レビュー
モデルガン「LIBERTY CHIEF .38special」レビュー
2022年2月28日 00:00
火薬の音が銃身を突き抜けるのが楽しい"発火"
「LIBERTY CHIEF .38special 2インチモデル」では7mmキャップの火薬を使う。カートリッジを分解しキャップ火薬をセットする。ダブルアクションの本製品の場合、引き金を引くだけで発火が可能だ。引き金を引くとハンマーが引き上げられ、落ちる。ハンマーの先端「ハンマーノーズ」が激しくカートリッジ中央を叩き、その衝撃でカートリッジ内の火薬が爆発する。
パーンという破裂音がカートリッジの先端から銃身に突き抜け、煙が銃口から吹き出す。その後も銃口から煙が立ち上り続ける。映画で見た銃を発射したシーンそのままの風景が目の前に現出する。もちろん弾は出ないが、モデルガンならではの"臨場感"が楽しめる瞬間だ。
「LIBERTY CHIEF .38special 2インチモデル」は小型拳銃だが、だからこそ射撃音とともに煙が吹き出す風景は迫力がある。昨今の刑事ドラマでは発砲シーンが少ないが、バンバンモデルガンをならすのは昔の刑事ドラマの趣もある。特に手の中に収まるこの銃は連射する感じが楽しい。本物の銃は反動があるのでここまで気軽には速射できないかもしれないが、だからこそ連続で引き金を引き、ダブルアクションで火薬音を短いスパンで響かせるのが面白い。
ゆっくり引き金を引いたり、速射したり。反動はないが、つい気分で銃口を上げてしまうこともある。さらにダブルアクションだけでなく、シングルアクションでも撃ってみた。シングルアクションはあらかじめハンマーを引いておくので、軽く引き金を引いただけでハンマーが落ちる。ダブルアクションはどうしても引き金が重くなるため銃口がわずかに下を向く可能性がある。シングルアクションは狙撃するときに有効なのだ。
発火をさせるにはあらかじめカートリッジに火薬を詰めておかねばならない。この準備もモデルガンの楽しさだ。6発のカートリッジはすぐに撃ち尽くしてしまう。次を撃つためカートリッジを分解して火薬を詰めていく。モデルガンファンだと予備のカートリッジをたくさん用意し、あらかじめ準備をしておくようだ。
サブマシンガンやアサルトライフルのモデルガンだと数十発のカートリッジをフルオートで連射することも可能だ。つまりそのためにはあらかじめそのカートリッジを用意しなくてはならない。そしてその準備したカートリッジは本当に一瞬で撃ち尽くしてしまう。……なかなか大変そうだが、ちょっとやってみたい気持ちもある。
モデルガンの火薬は本体やカートリッジをさびさせてしまう可能性があるため、エアガン以上にメンテナンスは必須である。カートリッジを分解し火薬かすを取り除き水洗いをする。銃口やシリンダーも水を流し、ティッシュなどで水気をきちんと拭き取る。可動部などにはシリコンオイルを差しておく。こういったメンテナンスが、自分の"愛銃"に愛着をもたらすのである。
"バックストーリー"を感じさせよう! 小道具を使って銃の写真を撮ってみる
今回はもう1つ、モデルガンの遊びとして「小道具を使った写真」を提案していきたい。「銃の写真」といえばホビージャパンから出版されている「月刊Gun Professionals」だろう。筆者にとっては国際出版が発行していた「GUN」という前身の雑誌に憧れた記憶がある。実銃・トイガンの専門誌で、そのアダルトな雰囲気が好きだった。そのテイストは「月刊Gun Professionals」に受け継がれている。
この雑誌では様々な銃の知識や最新情報が得られるのだが、大きな魅力の1つとして「銃の写真」がある。プロのカメラマンの写真は非常に美しく、かつカッコ良く銃を捉えていて、「写真ってスゴイ」と思わせる迫力がある。これだけカッコ良く写真を撮るにはライティングだけではなく、いいレンズやカメラ、何よりもセンスと経験が必要なんだろうなと思う。
こういった写真テクニックを学ぶこともしていきたいが、今回はシンプルに「小道具」を使って銃の写真に"雰囲気"を加える方法を提案していきたい。お手軽な方法として「布」を敷くのが銃を引き立ててくれる。光沢のある「ベロア」という生地は、絹でできた「ベルベット」に良く似た質感を持つ合成繊維で比較的安価に入手できる。宝石や時計などの高級品の写真の背景にも使われる「ブツ撮りの定番背景」ともいえる布だ。赤や黒、青など光沢はあるが落ち着いた雰囲気もあり、背景に使うとグッと高級感が増す。
わざとしわを寄せてみたり工夫をするのも楽しいだろう。こういった布は手芸店で手に入る。手芸店には様々な布があり、現物をその場で見ることができるので、まずお店に行ってから写真を撮るのを想像してみるのも良いだろう。布の背景はフィギュアにも有効だ。
今回はさらに「英字新聞風布」、「木目シート」も用意してみた。木の板の上にものを乗せて撮るのもブツ撮りでは定番の構図だが、木目がプリントされたシートはかさばらない上に、非常に簡単に雰囲気が出せる。こちらはミリタリー系のプラモデルなどにも合いそうだ。
そしてこれら背景と一緒に小道具を用意する。モデルガンのカートリッジは、一番簡単に用意できる小道具だろう。ここから色々広げていきたい。警察の銃なら手錠や制帽、サングラスがあったらカッコイイ。禁酒法時代のギャングならラベルを取ったウィスキーの瓶。西部開拓時代なら保安官のバッジ……。などこだわれば色々なアイディアが浮かんでくるだろう。
今回用意したのは「玩具のドル紙幣」だ。ゲームグッズとして売られている。100均コーナーなどにも様々な"お宝"がありそうである。このドル札があると、物語性が加わるようで楽しかった。木目シートにキャンプ用のナイフ、というのも似合うと思って配置してみた。
ホビーと写真というのはこれだけでも奥が深い遊び方だ。今回はほんの数例だが色々なアイディアが出てくるのが面白かった。気をつけるのは補正機能が強いスマホの場合、後ろの布で色味や露出が調整されてしまい、なかなか思った写真が撮れなくなる可能性があるところだ。マニュアルモードがあるカメラの方が色々工夫できそうである。「撮影」というのも今後工夫していきたいポイントだ。
モデルガンは"銃の魅力"にフォーカスした製品と言える。エアガンは弾を飛ばし的に当てる楽しさがあるが、モデルガンは映画やドラマでキャラクターが銃を扱うように、マガジンやシリンダーに弾を入れ、構え、引き金を引くと火薬の破裂音が鳴るという銃のアクションを堪能できる。撃った後のたなびく煙もいい。モデルガンは「銃を撃つ風景」をじっくり楽しむことができるのだ。
そして「LIBERTY CHIEF .38special 2インチモデル」はその"ストーリー"がいい。かつて北米で人気を博した日本製リボルバー。なぜその銃を持っているのか? 愛銃にしているのか? 手の中の「LIBERTY CHIEF .38special 2インチモデル」を見ながらこれを手にした人物の背景を想像してみるのも楽しい。手のひらに収まる小さなリボルバーというのもシブイ。興味を持ったら、手にして欲しい。