レビュー

アクションフィギュア「WFC-11 オプティマスプライム」レビュー

トランスフォームが超楽しい俺の“コンボイ”! ギミックとプロポーションを両立

開発・発売元:タカラトミー

発売日:2月27日

価格:6,050円(税込)

全高:17.5cm

 「WFC-11 オプティマスプライム」はNETFLIXで配信する3DCGアニメシリーズ「トランスフォーマー:ウォー・フォー・サイバトロン・トリロジー」のアイテムとしてタカラトミーが展開するフィギュアシリーズ。本シリーズ最大の特徴は、歴代トランスフォーマーの人気キャラクターたちのリブートアイテムとなっている点だ。

 本製品は2020年発売の「ER-02 オプティマスプライム with トレーラー」からトレーラーを省略し、代わりに2体のミニロボ「バトルマスター」を付属し、価格を下げたリブート品となる。これら2体のバトルマスターは斧型の武器やシールドに変形し、オプティマスプライムに持たせることができる。本シリーズではこのように、過去に発売した中で人気のアイテムを買いやすい価格の構成に再編成して新たに発売している。

 発売は2月27日ということでちょっと時間がかかってしまったが、初代「コンボイ」を彷彿とさせるプロポーションに、最新の変形ギミック、昨今の高騰化するアクションフィギュアの中で入手しやすい価格帯であり、現在も入手可能。何より触ってみてその出来の良さに感心したので、今回は筆者のコレクションとも比較して紹介したい。

 なお、「トランスフォーマー:ウォー・フォー・サイバトロン・トリロジー」については2020年12月より第2章「アースライズ」が配信中である。本商品は、このCGアニメで主人公を務めるオプティマスプライムのフィギュアだ。その可動ギミックや変形機構の魅力について語っていきたい。

「WFC-11 オプティマスプライム」付属品フル装備の状態

「コンボイ」が「オプティマスプライム」になった日

 トランスフォーマーシリーズは国内では1985年より放送を開始した変形ロボが主人公のシリーズ。国内提供はタカラトミーで、北米提供はハズブロ。放送開始当初より、両社共同で展開してきた息の長いシリーズとなる。放送当初は日米共作のアニメーションで、その後シリーズを続ける中で、CGアニメの「ビーストウォーズ」などユニークなシリーズも展開してきた。

 シリーズ共通のお約束は、正義のチーム「サイバトロン」と悪のチーム「デストロン」の2つの派閥による抗争だ。そして両チームに所属するキャラクターたちは、ほぼ全て人型ロボットから車や飛行機などの乗り物や、、拳銃などのアイテム類、そして動物など色々な姿に変形(トランスフォーム)するギミックを備えるのが特徴だ。そしてタカラトミーはシリーズが放送されるたびに、これら変形ロボットのおもちゃやフィギュアをリリースしてきた。

 そしてもう1つ、シリーズ最大の特徴が、サイバトロンのリーダーにはシリーズ共通で「コンボイ」の名が付けられている事だ。ただしこれは2005年くらいまでの話で、現在リーダーの名前は全て「オプティマスプライム」が使われている。コンボイはどこにいったのか?

 実をいうとこのオプティマスプライムという名前は昔からずっと使われていた北米での名前で、日本での名前がコンボイだったのだ。これについては1985年放送の「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」の頃から2005年放送の「トランスフォーマー ギャラクシーフォース」まで共通の設定となっており、国内ではコンボイ、北米ではオプティマスプライムの名前が付けられてきた。

【パッケージ】
「WFC-11 オプティマスプライム」パッケージ。中央の透明プラスチック部から中身が全て見える

 ところが2007年公開の実写映画以降はオプティマスプライムの名前で統一されるようになり、以降のアニメシリーズなどでもコンボイの名前は使われなくなった。そのため、昔のシリーズしか知らない人は、オプティマスプライムにピンとこなくてもコンボイの名にピンとくる人は多いだろう。逆に近年トランスフォーマーを知った人からすると、コンボイと言われてもピンとこない人が多いかもしれない。そのため、コンボイの名は消えつつあるのが現状だ。

 だが、最初のテレビアニメ「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」が一番好きな筆者にとって、主人公はやはり“コンボイ”なのだ。北米アニメのようなテイストを残しながらも日本アニメ特有の派手な動きのアニメーションは当時非常に斬新に感じた。なお、ロボットアニメ作画の大御所、大張正己氏も最初のトランスフォーマーで原画を一部担当していた事があるとか。

 また、シーンチェンジの際に、BGMとともにサイバトロンとデストロンのロゴマークが回転するビジュアルは、転換点として子供でも非常に分かりやすい上にクールでカッコいい演出だ。また、日本語の歌詞が付いたオープニングとエンディングについても「YOU CAN FIGHT…TRANSFORMER」、「WE HOPE THE ONLY WORLD」など、随所に英文が入っており、子供向けロボットアニメらしい素晴らしい楽曲に仕上がっている。

【マニュアル】
マニュアルは2色刷りで、海外仕様の物がそのまま封入されている。ただし、変形の手順については全て図解で言葉による説明は一切なく、わかりやすく解説されているので問題はなさそうだ

 ということで、色々な玩具やフィギュアを買う中で、筆者も是非“コンボイ”を手に取ってみたくなり、近年は物色していくつか購入していたのだが、現在発売されているフィギュアや玩具のほとんどが、オプティマスプライムの名前で販売されているため、新商品が出ても見落とす事が多かった。

 また、長期シリーズという事もあり、全ての玩具やフィギュアを追うのが非常に難しく、筆者の手元には、2018年発売の「PP-09 オプティマスプライム」と、今回紹介する「WFC-11 オプティマスプライム」、そしてタカラトミーからではなく、海洋堂から2019年にリリースされた、変形機構を省略して可動を楽しめるアクションフィギュア「アメイジング・ヤマグチ 014 コンボイ」、そして電撃ホビーマガジン2004年9月号付録の「極小変形 トランスフォーマー VSXセット コンボイ メガトロン」のコンボイのみだ。今回はこれらとの比較も合わせて、最新のオプティマスプライム、いや“コンボイ”を紹介していきたい。

【筆者のコレクション】
左から順に全高23cmの「PP-09 オプティマスプライム」、17.5cmの「WFC-11 オプティマスプライム」、15.5cmの「アメイジング・ヤマグチ 014 コンボイ」、5.5cmの「極小変形 トランスフォーマー VSXセット」

トレーラーを省略して低コスト化。よく動く手足の可動を満喫!

 「WFC-11 オプティマスプライム」には「トランスフォーマー:ウォー・フォー・サイバトロン・トリロジー」シリーズに登場するオプティマスプライムのカラーリングを施したオプティマスプライムを中央に収納。2体の「バトルマスター」として、斧型の武器に変形可能な鳥形ロボット「ENERAX」とシールドに変形できる「SHEELDRON」が付属する。また、片手で持てるハンドバズーカも付属し、オプティマスプライムに装備可能だ。

【付属品】
バトルマスター「ENERAX」と「SHEELDRON」が付属
2体とも簡易的ではあるが、オプティマスプライムの装備に変形可能

 オプティマスプライム本体については、本体全体のボディバランスがいい感じだ。胸板が厚めで、腰部がくびれているので全体のスタイルもかなりシュッとしており、立たせた時の完成度がかなり高い。それでいて脚部はスリムな感じを受けながらも全体的に厚みがあり、重厚感を感じさせ、存在感が際立つデザインに仕上がっている。

 特に筆者が気に入っているのがその表情だ。過去にオプティマスプライムとして発売された多くのトランスフォーマー商品を見ていると、中にはとても“コンボイ”とは呼べない表情の商品もいくつかある中、本製品の表情は正に“コンボイ”その物で、当時声を担当した玄田哲章氏の「サイバトロン戦士、出動! 」の声が響いてきそうだ。

 可動については、ボールジョイントにより首は前後左右に柔軟に稼働する。肩部は90度まで上がるほか、変形ギミックを利用することで背面まで回すことは可能。上腕部は回転し、肘は90度まで曲がるため、色々なポーズを付けられる。拳は親指以外の4本指が一括で開閉する機構となっており、各種武器を持たせるだけでなく、開いた手の演出なども付けられる。

【ディテール】
実に“コンボイ”らしいスタイリッシュなボディを再現している
表情をアップにしてみたが、この目と頭部のバランスが正に“コンボイ”なのだ!
肩部は変形ギミックを利用して背面まで可動できる。拳は親指以外の4本の指がまとめて開く可動となっている

 腰部は変形ギミックの都合もあるため、左右30度くらいまでしか回転しない。一方でユニークなのは下半身の腰部装甲を思い切って太腿部の延長にしてしまった事だろう。デザイン的に見ると賛否両論ありそうなアレンジだが、可動ギミックとしてみると、足回りの可動域が大幅に広くなり、遊びやすい作りに仕上がっている。股関節は正面に90度、左右にも90度展開できるため、Y字バランスや股割りポーズも取れるほど柔軟だ。

【可動範囲の広さ】
足の向きと腕のバランス取りで片足立ちで自立できる。不格好なY字バランスだ
股関節の側面はそのまま両足90度ずつ展開できるため、ドスコイ! な股割りも可能

 膝関節は150度くらいまで曲げる事が可能で、「もうダメだ……(orz)」のポーズくらいは簡単にとることができる。足首については回転などのギミックはないが、代わりにつま先と踵の部分が折れ曲がるほか、左足は右に少し折れ曲がるギミックが、右足は左に少し折れ曲がるギミックが組み込まれており、足回りの安定した自立が可能になっている。

【ポーズが楽しい】
膝はかなり曲がるのでサッカーで得点を取った時の喜びのダンスポーズも取れる
「も、もうダメだ……原稿遅れてすいません」
足首がそれぞれ内側に開く作りのおかげで足裏が全て地面につくように調整できるので、ポーズをとりながらも安定した自立が行なえる
ライダーキックのポーズもお手の物だ

 その他のユニークなギミックとしては、胸のトラクターヘッドのフロントウィンドウ部が観音開きするようになっており、その中には、トランスフォーマーシリーズにおいて、サイバトロンリーダーにのみ受け継がれるアイテム「マトリクス」が仕込まれている。

【マトリクス】
胸の中には「マトリクス」が収納されている
着脱させて手に持たせることも可能

 可動に特化した海洋堂の「アメイジング・ヤマグチ 014 コンボイ」と比較してみると、こちらは腰部と腹部の動きが非常に柔軟で90度以上の前屈が行なえる。変形を省略することで、全体的にスタイリッシュ度が増しており、特に胸部が狭くスリムなボディラインとなっているのがポイントだ。

 肩部が前後にスライドしたり、股関節と太腿の間に大型のボールジョイントを入れることで足回りの柔軟なポージングも行なえる。アニメのような大胆なポージングを楽しむならこちらもおススメのアイテムだ。

【よく動くコンボイ】
変形ギミックを省略したことで、胸部をコンパクトにでき、スリムなボディを実現している。腰部と腹部の可動領域が大幅に拡大しており、ポージングがかなり取りやすい
足をあまり曲げなくても、腰部と腹部の可動により「もうダメだ…」のポーズが簡単にとれる
腕や股関節の付け根には大きめのボールジョイントが仕込まれているなど、リボルテックらしい可動の工夫が随所に施されている

 次ページでは商品の最大の魅力であるトランスフォームを紹介していこう! やはりトランスフォーマーの最大の楽しさは変形だ!