲やスラスターを搭載した機体です。その外観は元となったエステバリスとは大きく異なる形となっています。劇中最後のブラックサレナの装甲がパージされるシーンでは、エステバリスのアイに付着したオイルが涙に見える演出が印象的でした。
ブラックサレナは幾度もの戦闘と改修を経てきた機体ということで、今回の作例では塩を使用したマスキング手法「塩マスク」を用いて機体表面の劣化を表現。半光沢仕上げの全塗装で歴戦を経たブラックサレナを作り上げます。塗装前にはキット各部の改造ポイントも合わせて紹介します。
一部パーツが塗装済みのパーツ構成
早速キットを制作します。本記事では制作時に筆者が注目した点をピックアップして紹介していきます。本キットのパーツ構成においてブラックサレナの外装パーツは光沢のある仕上がりとなっています。
また、一部パーツは塗装済みパーツとなっており組み立てるだけで色分けされた仕上がりとなります。塗装済みパーツはブラックサレナ肩部および頭部のエンブレム、脚部モールド、そしてフェイスパーツとなっています。
なお、本キットの材質はPS樹脂とABS樹脂の2種類にて成型されており、関節部分とブラックサレナ装甲はABS樹脂にて成型されています。
組み立てるだけで色分けされたブラックサレナを楽しむことができる
本キットの組み立てはスナップフィットを採用した組み立てとなっています。各部関節にはABS樹脂が使用され、はめ合いも硬めになっていることもあり、がっしりとした印象を受けました。また、合わせ目など各部にアンダーゲートが採用されているため、組み立てにはニッパー以外にデザインナイフなどがあればより組み立てやすくなります。
「MODEROID ブラックサレナ」を塩マスクで全塗装!
ここからは一度組み立てたブラックサレナを分解し、各部を加工して塗装に入っていきます。まずは今作例の主な改造ポイントをピックアップして紹介します。
後ハメ加工によって塗装効率化をアップする
本キットの一部にはパーツの挟み込みを行なう箇所が複数個所存在するため、後ハメ加工を行ないます。一例として、エステバリスの頭部パーツは内部ピンを一部除去することで合わせ目処理後に接着できる構造としました。
また、本キット合わせ目の一部はABS樹脂を使用したパーツとなっているため、使用する接着剤はABS用接着剤を使用します。
不要なダボを削り落とすことでよりシャープな印象に
ブラックサレナの肩部アーマー裏面等一部の箇所にはピンの接続部があるため、削り落としてシャープな印象に加工します。ピンを削り落とすと接合部は固定できなくなりますが、接着剤を使用して固定させます。
尾部接続をボールジョイントに変更し可動域アップ
ブラックサレナの尾部は各部が軸接続となっているため、可動域が制限されています。そこで今作例ではホビーベースの「関節技 ボールジョイントミニ G」を使用して接続をボールジョイントに変更します。これにより尾部を横方向に可動させることが可能となりました。
エッジ部分にヤスリを当てよりシャープに
プラモデルのパーツは成型の都合によりエッジが尖っておらず、面が入っているものがあります。本作例では面の部分にヤスリ掛けを行ない、エッジをよりシャープに仕上げます。
足裏にジャンクパーツを使用したディテールを追加
本機の足裏には設定上スラスターと思われる機能があるように見えますが、本キットには足裏のモールドがオミットされているため、自宅にあるジャンクパーツでそれっぽくディテールアップをします。
その他、全パーツにスジ彫りの彫り直しと、表面処理を行ないパーツの加工は完了とします。ここからは塗装方法について紹介していきます。
調色を行ない、エステバリスをイメージしたピンク色に仕上げる
ここからはパーツの塗装方法を紹介します。エステバリスのピンク色は市販の塗料ではイメージ通りの塗料は発売されていませんでしたので調色により塗料を準備します。エステバリスのピンクはGSIクレオスの「Mr.カラー 蛍光ピンク」をベースに「ガンダムカラー MSシャアピンク」、「Mr.カラー レッド」、ガイアノーツの「Ex-ホワイト」、「純色マゼンタ」を使用して色味を調整して制作しました。
また、ピンクの塗装前には下地にガイアノーツの「桜ミク ヘアピンク」を塗布することで発色を良くします。
塩マスクを使用して経年劣化を表現したブラックサレナの外装を仕上げる
ブラックサレナの外装パーツは塩マスクを使用した経年劣化を表現していきます。最初に下地色としてGSIクレオスの「Mr.カラー グレーFS36320」とガイアノーツの「Ex-ブラック」を調色した塗料を下地色として塗布します。
下地色を塗布した後に塩を使用してマスキングを行ないます。本作例では自宅に余っていた岩塩を使用してマスキングを行ないました。岩塩はそのままでは粒子が大きすぎるため、細かく砕いてマスキングに使用します。
マスキング用の塩が準備できたらパーツにエナメルシンナーを塗り、塩を振りかけて定着していきます。仕上げ色の塗装はエナメルシンナーが乾燥した後に塗装を行ないます。
ドライブラシとスミ入れにてパーツのメリハリを持たせる
仕上げ色が塗装完了したパーツにはエッジやモールドにメリハリを持たせるため、スミ入れとドライブラシを行ないます。スミ入れにはタミヤの「スミ入れ塗料(ブラック)」と「スミ入れ塗料(ダークグレイ)」を使用し、ドライブラシにはタミヤの「ウェザリングマスター」を使用しました。
トップコートを半光沢にすることで使用感を再現
最終仕上げのトップコートは半光沢のトップコートを使用します。ブラックサレナは光沢仕上げのイメージがある機体ですが、ブラックサレナ自体は改修を繰り返しながら戦闘を続けている設定のため、その装甲には劣化があるはず。機体の外装は当初、光沢仕上げだったとしても経年劣化と共に光沢は失われていると仮定して、光沢を落として仕上げることとしました。半光沢の仕上がりはガイアノーツの「Ex-セミグロスクリアープレミアム」を使用して再現しました。
これにてパーツの塗装は完了です。パーツを組み立てて完成したブラックサレナを楽しんでいきましょう。
塩マスクで経年劣化を再現したブラックサレナ
最初にエステバリスとブラックサレナを前後側面から見ていきます。表面仕上げを半光沢としたことで印象が大きく変わります。
ブラックサレナ
エステバリスは各部関節が柔軟に可動するため、様々なポーズを楽しむことが可能です。
本機の固定武装はディストーションパンチが両手で再現可能です。ディストーションパンチの展開は専用パーツを使用することで展開状態を再現します。
ブラックサレナは表面を半光沢に仕上げることで使用感を表現しました。また、塩マスクを使用して色味を変更することで退色を表現しています。
今回の作例にて改造した尾部や脚部スラスターはポージングを行なった際に真価を発揮します。
今回作成した「MODEROID ブラックサレナ」は素組状態でも十分に楽しむことが可能なキットでしたが、塗装を行なうことでまた違った印象を持たせることが可能なキットでした。また、ダミーフレームの採用により、劇中後半以前の配色を再現できるだけでなく、エステバリスと並べて展示することも可能です。
また、材質がABS樹脂であるため塗装時に困難だと思われがちですが、塗料を薄めすぎず、パーツにテンションがかからないように塗装すれば簡単に塗装できました。
今回の作例を作るまで、ブラックサレナの外装は光沢仕上げのイメージを持っていましたが半光沢の仕上がりもありだと感じることができ、模型表現の幅が広がったように感じます。今回使用した塩マスクという技法は飛行機模型で使用されることが多いテクニックですが、このようにキャラクターモデルのダメージ表現にも活用することができます。
今回使用した塗料一覧
- サーフェイサー:ガイアノーツ サーフェイサーエヴォ
- 下塗(ピンク):ガイアノーツ 桜ミク ヘアピンク
- 上塗(ピンク):クレオス Mr.カラー 蛍光ピンク + ガンダムカラー MSシャアピンク + Mr.カラー レッド + ガイアノーツ Ex-ホワイト + 純色マゼンタ
- 下塗(ブラック):ガイアノーツ Ex-ブラック + クレオス Mr.カラー グレーFS36320
- 上塗(ブラック):ガイアノーツ Ex-ブラック
- 上塗(ダークグレー):クレオス Mr.カラー ミッドナイトブルー
- 上塗(バイオレット):ガイアノーツ ダグラムカラー グレーバイオレット
- 上塗(ホワイト):ガイアノーツ ボトムズカラー ホワイトグレー
- 上塗(レッド): クレオス Mr.カラー あずき色
- 部分塗装:クレオス Mr.カラーGX キアライエロー
- 部分塗装:クレオス Mr.カラーGX GXダークメタルブルー
- 部分塗装:クレオス Mr.カラー 焼鉄色
- 部分塗装:タミヤ タミヤカラーエナメル塗料 ブラック
- 部分塗装:タミヤ タミヤカラーエナメル塗料 フラットブラック
- 部分塗装:タミヤ タミヤカラーエナメル塗料 ブルー
- スミ入れ:タミヤ スミ入れ塗料(ブラック)
- スミ入れ:タミヤ スミ入れ塗料(ダークグレイ)
- ドライブラシ:タミヤ タミヤウェザリングマスター《Bセット》
- ドライブラシ:タミヤ タミヤウェザリングマスター《Dセット》
- ドライブラシ:タミヤ タミヤウェザリングマスター《Eセット》
- ドライブラシ:タミヤ タミヤウェザリングマスター《Hセット》
(C)Production I.G/1998 NADESICO製作委員会