レビュー

「レゴ(R)アーキテクチャー 姫路城」レビュー

天守閣や渡櫓も再現!城内部まで至る緻密なビルドで多数のテクニックを学べる

【レゴ(R)アーキテクチャー 姫路城】

発売元:レゴジャパン株式会社

発売日:2023年8月1日

価格:オープン価格

参考価格:20,980円(媒体調べ)

ジャンル:ブロック玩具

サイズ:(約)高さ19cm x 幅32cm x 奥行27cm

パーツ数:2,125

 今回はレゴ(R)アーキテクチャーシリーズの最新作「姫路城」をレビューしよう! アーキテクチャーシリーズは、レゴ(R)ブロックでホワイトハウスやタージ・マハルなど著名な建築物やパリやシンガポールなどの都市などを再現するシリーズだ。特に都市ではなく単体の建物は、レゴ ミニフィギュアを使った建物とは異なり緻密なディテールがウリとなる。今回の姫路城では、白亜の天守や渡櫓など、どのようにレゴ ブロックで再現していくのかを紹介していこう。

「白鷺城」にふさわしいパッケージや説明書

 まずはパッケージから見ていこう。姫路城は「白鷺城」という別名でも知られているように、天守や櫓、門などを白の漆喰で塗られた城。パッケージは、大人レゴで恒例の黒いボックスに、その白く美しい姿が浮かび上がり、世界遺産にも選ばれた至高の存在であることを再認識させてくれる。裏面にはリアルな姫路城の写真や製品の見所やギミックなどを見ることができるので、完成した後の楽しさを期待することだろう。なお、インストラクション(組み立て説明書)には、姫路城の情報も掲載されているのが嬉しい。

パッケージの「姫路城」のロゴがピンクなのは、実は桜が有名だからか?
裏面には姫路城のリアル画像があり製品との比較もできる
インストラクションの背景は白だが、こちらも素敵に見える

姫路城のベースを袋1から3で準備する

 まずは、袋1から3で製品全体のベースを組んでいく。そのため袋1は大型パーツが多数入っており、組み上げると全体像がわかる。さらに袋2,袋3を使って、ベースや建物の土台部分を組み上げた。秀逸だなと思ったビルドとしては、階段がある。中央にスタッドが付いたプレートパーツをズラしながら組むことで、完全に階段を再現した。また、建物の土台部分も、ただパーツを敷き詰めるのではなく、キチンと梁を組んでいる。絶対に見えなくなるところなのに、手を抜かないこだわりに感動するね。

 余談だが、自分で城を再現する場合であれば必ず天守閣から組むことが多い。なぜなら下から組むと天守閣造型に制限ができてしまうからだ。そういう意味では、ベースから組むのはとても新鮮である。

【袋1:土台】
ベースとなる黒パーツの多い袋1
袋1の二つめは大型プレートを補強接続するためにロングプレートが多い印象
袋1でベース部分が完成する。英語版の姫路城のプリントタイルもある
【袋2:石畳と芝生】
袋2からは石垣で使用するダークタンのパーツが増える
袋2の二つめは石畳のライトグレーと芝生用のサンドグリーンのパーツが増えてくる
階段を構成する中央にスタッドの付いたパーツ
半プレートズラして接続することで小さいながらも完全に階段となる
袋2の完成形。まだまだ先は長い
【袋3:梁】
袋3も石垣用ダークタンのパーツが多い。例え見えないところでも違うカラーが使われていると隙間から見えた時によくないのだろう
袋3から白パーツも入るが、まだまだ漆喰部分ではない
袋3には短いプレートが多く入っている
袋3で土台となる梁の部分を構築
袋3の完成形。梁があるユニットを組み込んだことにより、いよいよ築城感が沸いてくる!

ベースの仕上げと姫路城の石垣を袋4から8で仕上げる!

 続いては、ベースの整地と石垣部分の作成を、袋4から8で組んでいく。まずは袋4のサンドグリーン系のパーツを使って、庭の部分を作る。石畳はライトグレーだ。この時、斜めにカットされたウェッジプレートというパーツを多用し、上下逆に組むことで斜めの道を再現。また、ウェッジプレートとタイルパーツを同じ間隔で使うことにより、キチンと手入れができている芝生部分の表現が見事だ。

 石垣部分はダークタンのスロープ系パーツで表現。斜めにカットされたウエッジブロックもあるので、十分に対応可能だ。姫路城の石垣は、ほかの城のように「石」の色ではなく、少し複雑な色味をしているので、このカラー選択もありだろう。

【袋4:石垣と庭】
袋4の小袋は石畳や芝生のためのパーツが多い
袋4からはついに石垣用のパーツが登場する
キチンと整地されたベースの完成
袋4で石垣の最下層と庭部分の準備は完了

 袋5では、姫路城のポイントのひとつである「櫓(やぐら)」も作る。インゴットと呼ばれる金塊パーツのダークグレーを使って屋根を表現しているのだが、これが様になっている。袋6から増えてくる、少し大きめの櫓も作り、ここからはスロープパーツの屋根が使われる。このようにサイズによって、屋根のバリエーションを付けているので、スケール感が損なわれない。

【袋5:石垣と櫓】
袋5には、周辺の低い石垣用ダークタンのパーツが入っている
袋5の小袋には櫓用のパーツがある
ローラースケートのパーツで、櫓の下部にある「屋根」を再現するのも面白い
櫓を斜めに配置することで、かなりリアル感が増す!
袋5までの完成品。かなり城らしくなってきた
【袋6:石垣と櫓】
袋6も石垣用ダークタンがメイン
袋6の小袋は櫓用という袋5と同じ仕分けがされている模様
レール付きのプレートで屋根のせり出しを表現しているのも面白い
石垣から伸びる櫓が姫路城らしさを感じさせる
袋6までの完成品。作り進めていくとホントに築城している気分になってくる

 袋7では城内の内側の壁なども作るが、最終的には袋8で追加する石垣に隠れてしまうところも多い。だが複雑な形状の姫路城を再現するには、このような一手間も必要なのだろう。

【袋7:内装と土台】
袋7からは、いよいよ内装用の細かいパーツも増えてくる
さまざまなバリエーションの白パーツ
袋7の大袋には土台用のパーツも多い
袋7までの完成品。早く天守閣とか作りたいが、もう少しの我慢
【袋8:石垣】
袋8からは普通のプレートと同じくらい中央にスタッドのあるタイプのプレートが増えてくる
袋8の大量ダークタン。これで石垣は完成だ!
スタッドの位置をズラすことで隙間をつくり「狭間(さま)」を表現
袋8までで石垣が完成! あとは姫路城のメイン部分の築城だ!

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ミスに注意しながら袋9から17で姫路城を完成させよう!

 最後は袋9から17を使って城のメイン部分を作っていこう。まず袋9では小天守や渡櫓になる部分、袋10で天守閣部分を組んでいく。姫路城は、天守閣、小天守などを渡櫓(わたりやぐら)で繋げた「連結式」のお城なので、このように並行して組んでいくのが効率的なのだろう。だが小天守の部分は天守閣に比べて低いので、袋11と12で一気に仕上げていく。

 組み方のポイントとしては、中央にスタッドのあるパーツを多用することで、半プレート分ズラして組み、その余剰部分を屋根の一部として見せる手法が秀逸だ。ほかにもブーメランのパーツを重ねて使うことで屋根に見せている表現もある。かなり趣向を凝らしているので、組んでいてとても楽しかった。ただ、このスタッド位置をズラす手法は、ミスを誘発しやすい。同じカラーで組むということを含めて、何度か位置を間違えてしまった。だから、特に後半部分はキチンとインストラクションを見て、位置を間違えないように組んでいくと安心だと思う。

【袋9:小天守】
袋9では小天守の部分の元になる白パーツが中心になる
袋9には新規パーツである2プレート高さのブロックが多数入っているが、プレート2枚で代用できる部分もあるので、パーツを交換して新規パーツをとっておくのもアリ
小天守部分は入り組んでいてわかりにくいので、位置を勘違いしないように注意して組み立てよう。
袋9まで完成。連結式の城ならではの入り組んだ形状がよくわかる
【袋10:天守閣内部】
袋10は天守閣のパーツがメイン
とにかく細かいパーツが多いので、落とさないように注意しよう!(実は一度行方不明になりかけた)
天守閣の内部。見えなくなるところだが、結構作り込んでいる
袋10まで完成。白い部分が増えたので、姫路城らしさがうかがえるようになった
【袋11:小天守と渡櫓】
袋11は小天守や渡櫓の屋根となるパーツが多い
小天守の2階(?)部分のパーツ。白が多くなってくるので、間違えないように注意して組んでいこう
屋根となる部分を中央スタッド付きプレートで覆う。はみ出して付けるので、位置を間違えないように注意
微妙に位置をズラすことで、キチンと唐破風な屋根を表現している
袋11まで完成。最終形もずいぶん見えてくる
【袋12:小天守の屋根】
袋12は小天守の屋根となるダークグレーが山盛り
袋12の小袋はダークグレーのブーメランパーツが入ってきた。まさかこれが屋根になるなんて!
天守閣の内部。見えなくなるところだが、結構作り込んでいる
袋12で小天守と渡櫓が完成。いよいよ天守閣にとりかかれる!

 袋13以降は天守閣の築城になる。ここからは組んでいて楽しい技のオンパレードで「おおっ!」と思わず声が出てしまうことも多かった。例えば、天守閣には千鳥破風(ちどりはふ)とか唐破風(からはふ)などの屋根の形があるのだが、これらを前述したブーメランのパーツやカーブスロープ、ヒンジ系パーツなど、多彩な組み方で表現しているのだ。また、上下逆に接続することで極小のディテールを生み出したり、上に載せたりすることで接続しているように見える技もあった。また、新規パーツで、屋根の反り返りを表現しているパーツがあり、この系統はこれまでなかったパーツなので、今後のバリエーション展開が楽しみだ。

【袋13:天守閣】
袋13は天守閣を作り込むためのパーツなので基本は白とダークグレー
L字タイルなど、補強的な使い方ができるパーツもある
新登場だと思う反り返りのあるパーツ。まさに屋根用!
カーブスロープを使った唐破風の表現など、見所満載
袋13まで完成。こうみると連結式の城の構成がよくわかる
【袋14:天守閣の外観と内部】
袋14には天守閣の外観だけでなく内部を作り込むためのパーツも多い
グリルやクリップなど、さまざまなディテール表現のためのパーツが増えてくる
穴あきラウンドプレートと、突起のあるラウンドプレートで上下を反転させて接続するテクニックが炸裂!
袋14まで完成。かなり天守閣部分も完成してきた! 屋根の表現がまさに姫路城
【袋15:天守閣2層目】
袋15で天守閣の2層目全てを組むので、複雑なパーツ構成になっている
小袋には屋根系パーツも多い
一見戦車風の2層目が完成
天守閣に取り付けると、なんと砲身らしき部分が屋根の最上部、冠瓦になった
袋15までで、ほとんど完成に近い。あと一息だ!
【袋16:天守閣最上部】
袋16は天守閣最上部以外に小さな木になるパーツも入っている
袋16の小袋は、一見何に使うかわらかないパーツが多いので、組んでいて楽しいはず!
三角形のタイルが思わぬ効果を出す最上部
最上部を組み込んで天守閣が完成
袋16までで、姫路城自体は完成となる

 天守閣が完成したら、最後は植樹だ。咲いた桜と、咲いていない木の状態があり、好きに選んで付けていこう。とはいえ、桜が有名な姫路城なので、自分は桜を組み込んだバージョンにした。

【袋17:桜と木】
袋17は天守閣を彩る桜と木のパーツ
通常の木は余分にあるので、咲いている桜と交換できる

初心を思い出すテクニックの宝庫

 以上で完成だが、組んでいて楽しいセットだったと思う。姫路城のディテールを表現するために使われているテクニックは、自分にとって既知のテクニックが多い。しかし、これだけのテクニックを学べるのは、ビギナーには貴重な体験ではなかろうか。自分もこのようにレゴ セットを組んでいくことで、さまざまなテクニックを吸収し、自分だけの技を考えられるようになっていったなと思った。これは今年ナンバー1のセットともいえるかも!

【レゴ アーキテクチャー 姫路城】
正面からの姫路城は、まさに白鷺が羽ばたいているように見える外観だ
斜め横から見ると、天守閣の美しい造型がよくわかる
左横から見ると階層を重ねた屋根のラインが楽しめる
斜め後ろからの眺めは、連結式の城であることを再認識させてくれる
後ろから見ると、姫路城で有名な渡櫓の造型がしっかり再現されていることがわかる
右斜め後ろからは、全ての小天守が見えるのが嬉しい
右側から見ると連結式姫路城の全体と、そこへ連なる石畳の道筋などがわかるので、登城する行列が見えてくるようだ。
右斜め前からの眺めは、まさに「姫路城」といった感じ。実物に勝るとも劣らない造型美が楽しめるだろう
入り口から城内に入り、庭を通り、階段を上がり、渡櫓をくぐり、そして門をくぐる……そんな一連の動作が思い浮かぶ
植樹することで、殺風景だった庭が生き生きとする感じに変化した!
連結式の城の内側を上から見られるなんて、ちょっとドローン気分。実際には見られないので、ちょっと嬉しい
完成品だけ見ていると、どう組んでいるかわからない部分もあるほど複雑な造形。これを自分で作れるのは楽しかった
様々な形の屋根が重なり、姫路城の美しさを再確認できる
完成品を愛でるだけでなく、中を開けて楽しめるのも、この製品のポイント