特別企画

ガンプラ「ENTRY GRADE ガンダム」をキャスバル専用カラーに!仕上げ編

スミ入れ&トップコートもガンダムマーカーでバッチリ

【ガンダムマーカー スミ入れ/極細タイプ】

発売元:株式会社GSIクレオス

価格:220円(税込)

【ガンダムマーカー クリアー光沢/クリアーつや消し】

価格:275円(税込)

【ガンダムマーカーエアブラシシステム】

価格:3,740円(税込)

 今回は以前の記事で制作した「ENTRY GRADE ガンダム」キャスバル専用カラーの仕上げを行なっていこうと思います。「ガンダムマーカー ジオン軍6色セット」と「ガンダムマーカーエアブラシシステム」を使って、「ENTRY GRADE 1/144 RX-78-2 ガンダム(ライトパッケージVer.)」を塗装。「機動戦士ガンダム ギレンの野望」などでシャア・アズナブルことキャスバル・レム・ダイクン専用機として搭乗するモビルスーツ「キャスバル専用ガンダム」仕様のカラーリングへと変更したものになります。

 ガンプラなどのキャラクターモデルの仕上げ工程として、「スミ入れ」や「トップコート」、「ウェザリング」、「ドライブラシ」など、さまざまな技法が存在します。今回はこれらの中から「スミ入れ」と「トップコート」にスポットを当てて紹介していきましょう。

前回製作した「ENTRY GRADE ガンダム」キャスバル専用カラー。この写真では塗装のみ施した状態ですが「スミ入れ」と「トップコート」で仕上げていきます。

仕上げ塗装も簡単!! 定番ツールと最新ツール

 今回、スミ入れを行なうための定番ツールとしてGSIクレオスのブランドMr.HOBBYから発売中の「ガンダムマーカー スミ入れ/極細」を使用していきます。「ガンダムマーカー スミ入れ/極細」は、数あるスミ入れ用塗料の中で、最もお手軽に使用することができるツールです。ペン先が細い油性マーカーという仕様で、下準備や後片付けも必要なくこれ1本用意すれば初心者でも簡単にスミ入れができます。

定番スミ入れツールの「ガンダムマーカー スミ入れ/極細」。筆者も子供の頃から使用しています。
ペン先0.05mmの極細仕様です。
テストパーツにスミ入れを行ないます。こちらは加工前。
ブラックでスミ入れを行ないました。一気に引き締まって見えます。

 次に、トップコートはGSIクレオスより新発売となった「ガンダムマーカー クリアー」を使用します。このマーカーはこれまでにない透明塗料のマーカーです。同社から発売中の「ガンダムマーカーエアブラシシステム」を用いて使用することを前提に作られているため、マーカー単体で使用するのは難しいです。まさに、「ガンダムマーカーエアブラシシステム」で使用するためにマーカー型容器に入れた希釈済み塗料と呼べるものになります

新発売の「ガンダムマーカー クリアー」。「ガンダムマーカーエアブラシシステム」で使用するためにマーカー型容器になったような形になっています。
ペン先は通常のガンダムマーカーと同様です。押し込むことで塗料を充填できます。
「ガンダムマーカーエアブラシシステム」にセット。ペン先の塗料をエアーで吹き付けます。

簡単スミ入れの定番「ガンダムマーカー スミ入れ/極細」

 ガンプラ等のキャラクターモデルにおけるスミ入れにはさまざまな方法があります。ガンダムマーカーを使う方法や、シャープペンシルを使う方法、エナメル塗料を使用する方法など。これらの方法にはそれぞれ線を細く仕上げることができる、細かい隙間にもスミ入れを行なうことができるなど異なるメリットがあります。

 今回は手軽さを重視して、ガンダムマーカーによるスミ入れを選びました。「ガンダムマーカー スミ入れ/極細タイプ ブラック」と「ガンダムマーカー スミ入れ/極細タイプ ブラウン」を使用していきます。スミ入れを行なう際はスミを入れる箇所に合わせて色を変えることをオススメします。なぜ、色を変えた方が良いのか?そこには深い理由があるのです。

 そもそも、スミ入れとは何のためにするのでしょうか?その理由はプラモデルのパーツ分割にあります。プラモデルのパーツ分割は実際の機体と違い、スケールの都合で装甲の分割を省略して一体成形、分割線をスジ状のモールドで表現することが多々あります。そういったモールドにスミ入れを行なうことで影として表現し、装甲の分割にリアリティを持たせることができます。

 影は常に真っ黒というわけではなく、下地となる地面などの色をある程度反映するものです。つまり、スミ入れ時に使用する色は常に黒というわけではなく、着色箇所周辺の色を暗くした色を選ぶべきなのです。というわけで、今回キットが全体的に赤いため、赤の暗色にあたるブラウン、関節部のグレーなどにはブラックを使用していきます。

塗装した「ENTRY GRADEガンダム」にスミ入れ実践!

 まずは、ガンダムの中で一番印象を決める頭部パーツのスミ入れを行ないます。スミ入れ前の状態でも十分にかっこよく見えますが、ここに「ガンダムマーカー スミ入れ/極細タイプ ブラウン」を使用していきます。

スミ入れ前の頭部パーツ。このままでの十分にかっこよく見えますが…。
スミ入れを行なうことでよりハッキリとした見た目になり、全体が引き締まって見えます。

 次に、胴体部分を「ガンダムマーカー スミ入れ/極細タイプ ブラック」と「ガンダムマーカー スミ入れ/極細タイプ ブラウン」を使用してスミ入れしていきます。暗い色にスミ入れをすることは意味があるのかと思うかもしれませんが、スミ入れは先ほど話したように影を入れていく技法となるため、塗装色よりわずかでも暗い色をしていれば効果が感じられます。早速、実際の写真を見てみましょう。

スミ入れ前の胴体パーツはどこか平坦な印象があります。
スミ入れを行なうことで陰影が強調されより立体的に、また、重厚感が出ます。

トップコートでも簡単塗装!? 「ガンダムマーカークリアー」

 スミ入れが仕上がったら、次にトップコートで表面の質感を整えていきましょう。そもそも、なぜトップコートで表面の質感を整えるのでしょうか?これには大きく2種類の理由があります。まず1点目の理由としては「塗装表面を保護する」というものです。塗装後の塗膜は爪でこすってしまうなどの要因で剥がれて、折角の仕上がりが台無しになってしまうことがあるため、そういった傷から保護するというものです。次に2点目の理由として、塗装表面の質感を現物に近づけるためです。

 架空の兵器に対して現物というと難しいのですが、現実に存在する兵器等で考えてみるとわかりやすいと思います。例えば戦艦や戦闘機などの写真を見るとその塗装はつや消しに仕上がっていることがわかります。兵器等のキャラクターモデルはつや消し仕上げにしてやることでそのリアルさが増します。また、表面を光沢仕上げにすることで自動車などに見られる高級感を出すこともできます。例えば、シャアのように登場するキャラクターに合わせて期待をスタイリッシュかつ高級感を持たせて仕上げたい場合は光沢仕上げにしても良いのではないでしょうか。

 今回の作例では、関節部につや消し仕上げで、外装パーツは高級感を出すために光沢仕上げでやってみます。今回は簡単塗装を意識して[ガンダムマーカー クリアー光沢]と[ガンダムマーカー クリアーつや消し]を使用して、トップコートを行なっていきます。

テストピースでガンダムマーカーのトップコートを検証

 まずは、質感の違いを見るためにテストピースに塗装してみます。

トップコート前の塗装サンプル。ややつや消しと言ったところでしょうか。
「ガンダムマーカー クリアー光沢」にてコーティング。塗膜を厚くすることが難しく、光沢ではあるものの、やや表面はガタついており、鏡面とまではいかない感じ。
「ガンダムマーカー クリアーつや消し」にてコーティング。しっかりとしたつや消しに仕上がっており、色調は、コート前と比べてやや明るくなっている感じがします。

 次にコートの耐久性について検証します。上記のサンプルにマスキングテープを貼って剥がしてみました。「ガンダムマーカー クリアー光沢」では、マスキングテープに塗膜がくっついてしまい簡単に剥がれてしまいました。トップコートの上からマスキングはできません。一方、「ガンダムマーカー クリアーつや消し」は今回の検証で塗膜が剥がれることはありませんでした。

光沢仕上げの塗膜はマスキングテープで簡単に剥がれてしまいました。

 今回の作例では分解してコーティングをしたため、マスキングテープは使用しませんでしたがマスキングテープを使用する際は注意が必要なようです。

簡単塗装でもここまでできる。スミ入れとトップコート

 それではコーティングが完了した完成品を前回製作したものと比較しながら見ていきましょう。

コーティング前のガンダム、全体的にややつや消しといった感じになっておりかっこよく見えますが、どこかプラモデル感がある印象になっています。
スミ入れとコーティングを行なうことでメリハリが効いてよりカッコよくなったのではないでしょうか。
軽くポーズをとらせてみました。表面の質感の違いが見えると思います。また、スミ入れが全体を引き締めてくれていると思います。
各部の拡大写真。光沢とつや消しのコントラストがカッコイイですね。

 いかがだったでしょうか、今回のスミ入れとコーティングは前回の塗装の延長線で挑戦することが可能で、もちろん未塗装キットの完成度を引き上げることもできます。スミ入れでは極細タイプを使用しましたが、GSIクレオスからは「ガンダムマーカー 流し込みスミ入れペン」や「ガンダムマーカー スミいれ ふでぺん 水性 ふきとりタイプ」、「ガンダムマーカー スミいれペン シャープ」といった異なるタイプのスミ入れツールも発売中です。これらをスミ入れ箇所の形状や前処理・後処理の手法に合わせて使い分けることもあります。仕上げ一つとってもさまざまなやり方で楽しめるのが模型作りの楽しさですね。読者の皆様もこれを機に素組みから一歩踏み込んで塗装や仕上げにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。