レビュー
「ナノブロック キャラナノ:エヴァンゲリオン 2号機」レビュー
極小ブロックで4つの目や角もしっかり再現されたエヴァ2号機
2020年6月12日 10:55
ジャンル:ブロック玩具
発売・開発元:カワダ
価格:1,800円(税別)
発売日:4月25日
全高:10.8cm
ピース数:300
「ナノブロック」は指先に乗るほど超ミニサイズのブロックを採用した大人向けのブロック玩具で、10年で3,800万個を販売したというヒット商品であり、現在のカワダの主力商品の1つとなっている。
ナノブロックの大きな魅力は、最小で4×4×5mmという非常に小さなブロックを使って完成する立体は手のひらに乗るぐらいの大きさで、コレクションしやすいサイズであるとともに、従来のブロック玩具ではできなかった繊細な表現やドット絵のような表現も可能としているところだ。商品ラインナップも建物や乗り物、動物などの一般的なものから、アニメやゲームのマニアックなキャラクターまで揃っていて、幅広いファンを獲得している。
今回は特別企画として、4月に発売された「ナノブロック キャラナノ:エヴァンゲリオン 2号機」の組み立てレビューをお届けするとともに、カワダのナノブロックシリーズ担当者にQ&A形式のインタビューを敢行し、今時のブロック玩具の気になるポイントを伺った。
懐かしくも新しい、ブロックでキャラクターができあがっていく喜びを味わえる
ナノブロックで展開されるアニメやゲーム、特撮などのキャラクターをモチーフとしたシリーズは「キャラナノ」のカテゴリーにて展開されている。今回の「キャラナノ:エヴァンゲリオン 2号機」はもちろん「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」より、式波・アスカ・ラングレーが搭乗する人造人間エヴァンゲリオンの2号機がモチーフである。
赤色が印象的な機体で、第7使徒を単独で撃破するシーンや、第2形態のザ・ビーストへ変身する様は鮮烈であった。TVシリーズに登場した「弐号機」とは、色味や頭部の形状などが異なっているのも特徴だ。
この「キャラナノ:エヴァンゲリオン 2号機」は、完成した状態で高さ約11cmと、ナノブロックシリーズの中では比較的大きめの部類に入る。ブロックで構築するにあたり、若干のデフォルメが施されているのも面白いところだ。2016年に発売された「エヴァンゲリオン初号機」は劇中に近いスマートな体型だったが、こちらはデフォルメにより頭部を大きくしてその形を作って楽しめるような設計となっている。
公式の組み立て難易度は5段階中「3」で、約300ピースを使用している。かつて筆者も、プラッツのブランドで発売された「ナノブロック ロックマン」を組み立てたことがあるのだが、今回はそれよりも数はずっと多く、組み立て手順も多いものであった。
ナノブロックはプラモデルとは異なり、ブロックが番号で分けられていないため、組み立てるときは説明書の図からブロックの色と形を見て取り出す必要がある。この製品では50種類以上のブロックがあり、大まかな形と色で5つの袋に分けられている。袋のままだとパーツを取り出しづらいので、適度な大きさの箱やトレーなどに移しておくといいだろう。できれば写真のような仕切りのあるツールボックスなどを用意すると、ブロックをさらに見つけやすくなると思う。
組み立てていて面白いと思ったのは、ブロックを積層状に積み上げていく過程だ。各部位のパーツはブロックを特定の形に並べて、その上に乗せるように組んでいくと、下のブロックが固定され、あとは上にどんどん積み重ねて、場所によっては下側にも組み付けることで、1つの部位が完成する。最後にそれらを組めば完成するという具合だ。
プラモデルとはずいぶん違った工程で、小さなブロックを少しずつ組み立てていくと、だんだんその形になっていく感触はちょっとクセになりそうだ。パーツの切り出しなども必要なく、ブロックの特性であるバラしたり、別のものに組み替えたりするという遊びができるのも、プラモデルにはない魅力だ。
完成後の見た目も、エヴァ2号機の特徴を上手く捉えていて、ブロックで構築された記号的な面白さがある。これ以上詳細なルックスを追求するとなると、完成体が大きくなってしまう可能性もあり、そうなるとナノブロックで作るのは厳しくなりそうなので、これがベストな大きさとデフォルメ感なんだと思う。武器などはないが、予備や他の製品のブロックなどを使って作ってみるのもいいだろう。
開発者のオススメポイントは? ショートインタビュー
今回レビュー執筆の後、開発者にメールインタビューを行ない、こだわりなどを聞いた。ナノブロックに落とし込む指標や、組み立てのコツなども聞くことができた。
Q:ナノブロックで新たな商品を作るにあたり、どのような手順でデザイン、設計をするのでしょうか
A: まず、モチーフとなるもののあらゆる角度からの画像や図面等をかき集めて立体のイメージを作ります(頭の中で)。模型がある場合な模型も参考にします。次に決めるのが、商品価格に合わせて大まかな完成サイズを決めることです。
ここからブロックで実際に組み立て開始します。最近では専用VR ソフトを使用して、VR 上で組み立てることも多いです。この段階では、まず外観のみを重視して組み立てます。この作業で何度か修正を繰り返した後、外観が満足いくものに仕上がった段階で、部品の構成(組み立て強度や組み立て易さ、余計な等)を考えながら再度同じ形状に組み立てていきます。
一応の完成形ができた時点でコストを算出します。コストが見合えばモデリング終了。見合わない場合は再度商品サイズから考え直していきます。
Q:新商品デザインをするとき、既存のブロックを使うことを基本とするのでしょうか。それとも新しい形のブロックも積極的に取り入れていく方向性ですか?
A: 既存ブロックを使用することが基本です。
Q:毎回のデザインにおいて、こだわっているところはどこでしょうか?
A: モチーフを忠実に再現するのではなく、特徴を捉えてナノブロックならではのデフォルメ表現を施すこと、です。
Q:このエヴァ2号機のこだわりのポイントは?
A: 特徴的な4 つの目の表現です。またスタイルについても初号機ほど猫背にならないようにしています。
Q:カタログスペックにある「難易度」はどういう基準で設定しているのでしょうか?
A: 使用部品数や部品種、組み立て方法、完成サイズを総合的に加味して設定していま
す。
Q:ラインナップはどのようにして決めるのでしょうか?
A: キャラクターに関しては映画公開や周年等のノイズに合わせてチョイスしています。また、他社様の商品の売れ行き等も参考にしています。
Q:これまで手がけられた中で、お気に入りのデザインの商品はどれですか?
A: 「東京スカイツリー」、「姫路城スペシャルデラックスエディション」、「キャラナノ アグレッシブ烈子」、「葛西臨海水族園限定のクロマグロ」です。
Q:作るときのコツなどがありましたら教えてください
A: 組み立ての際にブロックが浮かないように、しっかり嵌合させて作ると仕上がりが綺麗になります。専用ピンセットやナノブロックパッドといった組み立てをサポートする商品もありますので、ぜひ活用してみてください。
Q:ホビーファンに向けて一言お願いします。
A: ナノブロックにはフィギュアやプラモデルとはまた違った楽しさがあります。まだ遊んだことがない方には是非一度手にとって、作ってみてもらえると嬉しいです。
リアルなプロポーションを求めるプラモデルやフィギュアとはまた違った魅力があり、子供の頃に作って遊んだブロック玩具の懐かしい感触も味わえるこの「ナノブロック」。開発者の話す「ブロックならではのデフォルメ表現」は、実際に完成させてみることで理解できるポイントでもあるので、好みのキャラクターなどが見つかったらぜひ一つ作ってみて、手のひらの上で眺めて楽しんでみてほしい。
(C)khara