特別企画

「ベイブレードX」に今、何が起きている? 買いたくても買えない"異常事態"の現状を、実際に店舗を回って調べてみた

筆者のこだわりのベイ、左から「フェニックスウィング」、「ウィザードロッド」、「ペガサスブラスト」

 2026年7月現在、タカラトミーの「ベイブレードX」に“異常事態”が起きている。ベイそのものに加え、スタジアム、ランチャーなど商品が根こそぎ店頭から消えているのだ。タカラトミー側はこの事態を受け、ベイブレードの増産、そして新商品の抽選販売を行うことを発表した。

 いま、「ベイブレードX」に何が起きているのか。今回、筆者は何軒かの店舗を回り、店員から話を聞くなどで「『ベイブレードX』の現状」を調査してみた。現在「ベイブレードX」市場で何が起こっているのか、筆者なりにレポートしたい。

突如として訪れた「ベイが買えない」異変

 「ベイが買えない?」

 その異変は何の前触れもなく、ある日突然、我々の目の前に訪れた。筆者が最初に異変に気が付いたのは、GW特集で「ベイブレードX」のエクスパンドブレード記事を書いた2026年5月頭からしばらく経ったころのことだ。

 5月16日発売の新商品「BX-49 ドランストライク4-50FF」を購入しようと、いつものように通販サイト「タカラトミーモール」にアクセスしたが、これまでの状況と違ったのだ。

 昨今の「ベイブレードX」の新商品に対するファンの期待は非常に高く、スタート時は争奪戦となり購入できなくなることもある。そういう場合、「入荷状況のお知らせ」に登録すれば、メールで入荷情報を知ることができ、最初の受注時に買えなくても、手に入れられるのだ。

 筆者も今回、初回では買えなかったので「入荷状況のお知らせ」の登録しようとした……。しかし、その登録ができないのだ。こんなことは今までなかった。ただ、正直このときは「おかしいな」と思っただけだった。しかし、徐々に「『ベイブレードX』の新品そのものが買えない」という異常事態が起きているのがわかってきた。

現在の「タカラトミーモール」の状態。全てが「在庫切れ」となっており、入荷状況のお知らせも登録できない

 その後、オンラインで「ベイブレードX」関連の情報をチェックしていると、Xの投稿やベイブレード系YouTuberの人たちの動画などから、「ベイブレードX」が各所で買えなくなっている異常事態になっているという話が頻繁に聞こえてくるようになってきた。

 これは、何が起こっているのだろうか? 解消される見込みはあるのだろうか? タカラトミーはどのような対応を考えているのだろうか? 色々と気になる要素が多いので、まずは実際に家電量販店などの店頭の様子を見たり、店員さんに話を聞いたりして取材してみることにした。

家電量販店で聞いたまさかの「入荷なし」のリアルな現実

 まずは、近所のディスカウントショップを訪れた。こちらは玩具のコーナーの一角に「ベイブレードX」のコーナーがあり、以前は最新のベイこそ置いていないものの、少し古いベイであればいつでも購入できる状態だった。

 早速、玩具コーナーの一角である「ベイブレードX」のコーナーに寄ってみると、確かに「ベイブレードX」関連商品が何一つ残っていない。そのほかの玩具は潤沢な在庫が所狭しと置かれている中で、ここだけ空虚な「無」の空間が広がっており、かなりシュールなビジュアルとなっていた。

 これは一大事だと考え、別日に神奈川県の筆者の住む近所にあるロードサイド型の家電量販店を3店ほど巡ってみることにした。これら3店はいずれも過去に何度も筆者が「ベイブレードX」関連商品を購入するために訪れたことのある店舗で、以前はどの店舗も潤沢な在庫があり、ランダムブースターやベイバトルパスなどを購入した店舗だ。

人気ベイの一例。大会実績のある「シャークスケイル」や、限定カラーのベイ(写真は「コバルトドラグーン」の限定カラー「メタルコート:ブラック」)は軒並み人気で高額になっているほか、2026年発売の新製品(写真はCX-14 ナイトフォートレスGV)なども高額になっているようだ

 最初に訪れた店舗は、見事に何も置かれておらず、ただ1つだけランチャーが販売されているのみであった。続いて近所にある、駅により近い立地のライバル店も訪れたが、こちらはタカラトミー公式のお詫びのリリースをプリントアウトして貼っており、店舗側も現状を憂いているのがより強く感じられた。

 最後に訪れた店舗は玩具売り場がかなり広い店舗で、以前訪れた際には「ベイブレードX」のスペースをかなり広く確保している店舗だったので、期待してチェックしてみたが、「ベイブレードX」の販売スペースは見事に縮小されており、スタジアムとランチャー、ベイを収納できる公式のケースのみが寂しく販売されている状態だった。

 これら3店舗については、いずれも玩具関連の担当者に声を掛け、簡単に話を聞くことができた。3店舗の話で共通していたのは、なんと「発注をかけているのに、一切タカラトミーからの入荷がない」ということだ。店舗によっては最後に入荷したのが、6月13日発売の「UX-00 サムライセイバー5-60K メタルコート:サムライブルー サッカー日本代表Ver.」とのことだったので、比較的直近まで入荷している店舗もあったが、少なくともこうした話を聞く限り、入荷して即、買い占められているわけではなく、ここ1~2カ月は恒常的に製品が入荷していないというのが現実だったようだ。

アジア圏での爆発的ブームが影響か?

 店舗での「実際に商品がない」という状況に関して、まことしやかにネットの噂で語られているのが、「アジア、特に台湾でのブームが大きく、彼らが日本のベイブレードを買っているのではないか?」というものだ。

 噂の中で具体的なエピソードを伴っているのが「台湾でのベイブレードXの人気」。台湾で人気のSNS「Threads」にて、2026年初頭に投稿された「ベイブレードX」に関する投稿がバズり、そこから全体的なブームが起こったというのだ(現在、該当するThreadsのアカウントは削除されている)。台湾ではその投稿が起爆剤となって「ベイブレードX」人気が爆発し、あらゆる商品が売れているという。

 台湾の人気に関しては、台湾に出張に行った知り合いが玩具を取り扱う店舗を回ってみて確認し、その情報を筆者に共有してくれた。台湾では代理店による中文版の「ベイブレードX」が販売されており、現地でかなり人気ということを知っていた知人はその活気を楽しみにいくつかの店舗を見てみたのだが、「ベイブレードX」商品そのものが棚に全くないという状況を目撃したという。

台湾の「ベイブレードX」公式オンラインストア「fanbox TOYS」での「エアロペガサス レッドVer.」の先行予約の告知

 見つけることができたのは、ガラスケースに大事にしまわれていた日本製のベイで、定価の2~3倍くらいの価格で販売していたという。こちらは日本語のパッケージであり、並行輸入品だった。今回、台湾のいくつかの店舗でしっかりと台湾版の「ベイブレードX」こーざーが作られているのは確認できたが、その商品は根こそぎなくなっていた。ネットの噂であった「台湾での人気ぶり」を知人はしっかりと確認したというのだ。

 また、台湾に限らず「ベイブレードX」は世界的に人気を集めているという情報も聞く。こうした急激なムーブメントに対して、タカラトミー側も生産が追い付かず、一気に日本のみならず世界での在庫が不足することになり、こうした事態に対してタカラトミー側も急遽、店舗への出荷を制限し、日本国内においては抽選販売に切り替えるといった事態になったのだろうと推測される。

"転売屋"が店頭のベイを買い占めている?

 「現在の状況は店頭で売っているベイを転売屋がネットで根こそぎ買っているのでは?」という噂も聞く。あくまで筆者の体感ではあるが、現状に関しては強力なベイや新商品のベイを別にすれば、転売屋が根こそぎ買って販売している、という訳ではないようだ。もちろんメルカリには多くのベイが並んでいるし、Amazonもベイによっては非常に高い値段がついており、転売は依然として横行している。しかし大会などであまり見かけない初期のベイなどは定価とほぼ変わらないような価格で販売されている物も見かけた。良くも悪くも「平常運転」といえる状況で、店頭ほどの異常さは感じなかった。

 もう1つ、筆者は「中古販売の状況」を確認するため、秋葉原で以前から「ベイブレードX」のパーツを買い取って中古販売しているお店にも足を運んで確認してみた。確かに以前より在庫は少なくなっていると感じたが、一部のレアカラーのベイはプレミア価格が設定されていた一方で、ベイを「選ばなければ」定価未満の価格で購入できるものが数多く確認できた。

 秋葉原と言えば、海外の観光客が必ず訪れる、観光スポットの1つ。その中心地にある店で安くベイが売っているとなると、「海外流出」という噂は少し疑問だ。一店舗のみの調査だが、中古市場ではまだ"根こそぎなくなる"という状況ではないように思えた。

人気の高い「ウィザードロッド」のAmazonでの販売状況。メーカー販売価格は1,400円だ
こちらはヤフオクの取引状況。左上の「ヴァイスタイガー」3個セットはブレードのみながら、明らかに1個のメーカー販売価格以下の価格で取引されている

 また、編集部側から関係者に話を聞いたところ、新商品争奪戦は昨今過熱しているとのこと。この状況に加え「ベイブレードX」のイベント後に興味を持ったユーザーが在庫の少ない商品を買うという状況も見られるとのことだ。

 こうした様々な要因に加えて、さらに入荷が厳しくなっているという状況が悪循環となって「店頭に『ベイブレードX』関連商品がない」という今の状態を生み出したと言えるだろう。

まずはタカラトミーの今後の動向に注目

 このような状況下において、我々はどうするべきなのか。一通りの流れを見た上での筆者個人の結論としては「まずはこの1~2カ月ほどはタカラトミーの動向を見つつ、抽選販売に応募する」だ。理由は2つある。

 1つは、すでにタカラトミーが実際にちゃんと動いている様子が見られるからだ。こうした一連の流れに対して、同社は何度かリリースを出しており、その中には「増産分につきましては、2026年7月下旬から8月上旬頃より、順次世界各地域の店頭にて展開を開始する見込みです」といったコメントを出している。その上で、今回はとりあえず抽選販売というのなら、それにしたがっておくのが吉といえるだろう。

 ただし、競技としての「ベイブレードX」が、アジア圏において引き続き盛り上がりを見せているとするなら、店頭で販売される新品のベイや、大会などで見掛ける「環境」ベイについては、引き続き品薄が続くことになるだろう。

 実際に、先日発表されたタカラトミーの「抽選販売」のラインアップをチェックしてみると、最新のエクスパンドブレードに加えて「UX-03 ウィザードロッド5-70DB」や「UX-08 シルバーウルフ3-80FB」、「UX-11 インパクトドレイク9-60LR」といった大会常連のベイについても販売対象になっており、大会などで多く使用される人気のあるベイを意図的にチョイスしているのが分かる。

現在タカラトミーが実施している抽選販売のラインアップにはCXエクスパンドブレードのほか、既存の人気ベイがチョイスされている

供給安定によって、「ベイブレードX」を気軽に買い、楽しめる環境の復活を!

 以上、実際に筆者が店舗などを巡って話を聞いたり、ネットなどでチェックした情報などについて、簡単にまとめてみた。現在、せっかく「ベイブレードX」が盛り上がり、新しいユーザーが興味を持っているにもかかわらず、店頭からあらゆる「ベイブレードX」商品がなくなっているこの事態はとても寂しく、ファンとして危機感を感じている。

 実際に、筆者の知り合いのライターも、筆者が先日「トラボCUP」で準優勝した記事の話をしていたところ、「俺もちょっとやってみようかな」と興味を持ってくれたが、店頭で何も買えない現状では、彼の興味はそのまま消失してしまう可能性は高く、貴重なブレーダー候補を1人失ってしまう形になりそうだ。

 そして、この危機感を一番肌で感じているのは、「ベイブレードX」を取り扱うタカラトミー自身だろう。もし機会があるなら、直接話などが伺えればと考えている。今後も、タカラトミーの動向に注目するとともに、1日でも早く店頭で「ベイブレードX」を普通に見掛ける状態になることを願うのみだ。