インタビュー

「METAL ROBOT魂(Ka signature) プロトタイプZZガンダム」企画者インタビュー

「METAL ROBOT魂 Z」の変形ノウハウを発展させ実現した合体変形!

【METAL ROBOT魂(Ka signature) プロトタイプZZガンダム】

2024年2月発売予定

価格:24,200円

 BANDAI SPIRITSはフィギュア「METAL ROBOT魂(Ka signature)<SIDE MS> プロトタイプZZガンダム」をプレミアムバンダイ内「魂ウェブ商店」にて2024年2月に発送予定。価格は24,200円。9月1日16時より受注を開始する。

 今回のモチーフとなるプロトタイプZZ(ダブルゼータ)ガンダムは1991年に講談社より刊行されたガンダム専門漫画雑誌「ガンダムマガジン」に登場した機体。「ガンダムマガジン」は様々な機体をテーマにしたコミックを掲載しており、プロトタイプZZガンダムの開発秘話が描かれる。「METAL ROBOT魂(Ka signature)<SIDE MS> プロトタイプZZガンダム(以下、METAL ROBOT魂 プロトタイプZZガンダム)」は、コミックの機体をベースにオリジナルギミックを搭載したものとなるという。

 かなりマイナーなモチーフを選んだ意義は? 監修を行うカトキハジメ氏はどのような想いを込めたのか? オリジナルギミックは何か? 今回、試作品を前に本商品の企画担当であるBANDAI SPIRITSコレクターズ事業部の宮邉優希氏に話を聞いた。商品の魅力に迫っていきたい。

プレミアムバンダイ内「魂ウェブ商店」で販売される「METAL ROBOT魂(Ka signature)<SIDE MS> プロトタイプZZガンダム」。2024年2月に発送予定。価格は24,200円。9月1日より受注を開始する
今回話を聞いた本商品の企画担当であるBANDAI SPIRITSコレクターズ事業部の宮邉優希氏

「METAL ROBOT魂 Ζガンダム」のノウハウを活かして実現したZZの変形合体システム

 「プロトタイプZZガンダム」という名前を冠するMSはいくつかある。本機体は1991年発売の「ガンダムマガジン」に掲載されたみやぞえ郁雄氏のコミック「始動せよ! ZZガンダム!!」に登場する。

 このコミックは開発中のプロトタイプZZガンダムの戦闘テストが描かれ、トラブルで爆発の危機となり、開発中のコアファイターでパイロットを救出する。このことを教訓に、ZZガンダムにはコアファイターを内蔵するシステムになるという展開だ。

  「このコミックでのプロトタイプZZガンダムは、分離機能はあるのですが、コアブロックシステムは搭載していませんでした。このコミックのエピソードによりコアファイターを搭載することが決定する、という展開になっています。商品ではオリジナルギミックとしてコアファイターを内蔵した、ZZガンダムに近い設計となっています」 (宮邉氏)。

2020年に発売された「ROBOT魂 (Ka signature) <SIDE MS> ZZガンダム」。こちらは変形システムは搭載されていない

 あえてZZガンダムの変形システムを組み込んだのには理由がある。コレクターズ事業部では2020年に「ROBOT魂 (Ka signature) <SIDE MS> ZZガンダム」を発売しているが、この商品は分離合体ギミックは搭載されてなかった。強度や設計での課題があり、変形・分離システムの搭載は見送ったのだという。

 しかし2021年に発売した「METAL ROBOT魂(Ka signature) <SIDE MS> Ζガンダム」での技術により"変形"への道が開かれる。Zガンダムは金属パーツの使用、設計の練り込みによりウェーブライダーへの変形を可能にした。この設計と技術でZZガンダムの変形合体システムを再現できるのでは? となった。今回発売される「METAL ROBOT魂 プロトタイプZZガンダム」は、まさに今後の「METAL ROBOT魂」の展開を提示する"プロトタイプ"としての意味も持っているのだという。

  「今回モチーフをプロトタイプZZガンダムにしたのはカトキさんとの打ち合わせで決まりました。『METAL ROBOT魂 プロトタイプZZガンダム』を手にして、今後のZZガンダム、そしてさらなる展開を期待して欲しいという想いを込めています」 (宮邉氏)。

2021年に発売された「METAL ROBOT魂(Ka signature) <SIDE MS> Ζガンダム」ではフレームに金属パーツを使うことで、安定した変形システムを構築。このノウハウを活かして「METAL ROBOT魂 プロトタイプZZガンダム」の変形合体システムが設計された

 Zガンダム、ZZガンダムは作品中、「プロジェクト・ゼータ」という設定がある。アナハイムとエゥーゴによる高性能MSを開発する計画で、リック・ディアスを起点に様々なMSが開発されていく。その中には百式やZガンダム、ZZガンダムも含まれる。今回の「METAL ROBOT魂 プロトタイプZZガンダム」は、「METAL ROBOT魂 Zガンダム」のフィードバックを受けて開発され、その後のラインナップにも繋がっていくという、劇中さながらの経緯があるというのだ。とても面白いエピソードである。

  「一部差し替えはありますが、できるだけパーツの移動での変形を実現できた、と言うのが今回の商品の注目ポイントだと思います。プラモデルなど過去にはいくつか変形モデルが登場していますが、これまで以上に変形ギミックの表現に力を入れ、遊びやすい商品となりました」 (宮邉氏)。

「METAL ROBOT魂 プロトタイプZZガンダム」では、コアファイター、コアベース、コアトップの3機に分離変形が可能
さらに巡航形態であるGフォートレスにも変形できる

試作機ならではのカラーリング、随所に見えるZZガンダムとの違い

 それでは商品を見ていこう。シルエットはZZガンダムそのものだが、細部には違いがある。最も目立つのは「シールド」の存在だろう。「RX-78-2 ガンダム」を思わせる赤いシールドがついているのが面白い。カラーリングなどは設定されていなかったので、カトキ氏と話し合って決めたという。シールドの持たせ方も面白い。ZZは腕には変形時ウィングとなる大型のバインダーがついているが、これに干渉しないようにジョイントパーツを設計したとのこと。

試作品を前に話を聞いた
特徴的なシールドはバインダーにパーツで接続される

 背部のバックパックではZZではビーム・サーベルも兼ねた武装となっているが、プロトタイプZZはビーム砲としてだけの機能しかない。形状もビーム・サーベルらしさのないデザインになっている。ちなみにミサイルポッドも搭載していない。ただし商品ではミサイルコンテナにあたるところが外せるようになっている。 「今後の展開を見越した設計です」 とのこと。

バックパックについているのはビーム砲で、ビーム・サーベルとしての機能はない
プロトZZガンダムはミサイルポッドを搭載していないが、コンテナ部分は取り外しができる設計

 全体を見ると金属パーツの多用も印象に残る。 「基本的に関節は金属パーツを使い、保持力と耐久性を重視しています。脚部分などにも重みを感じさせる設計になっていて、手に持つとしっかりした重量感があります。また、金属パーツでなくてもカトキさんのカラーリングで金属感を増しています。背中のバーニアは樹脂パーツですが、塗装でむき出しの金属のような質感になっています」 (宮邉氏)。

 最大の特徴はやはりカラーリングだ。落ち着いたグレーがかった白の基本色に、試作機らしい視認性を高めた明るいブルーと、オレンジの差し色。そして濃い灰色が随所に配置され、いかにも開発中の機体のカラーリングに見える。トリコロールカラーのZZガンダムとははっきり違うカラーとなっている。

ひじや膝、足首などに金属パーツを多用
バーニアなどは金属色で塗装されている
塗り分けはとても細かい

  「塗装は彩色箇所の細かさを見て欲しいです。肘関節の輪の中の細かい塗り分け、胸や足の内側の色が違うことで際立つカラーリング。こういった細かいカラーリングを楽しめるのが完成品フィギュアだからこそだと思います。色を指定したカトキさんのこだわりを感じて欲しいです」 (宮邉氏)。

 足の形状、サイドアーマーの長さ、足の形状は変形システムも加えてデザインが大きく異なる。首元も「RX-78-2 ガンダム」を思わせるデザインで、さらにV字の連邦マークが描かれているのも特徴的だ。そして頭部だ。額にZZガンダムならではの巨大なハイ・メガ・キャノンの砲口がない。このプロトタイプZZにはハイ・メガ・キャノンは搭載されていないとのこと。

 ZZガンダムとは異なるデザイン、そして試作機としての意味合いを強調したカラーリングは本商品の大きなセールスポイントだ。次章では最大の特徴である変形システムを紹介したい。

頭部にはハイ・メガ・キャノンは搭載されていない。胸の連邦マークも特徴だ
細身な印象を受けるダブルビーム・ライフル
サイドアーマーはかなり長い

プレイバリューの高い変形・合体システム

 それでは最大のウリである変形・合体を見ていこう。まず各パーツ変形のために、コアトップ(Aパーツ)、コアファイター(Bパーツ)、コアベース(Cパーツ)に分離させる。

 コアファイターは小さいがしっかり変形する。小さな翼などZZガンダムのコアファイターと同じデザインだが、白の基本色に青の差し色が入っていて、この機体のコアファイターらしいカラーリングとなっている。この小ささでしっかり変形するのが楽しい。

小さいがかっちり変形するコアファイター。カラーリングも試作機らしい雰囲気

 Aパーツは「コアトップ」に変形する。変形をさせるためにまず「変形用手首」を交換する。この手首を使うことで手首ブロックをぐるりと回転させバーニアが出せる。頭部のアンテナも設定通りに変形させる。ちなみに商品ではディテールアップ用に変形した2種の交換用アンテナも用意されている。

 胸パーツをあげコアトップの機首となる。この時機首としてのデザインを強調するため商品オリジナルギミックとして、機種が折り畳んだ状態から伸ばしてもう一段伸ばすことができる。とても細かいパーツだが側面に差し色も入っており、このデザインが宮邉氏はお気に入りだという。

変形幼の手首に交換、くるりと基部を回転させ、バーニアを出す
頭部アンテナを変形
固定型アンテナパーツも用意されている
胸ブロックを上げて頭部を隠す
戦闘機らしく見えるように、機首部分が延長される

 そして企画者としてこだわったのが肩アーマー。ZZガンダムでは肩アーマーはに先端を機首側に側面をカバーするような形になるのだが、プロトタイプZZガンダムでは、底からさらに内側に回転し、まるでランディングギアのように機体底面をカバーするような形になるのだ。

  「設定通りの表現をするのにどういう構造にするのか、かなり悩みました。この動きを表現するための構造を考え、引っ張り出して曲げることで肩の装甲が下部分まで回転するようにしました。すごく小さな箇所に、3段くらいの関節が入っています。この細かい関節で肩の装甲の動きをカバーしています。これはぜひ商品で確認して欲しいです」 (宮邉氏)。

ランディングギアのようになる肩装甲
複雑な動きを実現させるこだわりの設計
シールドとダブルビーム・ライフルを取り付けるのは、商品オリジナルギミックだ

 設定上はこの状態でバインダーを調整すればコアトップの完成となる。そして商品オリジナルギミックとしてZZガンダムのように先端に折畳んだダブルビームライフルを装着することも可能だ。この時シールドも一緒に装着できる。

 Cパーツは「コアベース」となる。ZZガンダムでは足の内部が回転しバーニアが出て切る構造だったが、プロトZZガンダムは足首などを折畳んでそのままバックパックをかぶせるというかなり簡易な変形となっている。商品として工夫としてバックパックから足の位置を固定するためのささえパーツが伸びるようになっており、足の位置がしっかり固定される。

 ここにサイドアーマーを翼状に伸ばせば変形完了となる。ZZガンダムはここにコアファイターを接続し戦闘機となるが、プロトZZガンダムは単体で戦闘機としての機首が欲しいということで、バックパックを支える柱から機首ブロックが出てくる構造となっている。コクピット風の塗装がされていて、戦闘機の雰囲気が強まる。このコクピットはカトキ氏と話し合ったギミックだという。

 もう1つ、コアベースの見栄えをアップするため、フロントアーマーを取りはずしコアベース上面に配置することで隙間がなくなる。この手順だけ唯一部品を外し付け替える必要があるが、こうすることでコアベースのデザインがよりカッコ良くなるとのことだ。

足に重なるようにバックパックを移動させ、足の位置を固定する
フロントアーマーをコアベース上面に取り付け、バックパックを支える支柱からコクピットブロックを引き出し変形完了
ジョイントを使って3機をディスプレイできる

 台座にはアームの先に接続できるジョイントも用意されていて、飛行した状態で3機を飾ることも可能だ。3機の戦闘機が合体してプロトタイプZZガンダムになる。そのイメージで飾ることが可能だ。

 そしてさらに3機が合体した状態での巡航形態「Gフォートレス」にも変形できるようになっている。基本は変形した3機を合体させるのだが、下半身のコアベースは、設定画に近いように足をひっくり返し、ふくらはぎが下になるように変形させる。そしてダブルビーム・ライフルとシールドを機首に付けることで、Gフォートレスが完成となる。

  「やはりガシガシ遊んで欲しい商品です」 と宮邉氏は強調する。各形態がかっちりと決まり、プレイバリューが高い。変形・合体のギミックをたっぷり楽しんで欲しいという。

合体してGフォートレスに。足部分がコアベースの時と逆になっているところに注目して欲しい

  「商品としてはやはり変形時のこだわりを特に感じて欲しいと思います。コアトップ、コアベースの機種が出てくるギミック。部品としては小さいのですが、バランスや、彩色、想像して遊ぶ時に重要なパーツとしてカトキさんとこだわりました。ZZガンダムとは異なるプロトZZガンダムの面白さをたっぷり感じて欲しいです。触ってもらうことで色々な発見があると思います。手にした満足感もぜひ感じて欲しいです」 (宮邉氏)。

 最後のユーザーへのメッセージとして宮邉氏は「これまでも(Ka signature)はカトキさんのこだわりを活かしたシリーズですが、『METAL ROBOT魂 プロトタイプZZガンダム』はダイキャストを使い、ほぼ完全変形・合体といえる設計を実現できました。手にした重み、変形を堪能できる耐久性、たっぷり詰まった遊びのギミックを楽しんで欲しいです。是非購入し、今後の展開に期待してください」と語りかけた。

アクションフィギュアとしての可動もしっかりしている。たっぷり楽しめる商品だ

 今回取材してみてユニークな商品だと感じた。ZZガンダムに比べ武装が搭載されていないものがあったり、足の変形システムが違ったりと、単純にデザインだけで無く、様々な点で"試作機"としての違いがあり、変形システムでも今後の進化を予想させる。またバックストーリーとして「METAL ROBOT魂 Zガンダム」のノウハウがあったからこそ実現できた変形システムというのも面白い。これからもまだまだ展開していく「METAL ROBOT魂(Ka signature)」の"マイルストーン"としても魅力的な商品だと感じた。