特別企画
【静岡商談会】26年前のプラモデルをリバイバル! タミヤ、「1/20 グランプリコレクション FIAT 131 ABARTH RALLY」
2020年7月3日 10:00
- 7月1日、2日開催
- 会場:
- 静岡ホビースクウェア
- タミヤ本社
今回の商談会において、タミヤが会場で発表した新製品がこの「1/20 グランプリコレクション FIAT 131 ABARTH RALLY(以下、アバルトラリー)」だ。発売日、価格は未定。こちらはもともとグランプリコレクションのNo.13にあたり、最初の発売は26年前の1994年とのこと。今回リバイバルにあたり、当時の仕様であったスケールモデルに電池とモーターを入れて走るようにする”モーターライズ”という機構を持っていたのだがそれをオミットし、完全な組み立て・鑑賞用となるモデルに生まれ変わったという。
担当者に今回のリバイバルの特徴を聞いてみた。先ほどのモーターライズのオミットが大きなトピックだが、実際の製品自体は昔から変わっていない……つまり金型も変わっていないとのことだ。金型のメンテナンスはもちろん行なわれているだろうが現在でも通用する金型設計が行なわれていたということだろう。リニューアルではなく、リバイバルする意義は、「その時代性こそが最大の魅力だから」とのこと。
ボディ形状は昔のクルマならではのカクカクした”ボクシー”な箱型車両の特徴をよくとらえている。そのボディの前後ホイールハウスにはオーバーフェンダーが付けられておりレースカーとしての迫力満点だ。旧版では実車のスポンサー”アリタリア航空”のカラーを再現するものとなっていたが、今回はイエローとダークブルーのハイコントラストが美しい”OLIOFIAT”カラーとなっているのもポイント。
モーターライズオミットのため旧版にはそのための穴が開いていたりするそうで、今回はそれを埋めるなどの仕様変更があったとのこと。説明してくれた担当者はこの旧版が発売されたころはまだ生まれておらず、実際の製品はこれまで見たことがなくとても新鮮だったと話してくれた。
当時の設計資料だとか関係者と詰めながらこのキットをリバイバルしたということを聞くと、このアバルトラリーのように若い設計者が過去の資産を解析して意志を受け継ぎながら、現在の新しい視点を追加して新仕様で再リリースする。なるほどこうやって模型メーカー”タミヤ”の技術や魂が引き継がれていくのだと感じられたのは今回の商談会に参加してとてもよかったと感じた瞬間だった。
グランプリコレクションと言えばF1カーを思い出される方も多いと思うが、そのスケールは1/20である。タミヤのスポーツカーのラインナップの多くは1/24であってこの1/20というのはなかなか珍しい仕様ではある。現地でもホンダF1の葉巻型F1カー、「HONDA RA272」と対比させる形で展示されていてF1カーと箱車の大きさの違いを実感できる。
キットには最近ではオミットされやすいエンジンパーツも付属、なんと補器類や点火コードまで再現できるのは大きいスケールならでは。ラリーカーであるこの「アバルトラリー」にはドライバーとナビゲーターの両名を再現できるフィギュアが付属する。塗装するのは大変だがフィギュアが乗っているだけで臨場感が高まるのでうれしい仕様ではないだろうか。まだ発売時期は未定とのことだが26年ぶりの復活に期待したい。
筆者が初めてこういった商談会に参加して、見てみたかったところがあった。過去いろいろな模型情報誌や文献を読むにあたり”タミヤって素晴らしいなぁ”と感じていたのだが、それはモデル化する際に実物を実際に手元に置いて計測や3Dスキャンを行なって開発に活かしているところ。画面上のデータと実際のものはどうしてもイメージが違う部分がでてくるのだが、実物があればその確認やアレンジするにしてもその方向性を見定めることができる。このタミヤ本社にはF1の名車もショールームにおいてあるのが素晴らしいしその存在は知っていたので今回のイベントに参加すること自体がとても楽しみだった。
絶版となったキットのリバイバルが行なわれる。そして新しい世代へと引き継がれるその魂の根底に流れるのは実物をとにかく研究することなのではないだろうか。タミヤというメーカーは昔からそういった”イズム”をもってここまで発展してきたように思われた。これからも質実剛健な素晴らしい商品を提供していただき、ユーザーたる我々はその魂をも感じながら味合わせていただきたいと思う取材だった。