特別企画

可動と組み替えの楽しさ! 「機動戦士ガンダム MOBILE SUIT ENSEMBLE18」レポート

「MOBILE SUIT ENSEMBLE 18」のテーマは“他のシリーズと一緒に並べたい機体”

――まず今回の「MOBILE SUIT ENSEMBLE18」につい質問していければと思います。「MOBILE SUIT ENSEMBLE18」のラインナップとしての選択のコンセプトを教えてください。

K澤氏:シリーズ全体として幅広い層のガンダムファンに受け入れてもらうようにラインナップ組を行なっており、その中で今回は宇宙世紀はMSVより「プロトタイプガンダム」や「ギガン」、最新映像作品である「ガンダムNT」より「シルヴァ・バレト・サプレッサー」プレミアムバンダイで展開している「ガンダムSEED DESTINY」の流れを受けた「ザクウォーリア」を選定しております。

【MOBILE SUIT ENSEMBLE 18】
18のラインナップ

――「プロトタイプガンダム」をチョイスした理由を教えてください。

K澤氏:今回のラインナップとしては「プロトタイプガンダム」をメイン機体に据えています。最近は1stガンダム周辺のモビルスーツをラインナップできていなかったので、何か1st世代のMSを入れたいと思った時に、人気も知名度もありつつまだラインナップできていなかった「プロトタイプガンダム」をチョイスしました。

【プロトタイプガンダム】
今回のラインナップのメイン機体としてチョイスされたプロトタイプガンダム

――ギガンは非常にユニークなチョイスだと思いました。選んだ理由を教えていただきたいです。また、ラインナップの“幅”を意識する面白さ、というところで注力している部分はありますか?

K澤氏:「プロトタイプガンダム」をメイン機体に据えた後、同じMSVよりアンサンブルのコンセプトに合う良い機体は無いか?と選んでいく中で、特徴的な武装やタイヤ等カスタマイズに非常に向きつつ、ゲームなどで一部のファンから熱烈に愛されている「ギガン」がいると面白いだろうということでチョイスしました。

――「シルヴァ・バレト・サプレッサー」の注目ポイントはどこでしょうか?

K澤氏:「シルヴァ・バレト・サプレッサー」のポイントはバックパックの交換用腕が実際の本体サイズそのままとはいかないものの、一体成型ではなく着脱できるようになっていたり、ボリュームをしっかりと取っていることです。

――「ザクウォーリア」と、「ルナマリア専用ザクウォーリア」、ザクウォーリアは様々なバリエーションがありますが、そのうちのこの2体を選んだ理由は何でしょうか?

 プレミアムバンダイでキラの最終機体である「ストライクフリーダム」と「ガンダムSEED DESTINY」にてアスランが最初に搭乗して活躍する「ザクウォーリア」を通常弾に入れることで対比的にラインナップしております。

 また、「オルトロス」という特徴的な武器を武器セットに封入するにあたって、バリエーションとしてルナマリア機を今回ラインナップに追加しております。

【MOBILE SUIT ENSEMBLE EX31 ストライクフリーダムガンダム】
プレミアムバンダイで受注中の「機動戦士ガンダム MOBILE SUIT ENSEMBLE EX31 ストライクフリーダムガンダム」9月発送予定で、価格は4,950円(税込)

――改めて「MOBILE SUIT ENSEMBLE18」としての魅力はどこでしょうか。

K澤氏:シンプルな機体である「プロトタイプガンダム」を中心に、武装によってシルエットががらりと変わる「ザクウォーリア」の組み換え要素。そして、抜群のボリュームの「シルヴァ・バレト・サプレッサー」に単体でのインパクトもありつつ組み換え要素満載の「ギガン」といった、ガンダムの中でも広い世代からチョイスされたラインナップが魅力だと考えております。シリーズを通してみた時のコレクションとしても、一緒に並べたい機体の多い機体ばかりなので是非コンプリートしていただけますと幸いです。

「MOBILE SUIT ENSEMBLE」のコンセプトは「組み替え」と「可動」

――次に「MOBILE SUIT ENSEMBLE」全体のお話を聞いていきたいです。これまで担当されていた「FW GUNDAM CONVERGE」はおなじ“頭が大きいデザインアレンジが加えられた商品”ですが、こちらとの差別化についてお聞かせください。

K澤氏: 形状的には、MS全体の頭身比率・アレンジが異なります。可動やアクション要素を取り入れているアンサンブルの方がコンバージと比較して頭身が高い他、コンバージの特徴としてアストレイズ「阿久津潤一氏」の手掛けるアレンジというものがありますが、アンサンブルにはそれがありません。

 「MOBILE SUIT ENSEMBLE」の企画は、キャンディ事業部在籍中にあったもので、当初はコンバージとの棲み分けも考え、2頭身のSDで進行していました。頭身が低いガンダムの体中に武器をつけて「武器に埋もれたモビルスーツ」といった感じにしたかったのです。ですが、「せっかく武器をたくさん集めるならならアクションもしたいよね」という考えから等身が伸びていき現在のバランスになりました。ちなみに、当初のコンセ プトは、肘とか膝とかに武器をつけられるハードポイントとして生きてます。

 また、「FW GUNDAM CONVERGE」のテーマは、まさにこれからMSが動く「起動前の静止状態」を切り取っています。なので、少し頭部がうつむき気味のデザインとなっていますし、パッケージ正面で使用する基本の画像では射撃のポーズなどもとっていません。多少の可動軸はあるので、簡単な可動遊びもできますが、あくまで、同一のポーズでコレクションして楽しむ商品ですとしてデザインされております。

 ですが、「MOBILE SUIT ENSEMBLE」は中身を選べないガシャポン商品なので、コレクションに重点は置けません。そこで、たくさん購入していただくにはどうすればいいか? 何をすれば選べない商品に気軽に手を出せるようになるか? を考えて出した答えが「組み替え」です。これにより、商品がタブっても組み替えで遊ぶことができます。そしてもうひとつは「可動」です。肘や膝などに関節を仕込むことで、アクションフィギュアとまでは言えませんが、ポージングを楽しむこともできるようにしました。

【武装を交換】
ザクウォーリアの武装を交換したパターン。まさに王道

――組み替えを思いついたきっかけは何ですか?

K澤氏:ガンダムシリーズは戦争をテーマにしている作品でもあります。そこで、リアルに戦時下を考えると部品供給などが追いつかずにつぎはぎだらけの機体のような急造品も出てくるわけです。もちろん、組み換えはガンプラなどでもできる仕様で、ガンプラを組みかえて遊ぶというのはユーザーにとっては当たり前の遊びかもしれませんが、そういう世界観を500円という値段で気軽に楽しめるようにしたかったの です。

【体のパーツを交換】
「プロトガンダム」をベースに「シルヴァ・バレト・サプレッサー」のパーツを組み込むことで最新鋭機にも見える

「MOBILE SUIT ENSEMBLE」のラインナップはシリーズ全体から選ぶ

――「MOBILE SUIT ENSEMBLE」のラインナップはどのように決めているのでしょうか?

K澤氏:繰り返す部分もありますが、「すべての世代のガンダムファンが楽しめるように」ということを意識しています。食玩やガシャポンのガンダム商品全体でみると30~40代がコア層で更には50代~の高い年齢層の方にも強く支持をいただいているのですが、単価が下がると購入のコア年齢層も下がる傾向にあります。

 500円で購入できる「機動戦士ガンダム MOBILE SUIT ENSEMBLE」は30代中盤から後半の方の比率が高くなっております。18弾では、ファーストガンダムから追いかけているファン向けに「プロトガンダム」や「ギガン」がいて、平成からファンになった人たち向けに「ザクウォーリア」、そして比較的新しい作品から「ガンダムナドレ」や「シルヴァ・バレト・サプレッサー」を選びました。

 そして「この機体がいるなら、この機体もあるとお客さんが嬉しいよね」という部分も意識して、ラインナップを組んでいきます。たとえば、17弾で「Hi-νガンダム」を出したので、「逆襲のシャア」つながりで、18弾に「ヤクト・ドーガ」を出しています。

 実は、ラインナップ自体は多少変更や調整は加えるものの、秋くらいに翌年分をすべて決めてしまいます。なので、毎回「次回はこれを出そう!」と決めるのではなく、「ガンダムエクシア」を出したら、次に相棒として「ガンダムデュナメス」を出そうなど、1年間を通して流れを作っています。そういった流れの中で、うまく弾の看板になるようなガンダムをラインナップに加えていくイメージですね。ですから、シリーズの流れを読んでいくと、次ぎのラインナップ予想する楽しさもあると思います。

――通常版とEX版(プレミアムバンダイ専用)でのライアンアップは、どのように振り分けているのですか?

K澤氏:通常版とEX版はリンクするように企画していて、通常版を購入いただいた際にEX版も欲しくなるということを意識しております。

 例えば、18弾では「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」で最初にアスランが搭乗し活躍する「ザクウォーリア」がラインナップに入っております。ここに「機動戦士ガンダムSEED」の流れから「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」への時代の移りを意図して物語終盤に印象的な登場をするキラの「ストライクフリーダム」をEXに据えております。

 また、直近の通常弾を通して「機動戦士ガンダム00」のガンダムマイスターたちのガンダムを展開していたため、大型でカプセルに入らないガンダムヴァーチェをEX版で出そうというように通常弾とのリンクを意識しました。

 EX版はけっして気軽に買えるものではないので、より納得感のある買い物をしていただきたいと考えています。次のEX弾にストライクフリーダムガンダムを選んだのは、直近に展開しているフリーダム(キラ)とジャスティス(アスラン)といった機体ともリンクさせつつ、18弾にラインナップされる「DESTINY」における(アスランの)最初の機体であるザクウォーリアと(キラの)最後の機体であるストライクフリーダムを展開することですべてが繋がっている。だから通常弾もEXも購入しようという気持ちになってもらえればと考えてこの機体にしました。

――「ギガン」のようなニッチな機体を入れた理由は何ですか?

K澤氏:「MOBILE SUIT ENSEMBLE」はアソートで販売しているので、単独の商品としては展開しづらい機体でも商品化できます。今回で18弾となりますから、シリーズとして円熟してきた部分もあるので、普段みかけないようなMSを入れることでアクセントをつけています。元々が組み替えて楽しむことを前提にしているので、たとえ知らなくても自分が好きな機体のカスタマイズパーツとして遊べるのです。ギガンなどは拡張性の塊だと思いますよ。

【パーツ交換の楽しさ】
「ギガン」の下半身を使うことでザクタンク風にもなる

――ヤクト・ドーガやザクウォーリアなど、ラインナップに同型機のバリエーションを組み込む狙いを教えてください。

企画者:17弾のヤクト・ドーガであれば、クェス機がいたらギュネイ機も欲しくなると思い、ヤクト・ドーガは2種ラインナップに入れ込んでおります。

18弾のザクウォーリアも、ルナマリア機だけでなくアスランも搭乗し活躍した一般機の緑を用意し、ウィザードを組み替えたりすることで遊びの幅が広がると考え、なるべくプレイバリューやコレクション性が広がるようにカラーバリエーションも組み込んでおります。

――アソートは均一なのでしょうか?

K澤氏:基本的にはなるべく均一になるようにはしております。ですが、特定の機体が大量に出たら困るかもしれないと思った場合や、生産の都合で多少調整することはあります。以前私が担当していた「FW GUNDAM CONVERGE」であれば、「量産機いっぱい欲しいよね」とか「この主人公機はみんな欲しがるだろう」とかを考えて、比率を変えていました。

 しかし、ガシャポンはいくら比率を変えても、出てくるかどうかは運に頼る部分もあるのであまり意味がないのです。また、ガシャポンのユーザーはライトなユーザーも多く、必ずしも量産機がたくさん出たら嬉しいかというと違うかもしれません。ですから、最適なアソート調整などはないともいえるでしょう。

おすすめは“これまでのすべて”! 「MOBILE SUIT ENSEMBLE」は全部全力で作る

――これまでで力を入れた機体や印象に残っている機体はありますか?

K澤氏:全部全力で作ったものしかお客さんには認めていただけないと思うので、特別に優遇した機体はないです。ただ、作るのに大変だった機体としては「ガンダム・インレ(「ADVANCE OF Ζ」に登場する「ガンダムTR-6」の決戦仕様バージョン)」ですね。

 これはガンプラも食玩も何も立体化されてなかったので、設定を探るところから始めました。しかも、通常よりも大きいにも関わらず、「MOBILE SUIT ENSEMBLE」として組み替え要素を入れなければいけなかったので、これまでで一番大変でした。

――17弾の「ZZガンダム」の評判がいいようですが?

K澤氏:おかげさまで、歴代の中でトップクラスの初速でした。コアトップとコアベースを合体した時のボリュームは500円では出せないので、ファンの皆様に好意的に受け取って貰えたようです。原型回りは、FW GUNDAM CONVERGE」と同じ株式会社アストレイズさんが担当しているので、ディテールも細かく完成度が高いと思います。

 ただ、あのサイズなので、全てを細かく変形させることはできません。なので、「頭は外すしかないよね」とか、どこをオミットするのかなどを工夫しました。実は、元々は変形・合体させる予定はなかったのですが、原型を作る打ち合わせの時に「これは、絶対に分離しているほういがいい!」と考えました。

【ZZガンダム】
コアトップとコアベースが変形合体する

――ファンの方へ一言お願いします。

K澤氏:これまでシリーズを通して買ってくれた皆様、途中から買い始めた皆様、ありがとうございます。年間を通して、面白いラインナップや驚きの施策を用意しておりますので、引き続き「MOBILE SUIT ENSEMBLE」をよろしくお願いします。特に、「MOBILE SUIT ENSEMBLE」が今年の12月で5周年になります。また5周年直前くらいにシリーズとしても20弾という区切りのいい弾が展開されます。絶対に買いたくなり、今後が楽しみなるような仕込みをしておりますので期待してください!

――ありがとうございました。