レビュー
「ガールガンレディ アタックガールガン×レディコマンダーアリスセットBOX」レビュー
TVドラマとともに楽しむ、新しいエンタメを提案するプラモデルシリーズ
2021年5月19日 00:00
- 「ガールガンレディ アタックガールガン×レディコマンダーアリスセットBOX」
- 開発・発売元:BANDAI SPIRITS
- 発売日:4月10日
- 価格:7,480円(税込)
- ジャンル:プラモデル
- サイズ:
- アタックガールガン・約130mm(全長)
- レディコマンダーアリス・約150㎜(全高)
BANDAI SPIRITS原案を務めたというTVドラマ「ガールガンレディ」が4月7日より放映中だ。BANDAI SPIRITSが発売するプラモデルと特撮ドラマが連動した、新しいエンターテインメントの提案で、ドラマの放映開始とほぼ同時期に関連アイテムが発売となった。
今回レビューするのは、劇中で女子高生の主人公らチームが使う銃「アタックガールガン」と、彼女らチームを指揮する「レディコマンダー」のプラモデルがセットになった数量限定版「ガールガンレディ アタックガールガン×レディコマンダーアリスセットBOX」である。両者は劇中にも同じプラモデルとして登場し、それを組み立てると物語のキーアイテムになるという、ストーリー的な連携が取られている。
ガンプラ40周年プロジェクトの一環としてYouTubeで配信中の「ガンダムビルドリアル」はガンプラシリーズと連動したドラマとなるが、この「ガールガンレディ」は“ドラマのために企画されたプラモデル”と連動するという、これまでにない新しいスタイルの演出が施されている。本稿の執筆段階でドラマは第6話まで進行し、より濃密な連動要素も披露され、物語はさらなる盛り上がりを見せている。
プラモデルをキーアイテムとしたドラマと、現実のプラモデルの濃密な連動
プラモデルを唯一の趣味に持つ地味な女子高生の立石小春は、学校帰りに立ち寄った骨董店で「持ち主の人生を変える」という特別なプラモデルを勧められる。そのプラモデルを手に入れて組み立てた小春はその夜、通っている学校とまったく同じパラレルワールドへと召喚され、自分が作ったプラモデルの銃「アタックガールガン」を使った銃撃戦「ガールガンファイト」にプレーヤーとして強制的に参加させられてしまう。
小春がやってきたパラレルワールドでは、「ガールガンレディ」と呼ばれるコマンダーがプレーヤーが所属するチームを指揮していて、「アルファタンゴ」、「ブラボータンゴ」、「チャーリータンゴ」、「デルタタンゴ」の4チームが週1回試合を行い、年間勝利ポイントを競うという競技が行なわれていたのだ。プレーヤーに与えられたライフは3つで、ゲーム内で死亡してその全てを失うと、この世から存在が抹消されてしまうという非現実的なルールをクラスメイトの消滅により体験した小春は、自らの信念のもとに、ガールガンファイトへと赴いていく。
ドラマでは小春やチームメイトがアタックガールガンを組み立てるシーンもあり、その完成度が銃のスペックに反映されるという設定がある。またファイト中に銃のエネルギーを充填するカートリッジがランナーの状態で供給され、取ったプレーヤーがそれをファイト中に組み立てる描写があるなど、プラモデルを作ることが物語に直結しているのが、この作品ならではの演出である。
劇中と同じ行程で組み立てられる、物語のキーアイテム「アタックガールガン」
まずは「アタックガールガン」。ガールガンファイトのプレーヤーが持っている銃で、カートリッジに装填されたエネルギーを光弾に変換して射出する。銃口のパーツを交換することで近距離や遠距離の攻撃に対応できるカスタマイズ性があり、小春達のチームが使うこの「Ver.アルファタンゴ」には、チームメイトの薄井夏菜が使っている近距離攻撃用の「ストライクパーツ」が付属している。
銃はチームによって色が異なっているわけだが、設定にはこの色が「成形色」とあり、劇中でも塗装しているシーンはなく、素組みだということが認識できる。このレビューでは、劇中のプロップに近づけるべく、目立つモールドへのスミ入れを行なっている。なおアタックガールガンのプラパーツは全てABSなので、スミ入れは水性の「ガンダムマーカー スミいれ ふでペン(ブラック)」を使用した。
実際のキットは設定に合わせて部位ごとに組み立てていく内容となっている。架空の銃ではあるものの、スケールは1/1で、あまり小さなパーツは存在しない。組み立て手順もモデルガンに近い感覚があり、少しずつ銃の形になっていく設計にはワクワクされられる。ドラマでのアタックガールガンを組み立てるシーンは、小春がなぜかアイドル風の姿で歌って踊る演出が挿入されるのが面白いのだが、ここで映し出された組み立て手順もキットと同じで、作ることで物語に入っていけるような気分を味わえるのである。
説明書には各部位の説明が書かれていて、作っていくことでその設定が理解できるのも面白い設定だ。トリガー、メインガンフレーム、センサーガンフレーム、グリップ、バインダーウイング、カバーガンフレームの順に組み立てると、銃本体が完成。ノーマルバレルとストライクパーツによって2種類の形状を、シールによってチームメンバーの銃を作ることが可能だ。
キットにはスプリングやシャフトなどの金属パーツを使用していて、組み立てた後にギミックを楽しめるようになっているのもポイントだ。トリガーの可動の他、特定の手順で本体を「プラモード」へと変形させ、レディコマンダーを搭乗させることが可能だ。実はこれ、模型ならではのオリジナルギミックかと思っていたのだが、なんとドラマ第5話で、小春とアリスがシンクロして戦う必殺のモードとして登場したのだ。こうした物語の根幹に関わる設定やギミックなどは、ドラマのストーリーでその詳細が明らかになるわけで、今後もそういった演出があるかもしれない。
こちらで劇中の銃は完成となる。次ページでは番組に登場するキャラクター「レディコマンダーアリス」を組み立てたい。昨今の“美少女フィギュアプラモデル”へのBANDAI SPIRITSのアプローチも感じられるところにも注目したい。
(C)「ガールガンレディ」製作委員会・MBS/BSP