レビュー

プラモデル「タミヤ 1/24 ロードスターRF」レビュー

自分の乗りたい車を組み立て、塗装する喜び。セクシーな実車のラインを見事に再現!

ジャンル:プラモデル
発売元:タミヤ
発売日:3月28日
価格:3,200円(税別)
スケール:1/24
全長:16.4cm

 いつもガンプラを素組で組んでいる筆者。ここ最近のコロナ自粛を機に「ちょっと時間あるし、もう少し気合入れてプラモデル作りたい。いつもはやらない塗装とかもやって……」と思っていたところ、「ならタミヤのスケールモデルはどう?」とアドバイスをいただき二つ返事で飛びつかせていただいたのが発売されたばかりの「タミヤ 1/24 ロードスターRF」である。

 1995年のMGシリーズ発売以降はずっとガンプラメインで作っていたのだが今回のアドバイスを機にスケールモデルにチャレンジできることになって「今ならいい機材も環境あるし、昔は塗ったらそれっきりだった塗装や細かいパーツ処理もじっくり綺麗に仕上げられるのでは……」と制作への意欲がどんどん沸き上がっていった。

【過去に作ったタミヤのプラモデル】
20年以上保管していた「タミヤ 1/20 マクラーレン フォード MP4/8」。久しぶりに箱から出してみたがさすがに色褪せてきている。これを見ながら当時はAmazonなどの通販で取り寄せる、という習慣じゃなかったなぁとしみじみ思い返す……

 「タミヤ 1/24 ロードスターRF」を選んだのは、大好きなオープンカーであること。気に入ったカラーで塗り上げてみたかったからだ。そして”もし自分がコレに乗るならこうカスタマイズするかも?”という想いを実現したかった。

 実車ロードスターRFは2016年末に発売開始した。”RF”はリトラクタブル式ハードトップでファストバックスタイル(ルーフから車両最後端までなだらかに傾斜していく形状)を意味しており、このキットはそのセクシーなラインを見事に再現している。スポーツカーといえばオーナーがクルマをパーツ交換などで自分色に染めていきたくなるわけだが、筆者のプランを実車の1/24スケールではあるが想像を膨らましながらキットを制作し、レビューしていきたいと思う。

【パッケージ】
タミヤ 1/24 ロードスターRF

すばらしい造形美と巧みな設計でセクシーなボディと作りやすさを実現した好キット

 それではさっそくキットを見ていこう。パッケージを開けると1ピースで成形された大きなボディと4つのゴムタイヤ、大き目なシャシやキャビンがランナーにどかっと構成された構造物類のランナーが目に飛び込んできて「あ、タミヤのいつものやつ!」的な内容である。

 成形色は白と黒、およびクリアーとメッキである。接着剤も使うし塗料も別途必要になる。そう、いつもガンプラを作っているとさすがに面食らってしまうかもしれないが自分のイメージ通りの色や形で作っていく。プラモデルってそもそもそういうものだし、白無垢のボディが彩られていき完成した時の達成感と充実感は格別なものだ。

【商品構成】
タミヤ 1/24 ロードスターRF 商品構成

 ボディはどうやって型抜きしているのか毎度その技術に感動させられる。ボディ以外のランナーの状態を見るととても細かくパーツ分割されているようで部分塗装も含めて作りやすそうだ。もちろんガンプラほどカラー単位でパーツ分割されているわけじゃないので塗り分けは必要になる。

【各パーツ】
ガンプラと違い、カーモデルだとランナー数はそんなに多くないが塗り分けが必須となる。TechTips!にはプラモデルの作り方が解説されていてとても親切だ

組立説明書と車両解説書を読んでどういうクルマに仕上げるかを考える。

 ここまでキットの様子を見てくると沸々と完成形のイメージが見えてきた。今回の制作プランとしてはタミヤスプレーとタミヤカラーを使って見える部分を重点的に作業することにして隠れるところはあっさり仕上げとして進めていこうと思う。

 組立説明書の指定より色数を絞ることで時短作業になるように心掛け、その配色は自分の感性ということでやってみたい。そして外装はセクシーなボディラインを際立たせるために光の反射と陰影を求めてメタリックカラーを選択し、内装は”自分だったらこうカスタマイズする”という制作プランにしてみた。

【今回利用した塗料】
スプレーでブラックとガンメタリックを使用。ボディを光沢のあるガンメタリックで仕上げた。アクセントとなる赤も2色用意したほか、"素材感"も塗装で表現できるように塗料を選んだ

タミヤスプレー
 TS-18 ブラック
 TS-38 ガンメタリック
タミヤカラー(アクリル)
 X-1 ブラック
 X-27 クリヤーレッド
 X-31 チタンゴールド
 X-32 チタンシルバー
 XF-7 フラットレッド
 XF-16 フラットアルミ

 まずは仮組みしてみた。ガンプラじゃないのでさすがに素組で完成というわけには……いかなそうだ。実車を見たことのある筆者が「マツダの塗装やっぱりすごい!」と感じたイメージどおりで塗装しないと感動も達成感もないことは容易に想像がつく。

 そこで今回のボディーカラーはパッケージのイラストにもなっている、実車では「マシーングレープレミアムメタリック」と名付けられているが組立説明書によると「TS-38 ガンメタリック」とされているのでそれを使ってみることとし、シャシなどのボディ下面側は「TS-18/X-1 ブラック」で統一させることで時短制作を考えてみたい。

 実車では”S”グレードを基準として”VS”、”RS”グレードが設定されている。”VS”グレードはラグジュアリーな内装を施された大人なグレード、”RS”グレードは専用ホイールや専用ダンパーなどを装備してよりスポーティに仕立てられたグレードという分け方になっている。今回は”VS”グレードをベースにして”RS”グレードの専用ホイールや専用ダンパー、別のシートに入れ替えるといった”実車でもありえる”カスタマイズを施すという制作プランだ。

【”RS”グレードを再現】
キット自体はロードスターRFの専用ホイールや専用ダンパーなどを装備した”RS”グレードを再現する

 さて、今回この「ロードスターRF」を選んだのは筆者が”オープンカー”が大好きなのが要因のひとつだった。オープンカーはその名の通り屋根が開けられるのだが、屋根を開けて走ると風が心地よいのはもちろんのこと、エンジン音や鳥の鳴き声など環境音が直接聞こえてくるのも自然を感じられて素晴らしい。そして日中であれば暗くなりがちな車内に自然光が入り込むことでキャビンのディテールが明確になって何気ないドライブがとても楽しくなる。一度乗るとなかなかやめられない、それがオープンカーの醍醐味だ。

 前置きが長くなったが、このプラモデル版「ロードスターRF」ももちろんオープン状態で制作することにする。オープンでないモデルだと完成してしまえばキャビンを見ることがほとんどなくなると考えたからだ。そしてキャビンを見るためには内装も特別なことをしてみようと考え、”VS”グレードをベースにするというプランになった。

【どう作ろうか?】
内装の制作プランは決まった。塗り分けする場所と方法を模索する

 ホイールはメッキ塗装を考慮したと思われる”アンダーゲート”方式を採用していた。これは塗装がしやすくて嬉しい配慮。ただ少々食い込み気味のアンダーゲートなのでパーツ面にある部分はきれいにカットしておこう。

【アンダーゲート】
塗装してからこのでっぱり(ゲート跡)をニッパーでカットするだけできれいな仕上がりになる

 ダッシュボードは細かなスイッチまでモールドされていてリアリティ抜群。今回のプランでは”VS”グレードの中でも内装カラーを”Burgundy Selection”ぽくしてみたいと思う。このバージョンのダッシュボードが上下で色が違うのが筆者の心を鷲掴みにしたので”VS”グレードベースになった。

【組み立てと部分塗装】
塗り分けを再現するためにはマスキングテープによって部分塗装を施す必要がある

 ミラーをはじめ、いくつかのパーツは目立たない、もしくは接着する部分にゲートがきていて設計に配慮が見えてうれしい限り。きれいに処理できそうだ。

成形色が白なので塗装して切り出したらレタッチを忘れずに

 そしてこれは”本来は”エンジンとギアボックスの部分だがフロントサブフレームしかなくてエンジン本体が無い……タミヤの1/24スケールモデルは他の車種でもそうだがエンジンレスでモデル化されることが多い。

 確かにボンネットは開かないし見えない部分ではあるが”クルマの構造”をこういうところで学びたい筆者としては少々残念。

ギアボックスも中空になっている

 ステアリングやブレーキ周り、マフラーも真っ白で塗りがいがある。ポイントを押さえれば完成した時にアクセントとしてバシッと目に入ってくるだろう。

ロードスター用のホイールとシートもあるので、ホイールは別カラーにしてみると印象をガラッと変えることができる。実車のような”カスタマイズ”も可能だ

 ドアハンドルまで別パーツだった。ボディと同色なので今のうちに接着しておこう。

別パーツ化されたおかげでこのディテール感が出せている。興奮して鼻息で飛ばしたら紛失間違いなし

 ペダルもこの通り。今回は日本仕様で制作するので右側に設置する。基本的にブラック系の指定だったのでこの時点でシャシに接着しておいてまとめて塗装する。

ガンプラとはちがって接着する位置を決めるガイドはダボやモールドくらいしかないので入念に位置合わせを行なっておこう

 塗装を開始する際に”持ち手”が必要になるのでランナーごと大きく切り出す。ここから色分けで分類して塗装していく。

ステアリングとコラムは接着しておけそうだ

準備完了、組立開始。まずは塗装から始める。

 塗装ベースに設置していよいよ塗装開始。白黒パーツが一瞬で真っ黒に。今回工程簡略化のため黒系はすべて「TS-18/X-1 ブラック」で統一させた。もう戻れなくなった。やるしかない!

【スプレーで一気に塗装】
ちょっとバタバタした印象になってしまった。半つや消しのトップコートを吹くと落ち着くかもしれない

 ビン入り塗料で塗装する際はよくビン内をよくかきまぜる。かきまぜる棒はランナーの余分な部分を切り出したものでOK。ビン入り塗料はそのまま使うと少々濃いので塗料の仕様(アクリル/エナメルなど)に合わせた溶剤を用意して用途に合わせて薄めよう。とはいうもののこの薄め方がなかなかむずかしい。トライ&エラーで感覚をつかむしかない。

【ビン入り塗料】
かきまぜずに上澄みだけを使うテクニックもあるのと、ビンを大きく振ってふた裏についた塗料を筆にとるという方法もあるので細かいレタッチはそれでもいいだろう

 シートは筆者の強い思いから真っ赤なレカロシートにしてみたかった。ガンメタの渋いボディの中につや消しレッドの華やかなシートが映えると思ったし、キャビン内がブラックなのでそのコントラストはスポーツカーのイメージにもぴったり合うだろう。筆者が実車のオーナーになっていたらこういうカスタムをしていたかしれないと思ったのだ。

 まず筆塗りで軽く「XF-7 フラットレッド」を塗る。始めはムラができるがつや消し成分のせいか乾燥するとそのムラが目立たなくなるので、乾燥後にもう一度上塗りして整える感じ。

【塗装を施す】
うん、華やか!下地にブラックを塗っておけばさらに深みのあるレッドにもできそう

 ガンプラの場合は色分けでパーツが設計されているのがほとんどだが、こういったカーモデルなどでは1つのパーツの中で部分塗りしなければならないことが多い。例えばリアのデファレンシャルギヤといったパーツの場合全体がブラック、中央のギヤケース部分がシルバーとなっているのでまず全体をブラックでスプレー塗装してからシルバー部分を筆で塗ってみた。シャフトにはみ出してしまったので筆塗りでブラックをちょんちょんとレタッチする。

 塗装の基礎的なところからいえばギヤケースの明るい色(シルバー)部を塗装してからシャフト部の暗い色(ブラック)を塗るほうがよい。これは”隠ぺい力”の違いでもちろんブラックが一番隠ぺい力が強いためだ。今回は塗装工程の簡略化のため他のブラックのパーツ全部をスプレーで塗装してあることと、あまり見えにくい部分であったこととシルバーの隠ぺい力も結構強かったのでこういう方法をとってみた。

下は裏側にあたる部分で接着面でもある。接着面は乾燥後に塗装を削ってはがす必要がある

 これはリアのアップライトと接続するアーム。こういった接続部も指定があれば部分塗装を施す。結果的にホイールの内側に入ってしまうのでどれだけ効果があるかは疑問だが、見えない部分をどれだけ作り込んでいけるかもプラモデル制作の楽しさの一要素。奇麗に塗れればそれだけリアリティが増す。

こちらも非常に細かい部分だが接着面は塗装をはがしておこう

 今回のこだわりポイント。クルマにはサスペンションというものが必ずついているわけだが、1/24スケールともなるとこういう表現になってしまう。しょうがないとはいえ少々残念に感じるディテールではある。可能であればスプリング部は削り落として本当のスプリングを入れたりしてみたいところだが今回のテーマとは少々かけ離れているので、そこは代替え案を用意した。

車体内側に入ってしまうので全然見れない部分ではあるのだが……

 いったん全体をブラックで塗装し、スプリング部をやすりで削って成形色の白を出す。そこにシルバーをちょんちょんと乗せていくと、こういったスポーツカーチューニングの基本「サスペンション交換」の雰囲気を出せそうだ。ここまでくるとサスペンション本体もブラックではないほうがそれっぽくなるがそれはまた別の機会にやってみたいとおもう。

これだけで全然雰囲気が変わる。効果絶大!

 ホイールにタイヤをセットして、ブレーキとアップライトを作る。非常に細かい作りだが組み上がるとすごいリアリティがある。中にポリキャップを入れるのを忘れないようにすることと、アップライト部は接着する部分が多いので塗装は要注意。見えにくいところなので塗装しないという選択肢もある。

今回は行なわなかったが、ブレーキキャリパーを別の色にすればチューニングしたかのように見せられる

 クルマの大事なパーツであるドライブシャフト。NDロードスターではこのドライブシャフトをカバーするようなトラス状の「パワープラントフレーム(以下、PPF)」と呼ばれるパーツが付けられている。

 PPFは初代NAからこのNDにいたるまでずっと採用されていて「マツダ・ロードスター=人馬一体」を体現するパーツだ。フロントのトランスミッションとリアのデフをアルミでできたPPFでつなぐことでデフの捩じれるような動きを抑制し、ダイレクトなドライブフィールを実現する。ここも部分塗装を行なってやると雰囲気ばっちり!組み上げるとそのメカニカルなたたずまいにおもわずカッコイイ!と言葉が漏れた。

PPFはマツダ・ロードスター以外ではRX-7(FD)やRX-8などにも使われている。製造工程やコストが大変になるようで、あまり採用例は多くはないようだがそれでもマツダのスポーツカーにずっと採用されているのはマツダのスポーツカーへの魂を感じさせる

 ヘッドライトの中は「ブラックアウト化」が必要とのことでどのように作業すればよいだろうか。ヘッドライト自体はメッキパーツなのでブラックアウトさせる部分をブラックで筆塗りし、はみだした部分は溶剤をつけた綿棒でふき取れば実現できるのではないだろうか。

写真ではわかりにくいかもしれないが、枠部分にはみだしたブラックをふき取っている。さらにメッキ状態での接着は難しいので該当部分はメッキを削り落とそう

 そしてボディ側のライト類の取付けポイントを確認しておく。ガンプラと違い設置するガイドが小さかったり、薄かったりするので注意が必要だ。必ず仮設置をしてみて位置を確認してからなるべく少ない接着剤で処理しなければならない。

 制作するハードルとしては結構高く、失敗するとクリアーパーツが汚れたりしてリカバリーが難しくなることもある。場合によっては接着・乾燥後に裏から覆うようにパテなどで裏打ちしてもいいかもしれないが、いつの日か実車のようにライト類はシャシ側に設置する形が標準になってくれるとクルマの構造も理解できて嬉しい。

【難しい部分】
メーカー様、ガイドをもう少し高く(深く)していただけると制作のハードルが各段に下がると思います。ご検討ください

 リアのコンビネーションランプはパーツ裏から「X-27 クリヤーレッド」で塗る。

2回ほど塗り重ねるほうがいいようだ

ボディの塗装はカーモデル制作のメイン。タミヤスプレーの発色が素晴らしすぎる。

 そしていよいよボディを塗装していく。ボディには持ち手を接続する部分がないので裏側に養生テープやマスキングテープを貼って持ち手がつかむ部分を作る。持ち手をベースに接続すれば塗装面を汚すこともなく奇麗に塗装できる。

 一応、ボデイは中性洗剤で洗っておいた。最近ではあまりこういうことは行なわれていないようだが洗うと静電気やほこり、手指の脂分も除去されて手触りが全然ちがうので面積の大きなボディは塗装前に洗ってみることをオススメする。

【ボディの塗装】
持ち手やそれを刺して固定できるベースなど今はいい部材がある

 まず軽く色が乗る程度に全体をスプレーし、乾燥させたら表面がざらざらするのと細かいほこりなども付きがちなので2000番のペーパーをかけて慣らしてから本番塗装をする。ある意味サーフェイサーのような塗り方をしてみた。今回はなるべくお手軽に塗装したいのでそういうやり方にしてみたがタミヤスプレーの発色も素晴らしく、うまくいったのではないだろうか。

一度目のスプレー。一見これだけでもよさそうに見えるが、ざらざらしているのでペーパーで慣らす
今回はクリアーコートなどは施さないが、タミスプレーだけでここまでキレイにできる

 ボディには窓枠などブラックで塗装する箇所がある。この場合はボディ側をマスキングしてブラックの部分だけにする必要があるので、マスキングテープを細く切り出して貼っていく。

【マスキング】
ある程度はみ出しても気にせず塗っていく。あとでレタッチすればいいのだ

 ほぼ完了したボディ裏からライト類を設置していく。前述のとおり位置決めするガイドが小さいので慎重に接着する。

裏側からみたボディ。上がリアで片方のみ完成させた途中状態の写真、下がフロントでクリアーとメッキパーツを設置し終えた状態。十分乾燥させて固定しよう

メタルインレットシールはリアリティ抜群。しかし取り扱いも難しい!

 エンブレムやミラーは”メタルインレット”というシールで表現される。必要な部分をハサミで切り出し、下の台紙からはがすと上のアプリケーションシートにくっついてくるのでそれを実際のパーツ上で位置決めをしてゆっくり押し込んで貼り付ける。それほど粘着力は高くないので取り扱いは要注意!

【シール貼り付け】
非常に細かい!パーツ全体が平面ではないのでうまく固定してじっくり取り組もう
ピンセットと比較してもらいたい。老眼にムチ打つこのサイズ。これはBBSというホイールのメーカーロゴだ
やってしまった!”ROADSTER”が半分切れてしまっている。つまようじなど傷をつけなさそうなものでゆっくり移動させて位置を変更できた
エンブレムもきれいに貼り付けできた。立体感もあってリアリティがたまらない。ステアリングのシルバー部分もちょっとずつ塗り足しとレタッチで指定通りに仕上げていく

ドライブトレインはクルマの要。緻密なパーツ構成は見所満載。

 ドライブトレインを組んでいく。ドライブトレインとは車両の駆動系とそれを支える機構を指す。クルマのなかで一番メカメカしくて男の子が大好きな部分だ。塗装を終えたパーツを組んでそれぞれを組み合わせていくが、フロントのエンジン+ギヤボックスとドライブシャフト+ディファレンシャルを接着する。ガンプラではないので接着に頼るしかないので、ここはがっちり接着できるようにマスキングテープなどでぐるぐる巻きにしてしばらくほっておく。

エンブレムもきれいに貼り付けできた。立体感もあってリアリティがたまらない。ステアリングのシルバー部分もちょっとずつ塗り足しとレタッチで指定通りに仕上げていく

 十分乾燥させてがっちり固定できたらドライブトレインにフロント・リアのアップライトを組付ける。すでに塗装されている部分なのではめ込み・接着を問わずなるべく塗装をはがすなど細かいケアを施していく。塗装された部分に接着剤が付くとドロドロになって汚くなってしまうからだ。

【車体組み立て】
アームなど細いパーツにテンションがかかるとあっさりと折れたりするので注意しながら作業する

 この先の組み立て時の位置決めの意味も込めてシャシにはめ込んでみた。ドライブトレインとシャシがどの部分で接続されているのかを学べる。ホイールハウスからのぞくサスペンションとスプリングの存在感ばっちり!目論見通りの結果が出せそうだ。

合わせてマフラーも仮設置してみた。今回色数と塗装箇所を絞って制作することにしているが、部分塗装と相まってそれなりにメカメカしく見える

 いったん取り外してタイヤ&ホイールを組み込む。ここは本当に慎重にねじ込んでいかないとすぐ破損するので注意しよう。ホイールをアップライトにねじ込む前に、アップライト側がちゃんと穴が貫通しているか狭くなってないかを確認し、必要に応じて穴を精密ドライバーなどを使って広げる工夫も必要だがやりすぎにも注意。

メカ好きとしてはこれだけでも単純にカッコイイと思えてしまう。この状態にエンジンが乗れば”クルマ”になるのだからあらためてクルマってすごい技術の集合体なんだと気づかされる
シャシにドライブトレインを戻して補強材となるブレースを上からかぶせると”封印”が完了する。クルマの剛性の取り方がこういうところからもわかる。これで下回りが完成となる

インテリアはドライバーが一番接するところでとても重要。重要だけに難易度高し。

 続いてインテリアを作っていく。前述の通り実車のカタログなどを見ていると”VS Burgundy Selection”仕様のインテリアに興味を惹かれてしまった。実際の仕様とは少々異なるが”VS Burgundy Selection”のインテリアぽくしてみたいと思ったのでブラック・レッドのツートンカラーに塗り分けてみる。

【インテリアの楽しさ】
ダッシュボードの上下で色分けされるので、ひとまずレッドの部分を塗ってからマスキングテープで覆う
ブラックのスプレーで塗装してマスキングテープをはがし、もう一度レッドを上塗りした

 ウインドウの処理を行なう。ウインドウの周辺のシボ加工されている部分をブラックで塗らなくてはならないのだが、製品には専用マスキングシールが付属しているのでとても楽させてもらえる。これを人の手でやるのはなかなかハードルが高い作業だ。

今回はオープン状態で制作するのでフロントウインドウのみ制作する
裏側からマスキングテープを貼り込んで密着させたらブラックで塗りつぶす。表側から見たらうまい具合にできたようだ
マスキングテープをはがしてチェックする。はみ出していたら溶剤で溶かしながら傷をつけない素材でうっすらと修正する

 いよいよ水転写デカールの作業に入る。やはりなかなかハードルの高い作業なので慎重に行っていこう。そして無理はしない。これがとても重要だ。ぬるま湯を入れておく容器はせっけんを入れるケースがとても合うので筆者は毎回それを使っている。サイズ的にもオススメ。

緻密で迅速な作業が求められるので、写真が少なくて申し訳ない……可能な限り貼り込んだが、エアコンダイヤルやハイマウント・ストップランプなどはがれて破損してしまったのでそこは割り切ることにした
コクピット周辺はメーターやナビゲーションの画面は貼り込めた。あまり触らずに最終組み立てまでそのままにしておこう

 シャシを完成させる。ここまで作ったパーツを集めてシャシ、キャビンを完成させる。シートを接着してダッシュボードを取り付け、ドア内側パネルで囲えば完成。一気に実車感が沸き上がってくる。

黒いキャビンに”VS Burgundy Selection”グレードぽい2トーンのブラック&レッドの内装が出来上がりつつある。シートも情熱のレッドで熱い走りを予感させる仕上がりに!

いつのまにか傷が!

 作業中にクルマの顔となるボンネットに傷がついていたので修正を施す。該当部分をこれまた2000番のペーパーで軽く削って傷を平らにする。ボディはほぼ完成しているので色が付いては困る部分をマスキングして軽くスプレーがけしてなじませていく。

【傷の修復】
傷を削って平らにし、マスキングでガードし、外装色を重ねていく。まるで板金・塗装屋さんの作業のようだ

 そしてルームミラーとナンバープレート、アンテナを取り付ける。ルームミラーの接着は非常に難易度が高い。タミヤの「多用途接着剤(クリヤー)」を使うがこの接着剤は硬化がとても遅いので一番最後の作業にしてじっくり接着・乾燥させる必要がある。そしてナンバープレートはすでに塗装済みなので接着面を削って地を出しておく。アンテナもボディ側の塗装を削って接着剤がはみ出さないように注意する。

ルームミラーはちょっとだけドライバーに向けてみた
ナンバープレートを付けると一気に実車感が増した。これで完成!

ロードスターRF納車完了!すばらしい造形美でセクシーなボディをとくとご覧あれ。

 「タミヤ 1/24 ロードスターRF」を組んでみての感想だが、いつも至れり尽くせりのガンプラを作っている筆者が20年以上ぶりのスケールモデルということで正直「うまくいくだろうか……」という思いがあってパッケージを開けては閉めることが何回かあった。

 それを繰り返すこと数回、パッケージを開け、組立説明書と車両解説書、関連ウェブページを見ながらパーツを眺め、どの色をどこに使うか、塗装順も考慮しながら組む順番を頭の中で描いていくと、”そうか、このパーツはクルマのこの部分を構成するんだ”みたいに発見することが何度か積み重なっていった。

 そして組立順序がイメージできると、そこから迷いもなく一気にランナーからパーツを切り出して塗装用の持ち手に付けていけた。塗装完了したパーツや下準備できたパーツを組み合わせていくとどんどんクルマの形になっていくその工程は「今プラモデルを作っている」という事を認識させてくれるとても楽しい時間だった。

 塗装が剥げたり、接着が甘かったりなどいくつかのトラブルはあったものの、完成したロードスターRFを見ていただきたい!20年以上ぶりに組んだスケールモデル、塗装も色数を絞った簡単フィニッシュなのにこの完成度。たしかにガンプラより全然難易度高いしトラブルも多い。けどそれを乗り越えて出来上がったタミヤのロードスターRFはとてもセクシーだった。

 今回、プラモデルを”組み立てる”だけではなく塗装を含めた制作プランを練る時間がとても楽しかった。組み立てる順序をどうするか、それには塗装を含めた順序だてをどうするかを考慮するなどパズルを解いていく感覚もありとても刺激的だった。もちろんガンプラでも同じく制作プランを練ることは可能ではあるのだが実際に手にしうる実車をイメージしながら組み立てていけるのはこういったカーモデルが最適なんだと思う。

 出来上がったロードスターRFを眺めながら「次もタミヤのクルマがいいなぁ」と感じた。前述のようにいろいろとハードルは高いしトラブルもある。にもかかわらず次も同じ刺激を求めてしまっている自分がいることに驚かされた。今回はなじみがあるクルマだったが、タミヤには戦車も飛行機もあるしスケール違いのクルマもある。それぞれで作り方のポイントは違うだろうけど作ってみることで底辺に流れるタミヤのスピリットを感じてみたいと強く思った。

【完成!】
様々な角度から撮影してみた。メタリックカラーを使うことでセクシーなボディがより際立っている
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