レビュー

「1/24 ナイトライダー ナイト2000 K.I.T.T. シーズンⅠ」レビュー

センサーが光り、声を発するドリーム・カーを再現!

【1/24 ナイトライダー ナイト2000 K.I.T.T. シーズンⅠ】

開発・発売元:アオシマ

6月30日発売

価格:5,940円

全長:約20cm

素材:PS

対象年齢:15歳以上

※LR44ボタン電池2個使用(別売)

 アオシマが発売したプラモデル「1/24 ナイトライダー ナイト2000 K.I.T.T. シーズンⅠ スキャナー音声ユニット付き(以下、1/24 ナイトライダー ナイト2000 K.I.T.T.)」は、1980年代にアメリカで人気を博した海外ドラマ「ナイトライダー」に登場するドリーム・カー「ナイト2000」を再現したプラモデルだ。

 「ナイトライダー」は、主人公マイケル・ナイトがこのナイト2000に乗り様々な悪と立ち向かう。ナイト2000は自我を持つ人工知能K.I.T.T.(キット)を搭載しており、マイケルの"相棒"として活躍する。日本で放映された吹き替え版ではマイケルをささきいさおさん、K.I.T.T.を野島昭生さんが演じ人気を集めた。

 プラモデルではLEDと音声ユニットを内蔵。最大の特徴である「ナイトフラッシャー」と呼ばれる赤いセンサー(スキャナー)ユニット、車体前面の赤いスキャナーが左右に光り点滅する様を再現している。さらに野島昭生さんの声で幾つもの台詞を話すという、ファンにはたまらない商品となっている。

 塗装しなくてもデカールで車内のメカニカルなコクピットまで再現でき、劇中の雰囲気を味わえるカッコ良くシャープな造型が楽しめる。本稿では「1/24 ナイトライダー ナイト2000 K.I.T.T.」の魅力を紹介していきたい。

マイケルとK.I.T.T.の名コンビが様々な悪に立ち向かう「ナイトライダー」

 プラモデルの紹介の前に、モチーフであるナイト2000とTV番組「ナイトライダー」を紹介していこう。「ナイトライダー」は、"現代に蘇る正義の騎士"というコンセプト。主人公マイケルは刑事だったが、事件の捜査中に相棒を失い、自身も重傷を負う。

 彼を助けたのはウィルトン・ナイト。ナイト2000を生み出した天才科学者であり、莫大な資産を持つナイト財団の総帥である。病魔に冒されていた彼はこの世の悪と戦うという使命を果たすため、自身の後継者としてマイケルを指名し、ナイト2000を託す。マイケルは私立探偵としてナイト財団にもたらされる様々な依頼をこなし、悪と戦っていく。

【「ナイトライダー コンプリート ブルーレイBOX」プロモーショントレーラー】
2014年発売のコンプリート ブルーレイBOXのPV。作品の魅力をまとめた編集だ

 ナイト2000は1980年代の科学技術を遙かに超えるドリーム・カーである。最高時速は500km/hを越え、特殊セラミックのボディは銃弾をはじき返し、壁をぶち破っても傷1つつかない。ターボブーストで十数メートルのジャンプができ、運転手を乗せない自律運転もできる。スキャナーで様々な調査もでき、マイケルをサポートする。劇中様々な隠された能力を発揮したり、強化装備も施された。

 そして最大の特徴は搭載された人工知能K.I.T.T.である。真面目で礼儀正しく、熱くなりがちなマイケルを抑えるクールなキャラクターで、皮肉めいた言い回しも得意だ。マイケルのサポートをしながら彼と共に成長し、かけがえのない"相棒"となっていく。冗談も得意で、マイケルとK.I.T.T.、ささきいさおさんと野島昭生さんの掛け合いは「ナイトライダー」の一番の見所と言えるだろう。普段は真面目な口調のK.I.T.T.が機能をおかしくしてしまい口調が全く変わってしまうなど、野島さんの熱演が印象に残るエピソードもある。

【パッケージ】
劇中のシックなイメージを想起させるパッケージ

 「ナイトライダー」はシーズン4まで製作され、その後も続編やリメイク作なども制作された。ナイト2000のモデルとなったゼネラルモーターズの「ポンティアック・ファイヤーバード・トランザム」は大人気車種となり、スキャナーユニットを取り付ける改造車も多く見られた。現代でも愛車にこのスキャナーユニットを模したパーツを取り付ける人はいる。日本でもコクピットまで劇中そのままに改造した人もいる。「ナイトライダー」とナイト2000は、TVドラマから40年近くが経過してもその魅力は色あせない。

 プラモデルではパーツ数を抑えた初心者でも組み立てやすいものになっている。1パーツで構成されたボディ、クリアパーツもふんだんに使われ、メッキパーツがアクセントになっている。漆黒のボディと、オリーブ色の内装と成型色の色分けもされていて、塗装せずとも劇中のイメージに近く組み立てられる。次章からいよいよ組み立てていこう。

【パーツ】
メインの成型色は黒。艶やかな表面処理がされている
車内のパーツはシートの色であるオリーブ色の成型色
メッキパーツや、クリアパーツなどが用意されている
ボディは1パーツで表現
音声・LEDユニット。ケーブルで電池・スイッチボックスに接続されている。作動させるためには別売のLR44電池が必要

シンプルなパーツ構成で、カッコイイナイト2000が組み上がる!

 最初に組み立てるのはタイヤだ。メッキパーツと黒のホイールカバー、ゴムのタイヤの異なるマテリアルが重なる感じが楽しい。タイヤに刻まれたトレッドパターン(溝)のデザインも凝っていてカッコイイ。

【タイヤ】
メッキのホイールにゴムのタイヤ、黒のホイールカバーでマテリアルの違いが感じられる。トレッドパターンも細かい

 前後の足回り、エンジンからの排気を誘導しエンジン音を抑制するマフラーを取り付けていく。マフラー部分はメッキパーツとなっており、黒い車体に銀のラインがアクセントとなる。少ないパーツだがメカニカルな雰囲気がきちんと出ている。

【足回り】
メカニカルな足回りを少ないパーツで表現
メッキのマフラーパーツがアクセントになり、グッと見栄えがよくなる

 次が「インストルメントパネル(インパネ)」。スピードメーターなど様々な計器が並ぶパネルなのだが、ナイト2000には航空機のコクピットの用に細かい計器、ランプ、スイッチが並んでいる。この圧倒的な情報量は強い"未来感"があり、ドリーム・カーならではの雰囲気を醸し出している。

 プラモデルではこの複雑なデザインをデカールで再現、パネルに貼り付けるだけで、圧倒的な計器とスイッチに囲まれたコクピットを再現できる。「1/24 ナイトライダー ナイト2000 K.I.T.T.」のデカールはこのコクピットに集中しており、デカールを貼る作業はここだけだが、デカールは非常に細かいだけに注意が必要だ。

【インパネとハンドル】
圧倒的な情報量のパネルとスイッチはデカールで再現
飛行機の操縦桿のようなハンドル
ナイト2000は、天井やギア部分にも操作パネルがある。こちらもデカールでバッチリだ

 コクピットで一番面白いのはハンドルだろう。こちらも航空機をイメージしたものになってる上に、基部に様々なスイッチがついている。劇中での印象的なハンドルは、ファンにとって特に思い入れが深いだろう。デカールは前面のパネルだけでなく、レバー部分や天井のスイッチにも用意されており、組み立てるとスイッチに囲まれたナイト2000ならではのコクピットができあがる。

 車内部分はボディやシャーシと独立した「バスタブ」を思わせる形状になるところも面白い。組み立てやすい部品分割はアオシマの「スナップキット」シリーズのフィードバックを感じた。組み立てやすい上に、キチンと車内のメカニカルな雰囲気も再現している。成型色は印象的なシートの色に合わせていて、塗装しなくても劇中に近い感じとなる。こだわりのユーザーは塗装することでさらに劇中に近づけられるだろう。

【車内の組立】
バスタブのように組み上がる車内。アオシマの初心者向けプラモデル「スナップキット」シリーズを思わせる、大胆なパーツ構成だ
車内のディテールを際立たせるため、今回は内装にウォッシングによるスミ入れを施した
インパネの圧倒的な情報量! ナイト2000ならではの風景だ

 ボディ部分は1パーツで成型された黒いボディに様々な部品を取り付けていく。赤いスキャナー部分が赤のクリアパーツで表現されている。ガラスはスモークとクリア2種が用意されている。今回はフロントをクリア、天井部分と後部のガラスはスモークにしてみた。コクピットの天井にスイッチやランプがたくさんついた操作パネルをくっつけるのも楽しい。

 ライトは裏にメッキパーツを貼り付け雰囲気バッチリ。ブレーキランプなどは貼り付けた後スモークのクリアパーツで覆ってしまうのでちょっと見えにくくなってしまう。おなじみのナンバープレートもデカールでしっかり再現されている。

【ボディの組立】
なめらかな黒いボディパーツに部品を接着していく。スキャナーの赤い光を再現するための赤いクリアパーツを取り付ける
天井に操作パネルをセット
フロントグリルをセット。ライトはメッキパーツにクリアパーツが重ねられている
こちらは後部。スモークのクリアパーツで覆われているが、中にはテールランプの赤いクリアパーツなども取り付けてある

 ボディに部品を付けたら内装をシャーシに乗せ、さらに目玉である音声・LEDユニットを取り付ける。このユニットは電源・スイッチとケーブルで繋がっているので、シャーシの裏側からケーブルを通すこととなる。最後にボディをかぶせると完成だ。

【音声・LEDユニット】
今回の目玉となるユニット。ケーブルを車体外部に通し、ユニットはネジでとめる。精密ドライバーが必要だ

 キットとしては難易度はそれほど高くないが、接着を前提としたプラモデルで、細かい部品もあるのである程度の模型スキルは必要だ。デカールもやはり作業が細かく苦労する部分ではある。しかし塗装せずとも劇中の雰囲気に近づけられるのは「ナイトライダー」ファンに嬉しいところ。何よりギミックが楽しいのだ。

 次章では本商品最大の特徴である音声・LEDユニットを作動させ、「1/24 ナイトライダー ナイト2000 K.I.T.T.」のポテンシャルをお見せしたい。

【完成】
カッコイイナイト2000が組み上がった。次章でギミックを紹介していこう

「はい、マイケル」劇中そのままの K.I.T.T. 載せリフト、スキャナーの光!

 「1/24 ナイトライダー ナイト2000 K.I.T.T.」の最大の魅力と言えばやはり「音声と光」だろう。搭載された音声・LEDユニットにより、劇中そのままの演出が楽しめるのである。まずは字幕付き動画でギミックを紹介したい。字幕をONにして楽しんで欲しい。

【アオシマ、「1/24 ナイトライダー ナイト2000 K.I.T.T. 」劇中そのままのスキャナー発光と音声(字幕解説付き)】
字幕をONにして楽しんで欲しい

 スキャナーの光の移動をLEDのプログラム基板で再現、さらに K.I.T.T. を演じる野島昭生さんの音声が車内から聞こえてくる。高い知性とちょっとだけ皮肉っぽいしゃれた感じでしゃべる K.I.T.T. ならではの台詞が楽しい。

 収録されている台詞もマイケルを支える執事のように頼もしいデボンを紹介する台詞、悪の同型機「K.A.R.R.(カール)」との対決シーンと、チョイスが面白い。ファンにはドラマの名シーンが蘇ってくる。

【スイッチ】
Aを押すとスキャナーの点灯、Bを押すと音声が発せられる

 改めて完成したナイト2000を見ていこう。漆黒のボディに包まれたドリーム・カー。黒一色のシンプルなボディに、目を惹く赤いスキャナー。シャープでカッコイイ車体だ。今回に関しては黒いなめらかなボディに接着剤の跡がついてしまったところが反省点だが、ギミックだけでなく、手に取って眺め回すことで強い満足感が得られた。

 なにより運転席をのぞき込むとびっしりとランプとスイッチが並んでいるのがいいのだ。マイケルが操作や命令をすることで、ものすごいスピードで加速したり、ジャンプしたり、様々な機能を発揮したナイト2000の活躍シーンが蘇ってくる。ファンにはたまらないアイテムと言える。

スキャナーを発光させるのが楽しい
思わずニヤリとさせられる運転席の光景

 「1/24 ナイトライダー ナイト2000 K.I.T.T.」はファンには文句なくお勧めできるプラモデルだ。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のタイムマシン・デロリアンや、映画「バットマン」のバットモービルなど、劇中で活躍したメカを細部まで見ることができ、ディテールを楽しめるのはやはり格別な楽しさがある。

 一方で全く原作を知らなくてもこの商品をきっかけに「ナイトライダー」興味を持つのも良いだろう。アオシマはナイト2000の劇中の様々な姿をモチーフとしたプラモデル展開もしており、こちらの再販なども期待したいところだ。