特別企画
「MTG」最新セット「カルドハイム」プレリリースプレイレポート
「自宅でプレリリース」にトライ! 父vs娘vs息子のガチ勝負の結果は?
2021年2月5日 00:00

- 2月5日発売
- 価格:350円より(ドラフト・ブースター、税別)
世界初のTCGである「マジック:ザ・ギャザリング」の最新セット「カルドハイム」がいよいよ本日2月5日に発売となる。
「カルドハイム」については、特報を見ていただきたいが、「マジック:ザ・ギャザリング」では正式発売の一週間前に、プレリリースと呼ばれるイベントが開催されることが通例となっている。プレリリースとは、発売前に最新セットで遊べるイベントであり、新セットの登場をみんなで祝うお祭りのようなイベントでもある。
通常のプレリリースは、「マジック:ザ・ギャザリング」を取り扱っている店舗で行なわれるもので、参加者はプレリリース専用のプレリリースキットを購入し、そのプレリリースキットに入っているパックを使ってデッキを作って対戦を行なう。すべてオープンで気軽に参加できるカジュアルなイベントで、愛好者も多い。しかし、昨年からはコロナ禍で店舗でのプレリリースが難しくなり、プレリリースキットのみを店舗で購入して、自宅からオンラインで対戦する「自宅でプレリリース」というイベントが開催されている。
筆者の娘や息子も、「マジック:ザ・ギャザリング」のプレリリースが大好きで、これまでに20回近く家族でプレリリースに参加しているのだが、「カルドハイム」では店舗でのプレリリースが中止されたため、プレリリースキットを3つ購入し、自宅で家族内プレリリースをやってみることにしたので、その模様をお届けしたい。
40枚デッキを作って対戦するプレリリースイベント
「マジック:ザ・ギャザリング」には、さまざまな対戦形式やフォーマットがあるが、デッキの作り方という観点から、「構築」と「リミテッド」に大別できる。構築とは、プレーヤーがあらかじめ作ったデッキを持ち寄って対戦する形式であり、使えるカードの範囲(カードプールの広さ)によって、スタンダードやモダン、パイオニア、レガシーなどのフォーマットがある。リミテッドとは、その名の通り、限られたカードの中からその場でデッキを作って対戦する形式であり、代表的な形式としてシールドとドラフトがある。プレリリースイベントは、シールドの一種であり、プレリリースキットに入っているパックだけでデッキを作って対戦するものだ。
プレリリースキットの中には、カルドハイムの通常ブースターパックが6パックとプレリプロモカード1枚(レアか神話レアのフォイル、日付入り)が入っている。これらのパックから出たカードとプレリプロモカード、基本土地を使って40枚のデッキを作る。基本土地は、プレリリースキットとは別に用意する必要がある。店舗で行われるプレリリースでは貸し出し用の基本土地が用意されていることが多いので、持っていかなくても大丈夫だ。カードを保護するスリーブも用意しておいたほうがいいだろう。その他、プレリリースキットには、二十面体のスピンダウン・ライフカウンターやデッキ構築ガイドとPC用アプリ「MTG:アリーナ」で使えるコードも入っている。
今回、「カルドハイム」のプレリリースキットを買うと、数量限定でプロモカード「極悪な二人組」がもらえるというキャンペーンが行なわれているのだが、このプロモカードは、「カルドハイム」に収録されているカードではないので、プレリリースでは利用できない。
まずは何色でデッキを組むかがポイント
通常、プレリリースが行なわれるタイミングでは、その新パックの中身のカードはすべて公開されているので、どのカードが強いとか、こういう構築が強いといった記事がいくつも公開されている。ただ、プレリリースイベントは勝利を追求するというよりも、カジュアルに楽しむことが主眼なので、事前情報をあまり調べずに参加している。もちろん、新しいメカニズム(「カルドハイム」なら「予顕」と「誇示」)については、公式サイトの解説を読むようにしている。
今回は娘は多少、Twitterなどで新カードの情報をチェックしていたようだが、筆者と息子はほぼノーチェックだ。プレリリースは、限られたパックのカードでデッキを作るシールド戦であり、まずはパックを全部開封して、色別にカードを整理することから始める。「マジック:ザ・ギャザリング」では、白、青、黒、赤、緑の5色のマナ(呪文を唱えるためのエネルギーのようなもの)があり、色によって得意なことが異なる。また、複数の色を持つ多色カードや色を持たないカードも存在する。シールドの場合、デッキを2色で構築するのが一番オーソドックスで安定性が高い(2色にタッチで3色目を加える場合もある)。そのため、どの色とどの色を組み合わせてデッキを作るかということが重要になる。
「マジック:ザ・ギャザリング」のカードのレアリティは、コモン→アンコモン→レア→神話レアの4段階だが、通常のブースターパックの場合、1パックに1枚レアか神話レアのカードが入っている。ただし、およそ3パックに1パックの割合でコモンの代わりにフォイル仕様のカードが入っていることがあるが、フォイル仕様のカードのレアリティはバラバラなので、運がいいと1パックからフォイルのレア(または神話レア)と通常のレア(または神話レア)が出ることもある。レアや神話レアは強いカードが多いので、シールドデッキを作る際に、使えるレアがあるかどうかを確認して、どうしても使いたいレアがあった場合、その色に決めるというのも手だ。ただし、あまりレアばかりに気を取られると、デッキ全体としてはあまり強くなくなってしまうことも多い。
基本的には、飛行や絆魂、トランプルなど強い能力を持った優秀なクリーチャーや、相手クリーチャーを除去したり無効化できる呪文が揃っている色を選ぶのがコツだ。リミテッドに限らず構築デッキの場合も同じく重要なのがマナカーブだ。マナカーブとは、必要なマナコスト別にカードを並べたときにカードが描くカーブ(ヒストグラムみたいなもの)であり、40枚のシールドデッキなら3マナあたりが一番高くなるようにすると、毎ターンマナを無駄なく使える可能性が高くなる。マナコストが大きいカードはそれだけ強力だが、マナが揃わないと出せないため、あまり多く積むと最初の数ターン動きにくくなる。
また、クリーチャーとその他の呪文、土地のバランスも重要だ。「マジック:ザ・ギャザリング」は基本的にクリーチャーでプレーヤーを攻撃して、プレーヤーのライフを削っていくゲームなので、クリーチャーをあまり減らしてしまうと、肝心なときにクリーチャーを展開できずじり貧となる。適切なバランスは、デッキタイプによっても多少変わってくるが、40枚のシールドデッキなら、クリーチャーが15~18枚、その他の呪文が5~8枚、土地が17枚というのが基本となる。このあたりの解説は、プレリリースキットに入っているデッキ構築ガイドにも書かれているので、初めてプレリリースをやるという人でも安心だ。
家族3人でリーグ戦を行なった結果は?
シールドデッキの構築が終わったので、筆者と娘と息子でリーグ戦(総当たり戦)をやってみた。「マジック:ザ・ギャザリング」の対戦は通常BO3(2本先取)で行なうが、プレリリースも基本的にはBO3で行ない、デッキに使わなかったカードは全てサイドボードとして使える(サイドボードとは、デッキとは別に用意するカードで、通常のルールだと最大15枚。ゲームとゲームの間に、デッキのカードとサイドボードのカードを入れ換えることができる)。
最初の対戦は息子vs娘で、息子のデッキは黒緑、娘のデッキは白黒であった。1ゲーム目は娘が先攻で、飛行を持つレアクリーチャー「正義の戦乙女」が活躍し、娘が勝利。2ゲーム目は息子が後攻を選び、息子が勝利。装備品の「金脈のつるはし」が強かったそうだ。1-1で迎えた3ゲーム目も娘が先攻だったが、息子の「スケムファーの王、ヘラルド」が活躍して息子が勝利。2-1で息子の勝ちとなった。
続いて、赤緑デッキを組んだ筆者と娘の対決。1ゲーム目は娘が先攻で、娘のデッキには、1ターンに2回目の呪文を唱えると誘発する効果を持つカードが多数入っており、そのシナジーを上手く活かして圧勝した。2ゲーム目は筆者が先攻だが、娘の飛行持ちクリーチャーを止めることができず、娘が勝利。2-0で娘の勝ちとなった。
最終戦は、筆者vs息子。1ゲーム目、2ゲーム目とも息子が強力なクリーチャーやプレインズウォーカーを展開してきて、なすすべもなく負けてしまった。最終結果は息子が2-0で優勝、2位が1-1の娘、ビリが全敗(0-2)の筆者ということになった。ある意味予想通りでもあるのだが(息子はリミテッドがわりと得意)、筆者はプレイングも下手だったが、シールドデッキの組み方自体が全然ダメだったと反省している。
バリエーションに富む世界観と新メカニズムが魅力の「カルドハイム」
「カルドハイム」の正式発売は本日2月5日であり、大会で使えるのも2月5日からなので、「カルドハイム」環境について語るにはまだ時期尚早ではあるが、プレリリースでのファーストインプレッションを紹介する。
「カルドハイム」は、世界樹を中心とする10の領界を舞台にしたセットであり、領界によってそこに暮らす生き物も変わるため、クリーチャーのバリエーションが多い。例えば、白には天使やドワーフが多く、青には巨人が多く登場し、それらをサポートするカードも収録されている。黒は除去に長けた色だが、全体除去+リアニメイトの「雪上の血痕」や4マナコモンでクリーチャーかプレインズウォーカーを追放できる「大蛇の餌」など、優秀な除去カードが揃っている。赤は、巨人やドワーフが多く、「予顕」や「誇示」を持つカードも多いので、積極的に攻めていくデッキに向いている。緑は「巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス」を筆頭に強大なクリーチャーが多い。出たときに1枚ドローできる「予顕」持ちクリーチャー「サルーフの群友」もコモンとは思えない強さだ。
新メカニズムの「予顕」は使いやすく、リミテッドでも構築でも活躍しそうだ。また、白と黒には、「1ターンに2回目の呪文を唱える」ことで誘発する効果を持つクリーチャーが複数あるので、そうしたクリーチャーと軽い呪文を多めに採用することでシナジーが得られる。また、氷雪マナが多いと強くなる氷雪クリーチャーや氷雪ソーサリーも多数収録されているので、氷雪土地を多く採用した氷雪デッキも強そうだ。
「カルドハイム」では、神が多数登場することも魅力だ。神はすべて両面カードになっており、全部で12体の神が登場する。そのうち5体が神話レア、7体がレアだが、どれも神の名にふさわしい強力なカードであり、特に「嘘の神、ヴァルキー」は、第2面側が強力なプレインズウォーカー「星界の騙し屋、ティボルト」であることもあり、トップレアとなりそうだ。
「カルドハイム」では、巨人や天使、エルフなどの新規クリーチャーが追加されているので、特定の部族を中心にした部族デッキが好きな人にも嬉しい拡張セットであろう。筆者もカードリストを眺めて、こんなデッキを組めるかな?とワクワクした。また、英雄譚も多数収録されており、様々なデッキで活躍しそうだ。昔から「マジック:ザ・ギャザリング」をプレイしている人だけでなく、「マジック:ザ・ギャザリング」をこれから始めてみようという人にもオススメのセットといえるだろう。
3人が組んだデッキを公開
あまり参考にはならないと思うが、筆者と娘、息子が組んだシールドデッキは以下のような感じであった。娘は、白黒だけでなく、使わなかった残りのカードで青緑のデッキも組んだので、リーグ戦終了後に戦ってみたが、こちらも結構強かった。予断ながら娘は、翌日開催された仲間内でのオンラインプレリにも参加し、見事に3-0で勝利していた。
筆者も参加したが、全敗(しかも1ゲームも取れず)という散々な結果だったものの、それでもいち早く新弾のカードで遊べるプレリリースは楽しい。子どもたちと自宅で「マジック:ザ・ギャザリング」をプレイするのも久しぶりであったが、子どもたちの上達ぶり(特に息子)にも驚いた。
プレリリースは、初心者から上級者まで幅広いプレイヤーが楽しめるイベントであり、一刻も早くコロナが収束し、また店舗でプレリリースに参加できるようになることを望む。