レビュー
カードバトルホビー「マジカパーティ」レビュー
2021年5月25日 00:00
「レッツマジカパーティ!」、ジャンケンを基本にした奥深い駆け引き
それでは、マジカパーティの基本的なゲームの流れを解説しよう。マジカパーティの対象年齢は6歳以上とされており、ルールはかなりシンプルだ。TCG的なルールというよりは、昔流行った「ムシキング」みたいなルールだと感じた。まず、「レッツマジカパーティ!」のかけ声とともに、パーティからマシンを1体、手前中央のバトルステージに召喚する。次に、「レッツパーティ!」のかけ声で同時に、その奥のDJブースにDJPからカードを1枚出す。
DJは、“ドリームジャンケン”の略で、DJブースに置かれたカードのDJマークを見比べて勝敗を決定する。基本的なルールはジャンケンと同じだが、スターやキラーといった特殊なマークがあるので、より戦略性が高くなっている。前述したように、スターは、グー、チョキ、パーすべてに勝つが、キラーには負けてしまう。キラーは逆に、グー、チョキ、パーすべてに負けるが、スターだけには勝てる。カイジの「Eカード」で例えるなら、スターは「皇帝」で、キラーは「奴隷」にあたるわけだ。
DJの勝敗が決まったら、勝った方のマジンのスキルを発動。その後、負けた側のマジンのスキルを発動。ただし、スキルの発動条件はいろいろあるが、DJに勝ったときというものが多いので、その場合は負けた側のスキルは発動できない。その後、ブックスキルを使うならブックスキルを使う。なお、ブックスキルを使うには、必要なコストを払う必要がある。コストはダウンフロアに置かれたカードをダウン状態(横向き)からアップ状態(縦向き)にすることで払うことができる。
すべてのスキルの発動が終わったら、そのスキルによるマジンのパワー修正を加味し、マジン同士のパワーを比較する。パワーが大きいマジンが勝ちで、そのまま場に残り、負けたマジンはダウンフロアに横向きで置かれる。DJブースに出したカードは、バトル終了後、両方ともトラッシュフロアに置かれる。DJが引き分けになった場合は、もう一度「レッツパーティ!」のかけ声とともにDJPからカードを出す。なお、最終的なマジンのパワーが同じ場合は、両方のマジンをダウンフロアに横向きで置く。
この流れを繰り返して、相手のマジンを全て倒すか、相手のDJPを0枚にすれば勝ちとなる。
なお、DJに勝った場合、ある条件を満たせば、マジンのスキル発動の後にワンチャンスキルを発動することができる。その条件とは、バトルステージに出されているマジンのリミットと、ダウンフロアに置かれているマジンのリミットの合計が7になるということだ。ちょっと考えればわかるが、パーティのリミット合計が7なので、パーティの最後の1体を出したときが、ワンチャンスキルの発動条件を満たすときなのだ。
ただし、発動条件を満たしていても、DJに勝たないとワンチャンスキルは発動できない。また、最後にバトルステージに出したマジンが、そもそもワンチャンスキルを持っていないのなら、DJに勝っても当然ワンチャンスキルは発動できない。だから、ワンチャンスキルを持ったマジンは最後まで残しておくというのが、基本的な戦術であろう。
文章で書くとややこしいように思えるが、実際にやってみるとシンプルだがなかなか楽しい。
実際に対戦してわかった奥の深さ
実際に、子どもたちが対戦しているところを動画で紹介する。筆者の子どもたちは、TCGに関してはそれなりの経験がある(二人ともデュエル・マスターズやマジック・ザ・ギャザリングなどを数年以上プレイしてる)のだが、TCGとはまた全然違ったプレイ感覚で楽しいと言っていた。
動画を見ていただければわかるが、笑いながらプレイしている。このあたりは、ボードゲームに近い感覚かもしれない。TCGと違って、シャッフルやドローという概念がなく、バトルやDJに出すカードを自分の意志で自由に選べることも、ストレスなく遊べる一因であろう。マジカブックやマジカギアという専用アイテムがあるため、アニメの主人公などになりきって遊ぶという、ロールプレイ的な面白さもある。二人でかけ声を出して遊ぶのも、童心に帰った気がして楽しい。
筆者は、ルールを最初に聞いたときに、運要素が高いというか、構築の腕とか戦略とかがあまり要求されないんじゃないかと思ったのだが、実際にやってみてそれが全くの杞憂であると感じた。小学生同士なら、あまり難しいことを考えずにシンプルに遊べば十分楽しいのだが、本気でプレイすると、DJで出すカードの読み合いやパーティの構築がかなり熱くなる。
例えば、相手が「DJで勝てばパワー5000になり、チョキで勝っていれば、さらにパワー+2000」というスキルを持つマジンを場に出しているときに、DJで何を出してくるかとかの読み合いだ。こちらのパワーやスキルとの兼ね合いもあるが、どうせなら相手はチョキで勝ちたいだろうから、それを読んでこちらはグーを出すか、あるいはそう思わせて裏をかいてくるのか、スターやキラーが出る可能性はあるのかとか、相手の場のトラッシュフロアを見ながら、考えることはたくさんある。筆者には、カイジの「限定ジャンケン」と「Eカード」を合わせたような読み合いが面白いと感じた。
また、パーティの構築もリミットが大きな強いカードを入れて連続抜きを狙うのがいいのか、小さめのマジンをたくさん用意して数で押す方がいいのかなど、奥が深い。DJに勝ったときに発動するスキルも、単にパワーを上げるだけでなく、自分のダウンフロアに置かれている特定のカードをパーティに戻すものなどもあるので、出す順番なども重要になる。ブックスキルをいつ使うかなども含め、ガチでやるなら、かなり懐の深いゲームだと感じた。
最近、TCGは一部のカードが高騰し、プレイ目的ではなく投機目的でカードを集める人が増えてきている。ここではその賛否を問うつもりはないが、TCGは、カードに傷があるかどうかで価値が大きく変わってしまう。マジカパーティは、カードを削ってプレイするので、傷がついた状態が当たり前となる。もとよりタカラトミーは、マジカパーティをTCGとは呼称しておらず、あくまでカードバトルホビーと位置づけている。
「マジカパーティ」は、6歳以上が対象とされているが、大人と子どもが対等に遊べる優れたホビーといえるだろう。
(C)MAZICA PARTY PROJECT・TVO (C) TOMY