特別企画

ガンプラ「HGUC 1/144 シャア専用ゲルググ」を黒立ち上げで塗装!モビルスーツの重厚感を強調するグラデーション塗装

【HGUC 1/144 シャア専用ゲルググ】

発売日:2006年10月14日

価格:1,650円(税込)

黒立ち上げで全塗装した「HGUC 1/144 シャア専用ゲルググ」

 今回は「機動戦士ガンダム」より、シャア専用ゲルググの作例を紹介します。使用するキットはBANDAI SPIRITSから2006年発売のガンプラ「HGUC 1/144 シャア専用ゲルググ」です。劇中終盤にて主人公のライバルとなるシャア・アズナブルが搭乗したMSを、黒立ち上げという手法を用いて設定通りのカラーリングに全塗装していきます。

 黒立ち上げは、戦車などのミリタリーモデルの塗装技法として古くから用いられてきた手法です。始めに下地を真っ黒に塗装し、その上からエッジ部の黒を残すようにしてグラデーション塗装を行なうことから、黒立ち上げと呼ばれています。軍用車両がもつ装甲の厚みを強調することができるので、モビルスーツのような巨大ロボットの装甲表現にも生かせます。各部の形状が独特な、ゲルググのようなジオン系モビルスーツにこそオススメしたい手法です。

ゲルググはガンダムシリーズに登場するMSの中でもかなりの強面なので、黒立ち上げでキリッと引き締まりかっこよく仕上がりました。

物語の終盤でのシャア・アズナブルの愛機

 今回制作する「HGUC 1/144 シャア専用ゲルググ」は、TVアニメ「機動戦士ガンダム」に登場するエースパイロット、シャア・アズナブルが劇中終盤に搭乗したMSです。劇中では大きな戦果を挙げることはできませんでしたが、ゲルググ自体の性能はガンダムと同等以上といわれています。

【シャア専用ゲルググ|昼MS【ガンチャン】】

重厚感をより際立たせる塗装方法である黒立ち上げ

 今回の作例ではエアブラシを使用した黒立ち上げにて塗装を行なっていきます。黒立ち上げとは下地色を黒色とし、その上からグラデーションをかけていくことで重厚感のある風合いに仕上げる塗装方法です。パーツのエッジ部に下地色を残すことでプラスチック感を軽減し、金属のような重厚感のある仕上がりを演出します。

今回の作例にて使用した塗料。黒色のサーフェイサーを下地色として上から仕上げ色を重ねていきます。

「HGUC 1/144 シャア専用ゲルググ」を黒立ち上げで全塗装

 今回の作例ではシャア専用ゲルググを設定色通りに全塗装していきます。まずは仮組でキットを組み立ててみます。

仮組を行なったシャア専用ゲルググ。素組の状態でも設定色通りの色分けがされています。

 本キットは整形色だけでしっかりと色分けがされています。しかし、発売が2006年ということもあって合わせ目が多く見られます。そのため、今回は合わせ目消しを重点的に加工していきましょう。

 合わせ目消しを行なうにあたり、一部のパーツは塗装後にパーツがはめ合わせできるよう後ハメ加工を行なっていきます。

後ハメ加工を行なった肩部パーツ。画像右側が加工済みのパーツ。穴の一部を切り欠くことでパーツを後ハメできます。

 後ハメ加工が完了したら合わせ目を消していきます。

パーツの接着面にたっぷりと接着剤を塗布していきます。
接着剤の塗布が完了したらパーツを貼り合わせていきます。この時に張り合わせた個所から接着剤がしっかりとはみ出るようにしていきます。
接着剤が乾燥したらはみ出した接着剤を400番のやすりで削り落としていきます。
合わせ目消しが完了した肩部パーツ。この上から塗装を行なえば合わせ目はわからなくなります。

 合わせ目消しが完了したら、次にモールドの彫り直しをしていきます。モールドの彫り直しにはファンテックの「斬技シリーズ スジ彫りカーバイト 0.15」を使用していきます。

モールドの彫り直しを行なう際は力を入れすぎないように気を付けながら彫り込んでいきます。
モールドの彫り直しを行なった足パーツ。右側が彫り直しを行なったパーツ。彫り直しを行なうことでラインがはっきりし、引き締まった印象になります。

 モールドの彫り直しを行なったら次に各パーツのエッジをとがらせていきます。ガンプラは安全性向上のためエッジの一部が切り欠いてあります。そのため、そのエッジをとがらせることでより設定に近い形状にすることができます。

エッジ出しを行なっている脚部パーツ。ナイフによってエッジ出しを行なっていきます。
エッジ出し前後での比較。写真右のパーツがエッジ出しを行なった脚部パーツです。輪郭がシャープになりました。

 ここまでの加工が完了したら塗装に入ります。塗装に入る前に一度パーツを洗浄し、塗装用の持ち手にクランプしていきます。

塗装用持ち手にクランプした各種パーツ。塗装色ごとにパーツを分けておくと塗装する際に便利です。

 それでは塗装を行なっていきましょう。まずは全体に下地色として「GSIクレオス Mr.フィニッシングサーフェイサー1500 ブラック」を使用して塗装していきます。

サーフェイサーを塗装したパーツ。今回は仕上げ色にかかわらず全て黒色に塗装しました。

 下地色が塗装完了したら、仕上げ色を重ねていきます。この際にパーツの縁は下地色を残すようにグラデーション塗装を行ないます。

仕上げ色を塗装した背部スカートパーツ。ベタ塗りとは違った雰囲気に仕上がります。

 仕上げ色は外装部に「GSIクレオス Mr.カラー ガンダムカラー MSシャアピンク」と「GSIクレオス Mr.カラー ガンダムカラー MSシャアレッド」、「ガイアノーツ ガイアカラー 061 ミッドナイトブルー」、「ガイアノーツ エヴァカラー EV-11 エヴァプロトイエロー」を使用して塗装を行ないました。また、関節色には「GSIクレオス Mr.カラー 軍艦色(2)」を使用し。モノアイとビームライフルセンサー部は「GSIクレオス Mr.メタルカラーGX GXメタルレッド」を使用しました。

仕上げ塗装が完了したパーツ。最後にクリアコートを吹けば塗装完了です。

 最終仕上げのクリアコートには「GSIクレオス Mr.カラーGX スーパースムースクリアー<つや消し>」を使用し、ビームナギナタの刀身等光沢部には「ガイアノーツ Exシリーズ Ex-03 Ex-クリアー」を使用しました。

「シャア専用ゲルググ」が黒立ち上げで重厚感あふれる佇まいに

 これにて塗装工程は完了です。組み立てを行ない完成したゲルググを見ていきましょう。まずは塗装前後の比較です。

【正面】
塗装前
塗装後
【側面】
塗装前
塗装後
【背面】
塗装前
塗装後

 黒立ち上げを行なうことで単色だった装甲にも情報量が増えました。1/144という小さなスケールで、巨大な金属の物体としてのモビルスーツを表現しています。

ビーム・ライフルを構えてみました。塗装により重厚感が増したため、とても強そうに見えます。
下からあおりのショットも迫力が増します。劇中のジオン兵もこの景色を見ていたのかもしれませんね。
ビームナギナタを構えてみました。ゲルググは射撃ポーズだけでなく格闘ポーズも決まります。
ビームナギナタのアップ。光沢クリアーがいい質感を出しています。

 いかがでしょうか。黒立ち上げは時間がかかる塗装方法ではありますがその効果は絶大な塗装方法になります。エアブラシをお持ちの読者の方はもちろんのこと、エアブラシを持っていない読者の方もこの記事をきっかけに挑戦してみてはいかがでしょうか。

今回使用した塗料一覧
工程使用塗料
下塗りGSIクレオス Mr.フィニッシングサーフェイサー1500 ブラック
上塗りGSIクレオス Mr.カラー ガンダムカラー MSシャアピンク
上塗りGSIクレオス Mr.カラー ガンダムカラー MSシャアレッド
上塗りガイアノーツ ガイアカラー 061 ミッドナイトブルー
上塗りガイアノーツ エヴァカラー EV-11 エヴァプロトイエロー
上塗りGSIクレオス Mr.カラー 軍艦色(2)
部分塗装GSIクレオス Mr.メタルカラーGX GXメタルレッド
トップコートGSIクレオス Mr.カラーGX スーパースムースクリアー<つや消し>
トップコートガイアノーツ Exシリーズ Ex-03 Ex-クリアー