レビュー
ガンプラ「MG 1/100 ガンダムMk-V」レビュー
準サイコミュ兵器“インコム”を装備した異形のガンダムが完全新規造形で登場!
2021年6月11日 00:00
今回レビューするのは「MG 1/100 ガンダムMk-V」です。この機体は月刊「モデルグラフィックス」誌上で展開されていた「ガンダム・センチネル」企画で登場したものです。この機体はティターンズが開発していたサイコガンダムの問題点である強化人間とコスト肥大化に対応するために開発されたとされており、準サイコミュを搭載することでニュータイプでない一般のパイロットでも有線でのオールレンジ攻撃が可能となる“インコム”と呼ばれる兵装を装備している点が特長となっています。
小惑星基地ペズンに駐留する教導団討伐へ向かった“地球連邦軍”所属の本機はそのまま敵勢力と合流、その者たちは「ニューディサイズ」と名乗りアイボリー・ホワイトだった本機を青く塗り替えて運用したとされており、特異な開発と運用経歴を持つ機体という設定になっています。前述の通りティターンズによる「MRX-009 サイコガンダム(ムラサメ研究所)」開発ののち、オーガスタ(Augusta)/オークランド(Oakland)研究所で「ORX-013 G-V」として開発がスタートしたこの機体はティターンズ陥落の折、エゥーゴと共に地球連邦軍に接収、開発が継続されました。3機ロールアウトした中から1機がアクシズにわたり「AMX-014 ドーベン・ウルフ」を生み出すベースになったとされています。
そして“ガンダム”という名称が付いていながら、見た目でもわかる通り「RXモビルスーツ ガンダム」のシリーズの系譜とは全く違うルーツの機体でもありますが、その革新性から“ガンダム”の名を冠された意欲的なモビルスーツとなっています。この機体から発展した機体には「AMX-014 ドーベン・ウルフ(機動戦士ガンダムZZ)」、「ARX-014 シルヴァ・バレト(機動戦士ガンダムUC)」、「ARX-014S シルヴァ・バレト・サプレッサー(機動戦士ガンダムNT)」があり、現在でも後継機が設定されるなど人気の機体となっています。
完全新規金型のMG(マスターグレード)フォーマットで立体化するという情報が出てから筆者は楽しみでしょうがなかったです。今回プレミアムバンダイ専売商品としてラインナップされたので第1次受注枠にて入手しました。設定上も大型の機体で、RXモビルスーツの系譜ではないこのガンダムはデザイン上から判断してもだいぶ特殊な構造をしているはずです。少々遅めになってしまいましたが組んでいろいろ発見ができそうなこのガンプラ「MG 1/100 ガンダムMk-V」を存分に堪能していきましょう!
設定に忠実なシルエットと可動域を両立。上半身の組み立て
機体各所のホワイトラインはパーツ割りで実現!下半身の組み立て
完成「MG 1/100 ガンダムMk-V」。その巨大さと異形のスタイリングに驚く!
「MG 1/100 ガンダムMk-V」組み立て編
まずはパッケージを確認。フルカラーの箱と機体解説入りの組立説明書で超満足
プレミアムバンダイでの専売商品はフルカラーで描かれたであろうボックスアートをモノトーンに変換してあることが多いのですが、この「MG 1/100 ガンダムMk-V」ではフルカラーの箱と機体解説が入った組立説明書で構成されます。
ランナー数は圧巻の20枚となっていますが、左右対称のデザインをうまい具合にランナーに落とし込むことによって“ほぼ”同じランナーが2枚ずつとなっているものが多いです。ですので、作る段階になっても同時に切り出すことができてストレス緩和と時短に貢献してくれそうです。ビーム・サーベルが極太で完成してからの撮影が楽しみになってきました。カラーリングもしやすそうなパーツ割りになっているのではないでしょうか。もともとはライトグレーという機体色もこれなら塗装もしやすいと思います。
ボディから組立開始。肩にそびえたつバーニアの構造が独特!
パーツを切り出して並べてみると、確かにいつものガンダムタイプとは違う構成になっていると気付かされました。特に肩の巨大なバーニアを構成するパーツはレンチを思わせるような“C”の形状の接続方法になっています。
マスターグレードシリーズではコクピットとパイロットフィギュアが再現できるところが楽しいポイントです。宇宙世紀のモビルスーツならではの赤いコクピットポッドから組み立てていき、ここをコア(核)にボディを組み上げていくことになります。関節部は非常に大きなパーツとなっておりABS素材の軸や軸受け、ポリキャップも適材適所で使うことで適度な摩擦力と剛性感をもってとてもなめらかに動きます。
中央部の前屈の角度の大きさ、肩関節の可動範囲の広さがとても大きくマスターグレードならではの設計の余裕を感じます。装甲を取り付けていくと幾分かは狭まりますがここ最近のガンプラのフォーマットとして過剰なフレーム化は避けられているので可動とディテールを高い次元で共存させているように思えます。最近のガンプラフォーマットは個人的にも単純にカッコよくて作りやすく、グッドプロポーションに仕上がるのでとてもいい仕様ではないかと思っています。
頭部を組み立てる。通常のガンダムタイプではない形状を見事に再現!
ツインアイなどはシールでの再現となりますが、大きいパーツなので比較的作業は行いやすいと思います。構造上、クリアパーツへの貼り付けが先になるので確実にパーツ中央に貼れていることを確認しながら作業を進めます。頭部自体はそれほど難しい構造をしているわけではありませんのでちょっと気が楽な部位といえると思いますが、とがったデザインになっているので先端に注意しながら組み立てていきます。各部、アゴのディテールなどにスミ入れするとグッと引き締まるのでチャレンジしてみてください。
腕部を組み立てる。最低限のパーツ構成ながら高いディテールを実現!
肩、上腕、前腕それぞれに内部フレームを持ち、それぞれを装甲パーツで覆っていく現在のガンプラのフォーマットにのっとった構成になっています。それでもパーツ数は減らされており、必要十分なディテールを持たせたうえで微妙な可動もさせられるところが楽しい構造となっています。
ハンドパーツも無理に可動指にはせずに、親指のみボールジョイント接続で指先のみ交換してビーム・ライフルやビーム・サーベルを持たせるような構造になっています。エモーション・マニュピレーターのようなエッジの効いた成形で再現される可動指はそれはそれでガンプラの技術革新を感じられ、ポージングでもとてつもない表情を与えてくれるものですが“遊ぶ”という観点からは武器類が外れやすかったりしてストレスにもなりうるものでもありましたので最近のこのハンドパーツのフォーマットは嬉しい配慮でもあると思います。
組立説明書では前腕は肘のところにある丸いモールドのところから青いアーマーパーツを組むように指示されていますがここがきつい印象でした。クッション材をかましてペンチでじんわり力を加えて“パチン”というまで押し込んでやるとうまくはまりました。そして前腕には若干スイングできる関節が仕込まれています。このちょっとした角度がポージングの際に絶大な効果をもたらすので嬉しい機構だと思いました。
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