レビュー

「ガールガンレディ アタックガールガン×レディコマンダーアリスセットBOX」レビュー

TVドラマとともに楽しむ、新しいエンタメを提案するプラモデルシリーズ

「ガールガンレディ アタックガールガン×レディコマンダーアリスセットBOX」

開発・発売元:BANDAI SPIRITS

発売日:4月10日

価格:7,480円(税込)

ジャンル:プラモデル

サイズ:
アタックガールガン・約130mm(全長)
レディコマンダーアリス・約150㎜(全高)

 BANDAI SPIRITS原案を務めたというTVドラマ「ガールガンレディ」が4月7日より放映中だ。BANDAI SPIRITSが発売するプラモデルと特撮ドラマが連動した、新しいエンターテインメントの提案で、ドラマの放映開始とほぼ同時期に関連アイテムが発売となった。

 今回レビューするのは、劇中で女子高生の主人公らチームが使う銃「アタックガールガン」と、彼女らチームを指揮する「レディコマンダー」のプラモデルがセットになった数量限定版「ガールガンレディ アタックガールガン×レディコマンダーアリスセットBOX」である。両者は劇中にも同じプラモデルとして登場し、それを組み立てると物語のキーアイテムになるという、ストーリー的な連携が取られている。

【アタックガールガン】
「アタックガールガン Ver.アルファタンゴ」(左)と「レディコマンダーアリス」(右)。今回レビューしているのは、数量限定のセットとなる

 ガンプラ40周年プロジェクトの一環としてYouTubeで配信中の「ガンダムビルドリアル」はガンプラシリーズと連動したドラマとなるが、この「ガールガンレディ」は“ドラマのために企画されたプラモデル”と連動するという、これまでにない新しいスタイルの演出が施されている。本稿の執筆段階でドラマは第6話まで進行し、より濃密な連動要素も披露され、物語はさらなる盛り上がりを見せている。

【第1話|5分でわかるガールガンレディ「真夜中の光弾女子高生」】

プラモデルをキーアイテムとしたドラマと、現実のプラモデルの濃密な連動

 プラモデルを唯一の趣味に持つ地味な女子高生の立石小春は、学校帰りに立ち寄った骨董店で「持ち主の人生を変える」という特別なプラモデルを勧められる。そのプラモデルを手に入れて組み立てた小春はその夜、通っている学校とまったく同じパラレルワールドへと召喚され、自分が作ったプラモデルの銃「アタックガールガン」を使った銃撃戦「ガールガンファイト」にプレーヤーとして強制的に参加させられてしまう。

 小春がやってきたパラレルワールドでは、「ガールガンレディ」と呼ばれるコマンダーがプレーヤーが所属するチームを指揮していて、「アルファタンゴ」、「ブラボータンゴ」、「チャーリータンゴ」、「デルタタンゴ」の4チームが週1回試合を行い、年間勝利ポイントを競うという競技が行なわれていたのだ。プレーヤーに与えられたライフは3つで、ゲーム内で死亡してその全てを失うと、この世から存在が抹消されてしまうという非現実的なルールをクラスメイトの消滅により体験した小春は、自らの信念のもとに、ガールガンファイトへと赴いていく。

【パッケージと説明書】
「ガールガンレディ アタックガールガン×レディコマンダーアリスセットBOX」パッケージ。ドラマのメインビジュアルが使われている
説明書は単体発売用のものがそれぞれ封入されている。アタックガールガンの説明書には、詳しい設定も書かれていて、読むのが楽しい
特典として立花小春とアリスのカードが付属する

 ドラマでは小春やチームメイトがアタックガールガンを組み立てるシーンもあり、その完成度が銃のスペックに反映されるという設定がある。またファイト中に銃のエネルギーを充填するカートリッジがランナーの状態で供給され、取ったプレーヤーがそれをファイト中に組み立てる描写があるなど、プラモデルを作ることが物語に直結しているのが、この作品ならではの演出である。

劇中と同じ行程で組み立てられる、物語のキーアイテム「アタックガールガン」

 まずは「アタックガールガン」。ガールガンファイトのプレーヤーが持っている銃で、カートリッジに装填されたエネルギーを光弾に変換して射出する。銃口のパーツを交換することで近距離や遠距離の攻撃に対応できるカスタマイズ性があり、小春達のチームが使うこの「Ver.アルファタンゴ」には、チームメイトの薄井夏菜が使っている近距離攻撃用の「ストライクパーツ」が付属している。

【アタックガールガンのパーツ】
Aパーツ、Bパーツ。ランナー成形のパーツは全てABS製
C1パーツ、Dパーツ
Eパーツ、F1パーツ
F2パーツ、BASEパーツ
スプリングA~D、シャフト
シール。クリアタイプを採用している

 銃はチームによって色が異なっているわけだが、設定にはこの色が「成形色」とあり、劇中でも塗装しているシーンはなく、素組みだということが認識できる。このレビューでは、劇中のプロップに近づけるべく、目立つモールドへのスミ入れを行なっている。なおアタックガールガンのプラパーツは全てABSなので、スミ入れは水性の「ガンダムマーカー スミいれ ふでペン(ブラック)」を使用した。

【アタックガールガンのパーツ】
トリガーの可動のために、パーツにスプリングを取り付ける
スプリングを取り付けたパーツを組み込み、マズルとトリガーを組み立てる
このような形で組み込む
反対側のパーツを被せてメインガンフレームの完成
【スミ入れ】
スミ入れにはガンダムマーカーのふでペンを使用。まずは大まかにモールドを塗る
ティッシュや綿棒を使って、はみ出ている分を軽く拭き取る
モールドに塗料が残る。「リアルタッチマーカーぼかしペン」なども併用するといい

 実際のキットは設定に合わせて部位ごとに組み立てていく内容となっている。架空の銃ではあるものの、スケールは1/1で、あまり小さなパーツは存在しない。組み立て手順もモデルガンに近い感覚があり、少しずつ銃の形になっていく設計にはワクワクされられる。ドラマでのアタックガールガンを組み立てるシーンは、小春がなぜかアイドル風の姿で歌って踊る演出が挿入されるのが面白いのだが、ここで映し出された組み立て手順もキットと同じで、作ることで物語に入っていけるような気分を味わえるのである。

【センサーガンフレーム、グリップの組み立て】
銃のセンサー部分となるパーツ。本体変形時の可動パーツがある
外部パーツを組み付けてセンサーガンフレームの完成
グリップは内部にカートリッジを固定するためのパーツを組み込む
メインガンフレームにセンサーガンフレームとグリップを組み付ける

 説明書には各部位の説明が書かれていて、作っていくことでその設定が理解できるのも面白い設定だ。トリガー、メインガンフレーム、センサーガンフレーム、グリップ、バインダーウイング、カバーガンフレームの順に組み立てると、銃本体が完成。ノーマルバレルとストライクパーツによって2種類の形状を、シールによってチームメンバーの銃を作ることが可能だ。

【バインダーウイング、カバーガンフレームの組み立て】
変形時に展開するバインダーウイングの組み立て。パーツにスプリングを組み付ける
シャフトを通してパーツを固定する
外角のパーツを取り付けていく
完成したバインダーウイングを本体にはめ込む
カバーガンフレームは本体前方に取り付ける
カバーガンフレームを取り付けた状態。だいぶ形になってきた
変形時にレディコマンダーが座るシートとなるパーツ
後方にシートとカバーを取り付ける
完成時は変形後の状態となっているので、フレームを縮めてバインダーを閉じる
【台座、カートリッジの組み立て】
台座を組み立て。写真右側の支柱は前後に可動する
カートリッジ用のパーツ。ドラマではこのような感じで使われていた
カートリッジは3パーツで構成
3個分のカートリッジが完成する
カートリッジはグリップに挿入する。劇中の設定と同じだ

 キットにはスプリングやシャフトなどの金属パーツを使用していて、組み立てた後にギミックを楽しめるようになっているのもポイントだ。トリガーの可動の他、特定の手順で本体を「プラモード」へと変形させ、レディコマンダーを搭乗させることが可能だ。実はこれ、模型ならではのオリジナルギミックかと思っていたのだが、なんとドラマ第5話で、小春とアリスがシンクロして戦う必殺のモードとして登場したのだ。こうした物語の根幹に関わる設定やギミックなどは、ドラマのストーリーでその詳細が明らかになるわけで、今後もそういった演出があるかもしれない。

【アタックガールガンの完成】
アタックガールガンの完成。専用台座の軸をカートリッジの穴に差し込むと固定できる
シールを貼るとプロップの雰囲気が一気に上昇。作例は小春の銃で、名前とマークによって使用者の銃を作れる
反対側にはマークはない。トリガーはスプリングで可動する
ノーマルバレルを外してストライクパーツを装着。鈍器のような姿になる
グリップを畳むと収納状態とになる
劇中では女の子が持つ銃なので、筆者のような男の手には少し小さい

 こちらで劇中の銃は完成となる。次ページでは番組に登場するキャラクター「レディコマンダーアリス」を組み立てたい。昨今の“美少女フィギュアプラモデル”へのBANDAI SPIRITSのアプローチも感じられるところにも注目したい。