特別企画

巨大感、没入感、そして迫力! フィギュアの魅力を数倍に楽しむジオラマ作成

「ジオコレ」で作るウルトラマンの市街地戦

 様々なメーカーから完成品フィギュア、プラモデルが発売され、高い造形と可動が実現されている。

 世界観を象徴する造形美やキャラクターの生き生きとした描写を表現できる動きやポーズなど飾るだけでなく、ブンドドとして楽しむことも醍醐味と言えるだろう。

 それゆえにもう一つ叶えたいことがある。

 それは「テレビの中の活躍で活躍したヒーローを完全再現すること」だ。特に巨大ロボットやヒーローはカメラワークや舞台などから設定のスケール感をリアリティ溢れるものとして映し出している。だが、完成品フィギュアはそれら設定を元にスケールダウンさせたものであるため、単体ではどうしてもダイナミックさに欠けるところがある。

 そこで今回フィギュアをより盛り上げる「ジオラマ」を紹介したいと思う。

 「ジオラマ」と聞くとコンテストや展示イベントで見られる緻密な背景によって世界観を濃縮したような造形を想像するかもしれない。ゆえに「作るのはハードルが高そう」と筆者も当初は思っていた。「地面はどう作られているのか」、「木や建築物のオブジェクトはスケール感はどれがいいのか」、そして「立体物と並べた時、違和感がないか」と二の足を踏んでしまう部分が多々あった。

 しかし、「ジオラマ」はフィギュアの魅力をさらに向上させることに違いない。

 今回は「ジオラマ」に触れてみたい方々にその奥深さの一端を紹介していく。

「ジオラマ」で何を使うか? シチュエーション重視で構想を固める

 こういう風景を作りたい、ドラマ性を彷彿とさせるワンシーンを再現したいなど様々なシチュエーション再現をするのが「ジオラマ」の真骨頂だろう。

 そのために、何を用意すべきか。

 筆者の場合は、上述の通り「テレビの中の活躍で活躍したヒーローを完全再現すること」が大きなテーマとなっている。

 すると必然、その中核はやはりヒーローだ。

 今回使用するのは2021年7月に発売された「S.H.Figuarts(真骨彫製法)ウルトラマンティガ マルチタイプ」。

 「ウルトラマンティガ」は1996年に放送された特撮テレビドラマで、平成ウルトラマンシリーズの始まりとなった作品。「ウルトラマン」シリーズでは初となるタイプチェンジやミステリアスなドラマなど今なお語り継がれるヒーローだ。

S.H.Figuarts(真骨彫製法)ウルトラマンティガ マルチタイプ

 筆者もリアルタイムで視聴しドハマリした世代で、巨大ヒーローのカッコ良さを教わった。

 その中でも印象的だったのが市街地での戦いだ。

 ウルトラマンティガは設定身長が53m。高層ビルのように巨大で、電柱や車よりはるかに大きいことが劇中でも確認でき、「こんなにも大きなヒーローなんだ」と見ていた当時は思った。加えて、キリエロイドやイーヴィルティガなど強敵との戦いで印象深いものとなっている。

 では、建物のオブジェクトはどうするのか。

 それを実現できるのが、トミーテックから発売されている「ジオコレ」シリーズ。その中から「建物コレクション」シリーズ、「情景コレクション」シリーズの商品を使用していく。

【ジオコレ 建物コレクション】

 「建物コレクション」シリーズは塗装済みのパーツで簡単に組み立てられる1/150ストラクチャー模型で、その種類もお店や雑居ビル、近代ビル、さら建設中、解体中の建物など多種多様。また、「情景コレクション」シリーズでは駅前で見かけるペディストリアンデッキや電柱など街中で見かけるものがミニチュアで再現されている。

 そして、その土台となる部分は100円均一ショップで販売されている板材とタミヤの「情景テクスチャーペイント(路面 ダークグレイ)」で作成。

【土台に使用するもの】
100円均一ショップで購入したは約300×400×6mmの板材とタミヤの「情景テクスチャーペイント(路面 ダークグレイ)」

 板材のサイズは約300×400×6mmのもので、「S.H.Figuarts(真骨彫製法)ウルトラマンティガ マルチタイプ」単体を置いても、ジオラマを置くスペースが確保できる。

 「情景テクスチャーペイント(路面 ダークグレイ)」は細かいセラミック粒子を配合したペーストタイプで、乾くと細かな凸凹のある表面ができ、アスファルトの地面を再現できる。

フィギュアと建物ジオラマスペースを確保するため、広さのあるものを選んだ

 今回のジオラマ作成に必要なものが揃ったので、次に「ジオコレ」、台座の作成を紹介。

塗装済みで作りやすい「ジオコレ」とアスファルトを再現した土台を作成

 「ジオコレ」シリーズはプラモデル同様に組み立て式となっている。各パーツは塗装が施され質感や細部の造形も作りこまれている。

 組み立てもほとんどパーツを組んで完成し、プラモ初心者でも作りやすい設計だ。細かいパーツなどはランナーから切り離すものもあるが、こちらも色分け塗装がされている。

 一方で付属のシールはカッターやデザインナイフで切り取る必要がある。また、ビルなどの窓の再現に使用するクリアパーツの貼り付けに別途ゴム系接着剤が必要となる。

【ジオコレ 建物コレクション142 駅前近代ビルA】
本キットはほとんどパーツを組み合わせるだけ
窓パーツに使うゴム系接着剤は100円均一で購入可能
パーツの端に接着剤を塗布
ビルの内側に貼り付けることで窓が完成する
屋上部分の広告に使うシールを選択して切り取り
切り離すと屋上パーツの幅に合った幅となる
長いシールと短いシールを貼って、正面左右からも広告が見える
最後に各パーツを積み木のように重ねて完成
【情景コレクション 情景小物118 ペディストリアンデッキ ジオラマの中身】
塗装済みパーツとランナーパーツがあり、こちらはプラモデルのように組み立てる必要がある

 今回紹介する中で高さのある「ジオコレ 建物コレクション142 駅前近代ビルA」。1/150スケールでボリューム感ある造形となっている。

 「S.H.Figuarts(真骨彫製法)ウルトラマンティガ マルチタイプ」と比較すると本商品の方が高い。単体で並べてみるとドアの大きさ、窓の数からウルトラマンティガの劇中設定のスケール感からズレている。

 筆者はここあで、単純に並べただけでは「ジオラマ」の持つポテンシャルを引き出せないのを痛感させられた。

【単体での比較】

 土台は「情景テクスチャーペイント(路面 ダークグレイ)」を全面に塗装。テクスチャーをヘラや厚紙を使用して一方向にまんべんなく伸ばしていく。

 乾燥させれば凹凸のあるアスファルトのような土台となり、市街地の地面を再現できる。

【土台の作成】
板材に乗せたテクスチャーを厚紙で伸ばしていく。一方向に伸ばすことで均一な表面にすることができる
乾燥させると表面はザラザラした手触りで、アスファルトのような質感となる

 下準備が完了し、いよいよ「ジオラマ」の作成に入っていく。