インタビュー

「METAL ROBOT魂 トールギスII」企画者インタビュー

“エレガント”を感じさせるポージングと美しさにこだわったアイテムに!

【METAL ROBOT魂 <SIDE MS> トールギスII】

9月発売予定

価格:18,150円

プレミアムバンダイ限定商品

 BANDAI SPIRITSコレクターズ事業部は、4月14日16時より、フィギュア「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> トールギスII」の受注を開始する。本商品の発送は9月、価格は18,150円となる。

 関節などに金属パーツを使用したMETAL ROBOT魂に、アニメ「新機動戦士ガンダムW」よりトールギスIIが登場する。丸い盾に羽根飾りのついたカブトの様に見える頭部の形状、甲冑風のシルエットと直球の「中世の騎士」風のデザイン。常人には乗りこなせない殺人的な加速力による機動性と、非常に魅力的な機体だ。

 今回、本商品の受注を前にコレクターズ事業部で本商品の企画を担当する古川氏にインタビューを行った。古川氏の語る商品やトールギスIIそのものの魅力、その魅力を活かした商品ギミックなど、オススメポイントを聞いてみた。

【METAL ROBOT魂 トールギスII】
「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> トールギスII」、4月14日16次より受注開始。「新機動戦士ガンダムW」のトレーズが搭乗するMSだ

独特の美意識を持つ総帥・トレーズの駆るトールギスIIを立体化!

 インタビューに入る前にトールギスIIの設定や、商品の魅力ポイントに触れておきたい。トールギスIIは秘密結社OZを統括する若き総帥トレーズが搭乗する。彼はロームフェラ財団の幹部であり、独自の美学を持ち、強力なカリスマの元ozを率いる。トレーズは優れたリーダーであるだけではなく、超一流のMSパイロットであり、トールギスIIで戦場を駆ける。

 トールギスIIはトールギスの余剰パーツで作られた機体だ。トールギスはこの世界でのMSの原点となる機体であり、高い性能を目指して作られた。結果その性能は常人にはとても扱えないものとなり、以降の機体は性能を抑えたものとなった。秘密結社OZの上級特尉であるゼクスは、高い性能を持つガンダムに対抗するためにトールギスを復元、その性能を使いこなしていく。トールギスIIはトールギスよりさらに性能が上がっており、これを乗りこなすトレーズの実力を印象づける。

 「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> トールギスII」は、トールギスIIの魅力を引き出す商品となっている。関節に金属パーツを使うことで、幅広い可動域だけでなく耐久性も上がり、大型武器「ドーパーガン」もしっかり保持できる保持力も実現している。そして細かいディテール表現や、マーキングなどぎゅっと詰まった濃い情報密度も魅力だ。

金属パーツを関節などに使用、可動とディテール表現、どちらも高いレベルを求めたアイテム
サイドスカートのブースターは本商品オリジナルギミック。高い機動性をイメージさせる

 ダイキャストにはメッキが施され、塗装もマットやメタルなどパーツごとに彩色を変化、トールギスIIならではの白と青の美しいコントラストを実現している。また注目ポイントの1つはオリジナルギミックであるサイドスカートの展開ギミックだろう。大出力のバーニアによる高い機動性を印象づけるギミックだ。

 トレーズは「エレガント」と表現する独自の美意識を持つ。トールギスの白い色など見た目だけでなく、有人兵器や格闘戦など「人の戦い」へのこだわり、人の死を乗り越える信念など、彼の行動の基本を成す価値観だ。「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> トールギスII」はこのトレーズのエレガントという価値観を表現しようという気合いを感じさせる商品と言えるだろう。企画者である古川氏のインタビューからもその思い入れを感じさせる。いよいよ次章からインタビューをはじめたい。

【トールギス】
こちらはゼクスが駆るトールギス。商品は2013年に発売された「ROBOT魂〈SIDE MS〉トールギス」

「見せる金属パーツ」、仁王立ちへの注力、みなぎるエレガントへのこだわり

――今回モチーフをトールギスIIにした理由を教えてください。トールギスやIIIではなく、なぜIIなのでしょうか?

古川氏:それはこの機体がエレガントだから! ……ではなく、「METAL ROBOT魂の新機動戦記ガンダムW」シリーズはウイングガンダムゼロからスタートしており、単品でもそれぞれのプレイバリューを追求していますが、商品を揃える事により劇中の印象的なシーンを再現できるようなラインナップを意識しています。

 「ウイングゼロvsエピオンの決戦」「デスサイズヘルとアルトロンの脱出シーン」など…。そして今回は「アルトロンvsトールギスIIの激闘」となります。他の立体物はたしかにトールギスからラインナップされるケースが多いので、今回のケースが皆様にとって「今までと違うぞ!」と思っていただけると嬉しいです。

――トールギスIIに対して、企画者さんの個人的な思い入れはありますか? アニメでの描かれ方、操縦者であるトレーズというキャラクターの魅力などもお聞かせください。

古川氏:難しい質問ですね……。普通に答えるとなると、このインタビューが終わらなくなってしまいますので、代表的な部分だけお話させていただきます。トールギスIIといえばドーバーガンを立てた仁王立ちポーズのインパクトが強いかと思いますが、漏れなく私もその登場シーンに衝撃を受けた一人です。その仁王立ちからの「全軍停止せよ!」の台詞は印象的でした。

【仁王立ち】
ドーパーガンを立てた仁王立ちポーズ。企画者こだわりの姿だ

 トレーズ様に関しては、そこに存在するだけで場の空気を支配するキャラクターで、登場する度に名台詞が飛び出してきます。いや、登場しなくても名台詞が出てきてしまいます。「事は全てエレガントに運べ」はトレーズ様が発した台詞のように感じますが、ノインが通信で指示を受けた時の台詞なんですよね…。8話のドラゴンハングで襲撃された時の全く動じない、強固な精神。五飛を一蹴する剣捌き。「私は敗者になりたい」、「ここを人類最後の戦場にするのだ!」の台詞は一度聞いたら忘れる事の出来ないフレーズです。……と、魅力の塊のようなキャラクターだと思っています。(止まらなくなる為、ここでストップします。)

――これまでもMETAL ROBOT魂は関節やフレームに金属を使うことで、自由度の高い関節と、高い保持力を持たせています。改めて、この金属パーツの魅力を掘り下げたいです。利点や魅力はどこでしょうか?

古川氏:金属パーツの魅力としては第1に重量感です。この重量感によりMSの兵器として「重み」を指先から感じることができます。この心地良い重みは金属パーツならではの大きな特徴かと思います。更にフレームに使用する事でダイナミックなアクションポーズにも耐えることができ、高い保持力も金属パーツを使用するメリットとなります。

――その上で、「トールギスII」ならではの工夫した点、内部機構の設計ポイントというものはありますか? 他の商品から応用する点は多いと思いますが、工夫のポイントを教えてください。

古川氏:可動や重量感の演出だけではなく、「見せる金属パーツ」も設計に盛り込んでいます。太腿の付け根部分や大型バーニアと胴体の接続部分などに意図的に金属パーツを配置して、視覚的にも「合金を使用した可動フィギュア」ということを感じられるようにしています。膝を曲げた時にも金属パーツが露出しますので、METAL ROBOT魂シリーズならでは複合素材による魅力を感じていただければと思います!

【金属パーツ】
膝や肘には金属パーツが使われ、ギラリと光を反射する
足の付け根などは特に“見せる”ということを意識しているという

――トールギスIIならではのポーズ、そのために関節を調整したところなどはありますか?

古川氏:トールギスIIの特徴的なポーズとして「登場シーンの仁王立ち」と「浮遊状態」の2つがあり、その2つのポージングを美しく決める為に足首関節に引き出しギミックを内蔵しています。綺麗な立姿を優先すると足首のクリアランスが足りず、浮遊状態で爪先を伸ばすことができなくなってしまうのですが、引き出しギミックを設けることでこの問題を解決できました。特設ページの途中にこちらのギミック説明を記載しておりますので、是非チェックしてみてください!

――商品はデザインやカラーリングがとてもカッコイイですよね。トールギスIIのデザインで、企画者が特に好きな部分はありますか?

古川氏:有難う御座います!やはり頭部の造形ですね。バイザーが角度によってはツインアイに見えたり、繋がっているように見えたりして印象が異なるのはトールギスIIならではのカッコいいポイントだと思っております。また、マスクの部分がガンダムタイプに近い形状に変更され、頭部先端の装飾部分がトールギスと比較して派手になっている部分にも魅力を感じます。特に頭部先端の装飾部分はエレガントさを感じられる部分である為、合わせ目が正面から見えないように調整しました。

【目とバイザーの表現】
バイザーの下の目は、角度によってツインアイに見えたり、繋がっているように見える。マスクもガンダムタイプのような意匠がある

――「METAL ROBOT魂」は細かい塗装やマーキングなどを14cmの全長を持つサイズにぎゅっと濃縮した情報量が魅力です。マーキングに関して特にこだわったところはどこですか?

古川氏:マーキング形状は搭乗者であるトレーズ様の肩や襟の装飾をイメージしつつ、密度感を高められるように各所に配置しています。マッシブな造形と組み合わさり、情報量のあるモデルに仕上がっているかと思いますので、お手元に届きましたら視覚的な部分も楽しんでいただければと思います。

――カラーリングのバランスなども印象が大きく変わります。今回は配色する上で気をつけたところ、アピールしたい要素などはありますか?

古川氏:トールギスIIの特徴でもある本体のホワイトとブルーの部分は2トーン構成になっており、各所に差し色を入れてカラーリングの面からも密度感をUPしています。また、各部で艶消し、メタリック、光沢塗料を使い分けて兵器的な重量感も演出していますで、是非、製品で細かい部分も見ていただけますと嬉しいです。

【カラーリング、マーキング】
差し色やマーキングは非常に細かい

――その上でやはり「トールギスII」は動いた姿が魅力です。「本体」と「バーニア」があると思いますが、まず本体のポージングの魅力やギミックでポイントを教えてください。

古川氏:背部の大型バーニアは軸可動とボールジョイントによってフレキシブルに可動できるようにしています。それに合わせて胴体の反りや首を上げる可動機構を盛り込んでおり、大型バーニアでの突撃ポーズがスムーズに再現できるようになっています。

――そしてやはりバーニアです。オリジナルギミックを盛り込んだ魅力を語っていただれば。

古川氏:METAL ROBOT魂オリジナルギミックとして、サイド・リアスカートも展開できるようにしています。これはトールギスの印象的なフレーズである「殺人的な加速」をギミックとしても更に表現したいと思い、盛り込んでみました。背中のバーニアと合わせて全て展開すると迫力のシルエットとなります!

【バーニア】
背中のバーニア展開ギミックも力が入っている
サイドスカートの展開は商品オリジナルだ

――トールギスシリーズは大きな武器を扱います。保持力なども考えていますか?

古川氏:ドーバーガンやシールドの接続部分には強度や耐磨耗性に優れたPOM(ポリアセタール)樹脂を採用しています。また各関節の金属パーツによって、大型の武装もしっかり保持できるように設計されています。更にドーバーガンの接続アームは固定式と可動式の2パターンを付属しており、様々なポージングに対応できるように工夫してみました。

――ドーパーガンは銃身の延長、サブアームなどギミックが楽しいですね。

古川氏:有難う御座います。ドーバーガンの銃身部分の伸縮は仁王立ち再現用で、しっかりと胸の前に組んだ手が位置するように高さを調整してあります。サブアームはかなり柔軟に可動できますので、ドーバーガンを構えたポージングがしっかり決まるようになっています。セブアームの可動は面白い構造ですので、是非製品版を触ってみていただきたいポイントです!更に両肩のサブアームを取り外して、接続部分を収納できるギミックも盛り込んでありますので、シンプルな武装ながらも遊びごたえのあるモデルに仕上がったかと思います。

【ドーパーガンの保持】
金属パーツの関節により、ドーパーガンもしっかり保持

――盾の裏のモールドなど、ディテール表現もとても細かく感じました。
古川氏:細かい部分に気付いてくださり、有難う御座います!トールギスIIは肩にシールドを懸架していますので、ポージングをさせているとシールド裏が非常に目立ちます。しっかり造形をいれて作り込んでいますので、むしろシールド裏を見せるようなアクションポーズをするのも楽しいかと思います!

――そしてやはり、フェイスパーツを外すと出てくるカメラアイです。トールギスを知らない人に向けて、このギミックを紹介してください。

古川氏:劇中でトールギスの整備中にフェイスパーツを外しているシーンがあり、このカメラアイがでてきます。このシーンに衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか?私も最初にこのシーンを見た時には「顔の内部がリーオーに似ている!?」と興奮しました。この描写について劇中ではあまり説明されてはいないのですが、内部がリーオーに似ていることからMSの開発系譜を感じることができる重要なシーンであると思っています。『マスクの下にある顔』は漢のロマンですので、今回のトールギスIIでも再現しました。

【カメラアイ】
こちらは「新機動戦士ガンダムW」における量産型MSリーオー。ガンダムやトールギスに較べると性能が低いが、扱いやすい機体だ。写真は2012年に発売された「ROBOT魂<SIDE MS> リーオー(モスグリーン)」。
トールギス、トールギスIIはバイザーを外すとリーオーを思わせるカメラアイが現れる。トールギスがすべてのMSの始祖であることを示す特徴だ

――アルトロンガンダムとの連携要素がありますが、ユーザーにどのように遊んでもらいたいですか?

古川氏:トールギスIIvsアルトロンのラストは新機動戦記ガンダムWの中でも特に印象的なシーンの一つかと思います。エフェクトを使用することで、立体物としてあの名シーンの再現を楽しんでもらえればと思います!

【アルトロンガンダムとの連動】
4月に発売される「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> アルトロンガンダム」との連動。因縁のある五飛との対決シーンを再現
連動用のエフェクトパーツ

――今後のシリーズの広がりはどうでしょうか?

古川氏:METAL ROBOT魂の新機動戦記ガンダムWシリーズはこれからもまだまだ続きます!更に今後は他作品も広く展開していく予定ですので、是非METAL ROBOT魂の今後の商品にも御注目いただければと思います。(トールギスIIは劇中であるMSに助けてもらうシーンがあります。そうなると次のラインナップは……!?)

――最後にユーザーへのメッセージを。

古川氏:「METAL ROBOT魂トールギスII」、非常にエレガントな商品仕上がりました。METAL ROBOT魂シリーズを購入した事がある方も、こちらの記事で初めて知った方も、色々な方に商品を手に取ってもらえると嬉しいです。これからも楽しい商品を作っていきますので、METAL ROBOT魂シリーズを宜しくお願い致します!

――ありがとうございました。

 話を聞くことで、あらためてトールギスIIの魅力、METAL ROBOT魂の魅力を実感することができた。商品の展開ラインナップという戦略でトールギスではなくトールギスIIが先にMETAL ROBOT魂化されるというのも興味深い。本商品が出たことで、トールギス、トールギスIIIといったバリエーション展開も楽しみである。