レビュー
「超合金魂 GX-97 超惑星戦闘巨人 ダイレオン」レビュー
戦闘巨人モードから戦闘母艦モードへと完全変形!合金のひんやり、ずっしりした手触りも嬉しい限定アイテム
2021年11月16日 00:00
- 【超合金魂 GX-97 超惑星戦闘巨人 ダイレオン】
- 開発・発売元:BANDAI SPIRITS
- 発売日:10月25日(プレミアムバンダイ限定商品)
- 価格:18,700円(税込)
- ジャンル:アクションフィギュア
- サイズ:戦闘巨人モード・全高約185mm、戦闘母艦モード・全長約170mm
「巨獣特捜ジャスピオン」にて、主人公のジャスピオンが駆る「超惑星戦闘巨人ダイレオン」が「超合金魂」シリーズにて発売された。プレミアムバンダイ限定商品で発送日は10月25日となり、予約をした人には既に届いているはずだ。
バリエーションや再販ではなく、完全新規の造形にしてプレミアムバンダイでの受注限定アイテムとなった、超合金魂としては少々珍しいパターンでの商品化となるが、その完成度は非常に高いものとして仕上がっていた。今回は筆者が個人的に購入して楽しんでいる製品版のレビューをお届けし、その魅力に迫っていきたい。
その手にずっしりと感じる重量感と、クオリティの高い塗装が最初に味わう魅力
「巨獣特捜ジャスピオン」は1985年に放映された特撮番組で、「メタルヒーロー」シリーズの4作目に当たる作品だ。父も母も知らず、仙人エジンによって育てられた銀河の野生児ジャスピオンは、巨獣帝国の建設をもくろむ暗黒大魔神サタンゴースを倒す手段が書かれた「銀河バイブル」を探して旅をする。サタンゴースの侵略の手は、かつて巨獣に支配されていたという伝説が残る地球へと伸び、ジャスピオンは相棒のアンリとともに、サタンゴースやその息子の司令官マッドギャランとの地球での戦いへと挑んでいく。
前番組として3年間続いた「宇宙刑事」シリーズでは見られなかった、巨大ロボット「ダイレオン」と巨獣の格闘戦は作品の見どころの一つとなり、戦闘シーンには特撮やワイヤーアクションが使われる派手なものとなった。その姿を見て、串田アキラ氏が歌唱する挿入歌「超惑星戦斗母艦ダイレオン」を思い出した人もいるかもしれない。
ダイレオンはエジンによって作られた戦闘ロボットで、惑星間を巡航する戦闘母艦からこの戦闘巨人へと変形する。ジャスピオンの操作により、高い戦闘能力を発揮。パンチやキック、回し蹴りなどの格闘戦が得意な一方で、ダイレオンビームなどの光線技も備える。必殺のコズミック・クラッシュは、宙に浮いて加速しながら両手の拳を突き出して突進する攻撃で、多数の巨獣を葬り去った。その手に持つ黄金の剣は、サタンゴースを倒す唯一の存在である黄金の鳥が変化したもので、この剣を使ったダイレオン・コズミック・ハーレーによって、最終決戦に勝利した。
今回発売されたダイレオンは、近年の超合金魂シリーズとしてはかなり小さめのパッケージの仕様で発売となった。デザインは放映当時に発売された「DX超合金 ダイレオン」をオマージュしたもので、当時持っていたという人は懐かしく思えたのではないだろうか。その内容物もいたってシンプルで、ダイレオン本体と武器の黄金の剣、同スケールの超惑星戦車ガービンと超惑星マシーンアイアンウルフ、交換用手首3種、ジャスピオンのフィギュアと台座、そして組み立て式のディスプレイ台座となっている。
アイテムの主役であるダイレオンが、パッケージから出した状態で既に完成しているというのが、このアイテムの素晴らしいところ。変形ギミックを持った機体によくある、差し替えパーツや形状重視のパーツは存在しない。手に取るとずっしりと重く、ダイキャストの部分がひんやりと感じるのが、超合金魂シリーズならではのもので、重さを量ってみると本体だけで470gあった。
メタルヒーローの搭乗機体らしいシルバーを基調としたカラーリングで、ガンメタルにも近い半光沢の全身と、ダイキャストの質感を生かした光沢のある上腕や太もものコントラストが美しい。全身にはほどよくモールドが入っていて、劇中で目立った意匠は塗装されている。
可動は変形ギミックのある合金フィギュアとしてはまずまずで、派手なポーズは難しいが、巨大ロボットらしいアクションは楽しめるはず。脚部にはダイキャストが多く使われているようで、立たせたときに安定感があり、ポーズが取りやすいのも嬉しいところだ。
パーツの差し替えは一切なしの完全変形。ただし変形プロセスは劇中と若干異なる
そしてこのアイテムの最大のギミックである、超惑星戦闘巨人から超惑星戦闘母艦への変形だが、変形前後のプロポーションを意識していて、劇中で見られた変形の行程とは若干異なるものとなっている。巨人の頭部は上を向ける必要があり、それをカバーする母艦時の機首となる部分を動かす手順も違うため、この手の玩具でよくある“変形途中の姿”を楽しめないのは少々残念なところだ。それでも、拳を直角に曲げて胴体に収納する劇中通りの動きや、かかとを展開すると連動してノズルがせり出すギミックなど凝った仕様もあり、何より差し替えなしの変形は実に楽しい。ただし変形時は要所のかみ合わせがタイトで、無理をするとこすれて傷が付いたり、塗装がはげたりしそうなので、できるだけ慎重に行うようにしている。
変形後の戦闘母艦モードは、戦闘巨人モードで見えていた金属質のパーツが隠れ、少し落ち着いた印象になる。収納式のランディングギアもあり、ディスプレイ台座がなくても飾れる仕様だ。艦首にはハッチ開閉のギミックがあり、ガービンまたはアイアンウルフを収納することが可能だ。
今回比較のために、同じようにロボットから戦闘艦に変形をする「超合金魂 レオパルドン」と比較しているのだが、同じ超合金魂でも発売から15年もの差があり、仕様の違いが明確に見て取れる。レオパルドンは完全変形は可能なものの、ロボット時の見た目重視の腕パーツが付属し、それらを収納する台座も用意されている。また額のアークターンやパンチがスプリングで発射できるなど、おもちゃ的なギミックも存在していた。一方今回のダイレオンは質感を重視した仕様で、遊び的なギミックは少なく、その分塗装や仕上げが非常に凝ったものであった。差し替えなしでプロポーションバッチリの巨人と母艦に完全変形する設計も見事なものだ。また付属するジャスピオンのフィギュアもかなり細かいところまで塗り分けられていて、ダイレオンと一緒にディスプレイするのにふさわしい完成度を誇っている。
パーツや付属品が少なかった関係で、税込・送料別で18,700円という価格は割高に感じた人もいたかもしれないが、筆者にとっては非常に満足度の高いアイテムであった。DX超合金版は持っていなかった、というよりは放映当時年齢的に欲しいと思う世代ではなかったわけだが、この超合金魂のダイレオンは、シンプルかつ手触りがよく、今の筆者の好みにぴったりの仕様だ。欲をいえばレオパルドンのような、搭載メカのスプリング発射ギミックなどがあればさらに楽しめたかもしれないが、この手のギミックは当時と違い、あくまで雰囲気を楽しむものなので、なくてもいいものだということは理解している。
超合金魂シリーズは次のラインナップに「大鉄人ワンセブン」が挙がっていることも、個人的に期待が高まっているところだ。要塞形態とロボット形態への変形に加えて、ダイレオンにはなかったサウンドや発光ギミックも備え、さらにプレイバリューの高いアイテムとなるのは間違いないだろう。また説明書にも掲載されているサタンゴースのフィギュア化も含め、今後の展開を楽しみにしておきたい。
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