特別企画

「水星の魔女」ガンプラ「HG 1/144 ガンダムエアリアル」を全塗装仕上げ

合わせ目消し・肉埋め・スジ彫り・シャープ化で最新キットが更に映える!

【HG 1/144 ガンダムエアリアル】

発売日:2022年10月1日

価格:1,430円(税込)

全塗装した「HG 1/144 ガンダムエアリアル」

 今回は10月より放送されている「機動戦士ガンダム 水星の魔女」より、ガンダムエアリアルの作例を紹介します。使用するキットはアニメ放送に合わせて発売された新キット「HG 1/144 ガンダムエアリアル」です。主人公のスレッタ・マーキュリーがアスティカシア高等専門学園に持ち込んだMSを、今回はディテールアップの加工を施したうえで設定どおりのカラーリングで制作していきます。

令和初のガンダムテレビシリーズ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」

 今回制作する「HG 1/144 ガンダムエアリアル」は2022年10月2日より放送開始したTVアニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」に登場するMSです。水星にて開発され、主人公のスレッタ・マーキュリーによりアニメの舞台となるアスティカシア高等専門学園に持ち込まれました。MSの基本構造は劇中の他MSと共通しているものの、主人公であるスレッタが搭乗した際は禁じられたシステムであるGUND-ARM、通称「ガンダム」に酷似した挙動を示します。

キットは可動域に優れ、キービジュアルのポージングにも対応しています。

塗装にも配慮されている新作ガンプラ「HG 1/144 ガンダムエアリアル」

 本キットはこれまでのHGシリーズでは多用されていたポリキャップが廃止されています。そのため、塗装はユーザーにも嬉しい仕様となっています。詳細なキットの構造は掲載中のレビュー記事をご覧ください。

「HG 1/144 ガンダムエアリアル」を設定色通りに全塗装

 それではガンダムエアリアルを制作していきましょう。まずは仮組にてキットを組み立てます。

仮組を行なったガンダムエアリアル。主人公機らしいヒロイックな外観となっています。

 本キットは素組状態でも完成度が高く、そのままでも十分にかっこいいです。しかし、もう少し手を加えることでよりかっこよくしていきます。

本キット唯一の欠点、合わせ目をどう消すか

 素組状態でも十分にかっこいい本キットですが、一部欠点もあります。それが合わせ目です。本キットは最近のHGシリーズとしては比較的多くの合わせ目が存在するため気になってしまいます。

太もも裏の合わせ目。上部と下部に合わせ目が発生します。
ふくらはぎ裏も中央に合わせ目が発生します。
膝関節部分に合わせ目が発生します。
肩部分の合わせ目。目立ちにくくはありますがここにも合わせ目が発生します。

 今回は一番目立つ太もも部分の合わせ目処理について紹介します。この個所は挟み込みとなっているためそのまま合わせ目消しを行なってしまうと塗装が大変になってしまいます。そこで後ハメ加工を行ないます。今回はキットの一部に分割線を追加し、後ハメ加工を行なうこととしました。

分割を行なう前の太ももパーツ。黒線部分に分割線を追加します。
分割を行なった太ももパーツ。切断部分はやすりで処理したのちに段落ち処理をしてディテールとしました。

メカとしての密度を上げる肉抜き穴埋め

 プラモデルには成型の都合上、本来であれば機器が詰め込まれている部分が空洞となっている個所が存在します。本キットではバックパック、肩関節、膝関節、くるぶし部に肉抜き穴が存在しました。このままでは完成時にスカスカの印象を持ってしまうため、この肉抜き部分を埋めていきましょう。今回はポリエステルパテを使用して肉埋めをしていきます。

くるぶし部分に存在する肉抜き箇所。フレーム部分に肉抜き穴が見られます。
パテを盛りつけたフレームパーツ。ポリパテは硬化時に肉痩せが発生するため盛り上がるようにパテを盛りつけます。
余分なポリパテをやすりで削り落としたフレームパーツ。パーツの形が崩れてしまわないように注意しながら成形していきます。
肉埋めをしたフレームパーツを組み立ててみました。これを塗装することで肉抜き穴はわからなくなります。

お手軽改造、フロントアーマーの分割

 HGシリーズのガンプラは左右のフロントアーマーが一体化している構造が多くあります。本キットもこれまでと同様に分割されていないフロントアーマーとなっています。このままでは片足を挙げた際に反対側のフロントアーマーも持ち上がってしまいます。中央のパーツを分割し、独立稼働が可能になるように加工します。

分割前のフロントアーマー。このままでは独立稼働できないので中央を分割します。
分割を行なったフロントアーマー。中央をカットするだけで加工完了です。

少しの違いが印象を変えるアンテナのシャープ化

 ガンダムにおいて特徴的な装置の一つとしてブレードアンテナが挙げられます。このブレードアンテナは安全対策として先端にフラッグが付いている他、切り欠きが追加されています。設定画を確認するとブレードアンテナは鋭利となっています。そこで設定画に合わせアンテナをシャープ化していきます。

先端にフラッグが付いている他、切り欠きが追加されているブレードアンテナここからシャープ化していきます。
V字アンテナ部はフラッグをニッパーにて大まかにカットし、やすりで整えてシャープ化していきます。
シャープ化を行なったV字アンテナ。設定画のようにシャープになりました。

 なお、サイド部のアンテナはやすりだけで整形するとアンテナの長さが短くなってしまいかっこ悪くなりそうなので、長さを保つためにプラ板を使用してシャープ化をしていきます。

アンテナの先端に切り込みを追加し、プラ板を接着するための接地面積を多くします。
切り欠き部にプラ板を接着していきます。今回は作業時間短縮のため、瞬間接着剤で接着しました。
やすりで不要部分を削り整えていきます。シャープ化は完了です。

目立たないひと工夫、スジ彫り直しとエッジシャープ化

 ガンプラは成型時に装甲の分割線がモールドとして刻印されています。しかし、そのままではモールドが浅く、サーフェイサーや塗料によってモールドが埋まってしまうことがあります。そのため、既存のモールドを彫り直します。また、スジ彫りの彫り直しと並行してエッジのシャープ化をしていきます。ガンプラは成型時にパーツの角が丸くなってしまうことがあるので各面にナイフでカンナ掛けを行ない、エッジをシャープにしていきます。

加工前のビットパーツ。ここから、モールドの彫り直しとエッジのシャープ化を行ないます。
モールドの彫り直しはタガネを使用して彫り直しを行ないます。力を入れすぎないように注意しながら加工していきます。
エッジのシャープ化はデザインナイフでカンナ掛けを行なっていきます。
加工後のビットパーツ。モールドとエッジがはっきりしました。

 これにて工作は全て完了です。パーツをいつも通り超音波洗浄機にて洗浄し、塗装を行なっていきましょう。

設定を参考に色調を決定。エアブラシで全塗装

 今回は設定どおりの配色とするため説明書のカラーチャートを参考にしながら塗装を行ないます。なお、説明書に記載の塗料を全てそのままそろえることは難しいので手に入る塗料の中から組み合わせて色を作っていきます。まずは下地として全パーツにサーフェイサーを塗布していきます。今回はガイアノーツの「サーフェイサーエヴォ」を使用しました。

サーフェイサーを塗布したヘッドパーツ。スタンダードなグレーとなっています。また、エッジをシャープ化したアンテナも継ぎ目がわからなくなりました。

 次にホワイト部分を塗装します。ホワイト部分は純粋なホワイトとなっているので今回はガイアノーツの「Ex-ホワイト」を使用します。

ホワイトを塗装したヘッドパーツ。ツヤのあるきれいなホワイトに仕上がりました。

 ブルー部分はガイアノーツの「サイバーフォーミュラーカラー コバルトブルー(2)」が設定色とほぼ同じなのでそのまま使用することとしました。

ブルーを塗装したバックパック。純粋なブルーに比べ落ち着いた色味となっています。

 レッド部分はガイアノーツの「ナチュラルブラウン」をベースにガイアノーツの「ブライトレッド」とガイアノーツの「Ex-ホワイト」を加えて調色しました。

レッドを塗装した腰パーツ。レッドとは言いますがブラウンがベースの色調となっています。

 イエロー部分はガイアノーツの「純色イエロー」をベースにガイアノーツの「NAZCAカラー マンダリンオレンジ」を加え赤みを持たせた後、ガイアノーツの「ニュートラルグレー IV」とガイアノーツの「Ex-ホワイト」で色味を調整しました。

イエローを塗装したスラスターパーツ。グレーを加えることでややくすんだ色合いにしています。

 関節等のグレー部分はやや紫がかったグレーのため、ガイアノーツの「ニュートラルグレーIV」にガイアノーツの「純色バイオレット」を加えて色味を調整しています。

グレーを塗装したシールド基部。もう少し明るく調色しても良かったかもしれません。

 最後にアイ部分の塗装を行ないます。アイ部分はアニメ等を見ると設定色よりも明るいグリーンに見えるのでその配色に合わせて調色します。ガイアノーツの「Ex-シルバー」をベースにガイアノーツの「Ex-ゴールド」とGSIクレオスの「GXクリアグリーン」を調色しました。

メタリックグリーンを塗装したアイパーツ。明るいグリーンに仕上げました。

簡単にメリハリアップするスミ入れ

 ここまで塗装が完了したら各部にスミ入れを行なっていきます。今回は関節部分にタミヤの「スミ入れ塗料(ブラック)」を、その他の部分をタミヤの「スミ入れ塗料(ダークグレー)」を使用してスミ入れを行ないました。

タミヤのスミ入れ塗料は蓋に筆が付いているのですぐに使えます。
塗料の流し込みが完了したらエナメル溶剤を含ませた綿棒ではみ出した部分を拭き取ります。
スミ入れを行なった腕部装甲。メリハリが出てディテールがわかりやすくなりました。

 これにて塗装は完了なので最後にトップコート行ないます。センサー部などに用いる光沢のトップコートはGSIクレオスの「Mr.スーパークリアーUVカット光沢」、装甲などつや消し部にはGSIクレオスの「Mr.スーパークリアーUVカットつや消し」を塗布しました。乾燥したら組み立てを行なって完成です。

メリハリの利いたボディライン、ガンダムエアリアル

 それでは早速完成したガンダムエアリアルを見てみましょう。

【正面】
塗装前
塗装後
【側面】
塗装前
塗装後
【背面】
塗装前
塗装後。特にスミ入れによって印象が大きく変わっていることがわかります。
ビームブレイドを構えてみました。本機の特徴的な武装の一つです。
ビームライフルを構えてみました。ガンダムエアリアルのビームライフルは大型なので迫力があります。
頭部のアップ。シャープ化したアンテナがかっこいいです。
脚部のアップ。肉抜き穴を埋めた個所が密度アップになっており、脚部に重量感が出ています。

 いかがだったでしょうか。10月より放送が開始された「機動戦士ガンダム 水星の魔女」は目の離せない展開が続いています。ストーリーに思いをはせながら水星の魔女キットを制作してみてはいかがでしょうか。

今回使用した塗料一覧
工程使用塗料
下地色ガイアノーツ サーフェイサーエヴォ
上塗り(ホワイト)ガイアノーツ Ex-ホワイト
上塗り(ブルー)ガイアノーツ サイバーフォーミュラーカラー コバルトブルー(2)
上塗り(レッド)ガイアノーツ ナチュラルブラウン+ガイアノーツ ブライトレッド+ガイアノーツ Ex-ホワイト
上塗り(イエロー)ガイアノーツ 純色イエロー+ガイアノーツ NAZCAカラー マンダリンオレンジ+ガイアノーツ ニュートラルグレー IV+ガイアノーツ Ex-ホワイト
上塗り(グレー)ガイアノーツ ニュートラルグレー IV+ガイアノーツ 純色バイオレット
上塗り(メタリックグリーン)ガイアノーツ Ex-シルバー+ガイアノーツ Ex-ゴールド+GSIクレオス GXクリアグリーン
スミ入れタミヤ スミ入れ塗料(ブラック)、タミヤスミ入れ塗料(ダークグレー)
トップコートGSIクレオス Mr.カラーGX スーパークリアーUVカット<つや消し>、GSIクレオス Mr.カラーGX スーパークリアーUVカット<光沢>
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