レビュー
フィギュア「魂SPEC×HI-METAL R ニューレイズナー」レビュー
地球戦力の代わりにBANDAI SPIRITSが最新技術で作りあげたレイズナーが登場
2020年11月29日 00:00
- ジャンル:アクションフィギュア
- 開発・発売元:BANDAI SPIRITS
- 価格:13,000円(税別)
- 発売日:9月17日
- サイズ:全長約138mm
「レイズナー」と聞いて胸を熱くしないロボットアニメファンはいない!……と、勝手に断言するほど、アニメ「蒼き流星SPTレイズナー」の主人公メカ「レイズナー」は美しい。青でもなく、濃紺でもなく、まさに番組タイトルの「蒼き流星」と呼ぶにふさわしい「蒼天」を思わせるブルーと、正義の味方のシンボルともいえるホワイト、そしてレイズナーをレイズナーたらしめるコクピットのクリアグリーン。
この絶妙なカラーバランスの上に、極端にメカメカしくなく、キチンと機能兵器としての利便性を人型に落とし込んだデザインは、さすが大河原先生である。SPT(Super Powered Tracer)という名前も、超カッコいい。
また、SPTの動きはかなりアクロバット。だから、原作アニメをみていて、その動きに圧倒される。特に、レイズナーの最終兵器ともいえるV-MAXと呼ばれる出力アップ状態(界王拳とかトランザムとかそういうの)の動きはすさまじく、なんだかブラウン菅(当時のテレビ)越し見ているこっちまで強くなった気分になった。だから、子供のころは自転車に乗って加速するときは「レイ!V-MAX発動!」とか叫んでた気がする。
そういうわけで、今回は思い入れ深いレイズナーから、BANDAI SPIRITSが発売した「魂SPEC×HI-METAL R ニューレイズナー」をレビューしていきたいと思う。
ニューレイズナーの紹介とパッケージと内容をチェック
今回紹介する「ニューレイズナー」は番組後半に活躍する機体を再現したものだ。「おれV-MAX使えるから無敵だもんねー」と油断していたかもしれない主人公エイジに対し、敵側が「あ、こっちもV-MAX使えるんで。しかも、スーパーチャージしてるし」というネタをぶっこまれて破壊された「レイズナー」を、地球解放戦線機構が強化コピーしたバージョンとなる。
地球製のレプリカではあるが、オリジナルレイズナーに搭載されていた機体管制コンピューター「レイ」をV-MAXを発動できる裏コンピュータ「フォロン」ごと移植しているので、以前よりパワーもスピードも上がっている。正式名称は「E-SPT-LZ-00X-B V-MAX強化型レイズナー」だが、基本的には「ニューレイズナー」と呼ばれている。
外観の違いはかなり見分けるのが難しいレベルで、アンテナ部分や色、スラスターの形状などが違うレベルだ。そのため、以前発売されていたレイズナーのトイには、コンパチ仕様もあるくらい。だが、今回のモデルは、敢えて「ニューレイズナー」だけに絞り、完璧なプロポーションを目指しているのだ。
パッケージはモノクロ仕様でちょっと地味な印象を受ける。しかし、実はカラーのイラストらしきものが封入されていて、これを開いてみると何とカラー版のパッケージが! 躍動感あふれるレイズナーのイラストに思わず「キター!」と叫んでしまったほど。それもそのはず、イラストの担当はロボットのイラストを多数描かれている、森下直親さんなのだ。しかも、裏面にはライバル機である「ザカール」がドカンと描かれているだけでなく、ザカールが従える死鬼隊のSPTも描かれている。
だが、ちょっと待て。実際に入れてみると、箱ひとつぶん大きい。さては「レイズナーMk.II」を出す気か!……と思ったのだが、10月に発売された「ザカール」を入れるぶんだというのは周知の事実。でも、このステキなカラーイラストをみていると、「なんで注文しなかった俺」。プレミアムバンダイ限定アイテムは細かくチェックしておかないとなあ。
コレクレクターズアイテムな美麗パッケージ
閑話休題、商品を触っていこう。パッケージから中身を取り出すと、ブリスターにキチンと収まるニューレイズナーの部品たち。ブリスターから取り出すと、なかなかの重量感。軟質素材のアンテナは、しんなり曲がっていたが、ちゃんと硬質素材の交換パーツがついているので安心だ。手は、握り手のほかに銃を持たせるバージョンが付いてくる。
……できれば、交換用の平手なんかが欲しかったけど、まあ仕方がない。ナックルショットは、ちゃんと撃てるので安心だ。武装は、メインウェポンの「レーザード・ライフル」と「カーフ・ミサイル」だ。レーザード・ライフルは、両手持ちするためのグリップが可動したり、マガジンパックが外れる。「カーフ・ミサイル」は、翼が収納可能で、使わない時はふくらはぎのパーツにもなる。バックパックは、スラスター部分が可動したり、レーザード・ライフルを固定したりすることができる。
まずは素立ちさせて、全体をチェックしてみた。これまでバンダイグループからは「リアルロボットレヴォリューション」や「超合金魂 魂スペック」、「魂SPEC」、「スーパーミニプラ」など、何度も立体化してきた。その経験と技術がここに注ぎ込まれているだけあって、完璧と言えるプロポーションなのではないだろうか。特に、銃を持った状態で、斜め後ろから見るフォルムが絶品だ。また、レイズナーといえばV-MAXなわけで、当然各ハッチも開閉可能。素立ち状態で開放させただけでも、かなりの威圧感が出て驚いた。
SPTならではの機動を再現できるレイズナーの可動域に大満足!
全体を見たら、各部を可動域ともどもチェックしていこう。
頭部
まずは頭部である。ニューレイズナーでわかりやすいアンテナの基部が四角の部分はもちろん再現されているし、キャノピーの卵形も素晴らしい! キャノピー開けてコクピットがエイジを座らせてみると、これが何とも映える(ばえる)のだ。
エイジ自体はかなり小さいモデルだが、特徴的なパイロとスーツのカラーリングと、レッドショルダーを思わせる赤い肩で、完全にエイジだと錯覚させられることだろう。これなら、仮にヘルメットを脱いだらゴステロだったとしても、このままなら完全に気づかないはずだ。可動機構も、かなりアゴをひける。また、首を反らせることもできるので、飛翔ポーズをつけるときに役立ちそうだ。
ボディ
ボディの可動域としては、まず胸部のスラスター。こちらが、ちょっと取れやすいのが難点。撮影中も何度も落ちて消えていったので、思わず「オールスター水泳大会かよ!」と思ったほど。とりあえず無くさないように気をつけたいパーツである。
可動として気にいったのが、前屈範囲。凄く前のめりになるわけじゃないが、後方に逃げるような機動シーンを再現するなら、このような角度がほしいところだ。なお、後ろの腰アーマーを可動させると、スタンド保持用の穴がみつかるはずだ。
腕と脚
腕と脚の可動域も凄くて、さすがは「「魂SPEC×HI-METAL R」だなぁと思う。特に腕の可動は優秀で、必要な箇所は全部可動するし、肩口からガッツリと反らせることもできる。脚もハの字立ちできるように股を回転させたり、前後に動かしたりできる。ただし、ちょっと固いので注意。膝や足首の可動範囲も広い。
ただ、足首は前後にしか動かないので、接地して直立させるのはなかなか安定しない部分もある。SPTは、動いてナンボという気もするので、そこは接地させずに、付属の台座でポージングさせるのがいいと思う。
台座
このように、可動域の優れたモデルを飾るなら、やはり台座がほしい。付属の台座は、何となくSPTのコンパネを思わせるデザインであるばかりではない。何と単4電池を2本入れれば、音声やSE、BGMなどを聞ける。例えばレイの「アラームメッセージ」とか「インフォメーションメッセージ」などの音声や、索敵音や銃の発射音などだ。BGMはV-MAX発同時にかかる曲なので、遊びながら音を入れていけば、レイズナーの世界にかなり入り込めるだろう。昔のオモチャとの大きな違いは、こういう気が利いたギミックかもしれない。
なお、この台座には主題歌である「メロスのように」も収録されている。LPレコードやCDで聞き続けているので、今更聞かなくてもいいのだが、やはりスイッチを押してしまうのがファン心理である。音楽が再生されると、脳内にタイトルが入るシーンや、エイジの動きなどが再生される。
いやー、やっぱり名曲だなぁと思っていると、ここであることが起きた。そうLPやCDではあり得なかった、オープニングバージョンだけに存在する、「かけて~みたく~なるのさ~♪」のあとの、予告演出パートの曲間が存在するのだ。これは放映時非常に話題になったのだが、アニメ「蒼き流星SPTレイズナー」のOPでは合間に今回のストーリーが断片的に挿入されるのだ。この演出が実に秀逸で、「今回はどんな話が展開するのか?」とググっと引き込まれた。
突然の流れで我を忘れ、わわわ、凄いな~こんな企画誰がやろうって言ったんだ~……などと混乱したのだが、状況がつかめないならやるべきことはアレだよな……と0.05秒で判断し、タイミングを計って「誰か説明してくれよ!」と叫んでおいた。ゴメンなデビッド、オマエのOP1話のセリフ再現したわ。
ということで、最後はこの台座を使って、射撃シーンとV-MAXシーンをポージングしてみた。ガッツリとホールドされているので、安心してイジりまくれるのがいい。僕が作ったこのポージングで、ニューレイズナーの魅力が少しでも伝われば幸いである。
(C)サンライズ