インタビュー

「ROBOT魂 <SIDE AC> IB-07: SOL 644 / Ayre」企画担当者インタビュー

「アーマード・コア」の世界観をROBOT魂で再現。ボス機体の存在感を濃密ディテールで実現

【ROBOT魂 <SIDE AC> IB-07: SOL 644 / Ayre】

4月26日16時 予約開始

9月 発売予定

価格:18,150円(税込)

 BANDAI SPIRITSのブランド「TAMASHII NATIONS」の技術とロボットを愛する心“ロボット魂”が作り出したハイターゲット向けロボットフィギュア「ROBOT魂」シリーズにフロム・ソフトウェアのロボットゲーム「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」が参戦。

 その記念すべき第一弾として、主人公「621」をサポートしながらも、主人公の選択から袂を分かつこととなったエアが駆る機体「IB-07: SOL 644」が「ROBOT魂」で立体化する。

「ROBOT魂 <SIDE AC> IB-07: SOL 644 / Ayre」

 「IB-07: SOL 644 / Ayre」はゲーム内の「レイヴンの火」ルートにてエアが駆るボス機体として登場。そのルートの最後の敵として、戦うこととなる。

 圧倒的な性能を誇る実験兵器「アイビス」シリーズの一機で、白を基調とした装甲に燃えるような「コーラル」を帯びたカラーリング、両腕、両肩に備えたレーザーとブレードによる火力、そして圧倒的な速度とパルスアーマーを纏った防御力とラスボスとしてその存在感を確固たるものとした。

 本商品は、2023年11月に開催されたイベント「TAMASHII NATION 2023」にて参考出品として初公開され、注目を集めた。

 今回「ROBOT魂 <SIDE AC> IB-07: SOL 644 / Ayre」の試作品の写真を交えつつ、BANDAI SPIRITS コレクターズ事業部で本商品を担当している古川氏にインタビューを行なった。

 「ROBOT魂 <SIDE AC> IB-07: SOL 644 / Ayre」の魅力に加え、「ROBOT魂」シリーズで再現された「アーマード・コア」へのこだわりを聞いてみた。

「ROBOT魂 <SIDE AC> IB-07: SOL 644 / Ayre」の企画者 古川氏

ボリューム、造形、可動を突き詰めた「ROBOT魂」で表現された「アーマード・コア」

――最初に今回「ROBOT魂」シリーズで「アーマード・コア」シリーズが展開されるきっかけは何でしたか?

古川氏:2022年12月に「アーマード・コア」シリーズ最新作となる「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」が発表されたのももちろんですが、コレクターズ事業部では前作の「ARMORED CORE V」の機体を商品化しておりまして、「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」も商品化したいという流れになりました。

 「ARMORED CORE V」では「スーパーロボット超合金」というブランドから商品化しておりますが、今回は「ROBOT魂」シリーズで商品化をする運びとなりました。

「スーパーロボット超合金 アーマード・コアV UCR-10/A」2012年6月29日 発売

――その中で「IB-07: SOL 644 / Ayre」(以下「エア機」)が選ばれた決め手は?

古川氏:「アーマード・コア」シリーズは自分がアセンブルした機体に思い入れを持っているファンの方もいらっしゃるかと思います。また、過去作の人気機体である「ナインボール」、「ナインボール=セラフ」や「ホワイト・グリント」などがありました。

 その一方で「過去の強い敵だった機体は、ファンの記憶にも残っているのではないか?」と思っておりまして、「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」でも印象的なキャラクターを最初に立体化する方向となり、各ルートで登場するボス機体の中から今回、ラストの登場が衝撃的だった「エア機」を商品化しました。

――造形や可動のこだわりについてお聞かせください。ゲームでは登場シーンのムービーやプレイ中の戦闘だけではなかなか全身像をとらえきれない部分もありました。今回の立体化で全体像をじっくり見れますね。

古川氏:造形に関しまして、ゲームのデザインが非常に密度感のあるものでした。その印象を立体物としても全部再現したいと思っておりまして、総パーツ数が330パーツを超える大ボリュームとなっています。「ROBOT魂」シリーズでは通常約200前後のパーツ数で作っておりますので、そのおよそ1.5倍のパーツ数となっています。

 そのおかげで各部のディテールはほぼほぼ再現出来ているくらいの密度感のある造形にできたかと思います。

装甲のモールドや下各部のディテールがつくりこまれている
フレーム部分も濃密なディテール
腕部の武装の砲身も重厚感ある質感
脚部はシャープな印象
背面のブースターも見ごたえ抜群
肩部の武装も完備
スリット造形などが確認できる
後ろ姿も存在感ある造形となっている

――なるほど。サイズも通常の「ROBOT魂」商品よりも少し大きい印象を受けます。

古川氏:やはり最後に戦ったボス機体の印象として、大きかったのもありました。なので、例えば色々な「ROBOT魂」の機体と並べた時に「一回り大きいね」と思っていただけるようなサイズ感で仕上げています。

――可動部分では「ROBOT魂」シリーズならではのオリジナル可動などはありますか?

古川氏:そうですね。デザイン上、課題となる部分がありました。「ROBOT魂」シリーズでは可動というところもセールスポイントとなっていますので、可動面で面白い機構を入れております。

 一つ目は「エア機」が登場する時の主人公「621」の機体の前で膝立ちから立ち上がるシーンを絶対に再現したいと思い、膝部分の関節を引き出せるスライドギミックにしたことです。これによって、従来の二重関節の可動では難しかった膝立ちが綺麗に決まるように設計しました。

 また、通常では太もも部分が干渉してしまう股関節部分も、股関節のジョイントが下がって曲げられるようになっています。この2つの可動によって強敵として現れ、立ち上がるシーンを綺麗にできるように意識しました。

ゲームでも印象的な登場。そして、立ち上がる様子を再現可能
膝関節はスライドギミックを搭載し、大きく曲げることができる。※写真は未塗装のテストショット
股関節部分もしっかりと足を上げられるようになっている
膝関節はダイキャストパーツに塗装が施される仕様となっている

――腕周りの可動に関してはいかがでしょうか? また、腕部に備わっている武装の展開は差し替えでの再現になるのでしょうか?

古川氏:肩と腕の武装は差し替えパーツによって閉じている状態と開いている状態を再現できます。

 可動に関しても、肩回りのデザインが複雑で可動が難しい箇所ではありましたが、アーマー各部が可動するようにしてあります。なので、肩をぐっと上げたポーズなどしっかりできる構造はうまくできたかと思います。

重量感ある武装を振るう姿も表現できる

古川氏:また、本商品は「ROBOT魂」シリーズとしては非常に大きいサイズ感となっておりますので、強度的にポーズを維持できるのか開発時に検証が上がっておりました。その結果、実は本商品では「ROBOT魂」ながら各部にダイキャストを使った構造になっているんです。

 具体的には、重い武器を持った状態でも大丈夫なように肩口の軸にダイキャストを採用し、足のスライドギミック部分や足首にも使用しております。また、各部が細い造形になっているところもありますので、そのシルエットを壊さず、可動と強度を両立するためにも使用しております。結果的に「ROBOT魂」としては他商品と比較しても豪華な仕様になりましたね。

膝関節部分などはダイキャストを仕様
細い足首部分にもダイキャストが使われている

――苦労された点はありますか? 例えばゲームのグラフィックを立体化するにあたってデザイン面で気を付けたことなど。

古川氏:最初はデザインを簡略化して設計を進行していました。しかし、簡略化してしまうと「アーマード・コア」らしさがどんどんなくなってしまうので、可能な限り簡略化しない方向に決めて作っております。

 例えば足裏など通常のアクションフィギュアなどでは肉抜きがありますが、本商品はほぼ肉抜き無しでしあげています。それもあって、先ほどのパーツ数300越えに繋がったのですが(笑)。

 なので全身を見た時に「穴があるな」と感じる部分がないような出来になっているかと思います。

古川氏:デザイン上で難しかったところでは、「エア機」が特殊な機体というのもあり全身に纏うコーラルを表現したグラデーションが入っておりまして、その再現が大変でした。

 グラデーションをオミットした状態も考えましたが、それがないと「エア機」らしさが出てこないので、「思い切って全部再現しよう!」と。

――確かにゲーム内でも赤いコーラルの光を纏った姿が印象的でした。

古川氏:グラデーションでそうした部分を再現して、いい意味で不気味な「エア機」の印象を再現出来ているかと思います。

各部で表現されたグラデーション塗装が怪しげな雰囲気を醸し出す
機体の先端やノズル口など細かい部分にも塗装が施されている

――頭部のメカディテールの作り込みもすごいですね

古川氏:頭部もわかりやすくするためにディテールを少し深めに彫ったりしているので、面白い仕上がりになっているかと思います。

細かな色分けで濃密なディテール表現となっている

――気になる点として本商品ではエフェクトパーツは付属するのでしょうか?

古川氏:今回は造形と可動と彩色を最大限に楽しんで頂きたかったので、本商品ではエフェクトパーツは付属しておりません。

――造形と可動と彩色が中心になっているとお話に出ましたが、ゲーム内でありました変形はオミットされているということでしょうか?

古川氏:そうですね。今回はオミットさせていただいております。

 変形を再現するとなりますと、クリアランスを含めて30cm相当のサイズが必要になってしまうので(笑)。変形に関しては「超合金」シリーズなど大きめのロボットフィギュアブランドでできればと思っています。

――なるほど。本商品は「ROBOT魂」でできる最大限の造形と可動を活かしたものになるのですね。

古川氏:はい。また、「ROBOT魂」では珍しく、実は白色の外装部分の大分部が彩色になっております。「ROBOT魂」では基本、成形色がメインになっていますが、本商品では「アーマード・コア」シリーズのしっかりとした質感にこだわっています。

 グラデーションと合わせて質感も楽しんでいただけたらと思います。

彩色によってより解像度の上がった「エア機」のカラーリングにも注目

――今回「エア機」が「ROBOT魂」で立体化されますが、今後の展開や目標は有りますか?

古川氏:はい。今後も「ROBOT魂 <SIDE AC>」シリーズとして続けていく予定です。

 今回はボス機体を作りましたが、今後の流れとしましては「強烈に印象に残った相手機体」を立体化できればと考えています。ぜひ、今後の展開にもご注目いただければと思います。

――ちなみに、古川さんが立体化してみたい機体はありますか?

古川氏:そうですね。「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」の「バルテウス」ですね。ただ「バルテウス」を「ROBOT魂」シリーズで立体化すると凄まじいくらいのサイズになってしまうと思います(笑)。

 さすがにそこは難しいかなと思いつつ、一番作ってみたい機体ではあります。

 自分が「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」をプレイして思ったのは「あの敵強かったな」、「あそこのセリフがカッコ良かったな…」と印象的な機体やシーンが多かったことです。

 なので「バルテウス」や「アイビス」シリーズをはじめとした強い、苦戦した敵機体というのはぜひ商品化したいなと考えています。

――「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」はエアをはじめ、個性的なキャラクターも多い印象でしたので機体が立体化した際の思い入れもより強い感じがします

古川氏:実は一番初めに「エア機」が立体化すると発表したときは「ユーザー様の反応はどうなるのか?」と企画を担当している私としても非常にドキドキしていました。ただ昨年の「TAMASHII NATION 2023」で展示して皆様の反応を見た時には「エア機でよかった」と安心感がありました。

――最後にユーザーへのメッセージをお願いいたします。

古川氏:「ROBOT魂」で「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」の機体が発売されます。「ROBOT魂」は開けてすぐ遊べることが魅力の一つかと思いますので、今フィギュアから離れてしまっている方にもぜひ手に取っていただいて、印象的な「エア機」を手元で遊んだり、じっくりと造形を眺めて楽しんだりしていただきたいです。

 また「エア機」のあとにも「ROBOT魂 <SIDE AC> 」シリーズとしてまだまだ続いていく予定ですので、ぜひ今後の展開にもご期待いただければと思います。よろしくお願いいたします。

――ありがとうございました。