レビュー
化粧品メーカー発のプラモデル塗料「PREZMO スターターセット」レビュー
手軽に金属の輝きを実現! 「楽プラ」と「フレームアームズ・ガール」で検証
2026年7月20日 00:00
- 【PREZMO スターターセット】
- 発売元:PREANFA
- 2026年5月中旬発売/8月上旬再販予定
- 価格:9,800円
- 構成内容:LEDライト・クリアジェル・ミラーパウダー6色
「PREZMO(プリズモ)」はネイル業界で広く知られている化粧品メーカー「PREANFA(プリアンファ)」がネイル技術で培われたノウハウを活かしプラモデル向けに新しい塗料技術を提供するブランドだ。
この「PREZMO」はネイル用の技術を転用した商品で、下地となる「キャンジェルEX」を塗り、「LEDライト」で硬化させた上で金属の輝きを生む「ミラーパウダー」を擦ることでこれまでにない手軽さで金属風の塗装ができる。「PREZMO」はこの「キャンジェルEX」、「LEDライト」、「ミラーパウダー」の3要素で構成されており、セットとなった「PREZMO スターターセット」は5月中旬に発売、現在8月上旬発売分が予約受付中だ。
従来のプラモデル向け塗料以上の気軽さを狙った「PREZMO」はホビーショーで注目を集めた。プラスチックスプーンに下地となる「キャンジェルEX」を塗り、LEDライトで硬化させた後、粉状の塗料「ミラーパウダー」をすり込むように塗布、そうするとスプーンの表面がピカピカになるのだ。
「PREZMO スターターセット」はこれらをセットにした上、パウダーを塗布する「スポンジチップ」、パウダーを払う「ダストブラシ」まで用意されており、このセットだけで新しい塗装体験ができる。キャンジェルEXは単品でも購入できるほか、様々なカラーのミラーパウダーも展開されている。
今回、「PREZMO スターターセット」のサンプルを使い、アオシマの「楽プラ フォルクスワーゲン ビートル カスタム(ストラトシルバー)」と、コトブキヤの「フレームアームズ・ガール マテリア White Ver.」に塗装を施してみた。「ビートル」ではボディそのものを塗り広い面での塗装を、「マテリア」ではアーマー部分を塗装するという部分塗装の効果を検証した。「PREZMO」はどのような塗料だろうか?
ネイル用の塗料をプラモデルに活用!
まず最初に「PREZMO」を市場に投入した化粧品メーカー・PREANFAを紹介しよう。PREANFAは、プロのネイリストから一般ユーザーまで広く認知されている国産ジェルネイルブランドを手がける化粧品メーカーだ。「PREZMO」はその技術をプラモデル向けに展開する新ブランド。キャンジェルEXを塗り、硬化させた上に、「ミラーパウダー」を塗布することで、プラモデルにメッキを施したような質感をもたらす。ネイルの技術を転用したPREANFAの新しい挑戦なのだ。
「PREZMO スターターセット」は前述のように「キャンジェルEX」、「LEDライト」、「ミラーパウダー」の3要素で構成されている。下地になるのが「ノンワイプクリアキャンジェルEX(以下、キャンジェル)」だ。「PREZMO」はネイル用の塗料セットを転用し、プラモデルに活用しようとする新しい試みのためか、パッケージはネイル塗料そのままだ。
キャップを外すとハケがついており、このハケで塗装面に「キャンジェルEX」を塗布する。ジェルはどろりとしたかなり粘性の高い性質で、これをプラモデル表面に伸ばしていくこととなる。
このキャンジェルEXを硬化させるのがLEDライト「レクシア-A」である。こちらは電源が必要だが、軽く取り回ししやすい。側面の銀色のボタンを押すことでLEDライトが30秒間点灯、プラモデルのキャンジェルEX塗布面にライトを当て、硬化させる。半ドーム型の形状のため、ライトを置いて中にプラモデルを入れるだけでなく、手に持ってかぶせるような使い方もできる。
そして硬化したキャンジェルEXの上に塗っていくのが「ミラーパウダー」だ。こちらは金属を粉状にしたもので硬化したジェルの上に塗ることでプラモデル表面に金属をメッキしたかのような光沢を持たせることができる。付属する「スポンジチップ」を使って、ミラーパウダーを擦り込むように塗っていく。さらに「ダストブラシ」で余計なパウダーを落とすことでピカピカの金属光をプラモデルに与えることができるのだ。
この塗料をプラモデルに使うとどうなるか? 早速使用してみよう。
アオシマ「楽プラ フォルクスワーゲン ビートル カスタム」を赤く塗装!
今回、アオシマの協力のもと、「楽プラ フォルクスワーゲン ビートル カスタム(ストラトシルバー)」に「PREZMO」を使用してみた。
「楽プラ」シリーズは接着剤が必要なく、組み立てるだけでまるで塗装されているかのような質感で完成するプラモデルシリーズ。その大きな魅力はしっかり研磨されたボディにある。このボディにメッキ加工されたバンパーやライトがつき、クリアパーツとシールで質感を向上させる。無塗装で手軽にハイクオリティなカーモデルが完成する「楽プラ」はコレクションも楽しく、アオシマのヒットシリーズの1つであり、全国のプラモデル販売店で初心者向けプラモデルとして存在感を示している。
「楽プラ フォルクスワーゲン ビートル カスタム(ストラトシルバー)」は1938年に生産が開始されたフォルクスワーゲン「ビートル」、通称「オーバル」と呼ばれるモデルを再現し、フロントバンパーやホイールとタイヤでカスタムを加えている。本色に加え、「コーラルピンク」、「メタリックパープル」、「メタリックオレンジ」のボディで展開している。
今回はそのストラトシルバーのボディに「ミラーパウダー」のMP12(ミラーレッド)を使用してみる。組立前のボディをしっかり塗装してみた。まずは下地となる「キャンジェルEX」を塗っていく。使用してみてちょっと驚いたのがこの下地塗料の質感だ。その名の通りかなり粘度が高く、どろりとしている。このためボディの上に厚みを持って重なり覆っていく。筆の跡もしっかり出る感じだ。
この下地をLEDライト「レクシア-A」を使って硬化させていく。30秒の照射で固まるということだが、「レクシア-A」はスイッチを入れると30秒で照射が止まるので使いやすかった。まずはボディの前にキャンジェルEXを塗り、そのままボディをライトの中に突っ込む形で紫外線を当てた。
樹脂を硬化させてからボディにすり込むように「ミラーパウダー」を塗っていく。ストラトシルバーのビートルの車体が重厚なミラーレッドに変わっていく。写真ではかなり粉の感じが強いがここからブラシでよけいな粉をはたくことでしっかりした塗膜になる。
ここからボディをさらに「ジェル」→「ライトで硬化」→「ミラーパウダー」と作業を進めていく。かなりしっかりと赤いメタリック調に仕上がった。ただ、気になったのが「筆ムラ」や「液だまり」のようなジェルの粘度の高い性質が塗膜にそのまま出てしまうところだ。目を近づけると、表面には結構凹凸が残ってしまう。
「PREZMO」はこのままで塗装は安定するが、今回は念のため、この上にクリアをスプレーで吹きかけた。
クリアを乾かすため5時間おいた後に組み立てていく。「楽プラ フォルクスワーゲン ビートル カスタム(ストラトシルバー)」は他のシリーズ同様シールで飾り立てていく。このシールは耐久性も高いため貼り直しもでき、メタリックの質感がプラモデルにリッチな質感を与える。
今回メタリックレッドに塗装したビートルだが、この銀色が非常に映える。銀色がアクセントとなりビートルが非常にかっこよく仕上がった。「楽プラ」シリーズの持つマテリアルの演出を最大限に活かした設計も見事だが、「PREZMO」の持つ金属光の美しさがこのプラモデルの魅力を増しているのを実感した。
一方、筆者にとっては「PREZMO」の塗装の難しさも感じた。遠目から見るとカッコイイビートルだが、やはり眼を近づけると荒い液だれが目立つ。これは粘性の高いキャンジェルの特性そのままで、樹脂をどろりと表面に塗った筆跡がそのまま出てしまう。ジェルの性質上、広い面を薄く均一に塗るのは難しいと感じた。そしてその上のミラーパウダーを伸ばす手法や、粉が乗らなくなってしまった部分をどう埋めていくかなど、課題も感じた。
ちょっと面白く感じたのが「塗膜の強さ」だ。ジェルは硬化すると本当に樹脂のような堅さになる。このため、ビートルのバンパーやライトの穴をジェルが塞いでしまい、ピンセットの先を錐のように使って穴を再び開ける必要があった。こういった塗膜と組み立ての難しさは、次の「フレームアームズ・ガール マテリア White Ver.」でより強く感じることとなった。
「フレームアームズ・ガール マテリア White Ver.」のアーマーに金の輝きを!
今回コトブキヤの許可を得て塗装・組み立てを行ったのは、「フレームアームズ・ガール マテリア White Ver.」だ。装甲や様々な装備をまとう美少女キャラクターが登場する「フレームアームズ・ガール」シリーズにおいて、「マテリア」は素体となる商品。何も装備をしていない状態を表現している。商品単体でも魅力的だが、乗り物などとも相性がいいだけでなく、他の商品と組み合わせることで様々なキャラクターの素体状態を表現できるし、マテリアが重装備になった姿も表現できる。また、素体とはいっても、腕、太腿アーマーをジョイント用パーツと交換することで、装甲や武器を装備可能だ。
マテリアには「Normal Ver.」と「White Ver.」があり、White Ver.はその名の通り手足が白い。ボディには金色の装甲があり、ピンクの髪の毛と全体的に明るい配色だ。今回はこの製品に、「PREZMO」の「MP04(ミラーゴールド)」を使用してみた。
パーツ状態で「PREZMO」を塗装していく。金色のアーマー部分に塗装を行う。キャンジェルを塗っていくのだが、塗布面積が広かった「ビートル」に比べ、分割されたアーマーだと筆ムラが出にくい。そして金のミラーパウダーはメッキしたかのようにピカピカの質感を生み出した。
今回はさらにアーマーや白い手足部分をクリア、そして肌と髪の毛部分はつや消しのクリアを吹きかけた。さらに「タミヤウェザリングカラー」で顔部分にピンクでチークを入れ、髪の毛の毛先にペールオレンジを使って立体感を強調した。
組み立てていくのだが、「PREZMO」の塗膜の厚さを実感することとなった。「フレームアームズ・ガール」シリーズに限らず、コトブキヤのプラモデルでは接着剤を使わず組み立てられるのだが、はめ込みの精度が高く、しっかり組み合わさる設計になっている。
ところが今回はパーツに施した塗装が厚いため、塗膜が邪魔してうまくはまらないことがあった。無理にはめ込み塗膜を削ると意図しない部分まで剥がれてしまいそうだ。塗膜をできるだけ保護する気持ちで組み立てていった。
今回の「フレームアームズ・ガール マテリア White Ver.」の塗装と組み立てで感じたのは、あらかじめパーツが干渉する部分や可動部分を考えて塗装を行えば、しっかりパーツが合い、なおかつ金属光の輝きを得ることができるということだ。ボディに、腕、足のワンポイントが金の光を放つ完成した姿は、製品の魅力を増す塗装ができたと思う。
一方で装甲部分に施されていたディテールは塗膜で覆われてしまって隠れてしまった。ここは賛否両論あると思う。「PREZMO」はメカ部分のワンポイントなど、パーツに塗装を行なう手法に向いていると感じた。非常に手軽に金属光が得られるのは、とても魅力的だ。
クセがあるからこそ使いどころの楽しい塗料
今回、「PREZMO」を「楽プラ フォルクスワーゲン ビートル カスタム」と、「フレームアームズ・ガール マテリア White Ver.」の2つのプラモデルで使用してみることで、本商品の特性が少しわかったように思う。
まず、ワーゲンの大きな車体を粘度が高めののキャンジェルEXで均一に塗るのはかなり難しく感じた。厚く塗ろうとすると溝にジェルがたまってしまうし、薄く塗ると筆ムラがもろに出てしまい、ミラーパウダーはその液だれや筆ムラをしっかりなぞってしまう。筆ムラや液だれを最小限にするように、ポイントをうまく決めて塗り、こまめに硬化させていくのがいいかもしれない。広い面に均一に塗るには技術と経験が必要のようだ。
一方、「フレームアームズ・ガール」ではアーマーを塗る部分塗装、そしてメカ表現には非常に相性がいいと感じた。メッキしたパーツを使っているような質感は、独特のかっこよさがある。ただし慣れないと今回のようにパーツの接合部に厚い塗膜ができてしまい、部品のはめ込みや、可動に干渉してしまう。塗装前に説明書を見て、塗装面を確認することで、効果的に使えるだろう。
ちなみに、筆者には美容師でネイリストとしての知識もある妹がいるのだが、筆ムラで相談したところ、「もっと厚めに塗れば、均一に塗れる」とのこと。ジェルを厚く塗るとディテール表現は見えなくなるし、溝などにたまってしまう。特性を考えて使いたいところだ。また元自動車修理工の父からは「もっと柔らかく、しっかりしたハケで塗ると均一になるのでは?」ともアドバイスをもらった。今後も試していきたい。
その上で今回「PREZMO」と相性がいいのは、ロボットの曲面装甲に使用したり、内部パーツの一部にメタリックの輝きを入れるなど、演出として効果的に使用することで、プラモデルの質感を上げられるのではないか。車のバンパーや窓枠などメッキのようにも使用できるし、刀身部分などにも合いそうだ。
さらに「水着」や「バニーガールのエナメル衣装」などにも相性がいいのではないか。厚めの塗膜はつるりとした布の演出にも使えそうだ。特に「金ビキニ」の表現にはぴったりりはまると思う。こちらも今後試してみたい。
何より優れているのが、塗装の工程が「PREZMO スターターセット」で完結しているところ。追加の筆や薄め液、工具などが必要なく、このセットだけで塗装が行える。特に部分塗装でパーツの一部に金属光をもたらすというのは有効に感じた。お気に入りのプラモデルだけでなく、フィギュアの一部分に金属の輝きをもたらす、という使い方もいいかもしれない。
「PREZMO」スタッフによるコツの伝授
今回、この原稿を書き上げPREANFAに提出したところ、開発スタッフ直々に塗装のコツを教わることができた。PREANFAでは筆者以外にもモデラーなどにサンプルを提供しており意見を聞いている。その中でやはり「キャンジェルEX」の"塗り方"こそが大きな課題になる。キャンジェルEXをきれいに塗ることができれば、きれいに仕上げることができるという。
「PREZMO」に関しては、一番大事なことはキャンジェルEXをうまく塗ることだ。そのジェルの塗り方では、「ハケを寝かせること」、「一定方向に引っ張るように塗る」ということが大事とのことだ。ジェルはたっぷりハケに付け、引っ張るように一定方向に塗る。こうすることで液だれや筆ムラが防げるとのこと。この際、ハケのお尻の部分を人差し指で押すように持つのがオススメとのこと。
プラモデルの塗料を使って筆塗りをする場合は、縦塗りの後、横塗りでムラを防ぐという方法があるが、ジェルの場合はあくまで一定方向で筆を伸ばして塗っていくのが有効とのことだ。一定方向ならば何度重ねて塗っても大丈夫だ。ジェルをたっぷりつけて、引っ張るように塗っていく。ハケは押しつけるのではなく、塗装面に滑らせていくイメージだ。最初はざっくり広い面にジェルを塗布してから、滑らせるようにハケ引っ張るように仕上げていく。
ジェルを塗布するとき、プラモデル塗料と異なるポイントとして頭に入れておきたいのが、「ジェルは簡単に硬化しない」こと。LEDランプで硬化させない場合は、ジェルは基本的にはドロドロのままだ。この性質を利用し、ハケでジェルを塗布してから、「レベリング」という"平滑化"を行う。塗布面をひっくり返し、重力の力でジェルを平坦にさせる。「ネコの手」などでパーツをひっくり返してしばらく置いておくのもいいという。
レベリングを終えた後。LEDライトを30~45秒ほど照射してジェルを固めたら「ミラーパウダー」をすり込んでいく。消しゴムでものを消すくらいのイメージですり込んでいくのがいいとのこと。硬化したジェルはかなり強度があり、しっかりパウダーをすり込んでいくことで鏡面のように仕上がる。
そして塗布に関しては「一面で終わらせること」。今回の場合ワーゲンでは「ドア」、「屋根」という様に完結する部位で塗っておかないと硬化したジェルにミラーパウダーをすり込んだ場合、境界線がはっきり出てしまう。硬化した後は上からジェルを塗っても境界線ははっきり出てしまうので、注意が必要だ。最初はデザートスプーンなど小さい面を使って塗り方の練習をして欲しいとのこと。
スタッフが「PREZMO」に関して特に強調したいのが「時短」、「コスパ」。「PREZMO スターターセット」があれば他の道具が必要なくきれいなミラー塗装が、短時間で楽しめる。手軽に挑戦でききれいに仕上がる本商品をぜひ体験して欲しいとのことだ。
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化粧品会社が「プラモデル向け塗料」を開発して販売する「PREZMO」。ジェルに関してはネイル用そのままの実験色の強い挑戦ではあるが、筆者はこの挑戦を応援したい。モデラー達に新しい表現の可能性を提示する商品であるし、非常に手軽だ。部分塗装などの初心者にこそ強く勧めたい。8月に再販予定とのことで、ぜひチェックして欲しい。
(C) KOTOBUKIYA





























































































