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次の50年はリアルとデジタルが融合!「トミカ アドバンスプロジェクト」発表会レポート
スポーツカー開発責任者による「スバル vs 日産」夢の対決も
2021年4月20日 18:51
- 4月20日 開催
タカラトミーは4月20日オンラインにて、「トミカ オンラインメディア発表会」を開催、新プロジェクト「トミカ アドバンスプロジェクト」を発表した。
日本初の本格的なダイキャスト製ミニカーとして1970年に誕生した「トミカ」。このミニカーは手のひらサイズでありながら、車体のボディラインの美しさやずっしりとした重み、手で押すと軽快に走る楽しさといったおもちゃとしての楽しさ、実際に街を走っているクルマをモデルとした豊富なラインナップで、子供から大人までも魅了した。
現在では「通常トミカ」に「ロングトミカ」を加えた150番体制を維持しながら、毎月第3土曜日を「トミカの日」として新車が登場するなど、累計生産台数6億台以上、車種も1,000台を超えるロングセラー商品となっている。
そんな「トミカ」は2020年に50周年を迎えた。「いつだって、カッコイイ。」をテーマに、昨年より記念商品の発売やアニメ化に伴うメディアミックスなどが展開されたが、「トミカ」の進化はとどまるところを知らない。次の50年に向けた新プロジェクト「トミカ アドバンスプロジェクト」の発表会が本日4月20日に実施され、その第1弾の商品となる、トミカ初のNFCチップ搭載で専用アプリとデータ連動する「スーパースピードトミカ」が披露された。
本稿では、本日開催された発表会の模様をレポートとしてお届けする。発表会では新プロジェクトの発表だけでなく、自動車メーカーより特別ゲストとしてSUBARUの五島賢氏と日産自動車の田村宏志氏が登壇。新商品の体験という形で「スバル vs 日産」という夢のレース対決も実現された。なお、商品の詳細については別稿でも取り上げているので、そちらも合わせて参照していただきたい。
新しい技術でトミカは進化する!「トミカ アドバンスプロジェクト」
今回の発表会では、ゲストMCとして、TBSのアナウンサー時代にトミカのオリジナルアニメ「トミカハイパーレスキュー ドライブヘッド 機動救急警察」で本人役として声優を担当した笹川友里さんが参加。まず、タカラトミー・取締役・常務執行役員の富山彰夫氏が登壇し、次の50年に向けた抱負を語った。
富山氏はまず、50周年を迎えた昨年2020年は「トミカを愛してくれている子供たち、トミカファンをはじめ、トミカに関わるすべての方々に心からの感謝を伝えるべく活動してきた」と振り返った。そしてトミカは自動車産業が築いてきたクルマ文化無くしては語れないとし、改めて自動車メーカーへの協力に感謝を述べると共に「次の50周年へ、この先トミカがどんな進化を見せていくか、ご期待ください」とコメントした。
新プロジェクトの紹介については、タカラトミー・ブランドビジネス本部・トミカマーケティング部の吉原有也氏が登壇。次の50年に向けて、トミカをさらに進化させる新プロジェクトとして「トミカ アドバンスプロジェクト」を発表した。名称の由来について吉原氏は「次の50年への前進、常にトミカが今ある形よりも前に進んでいく」という思いを込めたと説明。子供から大人まで、年齢・性別を問わず多岐に渡るトミカファンに、これからも常に新鮮なドキドキ・ワクワク・感動を届けていくため、「テクノロジー×エンターテイメント」を軸に新時代の遊びを提案するとともに、クルマファンへのアプローチを強化していく姿勢を強調した。
「トミカ アドバンスプロジェクト」はトミカの持つプラットフォームはそのままに、手のひらサイズのダイキャストボディに様々なテクノロジーを詰め込んだ、新しい遊びが体感できる商品を送り出すことを目的としたプロジェクト。その第1弾の商品として披露されたのが「スーパースピードトミカ」で、自動車メーカー各社の協力のもとに完成したという。
その第1弾「スーパースピードトミカ」は、トミカ史上初となるダイキャストボディの中にNFCチップを搭載。リアルなレースバトルが楽しめるだけでなく、アプリと連動させることで遊びを拡張させることが可能となっている。またトミカ自体も、自動車メーカー各社の実在するスポーツカーをモデルにサーキット用にチューンナップされた新しいモデルとなり、軽量化されたボディに専用ホイールを装着、さらにフロントとリアのガイドローラーがスムーズなコーナリングをサポートする。
また、NFCチップが搭載されることで、新たに展開される「デジタルアクセルサーキット」で遊んだ走行データやレース成績がチップに記録可能に。記録されたデータは専用スマートフォンアプリ内のゲームモードで使用できる。「リアルなレースの遊び」とアプリを介した「バーチャルな遊び」が融合した、これまでにないトミカの遊びが実現されていることが、今回の商品における最大のポイントであると説明している。
さらに、発表会では実際の商品を使用して「デジタルアクセルサーキット」でのエキシビションも披露された。今回、実演されたのは2人で楽しめる「レースバトル」モードで、「トヨタ GRスープラ」と「ホンダ シビックTYPE R」のスーパースピードトミカが使用された。
このエキシビションではスーパースピードトミカをサーキットのスキャナーにセットして読み込んでいく様子や、アプリ内で周回するラップ数を設定できるなど、レースのセッティングについても紹介された。遊び方としてはまずサーキットにある「アクセルボタン」を連打して加速の準備をする。そしてスタートの合図とともに、実際のトミカとアプリ内のトミカも一斉に勢いよく走り出す。その間もアクセルボタンは連打し続けてどんどん加速させていくようだ。
アプリではレース実況の声も収録されており、画面上には残り周回数と順位が表示され、白熱するレースを盛り上げる。わずか12秒ほどのレースではあったが、実際のトミカが走るスピード感とアプリによる演出が楽しめるという、商品のポイントを確認できた。
「スバル vs 日産」夢の対決! スポーツカーの開発責任者が新プロジェクトをお祝いに
発表会の後半には特別ゲストとして、SUBARU「WRX STI」や新型「レヴォーグ」の開発責任者・五島 賢氏と、日産自動車「NISSAN GT-R」及び「Fairlady Z」の開発責任者・田村宏志氏が顔をそろえた。またTOYOTA GAZOO Racing(GR)のブランドマネジメント部長である杉浦宏哉氏もビデオメッセージを寄せ、自動車メーカーの顔ともいえるスポーツカー部門の開発責任者が新プロジェクトのお祝いに駆けつけた。
SUBARU・五島 賢氏のコメント
「スバルは「安心」と「安全」を考えてクルマ作りをしております。私はその楽しさを体現するスポーツカーを開発しております。そうした立場から今回の「スーパースピードトミカ」に私どもの「WRX STI」を採用いただきまして本当にありがとうございます。私も本当にうれしく思います。また、このような商品は本当に大好きですので、今日お呼びいただきまして本当にありがとうございます」。
日産自動車・田村宏志氏のコメント
「この度は『デジタルアクセルサーキット』おめでとうございます。楽しいですよね。バーチャルというところとアクチュアルというところをうまくつないで、そこを「おもちゃ」といっていいのかのレベルまで進化させたというのはすごいですね。我々も負けないでスポーツカーを進化させていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。「GT-R」を使っていただいてうれしく思います」。
TOYOTA GAZOO Racing・杉浦宏哉氏のビデオメッセージ
「今回『スーパースピードトミカ』に『GR スープラ』を採用していただきまして、ありがとうございます。タカラトミー様の時代に合わせたチャレンジされている姿勢に我々も大変刺激を受けております。我々も負けじと子供たちに将来乗ってみたいなと思ってもらえるような、魅力的な商品を出し続けるように頑張ってまいります。「スーパースピードトミカ」の遊びを通じて、未来のドライバーたちにスポーツカーだけでなくレースにも興味を持っていただけるような活動を、タカラトミー様と今後もご一緒させていただければと思います」。
「レース」をテーマした「スーパースピードトミカ」について、五島氏はスポーツカーの魅力は何といっても「スピード」であるとコメント。今回の「スーパースピードトミカ」は今まで見たこともない、“あり得ない”スピードでトミカが走るので、小さな子供でもスポーツカーの“速さ”という魅力を商品を通じて理解できると期待感を示した。一方、田村氏は「スポーツカーってやっぱり走ってなんぼのもの」ということで、走る・動きがあるというのがトミカに出てきたことは凄いことだと思うと語った。また、子供の頃から好きだったという「競争」することが“フェア”にできることは画期的なアイデアであると称賛した。
さらに、今後のトミカに期待することを尋ねられると、五島氏は、自動車業界では「コネクト」という技術が広まっているが、いよいよトミカもスマートフォンと連携して、もっと世界が発展する可能性を秘めているとした上で、将来リアルなクルマとトミカがスマートフォンを通じて“つながる”日が来る、そんな日を夢見ていると語った。
これに続いて田村氏は、2020年に50周年を迎えたトミカと、2019年に「GT-R」と「フェアレディZ」が50周年を迎えたことを挙げ、半世紀という1つの大きな節目のところで一緒にやっていけるのは嬉しく思うとした。そして次の半世紀に向けて、新しいアイデアをゲームやおもちゃに入れていくというのは斬新であると同時に、子供たちの夢やアイデア、創造性を鍛えていく、というメッセージを伝えているトミカの姿勢を尊敬し、それに見習って頑張りたい、と思いを述べた。
こうしたコメントを受けて、タカラトミーの吉原氏は「自動車の進化に合わせて、トミカも常に進化していく」とコメント。そうした目標のもとで新規プロジェクトがスタートしたと本企画の背景を明かした。これに加え、可能であればとした上で、トミカの遊びが実際のクルマに搭載されるという逆のパターンも作りたいと、将来に向けたトミカの目標も語られた。
発表会も終盤というところ、MCの笹川さんからの提案で、実際の商品を使って「スバル vs 日産」の対決レースが開催されることに。レース対決を快諾した五島氏は「じゃあ、やりますか」と、徐にスバルブルーのジャケットを脱ぎ、非売品かつ自作だという今回のスーパースピードトミカ「TEAM MONSTER SUBARU WRX STI」カラーのTシャツ姿に変身。スーツ姿の田村氏に対し、やる気満々の五島氏という開発責任者同士の白熱のレース対決が開幕した。
使用されたトミカはもちろん、それぞれが開発を担当した「TEAM MONSTER SUBARU WRX STI」と「TEAM SHINOBI NISSAN GT-R」の2台。レースへの意気込みを問われると、五島氏は「負けられない戦い」だとしてブランドを背負って頑張ります、と気合十分な姿勢を見せた。対する田村氏は余裕の笑顔も見せながらも自信はないとして、童心にかえって一生懸命叩きますと述べた。
ちなみにレース開始前に、笹川さんがレースに勝つポイントを吉原氏に尋ねると「スタート前にどれだけエネルギーを貯められるか」であるとして、スタートダッシュがカギになると明かした。
気になるレース展開は両者ほぼ同時のスタートダッシュから始まり、序盤から拮抗した展開の中、先にリードしたのは五島氏の「WRX STI」。このままスバルの勝利かと思われたところで、先ほどの言葉通り、一生懸命アクセルボタンを叩く田村氏の「GT-R」が凄まじい加速を見せオーバーテイク。そのままチェッカーフラッグを受けた。勝利した田村氏は思わず「勝っちゃった」とぽつり。わずか13秒ほどのレースだったが、抜きつ抜かれつの白熱したレース展開となった。
レースを終えて、五島氏は休日を返上しての自主練習が足りなかったと悔しい気持ちを滲ませた。また勝因を聞かれた田村氏は「世界のGT-Rファンが押してくれた」とコメントし、会場に笑いを起こした。レースを間近で見て笹川さんは、トミカは子供だけのものと思っていたが、パパたちが熱中する姿が見れそうだと新商品への期待感を述べた。
スポーツカーを支え続ける「トミカ」。次の50年も超期待!
45分ほどの発表会ではあったが、次の50年に向けたトミカの将来像の片鱗を感じることができた。若者の「クルマ離れ」が叫ばれる昨今、カーボンニュートラルの流れや環境規制の強化に伴って、今やスポーツカーは絶滅危惧種になりつつあるといっても過言ではない。そして何よりも問題なのが、スポーツカー、果てはクルマ自体に関心を持つ人が徐々に減ってきていることである。
こうした背景もあり、自動車各メーカーは対象年齢3歳以上と幼児から遊べる「トミカ」に対して熱視線を送っているという。今回、新プロジェクトのお祝いに駆けつけたのが各メーカーのスポーツカー開発責任者であることからも、そうした事情が窺える。非常に高価でなかなか買うことができないスポーツカー、そして日本ではなかなか見ることができないモータースポーツ。まずはミニカーの遊びを通じてクルマ自体を好きになってもらい、そしてTOYOTA GAZOO Racingの杉浦氏がコメントしているように、スポーツカーだけでなくレースにも興味をもってもらう、そうした活動において「トミカ」の重要性は徐々に増してきている。
「トミカ アドバンスプロジェクト」を掲げ、50周年を機に新しい技術を積極的に取り入れていくという「トミカ」。その第1弾の商品として「レース」をテーマにした商品を発表したのも、スポーツカーという文化を支えようとする姿勢の現われではないだろうか。
吉原氏はこれまでにもレースをテーマにしたトミカの商品はあったが、新しい技術を取り入れることで、よりトミカの遊びを長く楽しんでもらえる商品を提供したいとコメント。スポーツカーのレースシング遊びを提案する狙いを問われた際には「お子さんは今なかなかレースに馴染みが少ない部分もあるので、そういったところを商品を提案して、こういう遊びもトミカでできるんだ、クルマってこういう要素を持ってるんだ」という点をしっかりと伝えていくことで「将来的には実際のスポーツカーを好きになってもらえたら」と回答している。
今回の「トミカ アドバンスプロジェクト」と共に発表された「スーパースピードトミカ」は新プロジェクトの第1弾とのこと。スポーツカー、そしてクルマ文化を支える続ける「トミカ」の次なる50年の動きにこれからも注目したい。
©TOMY