特別企画

キャラクター玩具「鬼滅の刃 DX日輪刀~胡蝶しのぶ~」体験レポート

蝶が美しく光るように……随所に込められたこだわり

 次は商品の外観にフォーカスしていこう。「鬼滅の刃 DX日輪刀~胡蝶しのぶ~」はクリアパーツに覆われているのが大きな特徴だ。前作の「鬼滅の刃 DX日輪刀」と比べると華やかな雰囲気である。

 しのぶは「柱の中で、唯一鬼の頸が切れない剣士」である。体が小さく非力なしのぶは刃では充分な斬撃が与えられない。しかし非常に早く強力な突きを繰り出すことができ、そして強大な鬼を滅ぼすことができる強力な“毒”を鬼に注入することで、鬼を倒すのだ。しのぶは薬学・医学にも精通しており、その力でも鬼殺隊に貢献している。

中央にはオリジナルの刀身が確認できる。刀の回りに蝶のエフェクトが舞っているイメージも込められている

 彼女の日輪刀は刀身に刃がついておらず、鋒(きっさき)部分のみになっている。細く、突きに特化した形だ。「鬼滅の刃 DX日輪刀~胡蝶しのぶ~」はこの刀身をクリアパーツで覆ったようなデザインになっている。原作の鋭利なデザインも中心部分にきちんと活かされていて、「惡鬼」、「滅殺」という、柱の日輪刀に共通して彫られている文字も確認できる。中央の刀身はキラキラと輝く処理が施されていて、ここもこだわり部分だ。

 刀を覆うクリアパーツが商品オリジナルのデザインとなる。こちらは柄と刀の背の部分に大きな蝶の羽のパーツが取り付けられているだけでなく、クリアパーツの様々な場所に蝶が舞う姿が造形されている。そして刃の先端には紫の軟質パーツだ。安全性を考慮したデザインではあるが、カラーは「毒がありそうな紫」を意識している。

「惡鬼滅殺」の文字。柱の日輪刀にはこの文字が彫られている
刀身はホログラム処理がされており、キラキラと輝く

 「『子供たちも日輪刀を持ちたい』という想いを実現するために、どのように玩具化するかは考えたところです。細く鋭利な元のデザインをきちんと活かしながら子供たちに喜んでもらうためにこれまでの玩具開発のノウハウを活かして提案しました」と担当者は語った。

 よりアニメに忠実にするか、玩具としてのデザインを強めるかは企画者として葛藤が生じるところだが、「子供たちに楽しく遊んで欲しい」ということを大事に考えてデザインした。どうアレンジするかは様々な方向性が感じられるが、胡蝶しのぶに憧れる子供たちに「あの刀が欲しい」と思ってもらうにはどうするか、このテーマを突き詰めたのが「鬼滅の刃 DX日輪刀~胡蝶しのぶ~」なのだ。リアルな再現ではなく、「劇中イメージ」によりフォーカスした商品を目指したとのこと。

 そして、企画者が特にお気に入りの部分こそが、全体を覆うクリアパーツだ。通常クリアパーツは光る部分にのみ効果的に盛り込まれる場合が多いが、今回は、「オリジナルの刀身を覆う蝶のエフェクト」という意味を持たせて、全面を覆っている。これだけふんだんにクリアパーツを使う商品はこれまで企画者が手がけたものでも少なく、リッチな雰囲気が出せたとのことだ。

クリアパーツにも細かく蝶の文様が描かれている
安全に配慮しながら、“毒の雰囲気”も盛り込んだ切っ先

 さらに、前作「鬼滅の刃 DX日輪刀」にはなかったのが“発光ギミック”である。音声に連動して光る、今回の大きなセールスポイントだ。この発光もこだわりで、発光部分のクリアパーツに筋を入れることでLEDの発光を拡散させている。この処理により、蝶の羽の飾り全体が光るようにしているのだ。

 このほか、鍔の部分も“質感”を追求している。“本物の日輪刀”は鍔は金属と思われるが、玩具は安全性のために樹脂製だ。しかし金属の質感に近いものにするために、塗膜を2重に貼る“2度塗り”で重みのある質感を追求したという。玩具らしいデザインを追求しつつも、クリアパーツの中の刀身や、「惡鬼滅殺」の重々しい文字、鍔の質感など随所に本当の日輪刀の雰囲気を盛り込んでいる、こういった要素もまた子供の気持ちを盛り上げる要素だと企画者は語った。

企画者こだわりの光り方。内部の模様がLEDの光を拡散する
鍔は厚い塗装で、金属風の重量感を表現

 こういったキャラクター玩具は片面だけ印刷などが行なわれて、反面は無塗装の商品も多い。「鬼滅の刃 DX日輪刀~胡蝶しのぶ~」は裏表どちらも表現に力をかけており、クリアパーツを固定するネジ穴は中央の刀身に干渉しないようにしている。本商品は「6歳以上」という設定だが、だからこそしっかり子供たちにも伝わるクオリティの高さを目指したと企画者は語った。

 「この商品を発表したとき思っていた以上に反響があり、私自身も驚きました。設定を重視しながら、おもちゃらしくアレンジしたところを見ていただきたいです。特に前作との差別化は“光る”ところです。この商品ならではの光を楽しみながら、しのぶさんになりきっていただけたらと思います」最後にユーザーへのメッセージとして企画者はこう語りかけた。

パッケージやロゴもこだわりが詰まっている。しのぶのかっこよさを満喫できる商品だ

 これまでのキャラクター玩具のノウハウを活かしながら、“胡蝶しのぶの日輪刀”というモチーフに対して強いこだわりをもって開発している、というのは予想していたが、例えば「子供が自分をどのキャラクターに投影したいか」、「真似をしたい台詞は何か」という視点は企画者の話を聞いて改めて納得できる部分だった。

 ユーザーが望む商品を届けたい、というのは商品によって大きく異なる。本商品においては比較的対象年齢が高い「鬼滅の刃」モチーフに対して対象年齢6歳の子供がどこに興味を抱くか、憧れるか、というところでとても面白いインタビューだったと思う。今後も色んな商品の話を聞いていきたい。「鬼滅の刃 DX日輪刀」の次なるキャラクターも気になるところだ。