特別企画

ボークスのプラモデル「1/35IJ ATM-09-STCBS デスメッセンジャー」をウェザリング特盛りで仕上げる!

歴戦の重武装機体でボトムズの世界観を表現

【1/35IJ ATM-09-STCBS デスメッセンジャー】

発売元:ボークス

価格:8,250円(税込)

 今回は人気のロボットアニメ「装甲騎兵ボトムズ」より、はままさのり氏の外伝小説「青の騎士ベルゼルガ物語」シリーズに登場するスコープドック型カスタムAT「デスメッセンジャー」の作例をご紹介します。使用するのはボークスから発売中のプラモデル「1/35IJ ATM-09-STCBS デスメッセンジャー」です。「ボトムズ」といえば“むせる”ような戦場の演出が特徴。今回はウェザリング特盛仕上げでその世界観を表現したいと思います。

死を伝える疫病神ラドルフ・ディスコーマが操るカスタムAT

 今回製作する「1/35IJ ATM-09-STCBS デスメッセンジャー」は装甲騎兵ボトムズの公式外伝小説である「青の騎士ベルゼルガ物語」に登場するスコープドック型カスタムATです。このATと対戦した相手は後日、謎の黒いAT「シャドウフレア」に対戦を申し込まれ必ず死亡してしまうことから「デスメッセンジャー」と呼ばれているATとなります。

 パイロットは元レッドショルダー隊員のラドルフ・ディスコーマで、右肩を赤く染めたカラーリングと重心の低い骨太な体躯、ミッションパックとライフルからなる重装備が特徴です。

ボークスのインジェクションキットとしての「1/35IJ ATM-09-STCBS デスメッセンジャー」

 本キットは、ボークスのインジェクションプラキット1/35スケールの第5弾として2019年2月23日に発売されたプラモデルです。小スケールとなる1/35スケールでありながら情報量を損なわない構成となっており、ミッションパックに可動機構を設けることで装着したまま降着ポーズを決めることができるなど、プレイバリューの高い仕上がりとなっています。

 成形色は計6色となっており、組み立てるだけで設定に近い配色となるようになっています。また、初回生産限定盤にはアンテナやレンズパーツをディテールアップできるメタルパーツや貼り付けるだけでディテールアップができるエッチングパーツが付属しています。

デスメッセンジャーをウェザリング特盛で製作する

 それではデスメッセンジャーを製作していきましょう。まずはキットの素性を確かめるために仮組を行なってきます。

仮組を行なったデスメッセンジャー構造はガンプラのHGシリーズに近い構造となっています。

 仮組が完了したら塗装しやすいように一度解体し、初回生産分の特典であるメタルパーツとエッチングパーツを取り付けていきましょう。本キットにはヘッドパーツ用のメタルパーツとスカートパーツ用のエッチングパーツが付属しています。まずはメタルパーツから取り付けていきましょう。

メタルパーツ取り付け前のアンテナパーツとスコープパーツ。マジックで黒塗りにした箇所をメタルパーツに交換していきます。
メタルパーツを取り付けたアンテナパーツとスコープパーツ。金属パーツを使用することでよりシャープな仕上がりとなります。
エッチングパーツ取り付け前のスカートパーツ。表面にエッチングパーツを貼っていきます。
エッチングパーツを貼りつけたスカートパーツ。エッジがよりシャープにかっこよくなりました。

 加工が完了したら塗装に入っていきます。今回は以前紹介したシリコーンバリアー塗装を使用していきます。

 まずはメタルパーツとエッチングパーツに下地塗装をしていきます。下地にはフィニッシャーズのマルチプライマーを使用しました。下地塗装が完了したら下地色を塗装していきます。今回はウェザリングを行なうための下地色とするためガイアノーツのサーフェイサーEVOオキサイドレッドを使用していきます。このサーフェイサーは工業製品の錆止め塗料と同じ色調となるため、シリコーンバリアー塗装の下地色とすることでよりリアルな雰囲気にすることが可能です。

下地塗装を行なったガトリングガン。今回の塗装ではすべてこの下地色を塗装していきます。

 下地色の塗装が完了したらシリコーンバリアーでコーティングを行い仕上げ色の塗装をしていきます。まず関節および武器パーツにはガイアノーツのダグラムカラー グレーバイオレットを塗装していきます。

仕上げ色を塗装したガトリングガン。塗料の名前の通り紫がかったグレーとなっています。

 次に装甲部分を塗装していきます。装甲はガイアノーツのボトムズカラー グリーンとライトグリーンによって塗装していきます。

装甲色を塗装したパーツ。この塗料の組み合わせはガンプラのザクでも使用可能な組み合わせです。

 次は特徴的な赤い肩パーツを塗装していきます。肩パーツはガイアノーツの「ボトムズカラー ブラッドレッド」を使用していきます。

塗装を行なった肩パーツ。整形色よりも重い色調になっています。

 次にセンサーパーツを塗装していきます。センサーパーツはガイアノーツの「ボトムズカラー ホワイトグレー」にて塗装していきます。

塗装を行なったセンサーパーツ。少し青みのあるグレーに仕上がります。

 最後のエアブラシ塗装としてスコープパーツの塗装を行なっていきます。スコープパーツはガイアノーツのExシルバーにて塗装を行ないました。

塗装を行なったスコープパーツ。Exシルバーはなんにでも使える定番のシルバーです。

 ここまで塗装が完了したらほかの色を筆塗りしていきます。本来であればマスキングをしてエアブラシ塗装をするところですが、今回はシリコーンバリアーを塗布しているためマスキングテープを張ることができません。そのため、筆塗にて塗分けを行なっていきます。

部分塗装を行なった座席パーツ。座席部分はガイアノーツのナチュラルブラウンで塗装しています。
部分塗装を行なったスカートパーツ。黒のラインをガイアノーツのミッドナイトブルーにて塗装しています。
部分塗装を行なったレンズパーツ。赤い部分はタミヤのエナメルカラー クリヤーレッドを使用しています。

 ここまで塗装が完了したら塗膜をはがす準備として一度キットを組み立てていきます。

塗装後の組み立て。このままでも十分にかっこいいと思いますが、もうひと手間加えてよりかっこよくしていきます。

 組み立てが完了したら爪楊枝で塗膜をはがしていきましょう。キットのエッジ部分を中心に規則的にならないよう注意しながら塗膜をはがしていきます。

爪楊枝で塗膜をはがしていきます。塗膜をはがす際はあまり臆病にならず思い切ってはがしてしまうのも大事です。

 塗膜がはがし終わったらウォッシングを行なっていきます。しかし、ウォッシングを行なう前に表面をつや消しにしておく必要があるため表面をクレオスの「Mr.スーパークリアーUVカット つや消し」を使用してつやを消しておきます。つや消しが完了したらウォッシングの開始です。今回はウォッシングにクレオスの「Mr.ウェザリングカラー グランドブラウン」を使用していきます。

今回のウォッシングは汚れをより強く表現するため、濃い目の塗料を塗ります。

 ウォッシングが完了したら、次は油だまり表現のため、ピンウォッシュをしていきます。今回のピンウォッシュも以前の量産型ザクの記事と同様にガイアノーツのガイアエナメルカラー オイルを使用して油だまりを表現していきます。

ピンウォッシュを行なうことで部分的につやが出てよりリアルに仕上がります。

 次は錆表現のため、スポンジチッピングをしていきます。スポンジチッピングとはちぎったスポンジに塗料を含ませてスタンプすることでランダムなパターンを描き込む技法です。今回はガイアノーツのガイアエナメルカラー 赤サビと黄サビの2色を使用してスポンジチッピングを行なっていきます。

スポンジチッピングを行なうことで簡単にランダムパターンを描き込むことができます。

 ここまでくれば仕上げまであと一息です。最後に金属露出部を描き込んでいきます。金属露出部はタミヤのエナメルカラー クロームシルバーを爪楊枝で塗装していきます。

筆の代わりに爪楊枝を使用することで簡単に細かい模様を描くことができます。

 これにて作業はすべて完了です。早速完成したデスメッセンジャーを見ていきましょう。

素立ちの状態で四方から見てみます。無骨なデザインがウェザリングと非常にマッチしています。
アームパンチ射出状態のポーズをしてみました。こぶしの塗装剥げの部分が本当に敵機を殴りつけたような雰囲気があります。
コックピットハッチの拡大。この個所は整備によるオイル溜まりが多く発生するとみてピンウォッシュを強めに施しているためよりテカリが出るようにしています。

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ミサイルポッドは外面側が最も塗装が剥離すると考えサビも多く塗装しています。

降着状態のポーズ。コクピット内部のしっかりとウェザリングを行なったので内部までしっかりかっこよくなっています。
ガトリングガンを構えてみました。ウェザリングも相まって戦場のような緊迫感を感じられます。
筆者が今回のデスメッセンジャーで最もお気に入りの角度。ミッションパックのサビ具合がお気に入りです。

 いかがでしょうか。ウェザリングによって模型とは思えないリアルさ、重厚感のあり仕上がりになったと思います。ウェザリングは模型技術の中でも比較的難易度が低いためおススメの表現技法です。皆さんもぜひチャレンジしてみてください。

今回使用した塗料一覧
工程使用塗料
下塗りフィニッシャーズ マルチプライマー
下地色ガイアノーツ サーフェイサーEVO オキサイドレッド
上塗りガイアノーツ ボトムズカラー グリーン
上塗りガイアノーツ ボトムズカラー ライトグリーン
上塗りガイアノーツ ボトムズカラー ブラッドレッド
上塗りガイアノーツ ボトムズカラー ホワイトグレー
上塗りガイアノーツ ダグラムカラー グレーバイオレット
部分塗装ガイアノーツ 蛍光グリーン
部分塗装ガイアノーツ ミッドナイトブルー
部分塗装タミヤ エナメルカラー クリヤーレッド
トップコートクレオス Mr.スーパークリアーUVカット つや消し
ウォッシングクレオス Mr.ウェザリングカラー グランドブラウン
ピンウォッシュガイアノーツ ガイアエナメルカラー オイル
スポンジチッピングガイアノーツ ガイアエナメルカラー 赤サビ
スポンジチッピングガイアノーツ ガイアエナメルカラー 黄サビ
金属露出部タミヤ エナメルカラー クロームシルバー