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2025年のモデルガンはオートマチック、リボルバーの名銃ずらり! 注目製品7点紹介【年末特集】

 モデルガン人気が回復しつつある昨今、ここ数年はモデルガンメーカーからも再販、リニューアルを含む新製品のリリースが相次いでいる。一方で、原材料費の高騰などによって値上げも多く行なわれ、気軽に購入することが難しくなってしまった。

 それでもモデルガンの魅力は衰えない。実際売れ行きも好調に見える。2025年も、各メーカーからモデルガンの新作、リニューアル、再販が相次いだ。毎月何かしらのモデルガンの新製品(再販含む)が発表・発売され、SNSのタイムラインも賑わっている。製品によっては短期間で品切れになるモデルも散見されることからも、モデルガンだからこそ味わえる魅力があるという認知が広がっているのを実感する。

 過去を振り返ると、話題になったモデルガン、盛り上がりを見せた銃を探すのに苦労した年もあったが、最近は豊作でどれを選ぶか迷うほどだった。そこで今回は、それぞれのジャンル、カテゴリの中から2025年話題になったモデルガンを選んでみた。

2025年話題を集めたモデルガン「リボルバー編」

「S&W M36 Performance Center 3inch HW Version 2」

  • 発売日:2025年6月
  • 価格:34,650円
  • メーカー:タナカワークス
  • 商品ページ

 最初に紹介するのはタナカワークス(以下タナカ)の「S&W M36 Performance Center 3inch HW Version 2」。タナカは、かつてABSモデルで「Performance Center」シリーズを販売してきていたが、「M360」シリーズ発売に際して廃盤となっていた。

 しかし、「M360」シリーズは人気が高く、再販の要望が多かったという。その「Performance Center」シリーズをHW樹脂で発火モデルガンとして発売するにあたり、よりスムーズな作動とリアルな刻印に変更された「Ver.2」にバージョンアップ。さらに、過去ラインナップになくモデル化の要望が高かった3インチが初めてモデルアップされた。

 今回モデルアップされたモデルは、実銃の世界では1990年に発足したS&W社のカスタム部門である「Performance Center」が競技用に開発したモデル。軽量化のために削ぎ落とされたバレルや、握りやすいグリップ形状、操作しやすいサムピースなどが、後のM360シリーズにも受け継がれている。

 「S&W M36(チーフスペシャル)」といえば2インチが定番で、携帯性に優れた独特の形状に馴染みがあるが、3インチはそれとはまた違ったすらっとしたデザインが美しい。「Performance Center」は精度を高めたいわゆるカスタムガンとして、より精悍な印象を受ける。

「CITY HUNTER 40周年記念モデル Colt Python .357Magnum 4inch “R-model” Heavy Weight “Ryo Saeba” model」

  • 発売日:2026年4月中旬
  • 2025年12月上旬 予約受付開始
  • 価格:41,800円
  • メーカー:タナカワークス
  • 商品ページ

 「CITY HUNTER 40周年記念モデル Colt Python .357Magnum 4inch “R-model” Heavy Weight “Ryo Saeba” model」。モデルとなった銃はコルトパイソン。銃身の上に設けられた「ベンチレーテッドリブ」による独特のデザイン、美しいフォルムが人気で、映画やドラマ、コミックス、ゲームなどにも多く登場している。

 その中でも、今回は北条司氏の漫画作品「シティーハンター」に登場する主人公・冴羽獠が使用する「コルト パイソン 4インチ」が再現されている。かつてはMGCやコクサイがモデルガンとしてラインナップしていた他、エアガン、ガスガンでも各社がモデルアップしていた。現在でも、タナカが「コルト パイソン R-model」として、各バレル長さ、素材違いでラインナップしている。

 「シティーハンター」が今年で連載40周年を迎え、東京・上野の「上野の森美術館」にて、11月22日〜12月28日の期間「シティーハンター40周年大原画展」が開催されることを記念して、北条司氏の40周年記念原画を使用した特別パッケージ仕様として会場で先行販売された。一般向けには12月上旬より予約開始されており、2026年4月中旬に発売される。

「シティーハンター40周年大原画展」で展示されていた「CITY HUNTER 40周年記念モデル」

 カートリッジは、原作でも使用していたフルメタルジャケット弾頭をイメージした仕様になっており、伝説のガンスミス真柴のマークと生産番号の刻印も入っている。サイレンサー装着機能およびサイレンサーは省かれているものの、その分価格も抑えられているのが嬉しい。

 コラボモデルは、再生産されないことも多い中で、何度も再販やリニューアル、新バージョンが出ることから、コルトパイソンだけでなく、「シティーハンター」の根強い人気も窺える。

「Colt Detective Special 2inch “R-model” Nickel Finish」

  • 発売日:2025年5月
  • 価格:41,580円
  • メーカー:タナカワークス
  • 商品ページ

 実銃の「Colt Detective Special」といえば、刑事などの捜査官が持つ銃としてS&W M36と比肩する有名なモデル。コンシールドキャリー(ジャケットの内側などに隠し持つ)のため2inchの短い銃身と.38splカートリッジに対応した十分なパワーを持つ。ライバルの「S&W M36(チーフスペシャル)」より1発多く装弾できる6発シリンダーの弾倉で愛用者も多かった。そんな「ディテクティブスペシャル」の1946年以降に製造された2ndタイプのディティールを忠実に再現したのが本モデル「Colt Detective Special 2inch “R-model” Nickel Finish」だ。

 服の内側に隠し持つため、汗などで錆びないようニッケルメッキされたモデルもラインナップされており、本製品はそのニッケルメッキモデルを再現している。腐食防止、錆防止のためのメッキだったが、その外観の美しさからあえてニッケルメッキモデルを選ぶという捜査官もいたという話もある。

 やがて錆に強いステンレス素材が採用されるようになると、ピカピカのニッケルメッキモデルをラインナップするモデルも少なくなった。モデルガンの世界でも、「ステンレスフィニッシュ」と銘打ったモデルはヘアライン仕上げや反射を抑えた仕上がりの場合が多く、ギラギラとしたメッキ感あふれる仕上がりを施したモデルは久々だったこともあり、人気を集めた。その後、ニッケルフィニッシュモデルとしてリリースされるモデルガンが増えたことから、草分け的な存在でもある。

2025年話題を集めたモデルガン「オートマチック編」

「Mauser C96 Red9 Blowback(発火モデル)」

  • 発売日:2025年
  • 価格:55,000円(完成品)
        42,350円(組み立てキット)
  • メーカー:A!CTION
  • 商品ページ

 A!CTIONが2024年にダミーカートモデルの「Mauser C96 Red9」をリリース。次いで発火モデルを販売開始し、その後、2025年に今回紹介する素材の表面処理を行なわずに組み立てキットとすることで価格を抑えたモデルガン組み立てキット 「Mauser C96 Red9 Blowback(発火モデル)」 が発売された。

 表面処理を行なっていないキットなので、完成品を分解する手間なく、部品の状態からブルーイング処理を行なって組み立てることができるので、ブルーイングに挑戦しやすく、発火も惜しげもなくできるということで人気を集めたモデルだ。

ブルーイングを施したキットを組み立てたもの(筆者私物)

 発火モデルでは、「C-tec 9mm マイルドキックカートリッジ」のほか、別売りの「タナカEvolution2 9mm Parabellum 快音専用デトネータ」(1,980円)に換装することで、タナカの「Evolution2 9mm快音カートリッジ」を使用できる。すでにカートリッジを持っている人には別途専用のカートリッジを購入しなくても良いという点も好評だった。

「『トリプルキャップカート』 ミリタリーガバメント」

  • 発売日:2025年11月
  • 価格:49,280円(税4,480円)
  • メーカー:タニコバ・MULE(コラボ)
  • 商品ページ

 コルトM1911A1、いわゆる「コルト ガバメント」は、モデルガンメーカー各社から販売され、バリエーションも多くラインナップされる人気のモデルだ。特にタニオコバのガバメント、「GM-7」シリーズは快調な動作に定評があり人気も高い。そのタニオコバとモデルガンのカスタムメーカーであるMULEがコラボしてできたのが、タニコバ・MULE コラボ「トリプルキャップカート」ミリタリーガバメントだ。

 人気の高いミリタリーモデル(1911A1)をベースに、火薬を3つ使用した新開発のトリプルキャップカートリッジを用意。中空デトネーターにすることで、発火の音とマズルフラッシュを大きくする。安定動作のタニオコバ メカニズムにて、迫力ある発火が安定して楽しめるのが魅力だ。

ガバメントの基本的なモデルであるミリタリーガバメント(1911A1)が、トリプルキャップカートリッジの大迫力で楽しめるということで注目を集めた。

「ワルサーPPKシリーズ X-PFC」

  • 発売日:2025年8月
  • 価格:28,800円〜
  • メーカー:マルシン工業

 マルシン工業は、既存モデルの「X-PFC」化を進めており、今年も多くのモデルがX-PFC対応モデルとしてリニューアル販売された。「X-PFC」は、マルシンの新型モデルガン用カートリッジで、従来の真鍮製からアルミニウムに素材が変更されて軽量化されているほか、パーツの構造が弾頭部とケース部に分かれるなどよりリアルになり、動作性能も向上するとされている。

 今回紹介するのは、「X-PFC」第6弾として「ワルサーPPK/S」をはじめとする「PPK」シリーズ(PP、PPK、PPK/s、PPK初期モデル)を「32ACPX-PFカートリッジ」とともにリニューアルしたもの。快調動作かつ大迫力な発火が魅力となっている。

 ラインナップされている素材は、スライド動作がキビキビと速いABS製とリコイルショックが強く重量感のあるヘビーウェイト(HW)の2種。仕上げの違いで、金属の質感があるディープブラックABSとシルバーABSと、ブラックHWとエクセレントHWの計4種類のカラーリングが用意されている。

 カートリッジはリアルな弾頭分割式構造で見た目にも“本物感”を出し、ステンレス製チャンバーピン(デトネーター)など錆びにくい素材を採用することで防錆性能を向上させるなど“撃って、いじって、飾って楽しい”モデルに仕上がっている。

2025年話題を集めたモデルガン「番外編」

 長物(ライフルやショットガンなど)のモデルガンは、発売するメーカーも発売されるモデルも少ない。価格も高額になりがちなほか、保管場所の問題もあるので(家庭がある人はこれが一番の問題で)なかなか手が出にくい面もある。それでもライフルやショットガンなどは、ハンドガンでは味わえない迫力や満足感があるのだ。

 この項目では、そんな長物からタナカのショットガンのモデルガン「Model 1897 ” Wild Bunch Riot Gun” Version 2」を紹介する。

「Model 1897 ” Wild Bunch Riot Gun” Version 2 Heavy Weight」

  • 発売日:2025年12月
  • 価格:93,500円
  • メーカー:タナカワークス

 「Model 1897 ” Wild Bunch Riot Gun” Version 2 Heavy Weight」のモデルとなった実銃「M1897」は、西部開拓時代に発売されたショットガン。黒色火薬仕様の「M1896」から無煙火薬仕様に変更されたモデルで、西部劇などでも登場する。今回タナカは、法執行機関向けの20インチ銃身モデル、いわゆる「Riot(ライオット)モデル」をモデルアップした。

 今回のモデルは、最後の西部劇と言われ、今なお評価の高いサム・ペキンパーの傑作映画「The Wild Bunch」(1969)で主人公たちが使用するスリングススイベル付きのライオットガンをイメージしたものとされており、前方スリングスイベルの位置を変えることで、「ライル」モデルと「ダッチ」モデルを表現できる。

 ショットガンの醍醐味でもあるフォアグリップを前後させて装填、排莢を繰り返すポンプアクションもできるのが魅力だ。ボルト部がフレームから飛び出してショットシェルを装填、排莢する「ウィンチェスター」ならではの独特な機構にもロマンがある。

 綺麗に仕上げられた木製銃床と、ずっしり重く感じられる銃の質感、キャップ火薬2つを使って迫力の発火を体験できるショットシェルの機構など、ショットガンの魅力を余すところなく再現している。

 また、オプションで「M1897 モデルガン Version.2 金色アルミシェルセット(6発入り)」(13,200円)も発売された。黒色火薬時代の民間用・軍用から、第一次・第二次世界大戦期まで幅広く使用された真鍮製シェルをイメージしており、特定の時代を特定しないようあえて無刻印となっているという。「Riot(ライオット)モデル」なら西部開拓時代、トレンチガンなら2度の世界大戦で使用されたというイメージで雰囲気も上がる。排莢したシェルが床に落ちた時のキンッという金属製の音もたまらない。

モデルガン業界はどうなるのか?気になる未来と期待

 復調を感じさせる盛り上がりを見せるモデルガン業界だが、喜んでばかりもいられない。高級モデルガンメーカーとして知られるエランが、2025年7月に25年の歴史に幕を下ろした。モデルガン専門でやることの難しさでもあり、事業継承の課題がモデルガン業界にも及んでいると感じさせる出来事だった。

 また、エアガンの方でも実銃メーカーから正式ライセンスを受けて刻印や形状がリアルになるなど、実銃を再現したトイガンとしての魅力がモデルガンに迫る製品も登場するようになってきている。海外メーカーの参入も相次いでいることも、トイガン全体が盛り上がって喜ばしい反面、精巧なエアガンによってリアルなトイガン、銃の模型への満足感が満たされてしまい、モデルガンへの興味が薄れてしまう懸念となっている。エアガンの方が市場規模としても大きいのは、モデルガンより比較的安価な価格帯であるのも要因だろう。

 そんな中でも各モデルガンメーカーは健闘していると感じる。リニューアル、再販も含めれば毎月のように新製品が発売されており、箱出しで快調動作するような完成度の高まりも、初心者がモデルガンを手にするハードルを下げているように思う。

モデルガンだけに特化したイベント「第二回モデルガンフェア」の様子。モデルガンを愛する様々な世代の人が集まって賑わいを見せていた

 さらに、西部劇の恰好や装備で集まって遊ぶ「西部劇ごっこ」や、ファストドロウ大会などのイベントに加えて、各地で定期的に開催されているファストドロウの練習会、モデルガンの発火体験会や、有志によるモデルガンに特化したイベント「モデルガンフェア」が年に2回開催され、いずれも大盛況となるなど、モデルガン関連イベントの熱量の高さも窺える。

 モデルガンは一度体験すると安全で楽しい趣味だと理解できる。実際、一度体験したらハマる人も多い。そのため、いちユーザーとして体験できる場、機会を増やしていきたいと思うし、周囲の人に受け入れてもらえるように、マナーも守っていく必要があると感じている。

 来年こそ、モデルガンの飛躍の年になるよう、祈りたい。