レビュー
BATON「STEYR SCOUT Elite」レビュー
サバゲー特化型スナイパーライフルで32m先をヘッドショット
2025年9月5日 00:00
- 【STEYR SCOUT Elite】
- 開発:MODIFY
- 発売:Gunsmith BATON
- 7月31日 発売
- 価格:79,800円
サバゲーにおける「スナイパー」は多くの人が憧れつつも、なかなか難しいポジションだ。実銃と違い、エアソフトガンだとハンドガンもアサルトライフルも大体と同じぐらいの射程だ。そのため、同じ射程で撃ち合うとなるとボルトアクションエアーコッキングの場合には連射できない分、どうしたって不利になってしまう。
しかし、一発一発に魂を込めつつ、ヒットを取ったときは、スナイパーならではの達成感を味わえる。この達成感が癖になっている方も多いのではないだろうか。
今回レビューする「STEYR SCOUT Elite」は、一見するとSF映画にでも出てきそうなスマートでシンプルなデザインだが、安定して射撃するための展開式バイポッドを装備し、豊富な調整機構も用意されている。
なによりもホップアップ調整機構として「TDC(Top Dead Center)アジャスタブルホイール」を採用しており、ゲーム中の弾道調整が容易なのも魅力的だ。今回はサバゲー特化型とも言うべき本製品の各種ギミック、使い勝手、実射性能について徹底的にレビューしていく。
「STEYR SCOUT Elite」は「STEYR SCOUT」のアップグレード版
まずは、今回紹介する「STEYR SCOUT Elite」の概要について紹介する。本製品の元となったエアソフトガン「STEYR SCOUT」のモデルとなったのは、STEYR ARMS社が「45オートの神様」と呼ばれた米国海兵隊将校・銃器教官であったジェフ・クーパー氏の協力を得て開発した同名の実銃。同氏が提唱した「全長1メートル未満、重さ3キロ以下、アイアンサイト、前方に取り付けられた低倍率スコープ」というコンセプトで開発された。
エアソフトガン「STEYR SCOUT」は、「突スナ(突撃スナイパー)ライフル」というキャッチフレーズで、BATONが2021年7月に日本国内向けに発売。今回の「STEYR SCOUT Elite」は、ブルバレル、全面トップレール、大型コッキングハンドル、アジャスタブルチークレスト&ショルダーパッドを装備した別バージョンの大型スナイパーライフルとなっている。
「STEYR SCOUT」の全長が1005mmだったところ、「STEYR SCOUT Elite」の全長は1090mmと若干長くなっている。いわば「STEYR SCOUT Elite」は「STEYR SCOUT」のアップグレード版と言えるだろう。
「STEYR SCOUT」から約124%相当に延長された450mmインナーバレルを採用
それでは「STEYR SCOUT Elite」の基本スペックについて見ていく。本製品は、ASG社がSTEYR ARMSの正規ライセンスを取得し、MODIFY社が製造・販売するボルトアクションエアーコッキング方式スナイパーライフルだ。日本ではJASG認定エアソフトガンとしてBATONが7月31日に79,800円で発売した。
パッケージには本体、マガジン、六角レンチ、クリーニングロッド、ワッペン、ステッカー、説明書が同梱。比較的高額なエアソフトガンということで、MODIFY社のワッペン、ステッカーなどのオマケが充実している。
「STEYR SCOUT Elite」の全長は前述した通り1090mm、重量は3.1kg。銃身長(インナーバレル長)は450mm、銃身内径は6.03mmだ。「STEYR SCOUT」の銃身長は363mmなので、約124%に延長されているわけだ。
マガジンは「STEYR SCOUT/MOD24 32連マガジン」(3,180円)がひとつ同梱されている。このマガジンはスプリング式で、装弾数は32発。サイズは実測100×47×22mm、重量は実測44.93g。ボディーは樹脂製で半透明となっているので、本体から引き抜けばBB弾の残量を確認できる。
マガジン使用にあたって注意点は、BB弾装填時にマガジンリップを露出させるためのガイドが必要なこと。本製品にひとつ付属しているが、紛失すると装填がやや難しくなる。無くさないよう注意してほしい。
- 開発:MODIFY
- 発売:Gunsmith BATON
- 7月31日 発売
- 価格:79,800円
- 全長:約1090mm
- 銃身長:450mm
- 重量(実測):3,155g(マガジン無)/3,200g(マガジン込)
- 弾丸:6mm BB
- 動力源:ボルトアクションエアーコッキング
- 装弾数:32発
精度面で有利で、調整もしやすい「TDCアジャスタブルホイール」
ここからは、「STEYR SCOUT Elite」の使い勝手についてチェックしていく。本製品最大の特徴は、「TDC(Top Dead Center)アジャスタブルホイール」が採用されていること。このホップアップ調整機構は、BB弾の真上から垂直に圧力をかけることによってバックスピンのみを与えられるので、弾道が安定し、集弾性が向上するとされている。また大型ホイールで調整できるので、ゲーム中にグローブを装着したままでも細かくホップ調整できるのが魅力だ。
ホイールにはクリック感が与えられており、約115クリック回転可能。ホップアップアームは1.9mmの上下方向の調整幅を備えている。ホップ量を一度決めたら、ホイール上部のイモネジを締めることで、動かないように固定もできる。ゲーム中に素早くホップ量を微調整できるのは本当に便利だ。
「STEYR SCOUT」からの共通装備として、「STEYR SCOUT Elite」にも展開式バイポッドが装備されている。展開式バイポッドには剛性が高いナイロンファイバーが使われており、展開して地面に置いても強度に不安はない。
また、「STEYR SCOUT」から継承されたユニークな装備が、トリガーガード前のダミーボックスマガジンと、バットストック下部の予備マガジン収納スペース。トリガーガード前のダミーボックスマガジンには六角レンチなどの工具、バットストック下部の予備マガジン収納スペースには縦にマガジンを収納できる。つまり合計で64発のBB弾を本体内に収納できるので、身軽に動きたい人、ギリースーツなどを着てチェストリグなどを装備したくない方には重宝するはずだ。
一方で、「STEYR SCOUT」と「STEYR SCOUT Elite」で最も大きく異なるのが調整機構。「STEYR SCOUT Elite」にはチークレストとショルダーパッドの調整機構が用意されており、射手の体格、構え方に合わせて微調整できる。どちらもダイヤルを回すと解放され、好みの位置でダイヤルを締めれば固定可能だ。チークレストにはバネが仕込まれているのでダイヤルで解放すると一旦最上段まで上がるが、チークレストもショルダーパッドも無段階の位置で固定できる。射撃姿勢を徹底的に追及したい方には嬉しい装備と言える。
ボルトアクションエアーコッキング方式としての操作性も良好だ。チャージングハンドルは大型でわずかに引き上げればコッキングできるうえ、ボルトストロークは実測100mmと平均的で動きが非常に滑らかで操作しやすい。全面トップレールには好きな位置に光学サイトを装着でき、タクティカルライトやガンカメラも増設可能だ。
マズルキャップは14mm逆ネジ付きでアダプターを用意すればトレーサーも装着できる。セーフティーはロック機能付きホイール式で、グリップ上部に内蔵されているので、コッキング時に引っかかることはまずない。
見た目からはちょっと大きな印象を受ける「STEYR SCOUT Elite」だが、操作性に配慮して設計されているので、実際に使ってみると手に馴染むというのが率直な感想だ。
32m先では0.25g弾、0.28g弾の違いがわかりにくいほどの集弾性を発揮
最後に実射性能を確認する。まずトリガーフィーリングだが、トリガーの遊びは2~3mmと少なく、そこから力を入れるとすぐにシアーが落ちて、ピストンが前進する。トリガープルは最大0.57kg、平均0.52kg、最小0.46kgと軽めだ。スタンディングポジションでも遠距離射撃できるトリガーだと感じた。
射撃音は最大89.7dBA、平均83.96dBA、最小79.3dBAと低め。本製品にはエアーブレーキピストンが採用されているので、その恩恵だと思われる。このままでもサバゲー中に位置バレはしにくいだろうが、サプレッサーを装着すればさらに音量を抑えられる。全長約1090mmと長めなので、サプレッサーを装着すると取り回しにくくなるが、藪や建物の中で隠密行動したいのであれば、ぜひ静音性を向上させたいところだ。
初速は、0.2g弾使用/ホップ最弱時で最大92.3m/s、平均91.3m/s、最小90.5m/s、0.25g弾使用/ホップ最弱時で最大86.0m/s、平均85.5m/s、最小85.0m/s、0.25g弾使用/適正ホップ時で最大87.2m/s、平均86.5m/s、最小85.1m/sとなった。
0.2g弾であれば初速がレギュレーションを越えることはなさそうだ。ただし、0.25g弾では利用できないフィールドがあるので注意が必要である。
肝心の集弾性については、一言で述べるならかなりよかった。百発百中とは言えないが0.2g弾でも32m先でヘッドショットを十分狙える集弾性を備えていた。0.25g弾、0.28g弾の違いは32mのシューティングレンジでは明確には判らないぐらいだ。
ちなみに、ゲームでは0.25g弾を撃ってみたが、40mぐらい先でヘッドショットを狙えるだけの精度を確認できた。いずれにせよ、450mmのインナーバレル、「TDCアジャスタブルホイール」により、箱出しでスナイパーとして活躍できるだけの集弾性能を実現していることは間違いなさそうだ。
実用的な機能を多数備えたサバゲー特化型スナイパーライフル
「STEYR SCOUT Elite」は、ゲーム中の弾道調整が容易なホップ調整機構を搭載しているほか、チークレストやショルダーパッドの調整機構、展開式バイポッド、予備マガジン収納スペースなど、実用的な機能を多数備えたサバゲー特化型スナイパーライフルといえる。
450mmのインナーバレルと「TDCアジャスタブルホイール」により、箱出しで優れた集弾性を発揮し、40mの距離でも十分な精度を確認できた。近代的なデザインで、実用度の高い操作性を備えたスナイパーライフルを求めているのであれば、ぜひ手に取ってみてほしい。
(C) Gunsmith BATON. ALL RIGHT RESERVED.

















































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