レビュー
「IMS 1/100 サイレンF型 =ジュノー 2989= ラルゴ・ケンタウリ(限定版)」レビュー
ディテール、シルエット、構造、「最強サイレン」と呼ばれるMHの魅力を満喫できる!
2025年6月21日 00:00
- 【IMS 1/100 サイレンF型 =ジュノー 2989= ラルゴ・ケンタウリ(限定版)】
- 5月17日発売
- 価格:14,850円
- 全高:254mm
- パーツ数:452
- ※ボークスGL/VS/VIP会員限定販売商品
永野護氏のコミック「ファイブスター物語(F.S.S.)」に登場するロボット兵器「MH(モーターヘッド)」を立体化するIMS(Injection Assembly Mortar Headd Series)は、造形師の繊細な原型の魅力をプラキットとして忠実に再現している。ユーザーは組み立てることで、MHならではのデザインの魅力と、メカニックとして表現される構造に触れることができ、「F.S.S.」の世界観をより深く楽しむことができる。
IMS最新作「IMS 1/100 サイレンF型 =ジュノー 2989= ラルゴ・ケンタウリ」は「F.S.S.」3巻でラルゴ・ケンタウリが使用した騎体を再現している。一般販売の「IMS 1/100 サイレンF型」は赤の成型色で設定資料でもあるイラスト集でのサイレンF型を再現していたが、本製品では成型色を変更、新規パーツを追加することで「設定仕様」に加え、カラーと装甲形状が異なる「本編仕様」のどちらかを選んで組み立てることができる。
今回はこの製品を組み立て、魅力を紹介したい。サイレンは大きな肩装甲を持つボリュームのあるシルエットで、力強さを感じさせるMHである。関節構造などにこれまでのボークスが得た技術が投入されており、プラキットとしての進化も感じた。デザインや機構と共に、組み立ての楽しさも紹介していきたい。
ジュノーを襲撃したラルゴ騎の特別仕様を再現
組み立てていく前にラルゴが駆った「サイレンF型」に触れておきたい。サイレンは「F.S.S.」の国家の1つ、フィルモア帝国の主力MHであり、「北の魔人」の異名を持ち、星団三大MHの1つとされる強力な騎体だ。高い拡張性を持っており、様々なバリエーションがあり、外観が大きく異なる騎体もあるが、フレームは同じものだ。
F型はエリート騎士団「ノイエ・シルチス」の隊長騎である特別仕様のサイレン。エンジンにはハイパワーチューニングが施され、通常のサイレンより軽量になっているため機動性が高く、「最強サイレン」と呼ばれることもあるという。
この騎体に搭乗したラルゴ・ケンタウリはノイエ・シルチスの赤グループ隊長であり、事実上のフィルモア帝国騎士団団長である人物。レーダー王家の名を冠することを許された名門の血筋であり、騎士団のトップを務める。「F.S.S.」2~3巻では彼と物語の主要人物であるコーラス・サード(23世)との確執が描かれ、その因縁が物語のクライマックスへと繋がっていく。
本製品「IMS 1/100 サイレンF型 =ジュノー 2989= ラルゴ・ケンタウリ(以下、IMS サイレン・ラルゴ騎)」は、このエピソードのラルゴの騎体を再現可能となっている。ラルゴ騎は赤グループのリーダーであり、赤が本来の騎体色だが、敵への奇襲用に装甲を軽量化し、騎体色も皇帝色である青緑の"孔雀色"に変更した。「IMS サイレン・ラルゴ騎」はこの設定を再現し、成型色を孔雀色に変更、襲撃時の騎体形状と武装を再現可能な新規パーツが追加されている。
様々なマテリアルを盛り込むプラキット
「IMS サイレン・ラルゴ騎」はパーツ総数452,パッケージの中にはランナーがぎっしり収められている。スチロール樹脂を使用し、外装の孔雀色のパーツとフレーム部の灰色のパーツがメインだが、柔軟性に優れたポリエチレン樹脂を使用したパーツ、さらにABSOMEC(アブソメック)関節ランナーが用意されている。
ABSOMECはボークスの半完成品ブランド。金属パーツも使用し、素材感、可動機構にもこだわりが込められている。「IMS サイレン・ラルゴ騎」は足と手の基部の関節機構をこのABSOMECから応用されたパーツを使用することで、従来のIMS以上の関節強度を実現している。
MHは骨格のようなフレームに装甲をまとう、甲冑を着た騎士のような姿のロボットである。手足のパーツは大きく、重量がある。ABSOMECからフィードバックした関節がこの重量を支えるのだ。他に金属製のビスやナット、関節に適度なしぶみを与えるゴム製のOリングなどが同梱されている。異素材を使用しているが、組み立ては至ってシンプルだ。
IMSの特徴は永野護氏の繊細で詳細なデザインのMHをボークスの高い設計技術でプラキットとして表現しているところ。複雑な表面のディテールだけでなく、装甲裏までみっしりと彫刻されている。それでいながら関節など強度が必要なパーツは肉厚に成型されていて、しっかりと重量を支えてくれる。
プラキットでは「F.S.S.」劇中での姿を再現した「本編仕様」と、イラスト集「デザインズ3」で設定された「設定仕様」のどちらかで組み立てられる。今回は設定仕様で組み立て、ウォッシングによるスミ入れ、装甲の裏側などに部分塗装を行った。次章からいよいよ組み立てていこう。
パーツごとの完成度を味わいながら組み上げていく楽しさ
最初は頭部の組み立て。MHは人間のように"目"があり赤い眼球と黒い瞳が印象的だ。プラキットではこの目の部分を細い筆で塗装してから仮面のような装甲をかぶせることで、上目遣いで前をにらんでいるような迫力のある表情となる。
この基部を兜状の装甲パーツで挟み込んでいく。首回りが広がるように配置された装甲は重厚な雰囲気で、頭部パーツだけでもかっこいい。IMSの大きな魅力だが、頭パーツだけでなく、手足、胴体など、組み立ての途中何度も組んだ部位を拾い上げ、色々な角度で眺めてしまう。シルエット、装甲の重なり具合、スミ入れで強調されたディテールなどをチェックする。「部位単位でカッコイイ」というのはIMSならではといえる。特に頭部は見て楽しむ回数が多かった。
今回はアクリル塗料による部分塗装と、ウェザリング用のラッカー系塗料を使ったスミ入れを行っている。どちらも筆塗装で行った。部分塗装は装甲の裏や、頭部、全身の菱形の装飾を塗っている。本製品は塗り分けが必要な箇所も少なく、スミ入れにより繊細なディテールがはっきりと浮かび上がるのでオススメしたい。特に頭部は目や、頭頂部、周囲の装飾などを塗装すると情報量がぐっと上がる。
また、「IMS サイレン・ラルゴ騎」では本編仕様の頭部はまるまる別パーツが用意されているので、今回のように設定仕様で組み立てても、本編仕様の頭部も作ることができる。装甲形状や、特に頭頂部のデザインが違うので、両方作ってみるのをオススメしたい。
次は胸部。MHは人間の骨格のようなフレームを持ち、そこに装甲をつけていくような構造になっている。IMSではフレームの一部を再現しており、ユーザーは組み立てることでより深くMHのデザインを楽しむことができる。さらに「IMS サイレン・ラルゴ騎」ではABSOMECからフィードバックされた関節構造も体験できる。
上半身の基部となるパーツでは、球体関節を持つ左右の腕の付け根をネジ止めして位置を合わせている。中央の穴からは左右に分かれた基部パーツが見ることができるが、ここにビスを貫通させ、胸中央のパーツをビスとナットで押し込むことで、基部パーツを左右に広げ、腕の付け根に圧力をかけ、その動きにしぶみを加えることができるのだ。
この基部パーツに装甲をつけていくことで、いかめしいサイレンの上半身が作られていく。本キットは基本的にパーツは接着していくのだが、背中の装甲は接着しない。取り外すことでビスの頭を露出させ、これをドライバーで回転させることで、両腕のしぶみをいつでも調整できるようになっている。
この関節設計は脚の付け根も同様だ。下半身の調整用のビスは下半身と腰パーツをつなげる役割も担っている。MHは特に大きな足や、腰回りに重厚な装甲を装備するため、この部分に圧がかかりやすい。過去のIMS製品では無理に足を動かそうとすると、基部部分が折れるようなこともあったが、「IMS サイレン・ラルゴ騎」はビスを使うことで強度を上げている。
胴体パーツの最後は腰装甲だ。サイレンF型はくさび形の外部装甲と鎖帷子のような内部装甲の2層になっている。これらもスミ入れと、部分塗装でぐっと情報量が上がる。これらを取り付けるのは、足を完成させてからになる。
胴体の次は足だ。こちらもフレームを組み立ててから装甲を取り付けていく。フレーム部分では特に装甲に覆われていない膝関節のディテールが繊細で、スミ入れの効果が高い。
独特の曲線を描くすね部分の装甲はシルエットも美しい。すねの装甲に関しては裾部分と膝部分が広がり装甲の裏が見えるので、ここも塗装しておきたいところだ。さらにすねや腰、肩部分の菱形の装飾は塗装してからスミ入れをすることでぐっと締まってかっこよくなる。
「IMS サイレン F型」ではすねにギミックも盛り込まれている。すねのフレームがスライドで大きく伸びるようになっており、伸ばすことで膝が深く曲げられる。この構造で本キットは"膝立ち"も可能なのである。
足の次は足首だ。装甲をまとったサイレンを支える足首は荷重がかかる部分だ。ここも球形関節をOリングで支える設計になっている。この基部にフレームと装甲を着ければ足首が完成。これまでの足、腰、上半身、首を接続していくことで、サイレンの具体的な姿が見えてくるようになる。
足の付け根もビスでしっかり接続する。しぶみの調整だけでなく、前述の膝関節の機構を使い"膝立ち"させるためにはいったん足を外し、足の内側のパーツを外して自由度を上げることが必要なのだ。ちょっと複雑な機構だが、デザインを重視するIMSらしい設計と言えるだろう。
内側と外側の腰装甲の取り付けも楽しい。MHはぎゅっと腹部が細くなっているが、腰回りは重装甲の騎体も多い。サイレンは2種の装甲が重なるデザインでかなりの重厚感がある。
腕と武装を組み立て、完成!
そして腕の組み立てだ。肩を組み立てた後、前腕を組み立てるのだが、「IMS サイレン・ラルゴ騎」は左右の前腕のデザインが大きく異なる。さらに設定仕様と、本編仕様でも取り付けるパーツが違う。右腕の前腕は、設定仕様だとフィルモアの紋章が描かれたバックラー、本編仕様は竜が描かれたバックラーとなる。バックラーは接着してしまうため交換できないが、本編仕様の竜の部分も塗装してみた。本編仕様のデザインもかっこいいのでどちらを使うか悩ましいところだ。
左腕はベイル(盾)をつけるための基部をつけるかどうかでデザインが変わる。ベイルは大きく、基部もかなり大きなものとなっている。ちなみに設定仕様では基部の代わりにバックラーを取り付けるかの選択する。本編仕様の場合、何も取り付けないという選択肢もある。この選択は「自分のサイレンをどう飾りたいか」で変わってくる。
「IMS サイレン・ラルゴ騎」は腕のギミックも用意されており、前腕と上腕の接続を浅くすることでそれぞれを延長させることができ、肘を深く曲げることが可能となる。このギミックのおかげで、肘を曲げたとき、伸ばしたときのどちらもシルエットとしてのまとまりがいい。デザインとシルエットを重視した本製品のこだわりを感じるギミックだ。
次は肩装甲の組み立て。設定仕様の場合、肩の装甲はかなりのボリュームがある。丸い装甲にさらに装甲をかぶせる構造になっている。「IMS サイレン・ラルゴ騎」ではボリュームのある肩装甲の設定仕様と、軽量化した本編仕様という、見た目で違いが実感できるポイントとなっている。今回筆者が設定仕様を選んだのも、この肩装甲のシルエットに魅力を感じたからなのだ。
腕、肩装甲をつけると本体は完成、後は武器を組み立てて装備すれば、「IMS サイレン・ラルゴ騎」の完成となる。完成した全身をまずはお見せしたい。
サイレンF型は「F.S.S.」2巻の説明で「野武士と騎士を合わせたような姿」と描写されているが、装甲の重厚さ、肩が大きく膨らんだシルエット、頭頂部の大きな飾りなど、いかめしく強そうなデザインだ。騎体を回転させると装甲の重なりが実感できて、そのボリュームに圧倒される。次章ではディテールを見ていこう。完成した「IMS サイレン・ラルゴ騎」をより細かく見ていこう。
完成品のディテールをチェックすることでこみ上げる満足感
IMSはやはり完成させたときの満足感が大きい。マンガや設定資料でワクワクしたMHが立体化して目の前にある。シルエットと各部のディテール、装甲の重なりによって生まれる密度感……。「このMHを組み立てることができたんだ」という達成感は完成品をチェックすることでさらに高まる。
ラルゴのサイレンは孔雀色の"皇帝色"に染められた特別な騎体だ。「IMS サイレン・ラルゴ騎」は成型色でこのカラーを再現。スミ入れでディテールを加えればそのデザインがより際立ち、情報量が増す。
今回の塗装は装甲の裏や、頭部の模様、各部の菱形の装飾などに部分塗装を加えた。塗料は手持ちのものを使用したが、より設定に近い塗装を楽しむ場合、ボークスが販売しているカラーに対応したカラーガイドに従って塗料をそろえたいところだ。特にファレホではそのまま調色せずに使える色が多い。関節や装甲の裏に使う「グレーブルー」、頭部や全身の菱形の装飾に「ライトグリーングレー」を使えば、設定に近い塗装ができる。基本色の「スカービーグリーン」も用意して全塗装に挑戦するのも楽しいだろう。
ポージングについては「IMS サイレン・ラルゴ騎」は腕の自由度はかなり高いが、足は自重を支えることに焦点を合わせてるためか、あまり大きく足を動かすポーズは苦手だ。立った姿で飾るか、関節の位置を決めて固定ポーズにするのもいいかもしれない。今回は盾と剣を構えたポーズをとらせてみた。
そして「IMS サイレン・ラルゴ騎」ならではの"遊び"にも挑戦してみた。本来、「IMS サイレン・ラルゴ騎」は、設定仕様か本編仕様かのどちらかを選んで組み立てるが、頭部パーツと剣と盾はそれぞれ別パーツで組み立てられるので、設定仕様のボディに、本編仕様の頭部、背面装甲を装着、剣と盾もつけてみた。設定と異なるオリジナル仕様ではあるが、プレイバリューとして遊んでみるのも楽しい。
最後は「IMS サイレン・ラルゴ騎」のポテンシャルを活かした、駐騎状態の「しゃがみ姿勢」にも挑戦してみた。本来この姿勢は原作の1シーンを再現するために盛り込まれたギミックで、原作のシーンを再現するには本編仕様で組み立てた上で、騎体色を赤に変更する必要がある。今回は筆者が組み立てた姿で、しゃがみ姿勢をとらせてみた。
「IMS サイレン・ラルゴ騎」をこの姿勢にするには、いったん下半身をばらし、足と腰の間にスペーサーパーツを専用の長いビスで挟みこむ。足そのものもいったん取り外し、内側のパーツを外して自由度を上げた上で、膝立ちのしゃがみ姿勢に足を動かす。跳ね上げた腰装甲を再現するのにも専用のパーツを使う。
膝立ちによって大きくイメージを変えることができる。飾るときに、あえてこの姿勢で固定するのも魅力的だ。もちろん再度組み立て直せば立ち姿に戻せる。孔雀色の状態でこの姿勢をとらせるのは設定とは異なるが、製品のポテンシャルを感じるためにもしゃがみ姿勢をとらせてみることもオススメしたい。
「IMS サイレン・ラルゴ騎」はユーザーに高い満足度をもたらしてくれる製品だ。通常カラーの「IMS サイレン F型」から新規パーツが追加されており、独特の基本色も相まって独自の魅力を持っている。またこの商品を起点に、他のサイレンのバリエーションや、重装甲型のMHの立体化にも繋がってほしい。
「F.S.S.」ファン、プラモデルファンはもちろん、「IMS」に憧れを持っている人、単純にデザインが気に入った人もぜひ挑戦してほしい。今回のように簡単なスミ入れと部分塗装でぐっと魅力が増す。多くの人に手にしてほしいプラキットだ。
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創作造形(C)造形村/ボークス











































































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