レビュー
アオシマ「ザ・スナップキット ニッサン R33スカイラインGT-R(ブラック)」レビュー
簡単に組み立てられるハイクオリティプラモデル
2022年12月2日 00:00
- 【ザ・スナップキット ニッサン R33スカイラインGT-R(ブラック)】
- 11月19日発売
- 価格:1,980円(税込)
- スケール:1/32
- パーツ数:25
アオシマの「ザ・スナップキット」はぜひ触ってもらいたいプラモデルシリーズだ。「トヨタ86」や「スズキ ハスラー」さらには往年の名車「ニッサン スカイライン 2000GT-R」など様々な車をプラモデル化している。
本シリーズの大きな特徴は"スナップキット"という名前の通り、接着剤不要の簡単組み立ての初心者向けプラモデルでありながら、組み上がった姿は完成品モデルのミニカーのような満足感の高い物になるところだ。光沢を放つ美しいボディ、質感のある外装、緻密なディテールの入った内装やホイール……。モデラーがしっかりとそうしたような質感を実現している。
従来の「初心者向けプラモデル」は、ディテールが簡素だったり、質感がチープだったり、「簡単なプラモデル」という商品も少なくないが、「ザ・スナップキット」は違う。モデラーが完成度を上げることが前提の従来のプラモデルと大きく違う、誰でも簡単に高い完成度を持ったカーモデルを手にすることができることを目指しているのだ。
「ザ・スナップキット」は多くの人にオススメしたい新しいプラモデルだ。今回は発売されたばかりの「ニッサン R33スカイラインGT-R(ブラック)」を組み立て、その魅力を紹介していきたい。
なお、アオシマは現在メッキ製のボディが付属した特別キットをもらえるキャンペーンを行っている。下記リンクで詳細を確認して欲しい。
電子制御が進化! 「マイナス21秒のロマン」と名付けられた4代目GT-R
プラモデルを組み立てる前に簡単にモチーフとなる「R33スカイラインGT-R」を紹介しよう。R33スカイラインは1993年8月にデビューした9代目のスカイライン。「スカイライン」は日本の車を代表するブランドの1つだが、その最初は富士精密工業の1957年の主力車両に付けられた。その後富士精密工業はプリンス自動車工業と名前を変え、さらには合併により日産となる。その中でも現代でも途切れず「会社を代表する車」としてスカイラインの名は引き継がれている。
そしてGT-Rは「GTレーシング仕様」を現すグレード。自動車レースに出場できる最大性能を持つエンジンや、様々な装備品を搭載した「一般ユーザーが手に入れられるレース車」であることを示す。「スカイライン GT-R」は日産の最高のレーシング仕様のスポーツカーであり、多くのドライバーが憧れる存在なのだ。
「R33スカイラインGT-R」は、GT-Rとしては4代目に当たる。R33はスカイラインとしては大型のボディを持っている。このため先代と較べて運動性が低下が懸念されたが、このボディにより高速の安定性が向上した。
そしてエンジンに関しては型番こそ先代と変わらないものの、最大トルクが向上している。そして大きな特徴は「電子制御」にある。エンジンマネージメントの為のコンピューター性能を向上、リヤデフも電子制御が実装された。
こういった様々な改良が加えられた「R33スカイラインGT-R」のプロトタイプはドイツのニュルブルクにあるサーキット「ニュルブルクリンク」でのテスト走行でラップタイム7分59秒を記録、先代のGT-Rの記録を21秒も更新した。先代以上の走行性能をアピールするため、市販時には「マイナス21秒のロマン」というキャッチコピーが付けられた。レースでも活躍し、先代に続き全日本GT選手権に参戦、さらにル・マン24時間レースにも参戦しその知名度を上げた。
「R33スカイラインGT-R」はその高速の安定性、最新の電視制御を大きなアピールポイントとして当時のドライバーの憧れの的となった。この「R33スカイラインGT-R」を日産のチューニングチーム・ニスモがチューニングしたコンセプトカー「ニスモ400R」は伝説の車として、先日の国内オークションで1億円以上の値が付けられたという。
パーツ数を抑えシールで質感を大きくアップ、誰でもハイクオリティな完成品を手にできる!
いよいよ「ニッサン R33スカイラインGT-R(ブラック)」を組み立てていこう。「ザ・スナップキット」はパーツは少ない。ボディ、シャーシ、内装、ガラスはすべて1パーツで構成されていて、ライトやフロントグリル部分の分割があるくらい、パーツ数は全部で25パーツである。
「ザ・スナップキット」の大きなセールスポイントはボディである。なめらかな光沢を放つボディは他のプラモデルの部品と異なるリッチな雰囲気をもたらしている。「ニッサン R33スカイラインGT-R(ブラック)」は艶やかな黒いボディとなっていてパーツを手にすると独特の高級感がある。。
これにシールを貼っていく。シールはメタリックな質感でボディやグリルに映える。非常に細かいためピンセットが必須だが、耐久性が高いため張り直しもできる。このシールによりキットの高級感がグッと増すのだ。塗装せずにキットが実車のような雰囲気になるのはこのシールの働きが大きい。
ガラス部分はクリアパーツ。プラモデルでの窓枠の塗装にはマスキングなどが必要となる場合があるが、本商品はシールを貼ることで窓枠部分がしっかり表現できる。そのままボディにはめ込む簡単設計だ。
フロントライトやバックライト部分には銀のメッキパーツが使われており、シールと合わせることで本物のライトのような光沢が楽しめる。またフロントグリル部分のモールドの細かさにも注目して欲しい。ボディと合わせることでキリッと締まった表情を見せてくれる。リヤ部分も情報量が多く、眺めていて楽しい。
続いては内装部分だ。「ザ・スナップキット」はシートやインパネ、シフトレバー回りなど複雑な内装をワンパーツで再現。内部に織り込むことでバスタブ型の内装がすぐに完成する。インパネにシールを使用しているので質感もきちんとあり、組み立てた後にガラス越しに内装をのぞくのも楽しい。
内装をシャーシに接続し、シャーシにシャフトを通してタイヤを接続、後はボディをかぶせれば完成だ。ホイールは銀色に塗装されていて足回りのアクセントになっている。車高を低めにする「ローダウン」の組み立ても可能だ。
「ニッサン R33スカイラインGT-R(ブラック)」はゆっくり作っても1時間ほどで組み立てられる。初めてだとシールの貼り付けがちょっと手間取るかもしれないが、シールは耐久度が高く、数回剥がして張り直しても破れない。
簡単な工程でミニカーのように質感とディテール、見栄えの良いカーモデルを誰でも作れるのが「ザ・スナップキット」の良いところだ。従来のプラモデルは細かいパーツ分割により、内装や車の構造を再現している一方で、ボディは白の成型色だったりと、塗装をしなければ実車に近づけた雰囲気にはできなかった。
ホビーショーで「ザ・スナップキット」の開発者と話をしたことがあるが、本シリーズはあえてカッコイイ完成形を設計した上で、どこまでパーツ分割を少なくするかを考えていったとのこと。目指す質感をできるだけ少ないパーツで実現するか、そのためには塗装済みパーツやメッキパーツ、シールなどをどう活用するか、こういった従来のプラモデルにはない発想で商品を企画したとのことだ。
簡単な組み立てでカッコイイカーモデルが作れるのは、本当に楽しい。次ページでは様々なアングルから完成品の魅力に迫りたい。