インタビュー

「METAL ROBOT魂<SIDE MS> ガンダムAGE-2 ダークハウンド」企画担当者インタビュー

スーパーパイロットが駆る黒き猟犬がMETAL ROBOT魂に登場

【METAL ROBOT魂<SIDE MS> ガンダムAGE-2 ダークハウンド】
12月19日16時より魂ウェブ商店にて予約開始
2026年6月 発送予定
価格:23,100円(税込み)

 BANDAI SPIRITSは、フィギュアブランド「METAL ROBOT魂」シリーズより「ガンダムAGE-2 ダークハウンド」が立体化し、「プレミアムバンダイ」内の魂ウェブ商店にて現在予約受付中。

 本商品はTVアニメ『機動戦士ガンダムAGE』に登場する宇宙海賊ビシディアンの首領キャプテン・アッシュが駆る黒いモビルスーツ「ガンダムAGE-2 ダークハウンド」を立体化したもの。

「METAL ROBOT魂<SIDE MS> ガンダムAGE-2 ダークハウンド」モビルスーツ形態(右)、ストライダー形態(左)

 巨大無人MS「シド」との戦いで損傷した「ガンダムAGE-2」を改修し、機動力を向上させた機体となっており、宇宙海賊として隠密性を考慮した黒いカラーリングやドクロモチーフのデザインが取り入れられ、両肩部には2枚のウイングを装備している。

 メイン武装はランス型の武装ドッズランサー、両肩のバインダーに備えた着脱可能なアンカーショット、ビームサーベル、胸部のフラッシュアイなど多彩な武器を操り、機動力を活かした戦闘を得意とした。そして、長距離移動のストライダー形態への変形機構も備えている。

 本稿では試作品とともに本商品の企画担当であるBANDAI SPIRITSコレクターズ事業部の降籏 翔星氏に「METAL ROBOT魂<SIDE MS> ガンダムAGE-2 ダークハウンド」の魅力を聞いてみた。

BANDAI SPIRITSコレクターズ事業部の降籏 翔星氏
【【機動戦士ガンダムAGE】漆黒の機体「ダークハウンド」がMETAL ROBOT魂で登場!プロポーション、変形、多彩な武装を企画担当が詳しく解説【バンマニ!】】

METAL ROBOT魂に解き放たれた黒き猟犬。宇宙海賊MSとしての魅力を凝縮

――「METAL ROBOT魂<SIDE MS> ガンダムAGE-2 ダークハウンド」の商品化・開発の経緯をお願いいたします。

降籏氏:開発の経緯としましては、「METAL ROBOT魂」シリーズで『機動戦士ガンダムAGE』の第1弾として「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> ガンダム AGE-FX」が2024年5月に魂ウェブ商店限定アイテムとして販売されました。

 これに続くアイテムとして「ユーザーの方々が並べたい機体はどれになるのか?」と考えた時に、物語終盤の3世代主人公機が揃ったところが一番盛り上がったシーンではないかと思いました。

 「ガンダムAGE-1 フルグランサ」、「ガンダムAGE-2 ダークハウンド」、「ガンダム AGE-FX」があり、第1弾として「ガンダム AGE-FX」が商品化され、そこから第2弾として、変形機体でありギミックとしても面白いアレンジができるのではないかと考え、「ガンダムAGE-2 ダークハウンド」を選んだ次第です。

「METAL ROBOT魂<SIDE MS> ガンダムAGE-2 ダークハウンド」

――「ガンダムAGE-2 ダークハウンド」は作品内でも人気の機体ですから、「METAL ROBOT魂」シリーズでの立体化を待っていた方も多いかと思います。

降籏氏:機体の人気もありますが、『機動戦士ガンダムAGE』内ではキャプテン・アッシュことアセム・アスノも人気の高いキャラクターでしたので、そういった部分も踏まえて商品化いたしました。

――造形についてですが、劇中の海賊モビルスーツらしい意匠やドクロモチーフなどデザインを立体に起こした際にこだわったポイントはありますか?

降籏氏:原型段階でのベースとして、メカデザインを担当されている海老川兼武氏に新しく描いていただいた画稿を元に立体化しています。これは「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> ガンダム AGE-FX」と同様です。

 その際に「機動戦士ガンダムAGE Blu-ray Box」の海老川氏描き下ろし収納BOXに描かれていた「ガンダムAGE-2」を参考に、「ガンダムAGE-2 ダークハウンドだったらどのようなアレンジが入るか?」というのを海老川氏とともに検討を重ねて今回のデザインが出来上がりました。

降籏氏:今回「METAL ROBOT魂」ですので、しっかりと変形ギミックを入れることができ、全体的にシャープな印象になるようにアレンジを入れております。また、武器を持たせた際の保持力もあるため、ドッズランサーも大きめのサイズになっております。

 「ガンダムAGE-2 ダークハウンド」は近接戦闘、高機動戦闘が印象的な機体ですので、シャープに整えた面取りによって、勢いを感じるようなデザインを意識しました。

――個人的に頭部デザインや胸部部分などの細かいパーツも綺麗に色分けされ、情報密度のある造形に感じました。

降籏氏:まさにそうですね。「METAL ROBOT魂」は彩色がアピールポイントのブランドですので、頭部アンテナの赤なども塗装を施しております。

 また、顔部分もしっかりと黒でありながら輪郭が出るような色味に変えたり、赤もパールが入った高級感ある色味を採用しています。

 個人的なお気に入りポイントとして、右のカメラアイのバイザーパーツはクリアパーツを使用していますので、透けて黄色い目が見えるという劇中のイメージを再現しております。

頭部も細かく造形され、彩色で輪郭も際立っている

――「ガンダムAGE-2 ダークハウンド」といえば黒というカラーリングが印象的ですが、各部の色味の選定などはどのようにされましたか?

降籏氏:「METAL ROBOT魂<SIDE MS> ガンダムAGE-2 ダークハウンド」では設定上同じ黒を使用しているところも、一色になってしまわないように調整を行なっております。

 グレーなど設定では一色なのですが、そこの色味に段階をつけて、複数色のグレーや複数色の黒、もちろん成形色、塗装色で表面の艶の違いなどもあり、それらも踏まえて黒一色ではない彩色豊かな仕上がりを目指しました。

印象的な黒のカラーリングやグレーなども段階を付けて立体感ある色合いとなっている

――武器のドッズランサーも中間で別の色味が入り、密度感がありますね。

降籏氏:そうですね。柄(シャフト)の部分をシルバー1色にするところを中間にちょっと重いメタリックと明るいシルバーで2色に分けています。

――続いて可動に関してですが、ダイキャストを使用したことで可動範囲であったり、ポージングの表現が広がったと感じられるところはありますか? 例えばドッズランサーを持った状態でのポージングなど。

降籏氏:今回長期的に飾ることを想定して、ドッズランサーに関しましては一応支柱もつけています。

 武器のサイズアップにも対応して保持できるようダイキャストを使用しておりますし、あとは飾った時のフレームがのぞくことでメタリックな部分が一部見え、重厚な金属感の情報量も増えています。

 可動機構には「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> ガンダム AGE-FX」から受け継いでいる部分もあり、例えば肩の引き出し機構など見比べていただけるとわかるかと思います。

肩口の引き出し機構は「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> ガンダム AGE-FX」を踏襲

降籏氏:また、変形する機体ですので、その変形の耐久性なども向上しております。「ガンダムAGE-2 ダークハウンド」のストライダー形態ですが、股関節の変形がジョイントを引き出して広げるような特殊な機構なので、ダイキャストを使用したことで再現が可能となっております。

――両肩のバインダーの可動もかなり自由度が高そうですね。

降籏氏:ここも画稿のパネルラインをもとに、立体化でアレンジが入っているところになっています。

 まず、肩の付け根に近いパーツを外側に引き出すことができます。これによって、肩のクリアランスができてバインダーの可動が広くなります。

 通常だと上げて下げるしかできない軸構造でしたが、展開することで干渉部分に余裕ができ、そこに対して左右の角度を少しつけることができます。

 また肩アーマーも少し引き出すことができ、ちょっとだけクリアランスができて、バインダーを前後に流す動きもつけることができます。

 バインダーの先も可動することができますので、劇中の直線的なラインはもちろん少しカーブの入った突撃イメージのライン表現もできます。

 「ガンダムAGE-2 ダークハウンド」はバックパックがない機体ですので、両肩のバインダーでどれだけ表情付けができるかを設計段階から強く意識していました。言うなればマントのように見せることもでき、しっかり変形したらウイングのようになるというデザインにしました。

肩の特徴的なバインダー
バインダーの肩側や先端部に引き出し可動が入り、シルエットの変化や可動範囲が向上

――各武装や変形機構を含めたギミックについて質問です。まず、アンカーショットですがこちらは劇中同様ワイヤーを伸ばした状態を再現することはできますか?

降籏氏:本商品でも2本のアンカーショット用のワイヤーが付属します。

 ワイヤーパーツは自由に変形させることができ、直線での射出や振り回した際の波打つ動きなども表現できます。

 もちろん肩のバインダーに装着した状態からの射出や手に持たせて使用することができます。劇中でも敵の攻撃をワイヤーを回すことで防ぐシーンがあり、ワイヤーを調整してそういったシーン再現もできるように意識しています。

 また、バインダーにアンカーショットをマウントした状態で、グリップを握らせるシーンも再現できます。

ワイヤーパーツを使用することで射出状態を再現可能
印象的なアンカーショットをバインダーに着けた状態でのポーズも可能
アンカーショットは手に持たせることも可能

――可動も含めて武器のギミックが豊富なのも多彩な戦術を駆使する「ガンダムAGE-2 ダークハウンド」ならではの魅力ですね。

降籏氏:「ガンダム AGE-FX」のCファンネルのような、エフェクトパーツで表現する武装がない機体ですので、変形機構以外でも可動やギミックで個性を出せるかといったところで、今回こういったアレンジをいれつつ、ダイキャストを使った安定したポージングを突き詰めていきました。

――ビームサーベルですが、通常片側でビームの刃を展開しますが、劇中での柄頭から展開する両刃状態もできるのでしょうか?

降籏氏:もちろんできます。サーベルのグリップ両方に接続穴が開いておりますので、普通のビームサーベルの他にも、ビームダガーのような短いエフェクトパーツも付属し、両刃状態を再現することができます。

ビームサーベルは両刃展開状態も再現可能

――次にストライダー形態についてですが、本商品では一部差し替えということで具体的にどの部分で差し替えパーツを使用しておりますか?

「METAL ROBOT魂<SIDE MS> ガンダムAGE-2 ダークハウンド」ストライダー形態

降籏氏:そうですね。差し替えとアタッチメントを使用しての変形になります。MGガンプラでは完全変形ができた部分ではありますが、形として一番遊びやすいことを突き詰めていく中でたどり着いたのが補助パーツを使う方法でした。

 具体的には胸部のパーツを取り外してドッズランサーにアタッチメントを取り付けて機首にしたり、手首部分をストライダー形態用に差し替え、バインダーと脚部を繋ぐアタッチメントパーツなどがあります。

 また、膝アーマーもストライダー形態用のものに差し替えが必要になりますが、これによって飛行状態とランディングギアを展開した状態を再現することができます。

ドッズランサーはアタッチメントパーツを使用して胸部に接続
脚部に繋がる手首やバインダーを固定するアタッチメントパーツを使用してビジュアルを重視

――なるほど。ストライダー形態とモビルスーツ形態、両方のビジュアルを重視した形なんですね。ちなみにストライダー形態で追加されたギミックなどはありますか?

降籏氏:「METAL ROBOT魂」としてのオリジナルギミックとして、脹脛が展開してブースターが露出するようになっています。

 元々、ここにはブースターが展開するギミックは設定されていませんでした。劇中でも「ハイパーブースト」を使用して、大推力で敵の攻撃射線から離脱するシーンがありましたが、大きく見た目が変わったりするような描写はありませんでした。

 「ハイパーブースト」時に追加ブースターが露出することによって推力がアップするという解釈としてオリジナルギミックを海老川氏に描いていただき、今回の商品で搭載しております。

通常では脹脛のカバーは閉じた状態
ハイパーブースト時のブースター展開状態

――踵やブースターのノズルも四角い未来感のある形状でメタリックブルーなのも映えますね。

降籏氏:そうなんです。ストライダー形態を裏から見た時に、踵とブースター、そしてリア・スカートにもノズルが備わっており、噴射口をイメージしてメタリックブルーの配色が入っております。

 いわゆる丸いバーニアノズルとは異なる『機動戦士ガンダムAGE』世界の技術としてのスラスターデザインに加え、推進表現として青く光らせようというアイデアがありました。

――俯瞰で見た時の密度感も魅力的ですね。

降籏氏:シンプルそうな外観に見えて、マーキングが施されているので情報密度が高い外観になっています。

 マーキングも海老川氏と「どういう方向性にするか? ガンダムAGE-2 ダークハウンドの機体特性だったらこうか?」と打ち合わせを重ねていきました。

 配置的な部分でストライダー形態では、機体上側が一番見える箇所になりますので、ブースターの箇所にマークを入れたり、リア・スカートにビシディアンのドクロマークを入れたり、上から見た時に視覚情報が映えるように意識しました。

 なおかつ、モビルスーツ形態時には肩やフロント・スカートなどにマーキングやラインが入っているというイメージをなるべく崩さない形で入れております。

降籏氏:「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> ガンダム AGE-FX」とのシリーズ横並びでの統一感が崩れないように意識しました。

 例えば、リア・スカートも「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> ガンダム AGE-FX」ではAGEシステムのマーキング、「METAL ROBOT魂<SIDE MS> ガンダムAGE-2 ダークハウンド」ではAGEシステムが搭載されていないためビシディアンのエンブレムを、なるべく配置が同じところを押さえています。

 マーキングの大きさや量も「ガンダムAGE-2 ダークハウンド」の設定上、宇宙海賊のモビルスーツなので出自を明かせない機体であり、正体を隠している機体でもあるので、「大々的にダークハウンドやビシディアンと貼ってあるのは、組織としては違うのでは?」と頭に入れつつ設定しました。

 また、マーキングのフォントもこだわっておりまして、「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> ガンダム AGE-FX」で使用しているフォントと異なるデザインになっております。

 「ガンダムAGE-FX」は地球連邦軍の機体ではありますので、そことは違う所属であることを示唆するようにビシディアンやダークハウンドの文字をスプレーペイントで上書きしたような筆記体のようなフォントを使用しています。

マーキングの位置やフォントなども『機動戦士ガンダムAGE』の世代交代や組織などの設定が感じられるものとなっている
専用台座でも世界観が反映されたデザインとなっている

――開発を進める中で、特に苦労された点はありますか?

降籏氏:個人的に難しいと思ったのが、「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> ガンダム AGE-FX」ではCファンネルや彩色などヒロイックでカッコイイ機体でしたので、比較した際に隠密性を高めている「ガンダムAGE-2 ダークハウンド」に当てはめた場合「どうすればカッコよくなるか?」というハードルの高さを感じました。

 その中で、海老川氏や彩色師の方々とお話をした上で、結果的に「ガンダムAGE-2 ダークハウンド」の設定を踏まえつつ、密度のある外観や可動を仕上げることができました。

――最後に、ユーザーへのメッセージをお願いいたします。

降籏氏:長らくお待たせいたしました。「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> ガンダム AGE-FX」を手に取ってくださった方はもちろん、『機動戦士ガンダムAGE』ファンの方、「ガンダムAGE-2 ダークハウンド」が好きな方にもぜひ触れてほしいアイテムになっているかと思います。

 私自身も『機動戦士ガンダムAGE』が好きで、今回の商品化に携わることができ、嬉しく思っております。今後も「METAL ROBOT魂」シリーズでの『機動戦士ガンダムAGE』にご期待いただけますと幸いです。

――ありがとうございました。