特別企画

海洋堂のプラモデル「ARTPLA ゆるキャン△ BOX版」を全塗装仕上げ

全高45mmに込められた「志摩リン」の魅力を存分に楽しむ

【ARTPLA ゆるキャン△ BOX版】

発売元:海洋堂

発売日:2022年9月22日

価格:1個550円(税込)/全4種

 今回は9月に海洋堂より発売された「ARTPLA ゆるキャン△ BOX版」の作例を紹介します。「ARTPLA ゆるキャン△ BOX版」は海洋堂より2022年9月22日に発売されたプラモデルシリーズです。今回は全4種類から主人公の一人である志摩リンを全塗装で制作していきます。

アウトドアを楽しむ女子高生たちの日常を描いた人気作品

 「ゆるキャン△」は2015年に芳文社のまんがタイムきららフォワードにて連載を開始した漫画作品で、主人公である志摩リンと各務原なでしこがそれぞれアウトドアを満喫する日常漫画作品です。山梨県周辺を舞台にアウトドアのノウハウやキャンプ場の景色などを紹介しており、読んでいるだけでキャンプをしているようにさせてくれる作品です。2018年にアニメ化、2022年には映画も公開されました。

【映画『ゆるキャン△』大ヒット御礼PV】

海洋堂が手掛けるプラモデルシリーズ「ARTPLA」

 「ARTPLA」は海洋堂が手掛けるプラモデルシリーズです。今回紹介する「ゆるキャン△」だけでなく、アート建造物として有名な「太陽の塔」や仏像、動物とその飼育員などが商品展開されています。

 また、今回制作する「ARTPLA ゆるキャン△」には模型店頭で販売されるBOX版とカプセル自販機で販売するカプセル版があります。これら2種類のキットには一部変更点が存在します。全4種類のうち各務原なでしこ、犬山あおい、大垣千明の3種類は相違ありませんが志摩リンのみ仕様が異なります。付属しているキャンプ道具の中で、BOX版はコッヘルセットとガスバーナーが付属していますが、カプセル版にはコンパクト焚火グリルが付属しています。

「ARTPLA ゆるキャン△ BOX版」を全塗装で仕上げる

 それでは「ARTPLA ゆるキャン△ BOX版 志摩リン」を制作していきましょう。

今回使用したツール類
今回使用した塗料

 まずはキットを仮組してみました。

仮組を行なった志摩リン。塗料ビンと変わらないサイズですが細部まで細かく再現されています。

簡単に行なえる後ハメ加工

 このキットでは、胴体部分に一か所合わせ目が発生します。すぐに処理してしまいたいところですが、ここで一工夫。このままでは下半身のパーツが挟み込みとなっているため塗装が困難になってしまいます。そこで下半身パーツをカットして後ハメ加工を施しましょう。

身体は上半身のパーツで下半身を挟み込む構造です。このままでは塗装が困難なため後ハメ加工を行ないます。
加工前の下半身パーツ。上部のT部をカットすることで後ハメが可能です。
加工を行なった下半身パーツ。ハメ合わせ後は隠れる箇所なのでニッパーのみで加工しています。

 後ハメ加工が完了したら合わせ目処理をしていきます。今回は掲載中の「HGUC 1/144 ズゴックE」や「HGUC 1/144 ズゴックE」の作例と同様にGSIクレオスのMr.セメントSPB(ブラック)を使用して合わせ目の処理を行ないました。使い方は「ズゴックE」の記事をご確認ください。

このサイズだからとても目立つ、パーティングラインの処理

 このキットはサイズが小さいことからパーティングラインがとても目立ってしまいます。そのためしっかりと処理をしていきましょう。今回はデザインナイフにて大まかにカンナ掛けを行ない、やすりで表面を整えていきます。

カンナ掛けは力を入れすぎないように注意しながら行ないます。
カンナ掛け後はパーツ表面が平たんになっていることがあるのでやすりで形を整えます。

 パーティングラインはすべてのパーツに発生するため全パーツにくまなく処理を行ないます。パーティングラインの処理が完了したら洗浄して塗装に移りましょう。

エアブラシだけではなく筆塗を駆使して塗装を行なう

 それでは塗装を行ないます。このキットはサイズが小さいためエアブラシだけによる塗分けは不可能です。塗装面積が広い部分をエアブラシで塗装し、細かい部分は筆塗を用います。ここでは胴体パーツの塗装を例に紹介しましょう。まずはエアブラシにて大まかに塗り分けを行ないます。胴体パーツには合わせ目消しの跡が残っているため、下地にガイアノーツの「サーフェイサーエヴォ ホワイト」を塗布します。

サーフェイサーを塗布した胴体パーツ。これで下地の色が統一されたので上塗りの塗料の発色が安定します。

 グリーン部分をガイアノーツの「ボトムズカラー ライトグリーン」、「ウルトラブルー」、「純色イエロー」を調色したカラーで塗装した後、GSIクレオスの「タン」とガイアノーツの「純色イエロー」を調色したカラーで塗装します。そこまで塗装が完了したらここからは筆塗による塗分けを行ないます。まずはホワイト部分をガイアノーツの「ノーツフレッシュホワイト」にて塗装していきます。この際にマフラーの塗分けは多少のはみだしを気にせず塗装していきます。

ノーツフレッシュホワイトを塗装した胴体パーツ。設定色に合わせて少し肌色がかったホワイトで塗装しています。

 次に赤色部分を塗装していきます。マフラーの赤色部分は完全な赤というよりは茶色に近い色なので、ガイアノーツの「ナチュラルブラウン」で塗装していきます。

ナチュラルブラウンを塗装した胴体パーツ。この調子で色を重ねていきます。

 さらにマフラーの塗分けとしてガイアノーツの「ボトムズカラー ライトグリーン」を重ねていきます。ここまで塗装すればあと一息です。

ライトグリーンを塗装した胴体パーツ。塗装面積は小さいですがキットのサイズが小さいので神経を使います。

 最後の塗分けとしてガイアノーツの「フレームミュージック・ガールカラー ミクグリーン」を塗布していきます。これにて胴体の塗装は完了です。

塗装が完了した胴体パーツ。ようやく塗装が完了しました。

印刷済みと未印刷を選択できるフェイスパーツ

 本キットのフェイスパーツはすでにアイや口といった部分がすでに印刷されたパーツと未印刷のパーツが2種類付属し、自由に選択することができます。今回はフェイスパーツの成型色を生かしていこうと思うので印刷済みのフェイスパーツを使用していきます。

本キットに付属する2種類のフェイスパーツ。今回は印刷済みのパーツを使用します。

 しかし、このままでは顔の血色が悪いため少しチークを入れていきます。今回使用したチークはレンブラントの「ソフトパステルNo.331,7」を使用していきます。

チークを入れたフェイスパーツ。血色がよくなり生き生きとした表情になります。

細かい部分を補完してくれるデカール

 本キットのキャンプ道具には細かい文字や模様が描かれていますがそれを塗装で表現することは不可能です。そこで本キットには細かい模様用にデカールが付属しています。

細かい模様を再現したデカール。見印刷のフェイスパーツを使用する人に向けたアイの模様もデカールが付属します。
デカールを張り付けたカップラーメン。とても細かいパーツですが、しっかりと模様を入れることが可能です。

 ここまで塗装が完了したらトップコートを塗布して完成です。

全高45mmでありながら細部まで再現した志摩リン

 それでは、早速完成した志摩リンを見てみましょう。

全高45mmでありながら細かく再現されています。
塗料ビンと比較してみました。キットがとても小さいことがわかります。しかしデカールの効果もありリアルに再現されています。
顔は成型色仕上げにて塗装していませんがチークのみで十分に肌の質感が表現されています。
バストアップを撮影してみました。キャラクターと同じ目線で撮影することでよりリアルに感じられます。
胴体は細かい分塗分けが大変でしたが可愛く仕上がりました。
ブーツの金具部分をシルバーで塗装し、アクセントとしています。
シートの柄はデカールによる再現です。
薪は全キットに付属しています。ウォッシングを行なうことでリアルに仕上げました。
キャンプグッズは色々と付属しているので作っていても満足感があります。
ガスバーナーの細かい文字はデカールによる再現となります。
コッヘルセットは収納状態と展開状態の2種類が付属します。
ステンレスボトルのマークはデカールによる再現です。
ホットサンドメーカーは金属表現のため光沢仕上げとしました。
テーブルには様々な付属アイテムを飾ることができます。
コップは各キットに2個ずつ付属します。
カップの空いたカップラーメンと未開封のカップラーメンが付属します。
最も細かい模様の入っているカップラーメンのパーツと塗料ビンを比較してみました。デカール貼りは大変でしたが満足できる仕上がりとなりました。

 いかがでしょうか。このキットはエアブラシを使用せず全て筆塗でも制作することが可能だと思います。価格も1個550円と比較的安価なので気軽にコレクションすることもできると思います。この記事をきっかけにARTPLAにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

今回使用した工具一覧
使用工具名称
ニッパーGSIクレオス Mr.シャープネスニッパー両刃タイプ
ニッパーゴッドハンド アルティメットニッパー5.0
ナイフタミヤ モデラースナイフ
やすりピットロード PY07「フィルムスティックやすり 400番」
やすりピットロード PY06「フィルムスティックやすり 600番」
やすりゴッドハンド 神ヤス!3mm厚#400
やすりゴッドハンド 神ヤス!3mm厚#600
接着剤GSIクレオス Mr.セメントSPB(ブラック)
今回使用した塗料一覧
工程使用塗料
下地色(胴体)ガイアノーツ サーフェイサーエヴォ ホワイト
上塗り(胴体)ガイアノーツ ボトムズカラー ライトグリーン+ガイアノーツ ウルトラブルー+ガイアノーツ 純色イエロー
上塗り(胴体)GSIクレオス タン+ガイアノーツ 純色イエロー
上塗り(胴体)ガイアノーツ ノーツフレッシュホワイト
上塗り(胴体)ガイアノーツ ナチュラルブラウン
上塗り(胴体)ガイアノーツ ボトムズカラー ライトグリーン
上塗り(胴体)ガイアノーツ フレームミュージック・ガールカラー ミクグリーン
上塗り(パンツ)ガイアノーツ ウルトラブルー+ガイアノーツ ミディアムブルー
上塗り(ブーツ)ガイアノーツ ナチュラルブラウン+ガイアノーツ ミッドナイトブルー
上塗り(髪の毛)ガイアノーツ ダグラムカラー グレーバイオレット+ガイアノーツ ウルトラブルー+ガイアノーツ 純色バイオレット
上塗り(帽子)GSIクレオス マホガニー
上塗り(シート布部)GSIクレオス タン
上塗り(カップ麺)ガイアノーツ Ex-ホワイト
上塗り(シルバー)GSIクレオス シルバー
上塗り(ゴールド)GSIクレオス ゴールド
上塗り(ブラック)ガイアノーツ ピュアブラック
上塗り(グレー)GSIクレオス 軍艦色(2)
上塗り(薪内側)GSIクレオス タン
上塗り(薪外側)GSIクレオス マホガニー
ドライブラシレンブラント ソフトパステル No.331,7
ウォッシングGSIクレオス Mr.ウェザリングカラー グランドブラウン
トップコート(つや有)GSIクレオス Mr.カラーGX スーパークリアーUVカット<光沢>
トップコート(つや消し)GSIクレオス Mr.カラーGX スーパークリアーUVカット<つや消し>
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