レビュー

「ARTPLA SCULPTURE WORKS ゴジラRe:イマジネーション」レビュー

色を足していく『加算式手法』でゴジラを表現

 さて、ここから塗装工程に入るのですが、初代ゴジラは映画が白黒作品だったこともあり、モノトーンやセピアカラーのカラーリングになってしまいがちなので、今回はあえて生頼範義氏が描くゴジラのポスター画、特に資料書籍「東宝特撮映画全史」の表紙絵のゴジラをイメージソースにして、「色を加算していく」方向で塗装を進めていく事にします。

 「東宝特撮映画全史」は1983年に発売されたのですが、当時その絵を見た時、あまりにもインパクトが強かったので未だに心に刻まれており、筆者は生頼氏が描いたゴジラに対する思い入れが強いのです。

この「東宝特撮映画全史」のイラストではゴジラは派手な色使いがされていました。ゴジラの足下で燃えさかる炎の照り返しを受け、下半身が燃えているように真っ赤に染まり、そして夜空をバックに赤く輝く眼。この2つの実現を大きな目標として、塗装を行っていきました。

 それでは実際の塗装を進めていきましょう。ずは基本ベースにGSIクレオスのMr.カラーブラックにフラットベース「あらめ・ラフ」を加えて、やや薄めに希釈したつや消し黒を全体に塗装します。

【全体塗装】
まずは全体に薄めに希釈したあらめのつや消し黒を塗装して質感を決めます これをベースにして色を乗せていきましょう

 よく乾燥させてから、薄茶色にフラットベース「あらめ・ラフ」 とMr.リターダーマイルドを混ぜた色で筆を使ってドライブラシをかけていきます。

【ドライブラシ】

 全体にハイライトがついたら、次はGXディープクリアブルー+フラットベース「あらめ・ラフ」をエアブラシで吹き付け、さらに色に深みを出すためにGXディープクリアグリーン+フラットベース「あらめ・ラフ」をランダムに吹き付けて色を乗せていきます。そして、色の調子を見ながらGXクリアブラック+フラットベース「あらめ・ラフ」で全体のバランスを整えていきました。

 アクセントとして胸部にも目立つハイライトを加えたかったので、ダイソーのメタリックカラーペンを使用しています。

 爪は生頼氏のタッチで感じた「金属感」を反映し、ミッドナイトブルーを塗装してからWAVEの「こすって銀Sun」を擦り付けています。こちらも良いチャームポイントになりました。

【爪】

 背びれはホワイトとブルーでグラデーション塗装を施した後に雲母堂本舗の「MGパール」を吹き付けて発光しているような雰囲気を演出しました。

 眼の表現にもこだわりたかったので、SHOW UPのコスミックシルバーを塗装後、ディーバキャンディハニーオレンジをコートしてゴジラの塗装としては珍しい技法であるキャンディ塗装を施しています。仕上げに白顔料のボールペンでハイライトを入れてみました。

【目の塗装】
眼は魅せどころなので、今までとは違った表現を…という事でSHOW UPのコスミックシルバーを塗装後、ディーバキャンディハニーオレンジを上から吹き付けてゴジラの塗装としては珍しいと思われるキャンディ塗装を施しています。仕上げの目のハイライトは白顔料のボールペンで点付けしてみました

 生頼氏のイラストにも描かれている炎の照り返し表現はまずはGSIクレオスのGXホワイトを吹いてから、その上に蛍光レッド+シャインレッドの混合色を吹き付けています。どこに塗れば良い効果が得られるか緻密な計算が必要となりますが、炎に包まれた夜の街で暴れ狂うゴジラの恐怖感を塗装で表現しています。

【口も拘ってしっかり塗装する】
接着後は見えなくなってしまう口内ですが、こちらも手を抜かずにこだわってしっかりと塗装しておきます
【胸のハイライト】
胸のハイライト部分はダイソーのメタリックカラーペンを使用してみました。狙った箇所にピンポイントで塗れるのでとても便利です

 もう一つの『魅せ場』でもある台座にも少し手を入れてみましょう。
インジェクションでは成形が難しいと思われる架線柱につながっている電線も自作しています。手芸用造花ワイヤーをガスコンロで熱して炭化させたものを瞬間接着剤で固定してみました。金属製のワイヤーなので自在に曲げる事が出来る上に強度も有るので、電線にも動きをつけて『演技』をさせています。

 破壊された建築物から剥き出しになった鉄骨も自作。こちらは『The特撮Collection』のジオラマベースのオマージュを狙ってみました。破壊され崩れた建物や線路も丁寧に彩色すると臨場感が増すので、台座も細部までしっかりと手を入れるとかなり映えます。

【台座に手を加える】
架線柱につながっている電線も自作。手芸用造花ワイヤーをガスコンロで熱して炭化させたものを瞬間接着剤で固定しました。電線にも動きを加えて『演技』をさせています

 完成!! 基本的には無改造の素組みなのですが、パーツを一個ずつ整形してから丁寧に接着すれば合わせ目もほとんど目立たず生物感に溢れたゴジラが眼前に出現します。

 特にオリジナルの初代ゴジラにアレンジを加えられて強調された骨や肉を感じさせるプロポーションと原生動物の体表を意識したと思われる起伏のあるモールドはドライブラシ映えがする格好の素材なので、塗りを楽しみがら立体感を出すことができました。

 今回はあえて生頼氏のイラストのイメージを追求し、色を追加していく「加算式」の塗装表現で独特の雰囲気を演出してみました。キットのポテンシャルが高かったので塗装も様々なテクニックを駆使して自由に楽しむことが出来ると思います。

【完成】
爪の表現にも注目。金属感を加えた塗装表現が良いアクセントになっています
足元の崩壊した日劇ビルや国鉄高架線など、細部まで丁寧に彩色していくと台座としての充実感が高まりますね
複数のクリアカラーを塗り重ねることによって色合いに深みと味わいを出しています。また、炎の照り返し表現はどこに入れれば効果的な演出になるか緻密な計算が必要となりますが、アクセントとして加えると絶大な効果を発揮してくれます

 「ゴジラ Re:イマジネーション」はアレンジの秀逸さもさることながら、キット自体のパーツ精度や組み立てやすさのポテンシャルも高く、じっくりと初代ゴジラを楽しんでつくれる良いプラキットだと感じました。

 今回は自分自身のゴジラに対するイマジネーションを+αで加えていくという作例となりましたが、このプラキットを手にした皆様の製作の参考になれば幸いです。一つのキットが完成した時の「この感激 この喜び」という感覚が皆様と共有できますように……