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【静岡ホビーショー】女性の設計士が女性の目線で切り拓く、ウッディジョーの新機軸。「ヨーロッパの街並みシリーズ」がホビーショーに出展

【ヨーロッパの街並みシリーズ】

発売日・価格:未定

 静岡ホビーショーの常連メーカーにして、木製模型を長く展開するウッディジョーのブースに、これまでの製品とはひと味違う、現在開発中の新製品「ヨーロッパの街並みシリーズ」が参考出展された。

大小の木製模型が並ぶウッディジョーのブース

 ウッディジョーといえば、過去の静岡ホビーショーでもレポートしているように、プラスチックが模型の主流となる以前の、素材に木を使った模型を現在まで展開していて、精巧に作られた歴史的な建築物や船などをリリースし、ファンを喜ばせてきた。近年は木の模型に触れたことのない人でも楽しめる、製作の難易度が低めの商品もリリースし、新たなユーザーの獲得にも積極的だ。

新作の「1/100 安宅船」。発売中。価格は41,800円(税込)。日本の中近世の軍船で、この船は箱形の船体の上に城のような櫓が存在する
「1/50 日光東照宮 陽明門」。発売中。価格は74,800円(税込)。過去に発売したキットのリニューアル版で、金属部分にはエッチングパーツを採用

 今回の静岡ホビーショーでは、これまでのラインナップとはひと味違う、開発中の新作「ヨーロッパの街並みシリーズ」が展示され、来場者の注目を集めていた。その名称通り、イギリス、イタリア、ドイツなどのヨーロッパの街に見られる家屋を木製模型に落とし込んだもので、これまでは主に和風建築を手がけてきた同社の新機軸ととなるキットして、商品化に向け開発が進められている。

「1/80 ヨーロッパの街並みシリーズ」。発売日、価格は未定。左から「イギリス」、「イタリア」、「ドイツ」となる

 この商品の開発を手がけているのは、同社の設計士の柴田紗美氏。「1/75 法隆寺 夢殿」など、同社らしい精巧な作品を開発する一方で、女性ならではの目線で、安価で作りやすい「東海道五十三次シリーズ」などの設計も手がけている。過去にイタリアへの留学経験があるそうで、今回の新作にはその経験を生かし、国ごとに異なる建築の特徴を盛り込んでいる。

 もちろんキットは木材が主役となり、その味わいも残しているが、新たな表現方法も模索している。例えば茅葺き屋根には木粉粘土を採用して独特の凹凸を表現。その壁には漆喰のように仕上がる塗料を塗って、実物の壁の質感に近づけている。こうした表現ができる素材をキットに同梱するか別売りにするかは検討中とのこと。

「1/80 ヨーロッパの街並みシリーズ イギリス」。300年以上前に建てられた家屋をメンテナンスし現在も使われている
同社の茅葺き屋根はこれまで麻紐を切って作る仕様だったが、難易度が高いという声を受け、木粉粘土とパウダーでの表現を採用した
「1/80 ヨーロッパの街並みシリーズ イタリア」。地中海をイメージさせる石造りの家屋
石壁は漆喰で塗り固められていて、模型では特殊な塗料でそれを表現している
「1/80 ヨーロッパの街並みシリーズ ドイツ」。ロマンティック街道など、ドイツの観光地に建つ木組みの家
木の素材を生かした家屋。屋根はレーザーカッターで波形にカットされたパーツを貼り合わせている
窓や外灯などに電飾が施されていて、これは実際の商品にも採用したいとのこと。細かなストラクチャーももちろん木製だ

 サイズは1/80スケール。手頃感もありながら、ボリュームも持たせたギリギリのサイズで、鉄道模型のHOゲージに近いサイズで一緒に楽しむことも考慮されている。もちろん、木製模型の経験がない人にも作れるような設計を意識して開発が進められている。具体的な仕様が決まって商品化に至るにはもう少し時間かかかるそうだが、木製模型の新たな方向性には大きな期待がかかる。模型ファンとして何か希望や要望などがあれば、TwitterやFacebookなどから声を届けてみるのもいいかもしれない。

開発担当の柴田氏は、家屋にスケールを合わせた自らのフィギュアを並べて商品のアピールをしていた