レビュー
「ベストメカコレクション 1/144 RX-78-2 ガンダム (REVIVAL Ver.)」レビュー
今やジャンルとなった“ガンプラ”が生まれて44年。最初のデザインそのままにガンダムが新生を遂げた!
2024年10月11日 00:00
- 【ベストメカコレクション 1/144 RX-78-2 ガンダム (REVIVAL Ver.)】
- 開発・発売元:BANDAI SPIRITS
- 発売日:2024年10月12日
- 価格:1,320円(税込)
- ジャンル:プラモデル
- サイズ:全高約125mm
今回レビューするのは、10月12日発売のガンプラ「ベストメカコレクション 1/144 RX-78-2 ガンダム (REVIVAL Ver.)」です。1979年4月7日から翌1980年1月26日にかけて放送されたTVアニメ『機動戦士ガンダム』、さらに1981年3月以降に劇場版『機動戦士ガンダム』(三部作)に登場しアムロ・レイがパイロットを務めた地球連邦軍のモビルスーツ「RX-78-2 ガンダム」をプラモデルキット化したものです。
TV放送終了後からファンによるすさまじいまでの後押しによって超大人気アニメとなった『機動戦士ガンダム』。このキットは、1980年7月に誕生した関連トイグッズでありジャンルとして定着した“ガンダムのプラモデル=ガンプラ”の第一弾である「ベストメカコレクション 1/144 RX-78 ガンダム」を2024年にリバイバルさせたものとなっています。
リバイバル版キットの情報が解禁され、この44年にわたる技術革新を受けて再び大地に立つことになった1/144スケールのガンダム。その姿に、当時ドはまりしていた往年のガンプラファンは驚かされました。
なんせスタイルやデザインは当時発売されていたものとほぼ同じでありながらイロプラ、タッチゲート、スナップフィットといった技術を盛り込みつつも、ランナー数は当時と同じ2枚でリバイバルされたのですから……。
当時のキットはホワイトのみの一色成形でしたからアニメやパッケージ写真、模型雑誌の作例同様に完成させるにはもちろん塗装するしかなかったわけですが、多くのファンには難しい部分も多々ありましたよね。
リバイバル版キットは、44年の技術蓄積を存分に注ぎ込むことでカラーパーツで構成されていて接着剤も不要です。これなら組んだ誰もが設定どおりのカラフルなガンダムを完成させることができます。当時悔しい思いをした方も報われる時が来ました!
これらの商品イメージCG、どうでしょうか?ここまでのカラーパーツによる色再現!当時を知る者からしたら驚異的な進化が感じられますよね。当時はボディのトリコロールや頭部のツインアイなんてもちろん一体成型でしたから塗り分けにはマスキングが必要でしたけど、少ないおこづかいでようやくガンプラを買っても塗料や筆とかまでは高くて買えなかったこともあったのではないでしょうか。
たとえそれらが買えてもマスキングテープなどのさらに高度な用具はなかなか揃わなかったので呼吸を止めて指先をフルフルさせながらちょっとずつ塗り進めていきましたがやっぱりはみ出したり、接着剤といっしょになってドロドロになったり……皆さんそれぞれにとてもとても難しかったり悔しい思い出があるんじゃないでしょうか。そんなことも思い出しながらフルカラーのパーフェクトな1/144スケールのガンダムが組める時が来ました!
そんな往年のガンプラファンには見知ったスタイルとそこへ練りこまれた構造がつきささる「ベストメカコレクション 1/144 RX-78-2 ガンダム (REVIVAL Ver.)」は現在のクオリティのガンプラを楽しんでいるファンにはとても新鮮に見えると思います。
このキットが発売されたらファン同士や親子孫の三世代なんかで「最初のガンプラは〇〇で……」「〇〇な失敗が……」「そもそも買うことすらできなかった……」なんて会話がはずみ、新旧全てのガンプラファンをつなぐキットになってくれるのではないでしょうか。
今回、発売前サンプルキットを提供していただきましたのでそちらをレビューしていきたいと思います。ランナー2枚であっという間に組みあがる“フルカラー”の「ベストメカコレクション 1/144 RX-78-2 ガンダム (REVIVAL Ver.)」の魅力をお伝えできればと思います!
「ベストメカコレクション 1/144 RX-78-2 ガンダム (REVIVAL Ver.)」のキット内容をチェック!
それではキットの内容をチェックしていきましょう。ランナーは前述の通りA~Bの計2枚となっています。厳密にはA、Bどちらも2つに分割できますから4枚換算でもあります。他に組立説明書が付属します。
想像通りとても気軽に組めるパーツ構成のように見えますが、組む前にランナーを隅々まで眺めまわしてみてください。カラーごとにどのようにパーツを設計しているのか、なるべく1パーツに収められるようにするにはどのように金型を設計してあってパーツを生産しているのかが想像できてそれもまた楽しいと思います。
筆者個人的な感想ではありますが、いやもうこれはすごすぎます……。旧キットの説明書にはランナー上で完璧に塗装された状態の写真が載っているのですが、それが具現化したような感覚すらあります。離れている部分の同じ色のパーツもつなげてパーツ化していたりして面白いですね。
赤いソールが斜めに配置されていたり、前腕・上腕など多くのパーツでスライド金型をもちいて1パーツ化しているのがわかります。各パーツはなるべく合わせ目が目立たないように配慮されていますが、大腿部は旧キットを彷彿とさせるような設計がされていて面白いですね。
新たな方法論で紡がれ、受け継がれる1/144 ガンダムの新しい姿!
筆者のいつものレビュー形式では部位ごとにパート分けしていますが、ランナーも2枚と少ないこともあり、あっという間に組みあがります。今回はぎゅっとまとめてお届けしてまいります。ここは一つ一つのパーツの構造と成形方法をじっくり観察しながら組んでみてください。
まずはボディから組んでいきましょう。ガンダムのボディはホワイトをベースにカラフルなブルー、イエロー、レッドのトリコロールで構成されますが、これを完全にパーツ分割で実現しています。
しかもそれぞれ離れたところにある同じカラーをパーツで大胆につなげていることで1ピース化していて、それらのパーツを重ねていくと色が乗っていく感覚が味わえます。塗装しなくてもあの1/144 ガンダムが出来上がっていくところがなんともいえない感動や充実感を感じられます。
当時はニッパーなんて高級な道具は買えなかった方も多かったのではないでしょうか。それよりもようやく買えたガンプラをとにかく早く組みたくてツメ切りでランナーからパーツを切り出していたんじゃないですか?それもなければ手でパーツをもぎ取ったりした記憶が……。するとゲート後はギザギザになってしまってパーツを持つと指に刺さって痛かったんですよね。
なお、組立説明書には当時のガンプラの組み立てのあるあるが掲載されています。そこもあわせて読んでいくと懐かしさと発見があります。当時みんなでガンプラを楽しんできたことが頭によぎることと思います。
頭部を組みます。すごい!すばらしい!当時この技術があったなら!タイムマシンがあったら44年前の自分に見せてやりたい!そんな感想が浮かんでくると思います。
レッドの頭頂部のメインカメラ、ツインアイ縁取りとアゴ、イエローのツインアイとバルカン砲が一体成型されていてしかも1パーツ化されたヘルメットに組み込むだけで超絶クオリティの頭部が完成します。
キットを実際に手に取っていただくとその細かさに改めて驚かされますが、当時これらは前後の2パーツとアンテナパーツだけで構成されていて、それを塗装するということでしたからどれだけハードルが高かったかがわかっていただけると思います。
頭部の左右のダクト、マスクのへの字は完全なブラックにはなりませんので、ここはガンダムマーカーなどでスミ入れしてやるとすさまじく完璧なものになると思います。失敗してもやり直しができるのが今のキットのいいところですよね!
腕部を組んでいきましょう。前述の通りですが腕部といえば思い出されるのはやはり肩関節の構造ですよね。設計にも苦心の跡が見られ、腕部側に回転軸を持たせるためにそこをCリング形状のストッパーの採用で可動機構を構成した肩部はボディへの接着が必要だったのですが、これがなかなか難しかったのです。
当時のキットにはセメダイン製のひし形で銀色のパウチに入った接着剤が添付されていたので大体のビルダーはそれを使うのですが使う量のコントロールが難しく、多く塗ってしまってボディと腕がくっついて動かなくなる人が続出しました。
それを経験してからは接着剤を別の容器に出してつまようじなどでちょっとずつ塗ればいいことを考え出したものですがそうすると出しすぎた接着剤が乾燥してしまって量が足らない!なんてことも……。
もちろん今のキットはそんなこと全く考えなくてよく、スナップフィットという設計とバンダイオリジナルグレードの原料によってパーツ同士が絶妙な摩擦力を持つことでパチピタで組みあがります。
脚部を組んでいきましょう。腕部と同様に脛下を筒状にした驚きのパーツ設計が楽しい部分です。それによって正面から見たらパーツの合わせ目が目立たなくなり、旧キットで大変だった合わせ目消しもしなくて済みます!
初期のガンプラブームの時、新商品発売のたびに増えるパーツをランナーから切り出していくとわからなくなることがあったためパーツの裏側にパーツ番号をモールドしていた時代がありましたが、今キットでは脚部の左右(L/R)が識別できるようにパーツの裏側にLやRのモールドがされているので探してみるのも楽しいと思います。
今キットでは旧キットではかなわなかった「後はめ式」の膝関節となっています。組みやすさと塗装のしやすさも考慮されていてうれしい仕様ですね。ソールは脛内部に組み込まれた簡易フレームにあるボールジョイントでの接続となっていてこちらも取り外すことができるようになっています。
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