レビュー
モデルガン「LIBERTY CHIEF .38special」レビュー
歴史に埋もれた銃をこの手に握る楽しさ! 撮影でもひと工夫
2022年2月28日 00:00
- 【LIBERTY CHIEF .38special 2インチモデル】
- 発売中
- 価格:55,000円(税込)
- 口径:38spl
- 全長:164mm
- 重量:500g
- 装弾数:6発
- 素材:ヘビーウェイト樹脂
かつて北米市場で大きな人気を得た日本製リボルバーがある。ミロク製作所が1962年から1968年まで北米で販売し、3万丁を売り上げたリボルバー拳銃「リバティチーフ」はいわば"歴史に埋もれた銃"だった。
その銃を"モデルガン"として紹介したいと考え、実現したのが、エム・アイ・イー総研 アクション事業部だ。アクション事業部はこの「リバティチーフ」をモチーフとしたモデルガン「LIBERTY CHIEF .38special 2インチモデル」を自社のモデルガン部門立ち上げの第1弾として選んだ。このリバティチーフとモデルガンへの熱い想いは弊誌でインタビューとして取り上げた。
「LIBERTY CHIEF .38special 2インチモデル」に関しては、背景や作り手の想いをしっかりお伝えできたが、本稿では製品そのものにフォーカスし、"感触"をレビューしていく。質感、モデルガンとしての雰囲気、もちろん火薬をセットしての"発火"もしていく。今回はさらにちょっとした小道具を使っての撮影アプローチも楽しんでみた。モデルガンやエアガンでの遊び方として提案していきたい。
1960年代、北米で人気を博した日本製リボルバーを手にできる楽しさ
モデルガンのモチーフとなったリバティチーフは、ミロク製作所が北米市場向けに販売したリボルバー式拳銃だ。装弾数は6発、1920年代からアメリカの警察で使用されている「.38スペシャル弾」の使用を前提としている。
リバティチーフが販売された1960年代は、「スナブノーズ(獅子鼻)」と呼ばれる短銃身の小~中型リボルバーが護身用として北米市場で好まれた。代表的な小型リボルバーとして「S&W M36」と「Colt Detective Special」がある。探偵小説などに登場したり、M36は日本の警察でもバリエーションモデルが採用されていたりと、どちらも現在でも人気が高い銃だ。リバティチーフはこの2つの銃を参考にして作られている。
「コルト」と「S&W」のリボルバーは内部構造に大きな違いがある。リバティチーフは内部構造はS&W M36のタイプを採用し、銃弾を込めるシリンダーをスイングアウトする際に操作するシリンダーラッチや、ロック機構のないエジェクターロッドはColt Detective Specialに近いデザインで操作性の向上を狙っている。
シリンダーラッチにはDetective Specialにはない溝が刻まれ、滑り止め効果が追加されているところも工夫を感じさせる。ハンマーにも滑り止めのチェッカリングが施されたM36タイプのデザインだ。親指の腹にチェッカリングが食い込み、しっかりハンマーを起こせる。また、コルトは馬の絵、S&Wは頭文字をかたどった凝った刻印が刻まれているが、リバティチーフはミロク製作所製であることを示す文字のみというのも印象的な部分だ。
モデルガン「LIBERTY CHIEF .38special 2インチモデル」はこういった、リバティチーフならではの特徴を楽しめる製品となっている。ヘビーウェイト樹脂で作られており、グリップ部分にも重りが仕込まれているのでずしりと重い。実銃に近い500gの重量を実現している。
表面は樹脂むき出しではなく研磨されていて鉄のような見た目と手触りだ。縁部分はエッジが立っていてざらりとした触感がある。ハンマーや引き金、エジェクターロッドは亜鉛合金を黒染めで仕上げている。グリップは木を練り込んだ樹脂製。見た目だけだと一見樹脂だとわからないかもしれない。このグリップは交換用の木製グリップも販売予定とのこと。
シリンダーからは金色のカートリッジがチラリと見える。リボルバーモデルガンの楽しさはこの金の光が見えるところにあるかもしれない。スイングアウトするとシリンダーに収められた6発のカートリッジが現われ、より金色の印象が増す。カートリッジはセットした状態でも銃を動かすとわずかに動き、音が鳴る。この「スチャ」という音が良いのだ。銃を構えているな、という雰囲気に浸れる。
「LIBERTY CHIEF .38special 2インチモデル」はもちろん実銃同様、ハンマーを起こしてから引き金を引く「シングルアクション」、引き金を引くだけでハンマーが起き、そのままハンマーが落ちる「ダブルアクション」が可能。ダブルアクションでもトリガーは軽快で、この銃が速射性を重視しているのがわかる。
「LIBERTY CHIEF .38special 2インチモデル」のグリップは細い「ラウンドパッド」を使用し、携帯性を高めている。このグリップは手の中にすっぽりと収まる。小型拳銃であり短銃身のこの銃はどういうとき、誰が使うのだろう?
リバティチーフは、当時「M36やDetective Specialより安価な銃」というのも人気の理由の1つだったとのこと。実際にはアメリカの市民が護身用に買い求めたというところだろうが、例えば日系アメリカ人が自分のルーツを考えて購入したかもしれない。S&Wの操作性を気に入っている人が「M36より1発装弾数が多い」というところにメリットを感じて手にしたかもしれない。しっかりしたホルスターに収める人、乱暴に服の下に隠して持つアウトローなど、生活スタイルやシチュエーションを想像するのも楽しい。
「映画やドラマの登場人物になりきった気分」に浸れるのがモデルガンの楽しさだ。日本の刑事ドラマで、あえてこのリバティチーフを使っている刑事がいたら、必ず銃のエピソードが描かれただろう。実際には北米流通のこの銃を日本の刑事が使えるか細かいところはわからないが、70年代のおおらかなところがある刑事ドラマならありではないか?
若い刑事が大型拳銃を振り回す中、いぶし銀の中年刑事がミロク製作所製のリバティチーフに自身の想いを込める……。こういったドラマを考えながらその人物になりきった気持ちで手の中のモデルガンを眺め、構えてみる。これはとても楽しい遊び方だ。次ページではモデルガンの魅力が最大限に発揮される"発火"そして、小道具を使った写真を撮るという遊び方を提案していきたい。