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「スナップキット」の技術を活用しつつ、1/24の本格表現を実現するアオシマの新プラモ「スナップカー」始動!【#静岡ホビーショー】

【第62回 静岡ホビーショー】

開催期間:5月8日~12日

会場:ツインメッセ静岡

(静岡県静岡市駿河区曲金3-1-10)

入場料:無料

 アオシマの新戦略が「スナップカー」である。組み立てやすさと満足をもたらす質感を両立させたアオシマの「スナップキット」は、「カープラモデルの革命と言える」存在だ。その技法を盛り込んだ上で、より"本格"を求めるユーザーにどう答えるか? アオシマの解答が「スナップカー」である。今回、担当者に話を聞けたので、この新戦略を紹介したい。

「スナップカー スカイラインHT 2000GT-R 1970」、レッド、ホワイト、シルバーの3色で、6月発売予定、価格は3,740円

 まず企画のスタートである「スナップキット」から紹介したい。スナップキットは従来のカープラモデルの敷居を劇的に下げた商品だ。内装部分をワンパーツで表現、外装も極力パーツを少なく、思いっきり初心者向けの設計にしたのが「スナップキット」の特徴である。

 しかしそれだけではファンは獲得できない。「スナップキット」の最大の魅力が「完成品がカッコイイ」ところである。その秘密は「磨き上げられ、塗装なしの成型色でも美しいボディ」、「シルバーメッキパーツのアクセント」、「細かい塗り分けをシールで表現」といったポイントだ。

 これらが効果的に機能することで、塗装必須、細かい組み立てが必要だった「本格カープラモデル」と、「簡単に組み上がる子供向けプラモデル」のいいとこ取りが出来、「手軽に本格的な質感をモツカープラもができる」という、新しいファンをたくさん獲得するヒット商品となった。弊誌でも何度か「スナップキット」を取り上げているが、簡単組み立てで、本格的なカープラモが組み上がる感触は、ぜひ体験して欲しい。

 しかし「スナップキット」は、出来がいいからこそ「もう少し本格的な商品が欲しい」というユーザーの欲求を生み出した。できるだけ簡単に、しかし仕上がりは本格的に。何より、「スナップキット」は"小さい"のである。カープラモデルの主流であり、実車の魅力を表現する本格カープラモデルのサイズは「1/24」、しかし、「スナップキット」は「1/32」であり、表現、大きさともに、「ちょっと物足りない」のである。

 「スナップカー」のサイズは1/24、まさにユーザーの要望に応えるサイズだ。その上で担当者は「スナップカーは、大きくなったスナップキットではありません」と大きく宣言する。その軸足はあくまで実車の魅力を精密に再現し、実車を前にしたような感触が味わえる「本格カープラモデル」にあるという。スナップキットの手法のまま拡大化した商品ではなく、スナップキットの利点と人気のポイントを分析した上で、本格カープラモデルにその手法を盛り込んだものが、「スナップカー」だというのだ。

 そのベクトルはパーツから見ることができる。内装は1パーツ、車体の組み立てパーツも極力減らして作りやすさを追求。しかし「作りやすさ」、「生産しやすさ」に引っ張られすぎず、どうすれば「実車らしさ」を盛り込むか、いくつかのこだわりを込めている。1つが「シートの別パーツ化」。内装を従来のように1パーツで打ち出すと、シートが直角になってしまうが、シートを別パーツ化することで実車らしい座りやすい角度のコクピットを表現できる。

部品点数を減らしながらユーザーが求める表現をどう実現するかを考えたパーツ構成
車内はほとんど1パーツ、シートを別にすることで、シートの角度をきちんと描写
足回りのパーツもできるだけシンプルに
ただ少ないだけでなく、前輪は曲がる構造に。表情付けも大事な要素だ

 また、シャフトを通すだけだった車輪の表現は、複数のパーツでしっかり足回りを表現している。後輪はシャフトによってシンプルな表現をしているが、前輪は回転機構はオミットしたが、両輪が連動して曲がるギミックを搭載。ハンドルを切ることで表情が出る車の表現を実現している。ハンドルを切った表現は「スナップキット」では出せなかった描写である。曲がることでダンパーなど内部部品がチラリと見えるのもアピールポイントだ。

 そしてボディである。メッキパーツを効果的に使うことで未塗装でも実車のような表現ができた「スナップキット」の良さを踏襲しつつ、パーツ分割を細かく、ポイントを抑えた表現にすることで情報量を増やし、質感をさらにあげている。足回りの塗り分けはシールではなく、別パーツで表現、グリルの細かい表現などもパーツを組み合わせることで、シールを使わず実車らしい表現を実現している。

 ドアノブや、給油口、マークなど効果的にメッキパーツを使うことで、接着剤を使わず、無塗装で雰囲気があるボディが組み立てられる。シールで補っていた「スナップキット」から、より本格的な表現をできるだけ手軽に実現しているのである。

シルバーメッキパーツを効果的に使うボディ
塗り分けをパーツ構成で。給油口など特徴をきちんと押さえる
サイドミラーや、グリル、ライトなど、従来のプラモデルと、「スナップキット」で得た技術を融合
ハンドルを切った表現は本商品の大きな魅力

 繰り返しになるが従来のカープラモデルはハードルが高いところがあった。ボディも含めすべてのパーツは塗装が前提の成型色。車体の複雑な構造をしっかり体験するための実車と同じような複雑で緻密なパーツ構成。まさにモデラー向けの、「プラモデル技術の高さが、完成度を決める」と言う方向性であり、限られた人だけが実現できる世界だった。もちろんその楽しさ、プラモデルの楽しみ方は大きいのだが、「手軽に車の模型が欲しい」というユーザーにいかに答えるか、そこに目を向けるのがアオシマというプラモデルメーカーなのだ。

 まずハードルは下げつつ、質感を追求した「スナップキット」でヒットをさせたアオシマは、次の作戦としてより本格的な完成形を、「スナップキット」の成功例から学び取り入れた新しいフォーマット、それが「スナップカー」である。ベクトルそのものは「実車再現」であり、ユーザーの声に応える手軽さを求めていく。パーツ分割は塗装派の塗り分けにも応える形になっており、こだわりのユーザーのためにシールだけでなく、水転写でカールも同梱されている。様々なユーザーに応える要素も盛り込まれているのだ。

塗装品と未塗装品の比較
こちらは塗装したもの
こちらは未塗装とシール。仕上がりの良さがわかるだろう
今後のラインナップ

 「スナップキット」の優秀さは組み立てることで実感することができた。「こんなカッコイイ車が、こんなに簡単に組み上がるのか」という驚きは、やはり楽しい。「スナップカー」はさらに質の高い完成形を、手軽にくみ上げることができる商品となる。今後の展開にも大いに期待したい。

会場では実車も展示。商品の表現力を見て欲しいとのこと