特別企画
ガンプラ「HGUC ガンキャノン」を砂漠仕様に!シリコーンバリアー塗装でウェザリング
リアルなダメージ表現で重厚感がアップ
2021年7月21日 00:00
- 【Mr.シリコーンバリアー〈多目的離型剤〉】
- 発売元:GSIクレオス
- 価格:1,100円(税込)
- 【HGUC 1/144 ガンキャノン】
- 発売元:BANDAI SPIRITS
- 価格:1,320円(税込)
プラモデルにおいてその多くのモチーフは戦車や戦闘機、SFのロボットなどいわゆる兵器となっています。兵器は自動車などと違い、常に壊れたり、乱暴に扱われたりする環境にあります。そのため、外装には汚れやキズ、塗料の剥がれ、部品の欠損といったダメージが発生します。模型において、これらダメージを意図的に追加し、よりリアルに見せる方法を「ウェザリング」と呼びます。
今回はこのウェザリング技法のひとつである、チッピングをやっていきます。チッピングとは塗装の剥がれを意図的に発生させる表現技法です。チッピングの方法は様々ありますが今回はその中でも代表的は技法のひとつである「シリコーンバリアー」塗装について紹介していきましょう。
本来の使い方より塗装での使用が定番!? 「Mr.シリコーンバリアー〈多目的離型剤〉」
今回の主役アイテムとなるのはGSIクレオスのブランドMr.HOBBYより発売中の離型剤「Mr.シリコーンバリアー〈多目的離型剤〉」です。
この「Mr.シリコーンバリアー〈多目的離型剤〉」は離型剤という名前のとおり、元々はレジンキャストを行なう際に型同士や型とレジンがくっついてしまうことを防止するために使用されます。
では、なぜこの離型剤がウェザリングによく使用されるのでしょうか。その答えは「塗料をくっつかなくする」効果があるからです。一般的なラッカー塗装は塗膜同士が溶着することで剥がれにくくなっています。シリコーンバリアーを塗膜の間に塗布することで、塗膜の溶着を意図的に阻害し表面を剥離させることが可能となります。
この技法の良い点として塗膜の剥がれ方がリアルになるという点にあります。シリコーンバリアー塗装では塗膜が割れるように剥がれます。剥がれた箇所にはランダムなパターンが入るので剥がれた箇所は非常にリアルに仕上がるのです。
しかし、メリットがあればデメリットもあります。シリコーンバリアー塗装のデメリットとしては塗膜が剥がれ続けることが挙げられます。シリコーンバリアーの塗布している面は塗膜が剥がれてしまうため、完成後にポージングをとるだけでも塗膜が剥げてしまうことがあります。そのため、アクションフィギュアのように楽しむのであれば不向きな塗装方法といえます。
「HGUC ガンキャノン」を砂漠仕様にシリコーンバリアー塗装してみる
そんなシリコーンバリアー塗装を使用して今回はガンプラ「HGUC 1/144 ガンキャノン」を砂漠仕様に塗装してみようと思います。設定としては通常カラーで製造されたガンキャノンが砂漠の部隊にて現地塗装した後に酷使される。という設定で制作していきます。
まずは、キットを仮組しました。アニメのガンキャノンと比較するとかなりスタイリッシュなイケメンに仕上がっています。
仮組後は各パーツのゲート処理と合わせ目消しなどの基本工作を行なっていきます。基本工作が完了したらガイアノーツの「GS-03 サーフェイサーエヴォ ブラック」で下地を仕上げていきます。
下地が仕上がったらシリコーンバリアー塗装で塗膜を剥離させたときに出てくる下地色を塗装(下塗り)していきます。今回のガンキャノンは現地塗装される設定なので外装パーツは設定どおりの外装色、関節部は塗装が剥離して地金が露出しているように見せるためシルバーで塗装していきます。
ここまでで、下塗りが完了したので続いて全パーツに「Mr.シリコーンバリアー〈多目的離型剤〉」を塗布(中塗り)していきます。塗布を行なう際はラッカー塗料と同様にエアブラシにて塗布していきます。「Mr.シリコーンバリアー〈多目的離型剤〉」はそのままでもサラサラしているので希釈せずに塗布することが可能です。なお、「Mr.シリコーンバリアー〈多目的離型剤〉」は乳白色の液体ですが薄く塗布するためパーツの色味が変わることはありません。
「Mr.シリコーンバリアー〈多目的離型剤〉」の塗布が完了したら仕上げ色を塗装(上塗り)していきましょう。
まず、関節色にガイアノーツの「NAZCAカラー NC-002 フロストマットブラック」を使用しました。関節色としては少し暗めの色にはなりますが、塗膜を剥がした際に色味の違いをより鮮明にするため、この色を選びました。
次に下地色で赤色を塗装したパーツにGSIクレオスの「Mr.カラー C310 ブラウン FS30219」を塗装していきます。
最後に黄色と白色パーツにはGSIクレオスの「Mr.カラー C321 黄土色」を塗装していきました。これにて、塗装はひとまず完了です。乾燥を確認して組み立ててみましょう。
組み上げの際には折角施した塗装が剥がれてしまわないよう慎重に作業します。まだ仕上げのトップコートを施していないため表面のツヤに差があるものの、中々かっこよいのではないでしょうか。
シリコーンバリアー塗装はここからが本番です。仕上げ色を剥離させるチッピング作業を行ないます。仕上げ色を剥離させる際は爪楊枝を使用します。爪楊枝で塗膜を剥離させたい箇所を擦ると塗膜が割れるように剥離していきます。
剥離させるときは、左右対称にしない、プラモデルを組み立てた状態で行なうという2点に気を付けるとうまくいくと思います。この調子で胴体以外も剥離させていきます。
剥離が終わったら表面のツヤを均一にするためトップコートを塗布します。今回はGSIクレオスの「Mr.カラーGX スーパークリアー3 UVカットつや消し」を使用しました。
遂に完成!歴戦の勇者ガンキャノン
下塗りを基本色で塗装、中塗りにシリコーンバリアー塗装、上塗りで砂漠仕様へと塗装し、ウェザリング、最後にトップコートでの仕上げという工程を経てガンキャノンが完成しました。デザートカラーの装甲から、一部下地となる赤や銀の装甲色が見えて歴戦の機体として風格が漂います。
素立ちでもカッコいいですが仮組時との違いを比較しながらポーズをとらせてみましょう。
いかがでしょうか、素組では味わえないカッコよさがあると思います。もちろん全体を見てもかっこいいのですが、拡大して詳細を見てみるとまた違ったカッコよさ見えてきます。
プラモデルにダメージというリアルを付け加えることができるシリコーンバリアー塗装。最近では塗装ブースをレンタルできるお店も増えてきていますので皆さんも挑戦してみてはいかがでしょうか。
工程 | 塗装箇所 | 使用塗料 |
下地 | 全体 | ガイアノーツ GS-03 サーフェイサーエヴォ ブラック |
下塗り | 装甲(赤) | ガイアノーツ ガイアカラー003 ブライトレッド |
装甲(白) | GSIクレオス Mr.カラー C1 ホワイト +ガイアノーツ ガイアカラー 036 純色グリーン | |
関節(銀) | ガイアノーツ Ex-07 Ex-シルバー | |
中塗り | 全体 | GSIクレオス Mr.シリコーンバリアー〈多目的離型剤〉 |
上塗り | 装甲(茶) | GSIクレオス Mr.カラー C310 ブラウン FS30219 |
装甲(黄土) | GSIクレオス Mr.カラー C321 黄土色 | |
関節(黒) | ガイアノーツ NAZCAカラー NC-002 フロストマットブラック | |
トップコート | 全体 | GSIクレオス Mr.カラーGX スーパークリアー3 UVカットつや消し |
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