特別企画

冬休みの工作にオススメしたい「模型用ツール」5選

プラモデル製作やフィギュア遊びに使える便利アイテムをここに紹介

 弊誌では年末に、「冬休みに遊びたい/作りたい○○」として、ライターがチョイスしたホビーアイテムを紹介した記事を掲載し、楽しんでいただけているかと思うが、本稿はその番外編となる。昨今は模型製作やフィギュア遊びなどの趣味で使用するためのあらゆるツールが各社から発売され、使って試すこと自体も趣味として楽しめるほどだ。

 ここでは、筆者が個人的な趣味や弊誌でのレビュー記事の執筆などで、プラモデルを作ったり、フィギュアを動かして写真を撮ったりするときに、実際に使って便利だと思ったツール5選をここに紹介していきたい。

「モデルクリーニングブラシ(静電気防止タイプ)」
塗装や撮影時に、造形にまつわりつくホコリを静電気を押さえて落とす特殊なブラシ

  • 発売日:2016年12月
  • 価格:1,760円(税込)
  • メーカー:タミヤ

 弊誌の記事製作時、プラモデルやフィギュアを塗装・撮影するうえで厄介なのが、部屋を飛んでいるホコリやチリだ。生活空間の中で趣味を楽しむ以上、どんなに気を使っても付着してしまうのは仕方がないわけだが、この「モデルクリーニングブラシ」はその悩みを払拭してくれた。

 有機伝導性繊維とPBT樹脂毛の2種の繊維を採用した毛先は、モデル表面の静電気を取り去りつつ、ホコリを払い落とせるという機能を持っている。また反対側にはキャップ付きのPBT樹脂毛のミニブラシが付属。こちらは細い溝に詰まった削りカスを取り除くなどの作業に役立つ。筆者も昨年入手して、弊誌でレビューをした「MODEROID グリフォン」や「超合金魂 ダイレオン」などの撮影時に大いに役に立ってくれた。また携帯ゲーム機やスマートフォンの画面、あるいはカメラのレンズ表面などに付着したホコリを取り去るのにも使え、模型趣味以外のところでも役立ってくれるのではないだろうか。

銀色の短い毛が有機伝導性繊維、白い長めの毛がPBT樹脂毛。静電気を抑えてホコリを落とせる機構だ
黒い造形は特にホコリが目立つ。換装して静電気が発生しやすい冬場には特に便利だ

「パーツ・オープナー」
スナップフィットのキットをバラすのに便利なツール

  • 発売日:2012年1月発売
  • 価格:418円(税込)
  • メーカー:ウェーブ

 近年のプラモデルの多くは、接着剤を使わずに組み立てられる、いわゆる「スナップフィット」の設計となっているわけだが、組み立て後の強度を保つために、一度はめ込むと外せないパーツも多く見られる。間違って組み立ててしまったときや、塗装前の仮組みした後など、バラすのが結構厄介なことがあるのだが、ウェーブの「パーツ・オープナー」は、間違って組んでしまったときのパーツのこじ開けに便利なアイテムだ。

 握りやすいグリップに、大きめの刃が付いていて、パーツの隙間に差し込んでこじ開けるだけ。デザインナイフなどを使うよりも安全で確実で、筆者は単に間違って組み立ててしまったときだけでなく、組み立て後にパーツを撮影し直すときなどにも使っている。安価で入手しやすいのも大きなポイントだ。ただし刃が金属なので、あまり力を入れるとパーツを傷める場合があるので、作業は慎重に行うようにしよう。

隙間に刃を差し込んでこじ開ける。パーツを傷つけないように注意して使おう

「ガンダムマーカーEX ガンダムメッキシルバー」
塗るだけで鏡面仕上げになる、夢のようなメッキカラーマーカー

  • 発売日:2021年8月
  • 価格:660円(税込)
  • メーカー:GSIクレオス

 昨年夏に発売され、塗るだけでメッキ塗装ができるマーカーとして大きな話題となり、一時期は入手困難になった「ガンダムマーカー EX ガンダムメッキシルバー」。筆者もちょうど売っていたところを見つけて、すぐに購入し、その光沢具合を試した。

 先端を押すと出てくる塗料を、軽く伸ばすように塗っていくと、その部分が綺麗なメッキシルバーになる。2度塗りするとムラになるので、多めに塗料を出して伸ばす感覚で塗るのがいいようだ。マーカーなので広い面を塗るには向いていないが、バーニアや武器の刃など、小さめのパーツなら容易に塗装ができるはず。またガンダムベースなどで販売されているメッキが施されたのプラモデルのゲート跡のレタッチにも向いている。何より強いのは、同社の「ガンダムマーカーエアブラシシステム」を使えば、このメッキシルバーをスプレーのように吹けるということ。吹いたあとの仕上がりが実に美しく、感動するはず。ただし乾燥時間はかなり取らなければならず、筆者はユーザーのレビューなどを参考に、10日以上触れずに換装させている。それでも塗膜にはやや心配があるものの、鋭いものでこすったり、積極的に触って遊ぶようなことをしなければ十分楽しめるものだ。

このような小さなパーツに塗るのは最適。造形のアクセントになるはず
ガンダムマーカーエアブラシシステムにセットしたところ。機器の性質上、吹くときはマーカーの先からインクをその都度出す必要がある
ケンエレファントのカプセルトイ「コスモ星丸 フィギュアマスコット」の黒がダブったので、分解してエアブラシシステムを使って吹いてみた(左)。この仕上がりはぜひ実際に試してみてほしい

「Mr. ピンセットパーツホールド ロック機構付き」
かゆいところに手が届く便利アイテム

  • 発売日:2018年3月発売
  • 価格:2,200円(税込)
  • メーカー:GSIクレオス

 プラモデルを作っているときにピンセットを使って小さなパーツを掴むとき、「これ、ちょっとだけ押さえた状態で止めておきたい」と思ったことがあるのではなかろうか。輪ゴムや洗濯バサミを使ったり、押すと開く逆作用のピンセットを用意したりする手もあるが、何年か前の展示会のGSIクレオスブースでこの「Mr. ピンセットパーツホールド ロック機構付き」を見たときは、すぐに予約しようと思ったほど、使い勝手の良さを感じられた。

 先端に特殊な切れ込みが入り、掴んだパーツをしっかりとホールドできる「Mr. ピンセットパーツホールド」を細身にしてロック機構を備えたもので、パーツを掴んだ状態でレバーをスライドさせると、がっちりホールドしてくれる。筆者がレビューなどでパーツを浮かせて撮影しているときは、ほとんどこのピンセットを使っている。執筆にあたりGSIクレオスの公式サイトを見てみたところ、なんと「生産終了」の文字があった。現在は他社からも同等の構造を持った製品がいくつか発売されているが、これがいいと思った方は早めに購入しておこう。

手元のレバーをスライドさせるとホールドされる。シールを貼るときなどのパーツ保持には本当に便利だ
少々イレギュラーな使い方だが、パーツを掴んだ状態で撮影をするときは、このように練り消しゴムを台座にして、パーツを掴んだピンセットを挿して撮影している

「アルティメットニッパー5.0」
圧倒的切れ味で切断面が“違う”ハイエンドツール

  • 発売日:2011年5月27日
  • 価格:5,280円(税込)
  • メーカー:ゴッドハンド

 プラモデル作りでパーツをカットするニッパーは近年、ビギナーから上級者まで幅広い層をカバーするアイテムが各社よりたくさん発売されている。その中でもハイエンドでありながら定番ともいえるのが、この「アルティメットニッパー5.0」だ。新潟の燕三条の職人によって作られたこのニッパーは、一方を「切刃」、一方を「まな板刃」とした片刃構造で、ゲートとランナーをカットする方式で、後処理のいらない滑らかで綺麗な切断跡になる。

【アルティメットニッパーの基本的な使い方】

 かなりの薄刃により、素材を限定し(PS樹脂、PP樹脂、ABS樹脂、PE樹脂)、太さも3mm(透明、半透明のPS樹脂の場合は1mm)以下という制限があり、扱いにも注意が必要で、なおかつ税込5,280円と高額ながら、常に入手困難なのは、価格に見合った性能を持っている証拠だ。筆者もいくつかのニッパーを使ってきて、現在はこれに落ち着いている。なお同じ片刃構造のエントリーモデルで、価格も少し安く比較的入手しやすい「ブレードワンニッパー」もあり、そちらから入ってみるのもいいかもしれない。なお出荷は定期的に行われていて、ゴッドハンドの公式Twitterでアナウンスされているので、正価で確実に入手したい人はフォローしておこう。

筆者がこれまで使ってきたニッパー。最終的に右のアルティメットニッパーを最も使っているが、他も素材やゲートの太さなどによって使い分けている
パーツを切るときはまず、パーツから少し離れた場所を切って、次にゲートを切る
カットしたゲート跡があまり目立たない滑らかな仕上がりとなる
刃先の保護は確実に。製品には専用のキャップが付属しているが、筆者はより安全のために同社の「ニッパーキャップ ホック付き 赤色」を使用している。またサビを防止するメンテナンス油なども発売されている

自分に合ったツール選びもホビーライフの醍醐味

 ここに挙げたのは、筆者がここ最近主に使っているツールとなるが、このほかにも使用するものは多く、それは模型用に限らない。100円ショップなどは模型用にも使えるツールの宝庫で、行く機会があったら色々と見てみることをオススメする。

筆者が100円ショップで見つけるとつい買ってしまう、逆作用ピンセット。安価なので汚れや破損どを気にせず使えるのがいい。ただし模型用ではないので、使い方によってはパーツを傷める可能性もあるので、そこは自己責任で

 ツールはその持ち味を試すのには、使ってみるのが一番だが、選択肢がたくさんある場合は、SNSやレビューサイトを参考にしてみるのもいい。ユーザーの工夫によって、意外な性能を備えていたりして、それを発見できるのも楽しい。自分に合ったツールを選んで、ホビーライフをさらに充実したものにしてほしい。