レビュー

「HG 1/100 YF-29 デュランダルバルキリー(早乙女アルト機)」レビュー

最新高性能試作機がプラモデルに、差し替えによる3段変形の魅力!

【HG 1/100 YF-29 デュランダルバルキリー(早乙女アルト機)】

8月26日発売

価格:4,400円

全長:約200mm(ファイター時)

スケール:1/100

 BANDAI SPIRITSは8月26日に「HG 1/100 YF-29 デュランダルバルキリー(早乙女アルト機)(以下、HG YF-29)」を発売する。本商品はHG「マクロス」プラモデル 新シリーズ第2弾に当たり、「HG 1/100 YF-19」同様、あえて差し替えパーツを使用する変形で、ファイター、ガウォーク、バトロイドの3段変形を実現している。

 YF-29はYF-19と比べスマートなデザインだが、登場した「マクロスF」のみならず、その8年後の世界を描く「マクロスΔ」の最新鋭機も凌駕する機体とされており、現在でも人気が高い。「HG YF-29」はそのカッコイイYF-29を堪能できるプラモデルだ。今回、発売に先がけてサンプルを組み立てることができた。商品の魅力を紹介したい。

「HG 1/100 YF-29 デュランダルバルキリー(早乙女アルト機)。8月26日発売、価格は4,400円

フォールドウェーブシステムを持つ"超可変戦闘機"をプラモデルで再現

 プラモデルそのものの紹介の前に、モチーフであるYF-29を掘り下げたい。YF-29はTVアニメ「マクロスF」では登場せず、劇場アニメ「劇場版マクロスF~サヨナラノツバサ~」のクライマックスシーンでその姿を現す"最新技術が多数搭載された試作可変戦闘機"である。

 「マクロスF」の劇場版はTV版を元に再構成された「劇場版マクロスF~イツワリノウタヒメ~」と完全新作ストーリーとして描かれた「劇場版マクロスF~サヨナラノツバサ~」の前後編で制作されている。TV版とはキャラクターの立ち位置など異っているが、その最たるものがYF-29の活躍と言えるだろう。

 YF-29はTV版の主役機であるVF-25メサイアと同じYF-24エボリューションから発展した姉妹機といえる存在だが、VF-25の性能を大きく越える最新高性能試作機として設定されている。大気圏内でのトリッキーな旋回性能を重視した前進翼、バトロイド時には足になる2基に加え、翼部分に2基のエンジンを持っている。翼のエンジンは飛行中に自由に角度を変えることができ、高い運動性を実現している。

バトロイド形態
ファイター形態
ガウォーク形態。3形態への変形を本商品は差し替えで再現している

 機体のコンセプトはVF-25の追加装備である「トルネードパックが標準装備となった機体」。機体上部には旋回ができる2つのビーム砲、脚部と肩にはミサイルランチャー、さらに銃身が上下に割れることでより強力な攻撃が放てる重粒子ビームガンポッドを搭載している。

 そして最大の特徴が超空間航法や、超空間通信を可能とする「フォールドクォーツ」の超高純度のものを4基も搭載した「フォールドウェーブシステム」。このシステムを発動させることでYF-29はエンジンの性能を限界以上に引き出し、パイロットにかかるGを一時的に蓄積することで高機動を可能にする「ISC」性能の大幅な向上させ、これまでの可変戦闘機とは別次元の存在となる。

 超時空生命体・バジュラとの戦いを止めるべく主人公早乙女アルトがYF-29を駆り、シェリルとランカ、2人の歌姫の歌をバジュラに届けるために飛ぶ。襲いかかってくるバジュラをかいくぐり、妨害しようとするVF-27ルシファーと空中戦を繰り広げ、バジュラの中枢であるバジュラ・クィーンへと向かうYF-29は、フォールドウェーブの最大稼動により金色のオーラを纏い、2人の歌と共に突き進む。映画のクライマックスでは誰もが歌姫達の歌と共に飛ぶYF-29の姿に魅入られるだろう。

【ランナー/シール】
多色成型のAパーツ
クリアパーツは光沢を放っている
赤、白、灰色など成型色で機体のカラーを表現
ネーマーシールは非常に細かくピンセットが必須だ。このシールを使うことで質感がグッと上がる

 プラモデル「HG YF-29」はこの"試作可変戦闘機"であるYF-29の魅力を堪能できる商品だ。派手で細かいデザインを成型色とシールで表現。ファイター、ガウォーク、バトロイドへの3段変形は複雑な変形機構を、完全再現ではなく差し替えパーツを使うことで、各形態でのスタイリングを重視した変形を実現している。

 パーツは複数の成型色を1つに収めた「Aパーツ」を加え12枚のランナーで構成。赤、白、灰色のパーツで構成されている。本キットの特徴の1つが「ネーマーシール」。シールは非常に細かく、YF-29の細かいデザインをこのシールで再現している。パーツの色分けと、シールを使うことで塗装しなくても劇中のイメージに近い雰囲気に組み立てることができるのだ。次章から早速組み立てていこう。

多色成型とシールで劇中のYF-29の雰囲気をしっかり再現

 プラモデルでは最初に「バトロイド形態」を組み上げていく。この形態を組み上げてから、パーツを活用しガウォーク、ファイターへと変形させていくのだ。まずは頭部。YF-29の頭部はセンサーの集まった複雑なデザインとなっており、クリアパーツを重ねていくのがカッコイイ。パーツを重ね合わせ、シールを貼るとラインの多いYF-29の頭部がしっかり組み上がる。

【頭部】
クリアパーツを重ね、シールを貼って組み上げていく。細かい色分けに注目

 次は胸部の組立。YF-29は設定上変形時に腕の付け根と肩がかなり複雑に可動する。このためヒンジが複雑に組み合わさり、完全変形を目指した商品はこの部分の耐久力が低下しやすかった。「HG YF-29」は腕を展開した形でのパーツ構成となっており、耐久性があるだけでなく、バトロイドとして自由度の高いデザインとなっている。差し替え変形ならではのパーツデザインだ。

【胸部】
肩パーツ。変形モデルだと耐久度に不安があり、肩のラインが崩れてしまいがちだが、「HG YF-29」は変形機能をオミットすることでしっかりした構造となっている
基部にパーツをはめ込んでいく。かっちりと組み上がるのが気持ちいい

 YF-29の胴体は、ファイターの機首部分になる。機種が垂直になりその上に胸部が載るというデザインだが、プラモデルではバトロイド専用パーツとして構成されており、構造がしっかりしている。アクションフィギュアさながらに動かしてポーズ付けが楽しめるのもこの構造があってこそだろう。

【腹部】
ファイターの機首部分が腹部となる。ちゃんとコクピットに計器板のシールを貼るのが楽しい
キャノピーを付けるとコクピットらしさが強まる。キャノピーの枠はシールで表現
胸部パーツを取り付ける

 腕部はフレームに外装を取り付けていく。メカらしいディテールもあってこの部分は特に「ロボットを組み立てている」という感覚が楽しい部分だ。パーツ構成で赤、白、灰色が組み上がり、複雑なカラーリングの腕がきちんと組み上がっていくのが楽しい。

 これまで組み立てた頭、胸、腹、両腕を取り付けることでグッとYF-29らしさが強まった。スマートでシャープなデザインがしっかり実感できる。次ページでは足や背部を組み上げ、バトロイド形態を完成させよう。

【腕部】
フレームに外装を取り付けていく
シールドや手首パーツ、肩も取り付ける
これまでのパーツを組み上げる。YF-29がしっかり組み上がっていくのを見るのは楽しい
【ガウォーク完成】
脚パーツを鳥の脚のような逆関節に変形。
腕パーツを組み合わせると、ガウォークらしいシルエットに
背中パーツを変形、翼を拡げる