レビュー

「figma PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS The Lone Survivor」レビュー

こだわって作られた造形の豊かさで、様々なシチュエーションを再現! 写真映えもバッチリ

ジャンル:アクションフィギュア
開発元:FREEing
発売元:グッドスマイルカンパニー
価格:6,800円(税別)
発売日:7月22日

 グッドスマイルカンパニーより、人気ゲーム「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下、PUBG)のキービジュアルでおなじみのキャラクター「The Lone Survivor」をフィギュア化した「figma PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS The Lone Survivor」が、7月22日に発売される。それに先駆けて、本商品をお借りすることができたので、そのレビューをお届けする。

 そもそも「PUBG」ってなんだ? という人のために少しだけゲームの紹介をしておこう。eスポーツブームなどの影響もあり、ここ数年話題になっているのが「フォートナイト」や「Apex Legends」といったバトルロイヤルと呼ばれるジャンルのゲームだ。いわばその火付け役として、2017年に登場したのが「PUBG」である。

 バトルロイヤル系ゲームの基本的なルールは、深作欣二監督の映画「バトル・ロワイアル」がベースになっている。プレイヤーは島の好きな場所に降りて、武器や弾丸などの物資を集めていきながら装備を調えていく。プレイエリアは時間経過と共に狭まっていき、その間ライバルたちとの戦闘を繰り広げていきながら、最後のひとりまたは1チームに生き残ることを目指していくのだ。

 「PUBG」の場合は、勝ったときに出る「勝った!勝った!夕飯はドン勝だ!!」という、誤訳が混じった「ドン勝」というパワーワードのおかげもあり、一気に注目度が高まった。筆者も早期アクセス版の頃から遊んでおり、このゲームのためにPCのパーツをリプレイスするほどハマっていた時期があったほどだ。そんな経緯もあり、今回の商品化は個人的にも嬉しいニュースである。

こちらが、「figma PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS The Lone Survivor」のパッケージだ。シックなデザインだが、商品の魅力が伝わってくる

「PUBG」のキービジュアルでおなじみのキャラクターが待望のfigma化

 グッドスマイルカンパニーからは、同じく「PUBG」のキービジュアルキャラクターである「The Lone Survivor」をディフォルメフィギュア化した「ねんどろいど The Lone Survivor」が昨年9月に発売されているが、今回はゲーム中と同じリアルな等身での待望のfigma化だ。

 いわゆるLv3ヘルメットこと、鉄仮面のような「スペツナズヘルメット」に白シャツ黒ネクタイ、ジーパンにハンドガンといった、本作を象徴するキャラクターをそのままのイメージで立体化されている。

【全身】
どの角度から見ても絵になりやすい。付属のAKMはバックパックに取り付けておくこともできる

 figmaといえば、付属の交換パーツと可動部分の多さでプレイバリューが高いところも魅力のひとつだ。こちらの商品には、左手が5種、右手が4種付属。装備品には、「ハンドガンP92」「アサルトライフルAKM」「フライパン」「Lv3バックパック」が同梱されている。比較的バランスがいいフィギュアに仕上げられているということもあり、単体でも立たせることは可能だ。だが、より安定して様々なポーズが取れるように、可動支柱付きのfigma専用台座もパッケージに付属している。

 バックパックを背負わせるときは、どちらかの腕のいったん取り外してから背負わせるように取り付けていく。figma専用台座用の穴はバックパック側にも開けられてているため、ありなしどちらのパターンでも対応可能だ。

【セット内容と関節】
ブロックは5つの袋に分けられている。左上にあるのは台座だ
バックパックは腕を一旦取り外してからセットしていく。腕の付け根の分割は細かく、可動範囲が広いため、様々なポーズが取らせやすい
付属のfigma専用台座は、直接背中に差し込むかバックパック部分の穴に取り付けることができる

 FREEingはこれまでも有名な幽霊の絵をアクションフィギュア化した「figma 円山応挙作 幽霊図」を製作したり、世界的に有名な名画をモチーフとした「figma 叫び」などユニークなモチーフをfigma化している。

 「figma PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS The Lone Survivor」もかなりユニークなモチーフだ。シャツにズボンという一見"基本"に見える所も、実はアクションフィギュアとしてどう関節設計をするか、そこにデザイナーの腕の見せ所がある。特に上半身は腕を水平までできたり、肘は深く折り曲げられアサルトライフルの両手持ちや、拳銃を構えるといったポーズもきちんと取れるようになっている。

 下半身に関してはジーンズの腰部分と左側のサイドポーチを一体化したうえで、柔らかい素材を使うことでかなり深く脚を上げることができるようになっている。デザインを崩さず関節を曲げるという意味では"服のしわ"の処理が楽しい。腕を上げたり、足を折り曲げても服のしわが自然な感じで布のたるみが感じられるのだ。

 塗装もとても自然だ。腰に付けたサイドポーチやジーパン、腕まくりをしたシャツ、腕にはめたグローブなど、かなりきめ細やかに造形されているだけでなく、塗装で素材の感じが出ている。ヘルメットにはサビが浮いた処理がなされ、ジーパンも部分的に汚れが施されていたりする。

 「PUBG」は装備がない状態で放り出され、敵プレーヤーに見つからないようにしながら1つ1つ装備をかき集めていく。今回のフィギュアは背中にバッグも背負い、そこそこ装備が整っている状態だ。だからこそ多彩なシチュエーションが想像できる。実在感のある描写でゲームキャラクターが立体化されていることで、実際に飾ってみると服やヘルメット、バッグに武器……こうしたひとつひとつのこだわりが、全体的な質感の良さに繋がっている印象を受けた。

【ウェザリング】
ヘルメットも単色というわけではなく、よく見るとウェザリングが施されており錆びている感じも出ている

 武器としては「アサルトライフルAKM」、「ハンドガンP92」、さらには「フライパン」が付属。前述の通り「PUBG」はナイフ1本持ってない状態で荒野に放り出され、他の人は全て敵。装備をいち早く手にしたものだけが生き残れる。だが出現アイテムはランダム。弾はあっても武器がない、という状態になることもある。その中でこれがあると心強い、という装備だ。

 「AKM」はきちんと木製のストックやグリップが塗り分けられているし、銃身上のガスピストン、大きなフロントサイトなど銃の特長を細かく表現している。遠距離でもそこそこ戦え、連射力も高い「AKM」は思い入れを持っているプレーヤーも多いだろう。figmaでは両手でしっかり構えられ、射撃ポーズも取らせられる。うれしいのは武器を持ち替えた時のバッグにくくりつけた状態も再現できること。ゲームでは3人称視点の場合、キャラクターを後ろから見るので、この背中に「AKM」をつけた姿はなじみ深い。

 持っていて安心の「ハンドガンP92」もしっかり両手持ちができる。カッコイイ構え方をさせてみるのも楽しい。そして「フライパン」である。ネタ武器のようにも扱われるが、背後からの狙撃を防ぐ役割も果たす大事なアイテムだ。試してみたが、ゲーム内同様にバックパックの間に挟むことでお尻を守ることができた。これはうれしいところだ。

 弾も使い果たしフライパンで殴り合うという風景もゲーム内では良くある風景だ。「figma PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS The Lone Survivor」は基本的な装備を揃える事で、ゲーム内の様々なシチュエーションを再現できる商品なのである。

【プレイバリュー】
こちらは試作品を撮影したショット。特徴的なバナナマガジン、ストックやフロントサイトなど細かく造形されている「アサルトライフルAKM」
こちらも試作品から。ハンドガンをカッコ良く構える。腕の自由度が高いため、水平に構えられる
フライパンは手に持たせることも可能だ。
背後からの狙撃を防ぐ役割も果たしているフライパンだが、ゲーム内同様にバックパックの間に挟むことができた。ゲームではこれでお尻を守ることができる
人差し指がちょうど銃のトリガーに触るように持たせることができる。ハンドガンだけでも、様々なポーズを取らせることができるので楽しい
注目はつま先部分。これだけ曲げることができるため、支え無しでもバランスが取れ自立させることができる

作りの良さで"映える"写真が撮れるのが楽しい!

 こうしたフィギュアの楽しみ方は、人によって様々だ。自分の好きなポーズを取らせたり、あるいは大事にしまっておきコレクションしたりというのもありだろう。実は今回この原稿書くよりも遙かに多くの時間をかけてしまったのが、写真の撮影である。単純に手間取ってしまったということもあるのだが、それよりも何よりも、写真を撮るのが楽しくてついつい夢中になってしまった。

 「PUBG」の魅力は多彩なシチュエーションだ。「figma PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS The Lone Survivor」はゲーム内そのままの装備と、カメラ越しに見るその姿で撮影意欲を刺激する。

 「figma PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS The Lone Survivor」自体はノンスケールだが、試してみると1/12サイズの武器ならちょうどいい感じで持たせることができる。そこで筆者のコレクションから、いくつかの武器も構えさせ、シチュエーションを広げてみた。

 今回は武器だけでなく、背景もちょっとこだわってみた。ゲーム内風景そのまま出なくてもこのキャラクターは様々な戦場が似合う。このように色々な武器や背景を使って写真を撮ってみるのも楽しいだろう。

【遊びの幅を広げる】
色々な武器を揃える。1/12サイズの武器がきちんと構えられる。今回使用したのはトミーテックの「リトルアーモニー」から「M4A1タイプ2.0」と「SCAR-Hタイプ」
M4A1タイプと廃墟バックの組み合わせ。立て込んでいる敵に遭遇したときのような絵だ
上半身だけを傾けて狙いを付けるリーン風の写真も、それなりに雰囲気が出るものが撮れる
ゲームと同じように、伏せた姿勢で狙いを付けるポーズはやや難しいが、それでもある程度は可能だ。こちらは、100均一で買ったグリーンシートを組み合わせている
こちらも廃墟バックの背景を使っただけだが(先ほどの裏面)、背景を変更するだけで全体的な雰囲気が変わるのは面白い
今回撮影に使った「リトルアーモリー LA050 M4A1タイプ2.0」
「リトルアーモリー LA003 SCAR-Hタイプ」
「ジオラマシートDM F005 廃墟セットA」

「PUBG」の人気が高まっていくにつれて、ゲーミングPCといったデバイスにも注目が集まりだした。そのタイミングで、昔PS4で一緒に「オーバーウォッチ」を遊んでいた連中が、こぞってゲーミングPCを購入。その中の何名かがプロゲーマーになり、DMMが主催するPUBGの公式大会に出場するようになった。そうしたこともあり、筆者の「PUBG」に関わるスタイルもゲームをプレイする側から観る側の観戦勢へと変わっていった。

 ゲームとして遊ぶことも楽しいのだが、観る楽しみも教えてくれた作品だけに、そのフィギュアを手元に飾っておけるのは、なんとも言えない喜びがある。もちろん、上記で紹介したようにかなり写真映えする作りにもなっているので、自分が思い描くあのシーンを再現してみてはいかがだろうか?

【ユニークなFREEingのラインアップ】
幽霊画をfigma化した「figma 円山応挙作 幽霊図」
「figma 叫び」は2019年11月再販。他にもFREEingはゲームキャラクターとして「R-TYPE」のボス「ドブケラドプス」や、「サンダーフォースIII」と「サンダーフォースIV」の自機など、ユニークなモチーフを商品化しているのだ