特別企画

「マジック:ザ・ギャザリング バーチャル・アート展」、2月18日より開催

VR HMDやPCで、新セット「神河:輝ける世界」へ飛び込める!

【マジック:ザ・ギャザリング 「神河:輝ける世界」】

2月18日発売

ドラフト・ブースター 440円(税込)

セット・ブースター 550円(税込)

コレクター・ブースター 2,420円(税込)

統率者デッキ 4,400円(税込)

 ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは、トレーディングカードゲーム(以下TCG)「マジック:ザ・ギャザリング」(以下、マジック)の新セット「神河:輝ける世界」の販売開始に合わせ、マジックの魅力の一つであるアートの素晴らしさを、VR時代の新しい鑑賞体験で得られる「マジック:ザ・ギャザリング バーチャル・アート展 ~総勢83名のアーティストたちが描く「神河:輝ける世界』~」(以下、マジック VRアート展)を2月18日から2月24日まで開催する。

 その名の通りバーチャルイベントとなっており、2月18日からは、PCやVR HMDなどを使って特設サイトにアクセスすることで、マジック VRアート展を楽しむことができる。

「マジック:ザ・ギャザリング バーチャル・アート展」特設サイト

 古くからマジックをプレイしている人なら、「神河」という名前をご存じの方も多いだろう。「神河」は、戦国時代の日本をモチーフとした侍やスピリット(神)が登場する東洋的な雰囲気の世界(次元)である。神河を舞台にしたセットとしては、2004年10月1日に「神河物語」が、2005年2月4日に「神河謀叛」が、2005年6月3日に「神河救済」が登場した。今回16年以上の時を経て神河を再訪することになったわけだが、以前の神河ではなく、2000年後の神河が舞台となっている。ネオンや忍者、侍が登場するサイバーパンク的な雰囲気であり、大きな期待を集めている新セットである。

 今回、マジック VRアート展の開催に先駆けて、報道関係者向けに体験会が開催されたので、その様子をレポートする。

東京ゲームショウのVR会場を開発したambrがマジック VRアート展を手がける

 マジック VRアート展の体験会は、東京中野のゲーミングイベントスペース「Red Bull Gaming Sphere Tokyo」で開催された。Red Bull Gaming Sphere Tokyoは、2018年2月にオープンした、レッドブルが手がけるアジアで最初のゲーミングイベントスペースである。Red Bull Gaming Sphere Tokyoは、自由なレイアウトが可能で、多目的に使えるイベントスペースであり、これまでにもさまざまなゲーミングイベントが開催されてきた。

 今回の報道関係者向け体験会では、10台ほどのゲーミングノートPC(レノボ製)とVR HMD「Meta Quest 2」が用意されていた。

【マジック VRアート展体験会会場の様子】
体験会は「Red Bull Gaming Sphere Tokyo」で開催された
会場には10台ほどのゲーミングノートPCとVR HMD「Meta Quest 2」が用意されていた
VR HMD「Meta Quest 2」。単体でも動作するが、今回はゲーミングノートPCと接続して利用していた
「Meta Quest 2」のコントローラー。両手にそれぞれ持って操作する
レノボのゲーミングノートPCが用意されていた

 体験会ではまず、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストの西岡英智氏がマジック VRアート展開催の経緯について説明を行った。西岡氏は、MTGアリーナとeスポーツのマーケティング担当としてストリーマーによるアーリーアクセスやMTGアリーナのイベントなどを行ってきた。今回、新セット『神河:輝ける世界』を発売するにあたり、その世界観をより深く知ってもらうための企画を考えることになり、VR技術による世界観への没入とコミュニケーションを実現するメタバース時代のアート展を実装することに挑戦した。

 続いて、開発を担当したambrの西村拓也CEOがマジック VRアート展のメイキングを解説した。ambrは、同社が開発したメタバース基盤技術"xambr"を利用して、メタバースを構築するサービスを提供しているベンチャー企業であり、昨年の東京ゲームショウ初のVR会場「TOKYO GAME SHOW VR 2021」の企画・開発を担当した。今回のマジック VRアート展の背景にあるのが、「世界最高峰TCGのマジックとVR技術が融合することで、プレイヤーはもちろん、マジックをまだプレイしたことがない人に対しても、新しい体験や楽しさを届けられないだろうか?」というものであり、そのコンセプトを実現するために、超一流のクリエイターが集結、「ブレスト/コンセプト」→「企画/体験設計」→「開発/制作」→「レビュー/改善」というプロセスで開発が行われたとのことだ。

【マジック VRアート展についての説明】
最初にウィザーズ・オブ・ザ・コーストの西岡英智氏がマジック VRアート展開催について説明を行った
西岡氏は、MTGアリーナとeスポーツのマーケティング担当としてストリーマーによるアーリーアクセスやMTGアリーナのイベントなどを行ってきた
コロナ禍でもTCGは盛り上がっているが、リアルなコミュニティの分断という課題があり、VR技術による世界観への没入とコミュニケーションを実現するメタバース時代のアート展を実装することに挑戦した
続いて、開発を担当したambrの西村拓也CEOがマジック VRアート展のメイキングを解説した
あらゆる個人と企業が仮想空間を所有するメタバースの未来がやってくる
ambrは、メタバース基盤技術"xambr"によって、メタバースを構築するサービスを提供している
メタバース基盤技術"xambr"は、アバターシステムやワールドシステム、マルチプレイシステム、マルチデバイスシステム、コミュニケーションシステムといったメタバースの必須機能を備えている
ambrは、昨年の東京ゲームショウ初のVR会場「TOKYO GAME SHOW VR 2021」の企画・開発を担当した
マジック VRアート展の背景にあるのが、「世界最高峰TCGのマジックとVR技術が融合することで、プレイヤーはもちろん、マジックをまだプレイしたことがない人に対しても、新しい体験や楽しさを届けられないだろうか?」というものだ
マジック VRアート展は、「ブレスト/コンセプト」→「企画/体験設計」→「開発/制作」→「レビュー/改善」というプロセスで開発が行われた
プロジェクトメンバーの一部。サウンドディレクターやCGデザイン、翻訳&ライティングなど超一流のメンバーが参画している

北斗の拳の原哲夫氏などが手がける134のカードアートが展示

 続いてambrの番匠カンナ氏が、マジック VRアート展の見どころを解説した。マジック VRアート展では、日本人を中心とした総勢83名のアーティストによって描かれた134のカードアートを展示。そのほか、開発スタジオの未公開設定資料や日本で制作中のアニメーション原画など、約200点の展示物によって「神河」の世界に迫る。「北斗の拳」で有名な原哲夫氏や、コジマプロダクションのアートディレクター新川洋司氏、「仮面ライダーW」のキャラクターデザインを担当した寺田克也氏が描いたカードも展示されている。

 マジック VRアート展のキーワードは、「主役はアートとアーティスト」、「アートの内側へ」、「Grab&Play」、「プレイアブル」、「イマーシブ」、「ファン・コミュニケーション」の6つであり、マジック VRアート展の世界は、アート展の中心である「TOWASHI」(都和市)と3D体験ができる「BOSEIJU」(母聖樹)、コミュニケーションスポットの「HAKKAKU-DO」(八角堂)の3つのシーンから構成されている。中心となるTOWASHIは、AからFまでの6つのエリアに分かれており、それぞれテーマが設定されている。エリアA「世界」では、清水の舞台を模した展示空間に、『神河:輝ける世界』の浮世絵タッチの土地アートが並ぶ。エリアB「神」では、母聖樹の足元に神社を取り囲むように神々のアートが広がる。エリアC「伝統」は、ヒノキの空中回廊から美しい桜を眺めることができ、エリアD「革新」は、アンダーシティのビルとビルの隙間を縫うサイバーな展示空間である。また、エリアE「異次元の脅威」は、大きなアートが並び立つ出島であり、エリアEはアニメーション特別展を見ることができる。

 マジック VRアート展では、Grab&Playと名付けられたVRならではのアート鑑賞体験が楽しめる。まず、ユーザーが遠隔から見たいアートを選択すると、そのアートが引き寄せられて目の前に広がり、その左右に下絵やアーティストコメント、実際のカードが表示される。さらに実際のカードを手で掴んで(Grab)自由に動かすことも可能だ。筆者も実際に体験してみたが、手の動きに合わせてカードを自由に動かせるのは楽しい。

 また、未公開設定資料やマーク・ローズウォーター氏の開発秘話などを読めるようになっていることも、マジックファンには嬉しいサービスだ。会場にはさまざまな場所にナビゲーション・ロボットが配置されており、神河の設定をより深く楽しむことができる。

 さらに、ゲーム的な要素として、カードアートを見る度にそのカードを獲得することができ、カードリストに登録されるので、リストをコンプリートする楽しみもある。また、カードを獲得することで自分のアバターが進化し、外見が変わるだけでなく、好みのマナカラーに着替えることができる。

 HAKKAKU-DOは、マジックの情報にアクセスし、ユーザーが感想などを語り合うための場だ。文字でチャットをすることもできるが、ボイスチャットにも対応している。また、コミュニケーション促進のためにマジックのプレイ経験やMTGアリーナのIDなどを伝えることもできる。

【マジック VRアート展の見どころ】
ambrの番匠カンナ氏が、マジック VRアート展の見どころを解説した
マジック VRアート展の企画概要。日本人を主体とする総勢83名のアーティストによるカードアートを主役に、開発スタジオの未公開設定資料や日本で制作中のアニメーション原画など、約200点の展示物によって「神河」の世界に迫る
マジック VRアート展のキーワードは、「主役はアートとアーティスト」「アートの内側へ」「Grab&Play」「プレイアブル」「イマーシブ」「ファン・コミュニケーション」の6つである
シーン構成。アート展の中心である「TOWASHI」(都和市)と3D体験ができる「BOSEIJU」(母聖樹)、コミュニケーションスポットの「HAKKAKU-DO」(八角堂)の3つのシーンから構成されている
入場時の演出。神河の舞台「都和市」のコンセプトアートの内側へと吸い込まれる体験を得られる
TOWASHI全景。目の前に広がる都市空間全体が展示会場となる
TOWASHIのマップ。大きくAからFまでの6つのエリアに分かれている
TOWASHIのエントランス。千本鳥居の道の両側に過去セットのアートが展示されている
TOWASHI エリアA「世界」。清水の舞台を模した展示空間に、浮世絵タッチの土地アートが並ぶ
TOWASHI エリアB「神」。母聖樹の足元に神社を取り囲むように神々のアートが広がる
BOSEIJU 全景。母聖樹区域にマジックのカードが浮かぶ幻想的な風景
BOSEIJUでは、カードからドラゴンを召喚する体験が得られる
TOWASHI エリアC「伝統」。ヒノキの空中回廊から美しい桜を眺めることができる
TOWASHI エリアD「革新」。アンダーシティのビルとビルの隙間を縫うサイバーな展示空間である
TOWASHI エリアE「異次元の脅威」。大きなアートが並び立つ出島である
マジック VRアート展では、Grab&Playと名付けられたVRならではのアート鑑賞体験が楽しめる。まず、ユーザーが遠隔から見たいアートを選択すると、そのアートが引き寄せられて目の前に広がり、その左右に下絵やアーティストコメント、実際のカードが表示される
Grab&Playのイメージ。アートを引き寄せ、下絵やコメント、カードを一緒に楽しめるVRならではのユーザー体験だ
特別に公開許可された、未公開設定資料も展示されている
マーク・ローズウォーター氏の開発秘話を読むこともできる
さまざまな場所にナビゲーション・ロボットが配置されており、神河の設定をより深く楽しむことができる
また、アートを見る度にそのカードを獲得することができ、コンプリートする楽しみもある
カードを獲得することで、アバターが進化し、好みのマナカラーに着替えることができる
HAKKAKU-DOは、マジックの情報にアクセスし、ユーザーが語り合うための場だ
コミュニケーションを促進するためにマジックのプレイ経験やMTGアリーナのIDなどを伝えることができる

実際に神河のアートをVRで体験してみた

 なお、VRというと、VR HMDが必須だと思われる方も多いだろうが、マジック VRアート展は、VR HMDがなくてもPCさえあれば楽しむことができる。より正確に言うと、次の3パターンで楽しむことができる。

1.PC+VR HMD
2.Meta Quest 2単体
3.PC単体

 1と2では、画質などが異なり、1がもっともクオリティの高いVR体験が可能だが、Meta Quest 2単体でも十分にマジック VRアート展を楽しむことができる。また、PC単体では、VR表示にはならないが、FPSゲームのような感覚でマジック VRアート展の世界を楽しむことができる。マジック VRアート展では、一度に最大12人までが同じルームに入り、同時にアートを鑑賞することができるので、友達と示し合わせて同じルームに入ってボイスチャットをオンにすれば、友達と会話しながら神河の世界観を堪能できる。

 今回は、ゲーミングノートPCとMeta Quest 2をOclulus LINKで繋ぐという環境でマジック VRアート展を体験することができた。操作方法も直感的で、首を動かして見ている方向を変え、左スティックで移動する。移動モードは、滑らかに移動していくスライドモードと、酔いにくいワープモードから選べる。右スティックで、視点を回転することもできるが、スティックでの視点移動は左右だけで、滑らかに動くのではなく、ある程度のステップで視点が切り替わるようになっている。マジック VRアート展のウリの一つがGrab&Playである。操作は簡単で、額のついたオブジェクトを選択して、トリガーを押せば引き寄せることができ、引き寄せた後でカードを再びトリガーで掴めば、自由に動かすことができる。

 体験会では、案内役の指示に従いながら12人同時にマジック VRアート展を体験することができた。なお、以下の画面キャプチャは、実際に筆者が体験したときのものだが、あくまで開発中の画面であり、正式版では変わる可能性もある。

 体験会は3つのパートに分かれており、最初のパートがGrab&Playによるアート鑑賞やアバター進化などを体験し、2つめのパートが母聖樹でのクリーチャー召喚3D体験、最後が八角堂でのコミュニケーション体験となっていた。移動は滑らかに動くスライドモードで体験したが、久し振りの外でのVR体験ということもあり、少し酔ってしまった。動きは滑らかで、遅延による酔いなどではなく、単に筆者がVR慣れしていないだけであろう(他の参加者は酔ったなどという人はいなかった)。VR酔いしやすい人は、ワープモードに切り替えれば、移動時の酔いが軽減される。

 トータルで30分程度の体験ではあったが、マジック VRアート展のグラフィックは素晴らしく、神河の世界観を存分に楽しむことができた。Grab&Playでアートを引き寄せ、カードを収集していくのも、ゲーム感覚で楽しめる。全部で134枚のカードアートが用意されているがすべてをコンプリートした人の中から抽選で、原哲夫氏がデザインした《漆月魁渡》の直筆サイン入りB2サイズポスターがプレゼントされるキャンペーンも行われる。
 母聖樹でのクリーチャー召喚体験も迫力があった。召喚できるクリーチャーは、ドラゴン・スピリットの伝説のクリーチャー《真夜中の空、殉至》で、『神河:輝ける世界』を代表するクリーチャーである。TCGアニメでは、よくカードからクリーチャーが実体化する様子が描かれるが、自分がそうしたアニメの主人公になった気分だ。将来、TCGもVR化やAR化が進むことを予感させてくれるコンテンツでもある。

 今回は時間の関係もあり、ボイスチャットの体験は行えなかったが、普通に会話ができるとのことなので、友達はもちろん、初めて出会うマジックプレイヤーとも積極的にコミュニケーションを図ってみてはいかがだろうか。

【マジック VRアート展の体験】
コントローラーでの操作方法。左スティックで移動し、右スティックで視点を左右に動かせる
YボタンかBボタンでスタンプ一覧が開き、AボタンかXボタンでメニューが開く
マジック VRアート展のウリの一つがGrab&Playだ。額のついたオブジェクトはトリガーで引き寄せることができ、引き寄せた後で、カードを掴んで自由に動かすことができる
神河の世界に入った直後の様子。奥にバーチャル・アート展の入口が見える
TOWASHI エリアA「世界」の様子。清水の舞台をイメージした展示空間に浮世絵タッチの土地アートが並んでいる
AボタンかXボタンを押すとメニューが開く
土地アートをポイントしてトリガーを押すと、その土地アートを引き寄せることができる。アートの両側にはイラストレーターの情報や下絵、実際のカードデザインが表示される
アートをGrab&Playで引き寄せると、そのアートのカードを入手できる
山のアートを引き寄せたところ。右側にはラフが表示されている
カードを集めていくと、アバターが進化する。アバターの姿は自分ではわからないが、カメラで自撮りすることで確認できる
カメラを起動したところ。上にある自撮りスイッチをスライドさせると、自撮りができる
回廊を移動中の様子
エリアC「伝統」では、プレインズウォーカーのイラストを鑑賞できる
今西克也氏イラストの《放浪皇》をGrab&Playで引き寄せたところ
《放浪皇》カードを手に入れた
こちらは、原哲夫氏が描いた《漆月魁渡》をGrab&Playで引き寄せたところ
さらにカードの《漆月魁渡》を掴んだところ
正面に見える大きな木が母聖樹である
エリアE「異次元の脅威」で、lack氏が描いた《肉体の裏切者、テゼレット》をGrab&Playで引き寄せたところ
母聖樹の根本に立ち、母聖樹を見上げてみた
根本のポータルに突入すると、母聖樹の中に入れる
奥に進むと、マジックのデッキが置かれたテーブルがある
ライブラリーを選択してトリガーを押すと、ライブラリーの一番上のカードを引くことができる
引いたカードはそのままテーブルに置かれるが、ちゃんと土地がタップされている
カードが紫色に激しく光り出し、その中からクリーチャーが実体化する
実体化したのはドラゴン・スピリットの伝説のクリーチャー《真夜中の空、殉至》だ
《真夜中の空、殉至》が大きな口を開けて迫ってくる
HAKKAKU-DOの入口
HAKKAKU-DOの内部。マジックに関するさまざま情報が公開されている