レビュー
「DX超合金YF-21(ガルド・ゴア・ボーマン機)」"変形"レビュー前編
底面の装甲を開き手足が出す、ファイターからガウォークへの変形を紹介
2024年6月28日 00:00
- 【DX超合金YF-21(ガルド・ゴア・ボーマン機)】
- メーカー:BANDAI SPIRITS
- 発売日:2024年6月29日発売予定
- 価格:38,500円
- 全長:約約280mm(バトロイド時)
- 素材:ABS、PVC、ダイキャスト製
いよいよ「DX超合金YF-21(ガルド・ゴア・ボーマン機)」が発売となる。本商品はOVA/劇場版「マクロスプラス」に登場する"もう1つの主役機"である。ライバルである「YF-19」のDX超合金は2018年と2023年に発売されており(外見がそっくりな「VF-19ADVANCE」は2015年発売)、YF-21と並べたいと多くのファンが思っていただろう。今回ようやくその願いが叶うこととなる。
YF-21のDX超合金化は参考出展として「TAMASHII NATION 2019」から提示されていたものの、商品として設計するのには難航したようだ。それというのもYF-21は他のVF(可変戦闘機)とは大きく異なる変形システムを採用しており、ファイター、ガウォーク、バトロイドの各形態のプロポーションのバランスを実現するのに変形機構の設計にかなり調整が行われたという。
本稿では特に、「DX超合金YF-21(ガルド・ゴア・ボーマン機)(以下、DX超合金YF-21)」の"変形"を紹介していきたい。これまでのシリーズと異なる変形システムを紹介するため、今回はまず本商品の企画担当者であるBANDAI SPIRITSコレクターズ事業部の木村禎成氏に目の前で変形を見せてもらった後、サンプルを借り、実際に変形を自分の手でして各部を撮影した。
今回は"変形"レビューとして、しっかり変形に重点を置いたレビューをしていく。このため本稿の「前編」ともう一本「後編」の2本立てで変形システムを紹介していく。前編ではファイター形態からガウォークの変形、そしてそれぞれの形態の細かいポイントを紹介する。後編ではバトロイド、そしてハイ・マニューバモード、さらにファストパック装着を紹介していこう。
なお、公式のマニュアルも一緒に見るとより細かく変形システムがわかるので、ぜひ活用して欲しい。
革新技術を積極的に投入した次世代可変戦闘機「YF-21」
モチーフ元であるYF-21は、OVA/劇場版「マクロスプラス」において、YF-19と次世代主力機を争う機体だ。共にその時の最新技術が盛り込まれ、現用の機体であるVF-11とは隔絶した能力を持っているが、YF-21はさらに積極的に革新技術が投入され、脳波コントロールBDI(Brain Direct Image System)システムによって操縦者がイメージするだけで機体の制御を行うことができる。
デザインとしてもYF-21はユニークだ。各種センサーの情報をBDIを通じて得ることが出来るためキャノピーは装甲に覆われた部分が多く強度が増している。そして多くのVFは足がファイターのエンジンになっているが、YF-21は背部のバックパックにエンジンを搭載し、ファイター時の手足は機体内に収納する。
このため緊急時には手足を投棄し、「ハイ・マニューバモード」に変形、リミッターを解除することでパイロットの命を危険にさらすような高機動が可能となっている。またバトロイド時はゼントラーディのバトルスーツ「クァドラン・ロー」に近いプロポーションになっているのも大きな特徴だ。
YF-21の能力のすさまじさは「マクロスプラス」の前半のエピソードで強調して描かれている。脳波コントロールによるセンサー情報の視覚化と肉体と同一となった操縦演出、VF-11がロケットブースターを使っても追いつけない加速力、最新のハイマニューバミサイルの包囲攻撃をかわしてしまう機動力、さらに多数のドローンを相手に無傷で殲滅する戦闘力と、まさに「新時代の可変戦闘機」を印象づけた。
「DX超合金YF-21」ではこの特徴的な変形システムを再現。機体内に手足を収納し、底面を装甲で覆うという本機独特の変形システムを見事に立体化している。この変形システムを再現しながら、航空機らしい"薄さ"を実現しているのが大きな魅力だ。次章からまずしっかりとファイターからガウォークへの変形を紹介し、その後にファイター、ガウォーク、各形態の魅力を紹介していこう。
収納されている手足を引き出すガウォークへの変形
いよいよ変形させていこう。YF-21の変形の面白さは、底面を覆っている装甲を開きそこから手足が出てくるところだ。底面の装甲がハッチのように開く機構は爆撃機の投下機構や、F-35のウェポンベイの展開を思わせる。
装甲の接続機構も注目ポイント「DX超合金YF-21」の装甲を支える機構は基部にボールジョイントを使用、太もも部分で回転し複雑に移動する。金属パーツ、かなりしっかりしたABSでの接続パーツは重い装甲パーツもしっかり支えてくれる。装甲を開きつつ、端部分を内側に折畳み、面積を小さくする。
次にバックパックとなる後部エンジン周辺の装甲を展開する。この装甲は側面と底面がダイナミックに開く。まずは腕を引きだしていく。腕は基部部分が灰色のアームで接続されている。収納状態からガウォーク状態に腕を変形させるには、腕を引き起こした上で、アームの基部を回転させ、さらに上腕部分の回転軸を180度回転させることで定位置になる。ちょっと複雑だが、手足を機体内に収めるため収納面積をできるだけ小さくするために考えられた設計なのがわかる。
腕の付け根はファイター形態のエアインテーク側面となる。そのままだと翼とエアインテーク部分に干渉するので翼の付け根とインテーク側面を変形、ここにアームがきちっとはまり、肩の付け根が移動する。アームは本体の凹凸部分にしっかりはまり位置が固定される。
次に足を引き出す。YF-21の手足は細めではあるが、それでもバックパックと足部分はかなりタイトな設計になっているので、引き出すときや、反対にガウォークからファイターに変形するときに足を収納するときは、こすれて塗装を剥がさないように注意が必要だ。
引き出す場合、まず付け根部分を奥に押し込み、膝部分をつまみ上げるように曲げて引き出していく。かなりタイトだが慎重に引き出していこう。筆者も最初はちょっと怖かったが、何度か変形させることでしっかり足を引き出したり戻したり出来るようになった。
足を引き出したときの注目ポイントは先端部分。収納のためのパーツ形状をしている。この足のデザインや、バックパックの裏側のモールドは「DX超合金YF-21」のためにデザインされたディテールだという。
足の変形も凝っている。変形後はふくらはぎ部分となるハッチを開け、足首部分の基部を回転させ足の先端を出す。足部分は引き出して展開させた後、基部を回転させて定位置となる。ガウォークの足にするにはさらに太もも部分も180度回転させる。こうすることで膝部分が人間とは逆側に曲がるおなじみのガウォークの足となる。さらに足の付け根の金属パーツを90度引き起こすことで足部分の変形完了となる。
ここからはバックパックの変形だ。ファイターからガウォークへの変形の場合、まず「ストッパー」を外さなくてはいけない。YF-21はエンジンがバックパックに装備されているとデザインなので、後部部分にそれなりに重量があり、さらには足を収納するためにしっかり位置を設定しなくてはならないためか、ストッパーが設けられている。ガウォーク形態にするためにはこのストッパーを引き抜く。
次にストッパーを収めていた隙間を中央部分を押し下げてなくす。ここから機体をひっくり返し、2つのエンジン部分の付け根を押し下げることで段差を作る。こうすることでバックパック後部のロックが外れ、スライドすることが可能となる。スライドさせる前に主翼後部のシャッターパーツを伸ばし機体とバックパックの隙間を埋める。ここからバックパック後部を前方にスライドさせることで機体全体が縮まり、ガウォークとしてのバランスのとれたプロポーションが完成する。
最後は「ガンポッド」だ。YF-21は底面装甲パーツに左右2丁のガンポッドを懸架している。このガンポッドも他のバルキリー同様懸架状態から手に持つ状態へと変形する。ちなみに「DX超合金YF-21」では非変形の懸架状態専用のガンポッドパーツも用意されている。装甲についていたガンポッドを変形、手に持たせればガウォークへの変形完了だ。
「DX超合金YF-21」の変形は様々なパーツを動かす必要があるため、一見複雑だ。実際筆者は最初木村氏に目の前で説明を受けながら変形したが、細かいところまで覚えきれなかった。しかし各パーツの変形手順を見せてもらった後、実際に取扱説明書を見ながら細かくパーツを移動させ、変形させると各パーツの移動の"意味"がしっかりと理解でき、しっかりと変形システムを理解できた。
変形を覚えることで、各パーツの移動や、ロックのための機構、両形態のプロポーションバランスなど、非常に練り込まれた商品であることが確認できた。「変形が複雑そう」と感じている方はこの記事を参考にしていただければ幸いだ。次ページではファイター、ガウォーク各形態のディテールを見ていこう。
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